■感想など■

2011年05月18日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■〜睦言の夜〜■■

■■【1】■■


 闇は深く……月明かりは、冴え冴えとしていながら、深淵の柔らかさを胸に届けていた。

 室内灯の微かな明かりが、彼の魔晄の瞳をして、闇を闇とさせずにいる。
 常人の眼とは、その持てる力が格段に違うことに気付いたのは、そう遅くはない。もしここに、彼と、彼の愛する彼女以外の人間がいたならば、カーテンの隙間から差し込む蒼い光で、彼の瞳が不思議な彩光を放ったことに気付いただろう。

 魔晄の光……。

 人によっては、彼の……いや、“彼ら”のこの瞳を『魔眼』と呼ぶ者もいる。「汚れ」に犯されているわけでも無いのに……だ。
 彼自身、この光そのものを忌み嫌った事もある。
 ……だが、それは過去の話だ。
 砂漠の砂が水を渇望するほどに憧れ、そして求めたあの狂気の男と、自分が同じ眼を持っているその事実が、かつての彼を苦しめていた事もある。だがそれでも、それは全て過去の想いの記憶でしか無いのだ……。
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