■感想など■

2011年06月30日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■【2】■■

「ごめんなさい、は?」
「…………」
 彼女は答えない。
 下唇をきゅ……と噛んで、悔しそうに、切なそうに見えない俺を見ている。
「ティ、ごめんなさい、は?」
 もう一度言う。
 彼女は唇を震わせて顔を上げ……そして一度俯いて、数秒後に再び顔を上げた。
 逡巡しているのだ。
「……ごめんなさい……」
 俺は彼女の言葉に、再び彼女を両腕ごと抱きしめながら、そのぷっくりとした瑞々しい唇にキスをした。
「……ん……」
 たっぷりと時間をかけて、上唇と下唇を味わう。
 口の端から端まで何度も往復して嘗め、歯で甘噛みし、唇で挟んでちるちると舌でくすぐった。
「……んぅ……う……」
 すぐにでも俺の唇を、舌を迎い入れて、おもうさま味わいたいのだろう。
 むしゃぶりつこうと彼女が積極的になるたびに、俺は身を引き彼女の欲望を受け流した。
「……ぅん……いぢわる……」
 ちっとも口内を可愛がってくれない俺に焦れて、彼女は拗ねたような声を上げた。
 ズボンはまだ、太股の半ばで止めたままなのだ。
 俺は両手を後で下げて、ショーツに包まれた彼女のお尻にぺたりと両手をあてた。
続きを読む

2011年06月25日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■〜闇に閉ざした君を〜■■

■■【1】■■


「動いちゃダメだよ」
 俺はそう言って、彼女の目を黒い帯で覆った。

 目隠し。

 布は厚手で、光を遮断し視界を覆い隠す。
 布をあてる瞬間まで、彼女は不安そうに……けれどどこか期待を込めた甘い瞳で俺を上目使いで見上げていた。
 俺のかわいいひと。
 その髪は艶やかで、手入れの行き届いた黒髪は美しいキューティクルの反射により天使の輪を戴いているようにも見える。
 事実、彼女は俺の天使であり……恋人であり……愛人であり……母であり……姉であり……妹だった。
 全ての女性を体現してみせ、また、俺の全てをありのまま受け入れてくれる……。

 愛しい……ひと。

「あっ……」
 俺の右手の人差し指が柔らかい左頬に触れると、彼女は首を竦めてよろめいた。
続きを読む

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■【4】■■

「ティが嫌なら、薬は使わないよ。けど、俺の精子が遺伝子的にティのそれと受精しにくいってのは、変わらないんだぜ? 薬を使っても使わなくっても、俺との子供が欲しいと思うなら、ある程度の覚悟はしなくちゃいけない…………それは、わかるよな?」
「……う……ん…………でも…………」
「ティはさ…………ティは…………『俺との子供が欲しい』のか? それとも『ただ子供が欲しい』のか?」
「……!!? ……どういう…………意味!?」
「……言葉の通りだよ」
「…………私が、誰のでも良いから、ただ子供が欲しいって……そう思ってるっていうの!?」
「………………ティ……」
「……私はっ!!……」
 彼女は身を起こすと、怒っているような……泣き出してしまいそうな……そんな、“痛い”瞳で彼を見た。息苦しさに喘ぎ、震える唇を開いて、空気を貪る。
続きを読む

2011年06月20日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■【3】■■

「はっ……んっ……」
 もしここにそれを耳にする男がいたとしたら、そのあまりにも切ないくらいに甘い空気の震えは、その男の心を溶かし、他には何も考えられなくしてしまったに違いない……。
 それほどまでに、彼女がうっとりと漏らした満足の吐息は、甘く甘く部屋に満ちたのだ。
「今度はシエラさんから、何を聞いてきたんだ?」
 荒い吐息が落ち着くと、彼は汗ばんだ胸の上に、ぺた……と頬を付けた彼女の頭を、優しく撫でながら言った。その声音に、幾分からかうような音が混じっているのは、決して気のせいばかりではないだろう。
「何の……こと?」
 満腹し、満ち足りた表情で余韻を楽しんでいたティファは、無粋な彼の言葉に拗ねるようにして唇を突き出した。
「とぼけたってダメだぞ」
「………………」
「ティ?」
「…………満月の……」
「ん?」
「満月のね、夜にえっちすると、妊娠しやすいって」
「………………」
「今夜が、ピッタリその満月なの」
「………………」
 彼は、ちょっと溜息を吐いて、彼女の髪を撫でる手を止めた。
続きを読む

2011年06月15日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■【2】■■

「ん………………」
 ちろっと、彼の右の乳首に舌を這わせる。
 それが始まりの合図だった。
 くすぐったそうに身じろぎする彼を、強引に押え付けるようにしてキスの雨を降らせた。
 薄いチョコレート色の乳首をついばみ、決して濃くはない胸の毛を舌で撫でつけ、鎖骨の出っ張りを咥えるようにして唇でなぞった。
 脈動する血管を感じながら首筋にキスをして、こりこりとした左の耳たぶを、カリッと軽く噛んだ。
 恋人の誘いを焦らすようにして躱す乙女のように、彼の唇には触れずに頬をなめた。
 彼女を非難するような彼の瞳は、罰を与えるかのように強引に閉じさせ、その瞼をくすぐるようにキスをした。
「あんっ……」
 ついに我慢できなくなったのか、彼は彼女のバスローブに手を滑り込ませ、柔らかでありながら命の張りに満ちたお尻を、直接ぎゅむ……と両手で掴んだ。けれど、その両手を彼女は、子供の“おいた”を咎める母親の眼差しで彼を睨みつけながら、少し乱暴に払いのけるのだ。
「ダメよ。今日は“私が”クラウドを抱くの」
「俺は何もしちゃダメなのか?」
「クラウドはガマンするんでしょ? だから、じっとしてなくちゃダメ」
続きを読む

2011年06月10日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■〜月が見ていた〜■■

■■【1】■■


 月が出ていた。

 邪を穿つ神々の矢のように、闇を切り裂く聖なる剣のように。



 濡れたように艶やかな青白い光が、濃いブルーに染まったカーテンの、その細い隙間から差し込んでいる。
 部屋の空気はしっとりとして、鼻孔に甘い香りを運んできていた。サイドテーブルには、黒砂糖を1つ、それととっておきのブランデーを数滴たらしたホットミルクが、柔らかな湯気をひらめかせてベッドランプの明かりの中にある。
 彼は読みかけの本から視線を上げると、カーテンの隙間から垣間見える、隣家の明かりを見た。こちらの窓と窓は相対している訳ではない。そのため、向こうからこちらを覗き見えはしないし、こちらもまた、向こうを窺い知る事は出来ない。
続きを読む

2011年06月05日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■【3】■■

「……手……洗う……」
 彼女の両手は、挽肉とサラダオイルにまみれている。今はその両手を、外科手術直前の医師のように、肘で曲げて指先を天に向けていた。
 手をついて、買い換えたばかりのシステムキッチンを無駄に汚すのは嫌だったし、クラウドにしがみついて、彼のお気に入りのスーツを汚すのも嫌だった。
 だから今まで、彼に「上」から「下」から体をなぶられても、愛しい人の首に噛り付く事をしなかったのだ。
 もちろん、彼はまさしくそれを狙っていたのだが……。
「いいよ」
 彼の言葉に、ティファは彼の左手が差し込まれたヒップを、少し後に突き出したまま、蛇口のレバーを捻って石鹸を手に取った。

くちっ……くちち……

「ひあっ! ……うう……」
 のろのろとした動きで手を洗い始めたティファを、再び激しい快楽の波が襲う。ざわざわと体を震わせるようにして這い上がってくる波に、ティファは啼き、そして喘いだ。
 彼が左手の中指を根元まで差し入れ、中でくにくにと動かしざらざらとした粘膜を刺激しているのである。
続きを読む

2011年06月01日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■【2】■■

 ティファが愛娘アーシェスを産んでから、既に2ヶ月が過ぎようとしている。
 腰の辺りまであった艶やかな黒髪は、今は背中の中ほどで切り揃えられ、三つ編みにまとめられていた。
 もともと化粧を好む性質(たち)ではなかったが、シエラに言われ、現在では自然モノの化粧水をつけるだけとしている。唇にもリップクリームを時折付けるだけで、出掛ける時以外は、口紅を付ける事も無い。
 イヤリングは、愛娘が間違って呑み込まないように、家では決して付けなかったし、衣服も、金属類の無い、綿や絹などの天然繊維だけと、徹底している。
 たとえ外見が地味になろうとも、それを躊躇する「弱さ」は、今のティファには無い。
 全ては、愛しい我が子のためなのだ。


「あ……あふっ……やぁん……」
 ティファの乳房は、どこまでもふにふにと柔らかく、彼の指を迎えてくれていた。さすがにバストラインは出産前よりも下がってはいるが、それでもその張りと瑞々しさは失っていない。
続きを読む

★足跡代わりにポチッとしてってくださいな★