■感想など■

2011年06月10日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■〜月が見ていた〜■■

■■【1】■■


 月が出ていた。

 邪を穿つ神々の矢のように、闇を切り裂く聖なる剣のように。



 濡れたように艶やかな青白い光が、濃いブルーに染まったカーテンの、その細い隙間から差し込んでいる。
 部屋の空気はしっとりとして、鼻孔に甘い香りを運んできていた。サイドテーブルには、黒砂糖を1つ、それととっておきのブランデーを数滴たらしたホットミルクが、柔らかな湯気をひらめかせてベッドランプの明かりの中にある。
 彼は読みかけの本から視線を上げると、カーテンの隙間から垣間見える、隣家の明かりを見た。こちらの窓と窓は相対している訳ではない。そのため、向こうからこちらを覗き見えはしないし、こちらもまた、向こうを窺い知る事は出来ない。
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