■感想など■

2011年06月20日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■【3】■■

「はっ……んっ……」
 もしここにそれを耳にする男がいたとしたら、そのあまりにも切ないくらいに甘い空気の震えは、その男の心を溶かし、他には何も考えられなくしてしまったに違いない……。
 それほどまでに、彼女がうっとりと漏らした満足の吐息は、甘く甘く部屋に満ちたのだ。
「今度はシエラさんから、何を聞いてきたんだ?」
 荒い吐息が落ち着くと、彼は汗ばんだ胸の上に、ぺた……と頬を付けた彼女の頭を、優しく撫でながら言った。その声音に、幾分からかうような音が混じっているのは、決して気のせいばかりではないだろう。
「何の……こと?」
 満腹し、満ち足りた表情で余韻を楽しんでいたティファは、無粋な彼の言葉に拗ねるようにして唇を突き出した。
「とぼけたってダメだぞ」
「………………」
「ティ?」
「…………満月の……」
「ん?」
「満月のね、夜にえっちすると、妊娠しやすいって」
「………………」
「今夜が、ピッタリその満月なの」
「………………」
 彼は、ちょっと溜息を吐いて、彼女の髪を撫でる手を止めた。
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