■感想など■

2012年01月30日

【ボクキミ】14

■■【14】■■

 “それ”はまるで、いわゆる神社でお参りの際にするような「柏手(かしわで)」というヤツと同じ動作だった。
 そして、全てはそれで「終わった」。
『おおっ?』
 哉汰の目の前で、『函(パンドラ)』を形成する光糸が急に輝きを増し、ユウを透過してケガレだけを取り込んだまま収縮していく。
 基点はユウが拝むように合わせた両手の先、数十センチだった。
『縮んでいく?』
 収縮するにつれてその速度は増し、やがて洗面所の排水口に水が吸い込まれていくように、または落ちなかった線香花火の火球がふっと消えるように、唐突に宙へとその輝きを消失させた。
「……はっ……はぁ〜……」
 その瞬間、哉汰は肺に溜まっていた空気を深く吐き出し、ようやくその時になって、自分が無意識に息を止めていた事に気付いたのだった。
「見ててくれた? カナちゃん」
 すうっと宙から降りてきたユウが、パールピンクのピンヒールをアスファルトに接地させ、嬉しそうに微笑む。
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2012年01月23日

【ボクキミ】13

■■【13】■■



 ──それはまるで、何か特別なショーでも見ているような気分だった。


 黒い獣だった。
 大きい。
 見上げれば視界の中、街の灯に照らされた灰色の夜空を“それ”の半分が覆い尽くしている。
 時折響く、太くて震えるような音は眼前の獣の咆哮だろうか。
 それはまるで船の汽笛のよう。
 不意にうわんっと冷たい空を震わせ、それが圧力となって直接体に当たる。
 包む。
 打ちのめされる。
 下から見上げていてこれだ。
 まともに正面から相対していたならば、どれだけの圧迫感を受けるだろう。
『すげぇ』
 哉汰は感嘆するしかなかった。
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2012年01月21日

記事削除

 2011年1月16日になってた「ボクキミ」の記事分を削除しました。
posted by 推力 at 09:00| Comment(1) | TrackBack(0) | ■つれづれ■

2012年01月16日

【ボクキミ】12

■■【12】■■

 ホームルームが終わり、引き続いて始まった1時限目は数学だった。
 哉汰は、正直言って勉強があまり好きではない。
 というか、嫌いだ。
 その中でも数学は特に大嫌いだった。
 そしてその原因の一つは、
「みなさん、おはようございます」
 教室前の引き戸を開けて入ってきた、黒縁眼鏡のスーツ教師にある……と哉汰は思っていた。
「それでは今日の日直の方、お願い致します」
 生徒に対するには些か丁寧過ぎる言葉遣いで授業開始の挨拶を促す姿は、絵に描いたような「誰もが持っている数学教師のイメージ」そのものだった。
 パリッと糊の利いたブルーラインのワイシャツに皺の無い背広。黒々とした短めでツヤツヤの髪は整髪料で丁寧に整えられ、身だしなみもバッチリだ。
 格好だけなら、数学教師より外資系商社のエリートビジネスマンと言っても通りそうだった。
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2012年01月15日

久々に

 拍手に一言メッセージがありましたので。

> 01/15 15:34 推力さんの書かれるTSものの「僕オマエ」シリーズの重さに圧倒されて、サイトにたどり着きました。二次創作でもうる星の暴虐のような愛情や、FFのあたたかいものなど色々読めてとても面白かったです。心理描写もキャラ立ても手抜かりなしの作品を読めて嬉しいです!

 とても嬉しいです! ありがとうございます!
 これからも細々とではありますが、ネットの片隅で作品を発表していきたいと思っています。
 今後もよろしくお願い致します。
posted by 推力 at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | ■つれづれ■

2012年01月09日

【ボクキミ】11

■■【11】■■

 翌日、早朝の学校に登校し、無人の教室で哉汰は一人、何をするでもなくぼんやりとしていた。
 まだ誰もいない教室の空気はひどくひんやりとしている。それなのに哉汰の頭の芯は妙にカッカと熱かった。
 いつもの登校時間より、一時間も早い。
 廊下からは朝練に向かう運動部員のものらしい足音と声が、他の教室からはドアの開く音や閉まる音が時折聞こえる。
 雑然と並んだ机達。
 視線の先には古ぼけた教壇。
 チョークの粉がこびりついたままの何も書かれていない黒板。
 右下の日直の欄には、昨日の担当だった山下と羽田の名前。
 時間割と校内便りや様々なお知らせが貼られた掲示板。
 昭和チックに古ぼけたスピーカー。
 スピーカーの上にある、丸く飾り気のないアナログ時計は、7時13分頃を指している。
 中庭に面した窓に目をやれば、朝日に透けたスカイブルーのカーテンの向こうに、昇降口へと向かう生徒の姿が散在していた。
 そこにはいつもと変わらない、何の変哲もない日常があった。
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2012年01月02日

【ボクキミ】10

■■【10】■■

「おまっ……は、はげし……」
 腰が抜けた感じがする。
 脚がガクガクして哉汰は思わずふらつきそうになった。それに、かろうじて射精は免れたがパンツの中身は既に先走り汁でぬるぬるだ。
 ユウを見ると顔が真っ赤に紅潮し、目は涙で潤んで“とろーん”ととろけ、口は半開きで唇の周りが唾液で濡れている。あきらかに“出来上がった”状態であり、もし今、哉汰がここで押し倒してTバックを脱がせても、何の抵抗も無く両脚を広げてセックスを受け入れてしまいそうな雰囲気があった。

 それにしても……

 哉汰は思わず“ぐびび”と喉を鳴らした。
 この状態のユウの「エロさ」は異常だった。汗ばんだ肌から立ちのぼる匂いは甘く、香しく、哉汰の脳の原始的で動物的な部分を直接刺激するような淫猥な力に満ちていた。深いクレヴァスを思わせる乳房の谷間はユウが身を捩るたびにむにむにと形を変えて哉汰の手の愛撫を誘っているかのようだった。
 あえて重ねて何度も繰り返すが、思春期の男の子の頭の中はエロい妄想でいつもいっぱいでマグマのように“ぐつぐつ”と煮えたぎっているものだ。いくらネットでその手の画像が氾濫していたとしても男の子にとって女の子の体というのはファンタジーに満ちており、jpg画像やavi動画や雑誌や写真集などでは到底満たされることのないエロスな飢餓感というものは、こうした現実の、目の前の、今すぐ触れる距離にある女の肉体によってのみ充足されるものなのだ。
 そのため哉汰にとってユウの体というのは、いくら理性では「元は男の体」だと理解していても、感情……原始的な欲望の情動では、そのおっぱいも触れたくて嘗めたくて吸いたくて揺らしたくて責めたくてたまらないものに変わりはなかった。
 だから、
「カナちゃんにはお世話になってるし……だから、いいよ?」
 と、甘ったるい声で言われた時、哉汰は自分でも気づかないうちに口元がだらしなく緩んでしまっていたことに気付かなかった。
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