■感想など■

2012年02月20日

【ボクキミ】17

■■【17】■■

 カナケンの言葉によると、最近この町でも不可思議な現象が多々目撃されているらしい。
 曰く、人がいないはずの場所から人の気配がした。
 何もない空間から石や瓦の破片が飛んできた。
 急に空の一部がフラッシュみたいに光った。
 不意に耳元で誰かの声が聞こえた。
 挙げ句は、何か黒くて恐ろしいモノを裸の女の人らしい影が追っていた……など。
『裸っていうか半裸だけどな……それがユウだとしたら、だけど』
 学校の帰宅途中、哉汰は公園のベンチで、商店街の肉屋で買った揚げ立てのコロッケを齧っていた。
 公園はちょっとした草野球が出来そうなほど広いが、今は子供の姿も無く、犬を連れた老人が遊具の近くを歩いているだけだ。
「はふっ」
 コロッケに歯を立てると、サクサクっとした衣からじゅわっと香ばしい油が染み出し、噛み締めると牛挽き肉の肉汁とホクホクとした馬鈴薯の甘みが口いっぱいに広がる。
 いつもなら自然と笑みがこぼれるその味覚にも、今日の哉汰の気は晴れなかった。
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