■感想など■

2012年08月26日

[THEM]『Piece.06』「ミッションX」〜孤軍奮闘〜

「やっぱり人形とかがいいんじゃねーか?」
 機械油の染み込んだフライトジャケットをハンガーにかけながら、不精髭に覆われた顎をざらりと撫でて艇長は言った。
「いや、もうすぐ学校じゃないですか。カバンとか新しいノートとか、そういう役に立つものの方が良くないですかね?」
 仕立ての良いダークブラウンのスーツを着込んだ紳士が、ニブル産の紅茶の香りを楽しみながら思慮深く言う。
「新しいフライパンが欲しいって、前に聞いたことがあるぞ?」
 いかつい顔の巨漢は、褐色の隻腕でビールの空缶を握り潰してぼんやりとつぶやいた。
「心がこもってさえいれば何でもいいと私は思うが……」
 そこらの女性よりも遥かに綺麗な長い黒髪を揺らして、普段は寡黙な美丈夫が誰ともなしに口にする。
「そういうのオイラわかんないけど、オイラだったら新鮮な野ウサギがいいなぁ」
 眠そうにカーペットの上でまどろんでいた隻眼の獣が、ふあっと大きな欠伸をしてから言った。
『いや、それはダメだろう』
 4人の男は心の中でほぼ同時に溜息する。
 問題は山積で、道のりは険しく困難だった。

 タイムリミットまでもう2日も無い。
 2日目の夜には作戦は決行され、そしてそのミッションは完璧に行われなければならなかった。失敗すればたちまちのうちに信頼を失い、そしてそれは築き上げた友好関係を瓦解させ権威の失墜さえも招きかねない。それだけはここにいる勇者達全員にとってどうしても避けたい事態だった。
 たとえそれが、どんなに絶望と困難に満ちた、危険極まりないミッションだったとしても。
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2012年08月25日

【ボクキミ】ユウ10

■■【10】■■

 11月12日、土曜日。

 モデル姿で呼び出された学校のクラブハウスには、「彼」を含めて7人の男達がいた。
 「彼」以外は、あの日、10月31日に同じこの部屋にいた5人と同じく、覆面プロレスラーが着けるようなマスクを着用している。6人の覆面男だ。その中に、あの時の5人が含まれているとしても、今日は1人増えている。これが「彼」によって集められた者達だとしたら、彼らはどれほどの“真実”を「彼」に吹き込まれているのだろうか。
 真っ赤なチョーカーを付けられ、声が出ないようにされた後、ユウは裸に剥かれてマットレスに転がされた。形ばかりの抵抗もしてみたが、すぐに意味が無いと思い、させたいようにさせた。
 汗と埃と、何かわからないような匂いが混じりあった不快な布地は、肌にべとつくような感じがしてゾッとした。
 何度も使われているのだろうか。
 ひょっとしたら女子生徒を連れ込んで、ラブホテル代わりに使っていたのかもしれない。

 ──今日はこの7人を相手にするのだろうか。

 ぼんやりと見上げたユウの前で、男達が服を脱いだ。
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2012年08月19日

[THEM]『Piece.05』「ふたりあそび」〜彼女にはナイショ〜

■■【2】■■

 ユフィの両手で揉み上げられ、ティファはうっとりとした表情を浮かべ始めていた。
「気持ち良いの……?」
 ユフィがそう聞くと、彼女は無言でこくりと頷く。
 身を、任せていた。
『かわいい……』
 ユフィは不意にそう思った。
 思ってから、その自分の心の動きに戸惑いを感じた。
 ティファを可愛いと感じるなんて、初めてかもしれない。
 彼女はいつも強くて、嫌味なくらいカッコよくて勇ましくて、エアリスとはまた違った『おねーさん』だった。
 そのティファを、今、自分が気持ち良くしてる。

 自由にしてる。

 胸がどきどきした。
『なんだよ!? アタシはレズビアンなんかじゃないぞ!?』
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2012年08月14日

[LIPS]『Piece.06』「二人の告白」〜吐息と言葉と〜

■■ Scene.07 ■「〜泥酔〜ティファ」■■

 覚えてるかな?

 あの時のこと……。

 この人がいなくなって……私達だけで闘わなくちゃならなくなった時のこと。
 いろんなものと、闘わなくちゃならなくなった時の、こと。

 ふふ。
 そうだね。
 シドはいっつもそう言ってたよね。

 でも私は……ダメだったなぁ……。

 この人がいなくなっただけで、あんなにめちゃくちゃになるなんて、思ってなかった。

 強くないよ?

 ……強くない。

 もしそう見えたなら……たぶんきっとそれは、パンパンに膨らんだ風船みたいに、いっしょうけんめい自分を大きく見せてただけだと思う。
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2012年08月12日

[THEM]『Piece.05』「ふたりあそび」〜彼女にはナイショ〜

■■【1】■■


 夕闇が街を包み始めていた。

 先行した彼等は、もう村に着いただろうか?
 斥候を兼ねて、クラウドとバレット、それにエアリスの3人が半日ほど離れた隣村まで向かったのは、今日の昼頃の事だ。
 30分ほど前にPHSで連絡が入った時は、山陰で薄暗くなり、あと1時間以内に到着しない場合はキャンプすると言っていた。
 この地方には地図にも載っていない村が点在し、しかもその距離は住人の感覚で『半日』とか『昼飯まで』とか、そんな曖昧な表現でしか計る事が出来ない。
 今更ながら、ガイドでも雇えば良かったと思う。
「私も……」
 ついそう口にしてしまってから、濡れたように艶やかな黒髪の女性は慌てて口をつぐみ、周りをきょろきょろと見まわした。
『私もついていけば良かった』
 そう言いかけてしまったのだ。
 だが、心配そうな様子を生意気で皮肉屋の忍者娘にさんざんからかわれた後では、その言葉を素直に口にするのは、ひどく躊躇(ためら)われたのだった。
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2012年08月11日

【ボクキミ】ユウ9

■■【9】■■

 どんなに嫌なことでも、どんなに屈辱的なことでも、それが日常化してしまえば、後はそれを如何に受け入れ、義務的に、機械的にこなしていくかだけに腐心するようになる。考えてしまえば行き詰まり、悩んでしまえば息も止まるほど苦しくなるからだ。
 だから考えないようにする。
 決して悩まないようにする。
 自分の心が、完全に壊れてしまわないように。

 「彼」の命令で、見知らぬ男達にユウとして抱かれるようになり、優也が朝、寝ているのか起きているのかわからない浅い眠りから目覚めて、まずするようになったのはケータイに届くメールのチェックだった。新着フォルダに「彼」からのメールがあれば、“それを実行するための計画”を素早く脳裏に浮かべ、可能となるように根回しをする。無ければ準備を整えて、以前と同じく学校に登校する。
 都市部の繁華街の街角に立つ娼婦のように、避妊具やアフターピルなどの常備薬、化粧道具や脱脂綿や消臭スプレーなどが入っていると言われるハンドバッグの類(たぐい)を持つ必要は無かった。
 変身を解けば、全てがリセットされるのだ。
 全てが“何も無かったこと”に出来るのだ。
 リセット出来ないのは記憶だけだった。
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2012年08月09日

[LIPS]『Piece.06』「二人の告白」〜吐息と言葉と〜

■■ Scene.06 ■「〜約束〜クラウド」■■

 ん? どうした?

 ああ……ティファか?
 ティファは今、病院にいるんだ。

 そう。

 病気じゃないよ。

 うん。
 よく知ってるね。偉いな。

 赤ちゃんが生まれるんだよ。

 ああ、そうだったな。
 シエラさんも、もうすぐだっけ。

 はは……俺の。

 そうだよ。

 ははは。
 まだ早いよ。

 ん? いいよ。

 お? だいぶ重くなったな。

 ごめんごめん。
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2012年08月07日

[LIPS]『Piece.06』「二人の告白」〜吐息と言葉と〜

■■ Scene.05 ■「〜前夜〜ティファ」■■

 ティファ=ストライフ…………。

 ん?……うん。ふふ……ちょっと……ね。

 え?

 ううん。そうじゃないの。
 そうじゃなくて……。

 ふふふ……。

 え……? そう?
 うん。
 だって、やっぱり幸せだもの。

 ……うん……。
 不安が無いって言ったら……ウソになる。
 うん。
 …………うん。
 ……そうじゃないけど……。

 え? うん。ふふ……恥ずかしい……かな?
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2012年08月05日

[THEM]『Piece.04』「あなたをさがしてる」〜見つけたい真実〜

■■【2】■■

 “彼”は、彼女が初めて好きになった男性(ひと)だった。
 はっきりとした出会いがいつだったか、それはもう定かではない。
 16歳で、普通と比べても遥かに遅い初潮を迎え、それからほどなく、身辺を今までよりもずっと大胆に黒服の男達が徘徊し始めた頃だったとは、思う。

 神羅の、生化学研究室別室ジェノバプロジェクト推進チーム第三セクタ担当者の意向によって、彼女はその生育の一切を監視されて育った。
 命を賭して彼女を逃がした母の甲斐無く、その行動の全ては神羅によって把握されていたのだ。
 彼女が十分に成長し、成熟した卵子の摘出とこれから数限りなく行われるだろう実験に耐えうる体力を得るまでが、彼女に残された“自由な”時間だった。

 身の回りに男性は多かったが、親しくなった事はあってもそれが恋になる事は無かった。
 彼等は決まって、日を置かずに彼女を避けるようになるからだ。
 彼女に欠点があるわけではない。
 むしろ美点ばかりが目についた。
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2012年08月04日

【ボクキミ】ユウ8

■■【8】■■


 毎日、股を開いた。

 毎日だった。
 たまに開かない時もあったが、キスはした。
 必ずした。
 嫌だと思っても、いつも強引にされた。
 フェラチオもした。
 おっぱいも嘗められた。
 吸われた。
 しゃぶられた。
 揉まれた。
 噛まれた。
 歯型もいっぱい付けられた。
 キスマークはもっとだった。
 あそこも弄られた。
 指を突っ込まれた。
 出し入れされた。
 嘗められた。
 吸われた。
 ほじくられた。
 太腿の内側を抓られた。
 そこにはキスマークもいっぱいにつけられた。

 毎日、だった。

 1日に何人もの男を相手にした日もあった。
 まるで、盛ってどんな相手とでも交わるメス犬のようだった。
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2012年08月02日

[LIPS]『Piece.06』「二人の告白」〜吐息と言葉と〜

■■ Scene.04 ■「〜困惑〜クラウド」■■

 なあ、これ……どっちがいいのかな?

 ……これか?

 仕方ないだろ? ティファはアーシェにかかりっきりなんだから。

 あんたならヒマだろうって思ったんだよ。

 いいじゃないか。たまには付き合ってくれても。
 それに経験者だろ?

 ……これは?

 ダメ?
 なんでだ?

 ……これくらい……。

 そうなのか?
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