■感想など■

2009年04月26日

「あなたと歩く、この春の小道で」〜あなたと私のつむぐ唄〜(1)

■■【1】■■

 男の人が好きか女の人が好きかと聞かれたら、たぶん男の人と答えると思う。

 少なくとも、あの頃の私はそうだった。
 それがこの世界の当然であり、私が今まで生きてきた中で培った「常識」というものだったからだ。
 でも今は、その頃の自分を思い出そうとしても、容易には思い出せなくなっている。
 それで今の私が不幸なのか?と問われれば、決してそうではないというところに、この問題の根深さがあった。

 ……なんて、私こと神凪穂野花(かみなぎ ほのか)は思ってる。


 好きな人が、できました。
 その人の事を想うだけで胸が“きゅうん”として苦しくて甘酸っぱくて、いてもたってもいられなくなる。
 その人が沈んでると私も沈むし、その人が嬉しいと私も嬉しくなる。
 触れられただけで心臓が跳ね回って涙がこぼれそうになるし、その人の体温や香りを感じるだけで頭が“ぼ〜〜っ”となる。
 そんな人です。

 これって、恋?

 いやいやまてまてそんなはずはない。
 私はかつて何度も何度も何度も自分に聞いた。
 歩いていても本を読んでいても御飯を食べていてもお風呂に入っても布団に入っても。
 本当に何度も何度も何度も自分の胸に聞いてみた。
 だって私は普通の恋がいいのだ。
 今まで普通の恋をしてきたのだ。
 断じてアブノーマルでマイノリティで、親に言えないような相手に恋した事なんて、今まで生きてきた18年間一度だって無かったはずだ。

 否。

 無かった。
 断定しちゃう。

 ――だって。

 だってだってだってだってだって!!
 あの人は。
 あの、私の大好きな人は。
 何でも出来て頭良くて美人で背も高くておっぱいも大きいくせにどこか頼りなくて優しくて優しくて優しすぎて、私が少しすねてムッとしたらオロオロして駅前にある「サーティーズ」のダブルアイスをいそいそと買ってきてしまうような人なのだ。
 しかもチョコミントとオレンジフローズン!
 私の大好きなものをしっかり覚えてて、その上、食べる順番までその通り。
 チョコミントがオレンジフローズンの上に乗っかってる。
 信じられない。
 どこまで私を馬鹿にすれば気が済むんだろう!
 いつもそう思う。
 私がアイスなんかで買収されるとでも!?
 私が本当に欲しいのは花が咲くような笑顔で、ほっぺたに触れる少しひんやりした手で、耳元で囁かれる「大好きよ」っていうくすぐったい囁きだけって知ってるくせに!
 食べるけどね!?
 食べちゃうけどね!?

 そう。

 私が好きなあの人は、世間では「女性」と呼ばれている性別の人、なのだ。
 女の私が女のあの人に恋をする。
 それって絶対おかしいと思う。
 変だと思う。
 思うのに、でも、けど、だって、もう、どうしようもないのだ。

■続■
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