■感想など■

2009年04月27日

[異種姦-触手] 「いつまでもどこまでも」〜はじめてのパパとママ〜

■■【1】■■
 未宇(みう)にとって、“たーくん”は幼馴染みだ。
 そして、親同士どころか国同士…いや、星同士が決めた許婚相手でもあった。

 “たーくん”は超重力帯の第4惑星ヘカテの生まれで、広域文化圏銀河文明種交流コロニー――通称『アカデミー』には、種族規模での“生殖能力と出産後の母体生存率の低下”を研究する両親と共に、8年前にやってきた。
 …と、いつだったか未宇は“たーくん”の両親に聞いた事がある。
 一方、未宇はと言えば、生まれも育ちも『アカデミー』で、しかも原種保護法によって厳重に保護された絶滅危惧種「ホモ・サピエンス」の、純血の、それも最後の一人だった。 だから、どこに行っても大事にされ、まるで壊れ物を扱うみたいに育てられていた。だからといって、決してワガママに育った訳ではないのは、少女の現在の保護者である太陽系地区惑星管理管の妻の大きな自慢のタネでもある。

 未宇が『アカデミー』で生まれたのは14年前だったけど、たーくんはその時、太陽系標準時で18公転周期だったから、人間で言えば22歳だ。現代の地球では16歳を越えると成人として認識されるから、未宇にとってはオトナであり、そしてずいぶん歳の離れたお兄さんという事になる。
 もっとも、“たーくん”の種族は総じて地球人類より遥かに長命で、彼の星の公転周期で言えば、実はまだ満2歳にも満たなかったから、それぞれの惑星単位で単純に比べた場合、そういう意味では未宇の方がずいぶん、かなり、ずっと、『お姉さん』という事になるのだから、そこのところ、ちょっとややこしい。

「あーあ…午後の授業が休みになるんなら、スーナちゃんにカード借りておけばよかった」
 どこまでも白い色の廊下を“ぺたぺた”と歩きながら、腰までのツヤツヤとした長い黒髪を揺らし、未宇は唇を尖らせてぷっくりとしたほっぺたを膨らませた。良く動く、表情豊かで“くりっ”とした大きい目は、光の加減で黒にも紺色にも見える。身長は155センチを越えたかどうか。すらりとした手足は伸びやかで、卵型の顔は人形のように整っていた。
【スーナちゃんって、ホモ・ラビルテの女の子?】
「うん。銀色の毛並みが綺麗な、可愛い子」
 「ホモ・サピエンス」が絶滅危惧種だからといって、地球が滅びたわけではなく、人間はちゃんとまだ生きている。けれど、銀河航路が整備され、地球人類と地球外種族との交易が始まって数百年。未宇ほど変異の少ない遺伝子を残す者は、本当に少なくなったのだ。
「せっかく最新のビジ・カードを貸してくれるって言ってくれたのに、授業があるから断っちゃったんだよぉ?休みだって知ってたら、借りといたのに…」
 だぶだぶの白いワンピースは少女の体の線をすっかり隠していたけれど、緑色の液体が入った透明な強化樹脂の球体を、大事にお腹に抱えるようにして抱いているため、胸が下から押し上げられて“むにゅっ”と盛り上がり、それが少女の年齢の割りに結構大きいのだと、傍から見ていても窺い知る事が出来る。
 ただ、年齢が14歳だということを思えば、純血の「ホモ・サピエンス」としては少々大き過ぎるだろう。
【仕方ないよ。先生が急病だっていうんだから】
「でもさぁ…」
 近くに人影は無い。
 それでも、未宇の耳には、幼い頃から慣れ親しんだ心地良い『声』が、ハッキリと聞こえている。
「クラムファル先生ってロムナの出身でしょ?どーせズル休みだよ。ホルトの黒点移動が近いから」
【先生はそんなズルしないよ。未宇じゃないんだから】
 『クラムファル先生』というのは、未宇と“たーくん”の物理学の先生で、背の高さが20センチしかない、直立したムカデのような節足型惑星人のことだ。
 怒らせるとものすごく怖いけど、理不尽な事で怒ったりはしない理性の人でもある。
 そして、ちっちゃな虫のような姿をしていても、彼の種族は、惑星連合の広域文化圏共通翻訳機を作り出した、由緒ある古参の銀河文明種だった。
 つまり、今こうして未宇と“たーくん”が話せるのも、全て先生の種族のおかげなのだ。
「…“たーくん”…未宇はそんなズルしないよ?」
【この前の応用物理のテスト】
「あれは…」
【あれは?】
「――うー………“たーくん”ってさ、最近イジワルだよね?」
【愛は時として非情なものだよ】
 わざとらしく厳格な口調で呟かれた言葉に、未宇は両手で持っていた球体状のモノを、頭より高く持ち上げてポツリと言った。
「…投げていい?」
【…暴力反対…】
「未宇のこと、愛してる?」
【…………………………愛してるよ】
「間があった」
【愛してる愛してる。愛してるってば】
 少女は『ふにゃっ』と、とろけそうな笑みを浮かべるとすぐに顔を引き締め、目の高さまで球体を下ろす。それは、未宇の両手で一抱えもある大きなものだったけれど、大きさに反して、まるで空気の入ったビーチボールのように軽かった。
「…なーんかぞんざいだなぁ」
【そう?】
「未宇の目を見て」
 球体に目を近づけて“じぃ〜〜〜…”と見詰めると、中にたっぷりと詰まった緑のゼリー状の“液体”が“もぞり”と動き、そこに浮いた真っ黒なビーダマ状の玉が、まるで未宇の視線から逃げるように移動した。
「よおくわかりました」
【え?な、なに?】
「…やっぱり投げる」
【うわーーーーーーーっ!!】
 少女がフルスウィングで放り投げた球体は、ビジ・ルーム(幻灯室)の浜辺でビーチボールを投げた時のように、硬化プラスチックで出来た廊下の中を、とてもとてもよく飛び跳ねた。
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