■感想など■

2009年08月13日

第16章「欲しがるカラダ」

■■【1】■■
 目を開ければ、そこには白い天井があり、仕切られたクリーム色のカーテンを透かして明るい日差しがじんわりと部屋を照らしていた。
『保健室……』
 ここでの、もう何度目かわからない目覚めに、桂は自分の置かれた状況を今までで一番早く理解した。
 けれど、自分がここにいる理由がわからない。
 確か、1時間目の授業が終わった後、E組の生徒を捕まえて健司が風邪で休んでいることを聞いたところまでは覚えていた。
 それから、1階の渡り廊下そばの水呑場に行こうとして…………
『……それから、どうしたんだっけ?』
 記憶が、すっぽりと抜けていた。
 5月29日に発熱し3日間昏睡状態に陥って、6月1日に女性体へと変体してから、今日の7月14日でちょうど一ヵ月半になる。
 その間、何度も夢と現(うつつ)が揺らぐような感覚を味わったけれど、ここまですっぱりと記憶が飛んだのは久しぶりの事だった。
 眠っている間に、なんだかすごく嫌な夢を見たような気もするけれど、その夢さえも覚えていない。思い出そうとすると“ぞわっ”と背筋が震え、恐ろしさに泣きたくなるような、逃げ出したくなるような、そんな不快な気持ちで胸がいっぱいになるから、それ以上は考えるのをやめてしまった。
『……今……何時だろう…………』
 冷房の効いた部屋の空気を感じながら気だるい体を起こし、ベッドの上で座り込んだ途端、桂は“ぷちゅ”という音を耳にして、思わず身を強張らせた。
『……あ……やだ…………』
 あそこにたっぷりと溜まり、肉襞から“ぬる……”と染み出した粘液質の感触と、パンツの裏地にべっとりとついた粘液の冷たさが、桂に自分の肉体の状態を如実に伝えてくる。
「え?」
 思わず股間を右手で触れようとして、彼女は自分がTシャツと下着だけしか身に着けていない事に今さらのように気付いた。だぶだぶで裾がかなり余っているから、たぶん男子用なのかもしれないけれど、胸のところだけパンパンに張っていて、今にもはちきれそうだった。しかも色が白だったため、乳首の赤が透けて見えて、ものすごおく…………エロい。
 しかも下着は、今朝おろしたばかりの“おニュー”だったはずだ。それも、女らしく……それも健司の好きなタイプの女になる努力しようと、まだ可愛らしい下着を身に着ける事に抵抗があった桂が、由香の手を借りずにほっぺたを真っ赤にしながら選んだ、シンプルだけれどちょっとだけ可愛い刺繍の入った黒パンツのはずだったのだ。
 けれど今、彼女が身に着けている下着は、何の変哲も無い、サイドが10センチはあろうかという、ベージュの「おばさんパンツ」だった。
 制服を着ていたはずなのに、どうしてTシャツと下着なのか。
 確かに家ではこれよりもっとラフな格好……パンツだけとか、綿シャツだけとか、そんな格好でいる事もあるにはあるけれど、それが学校の中であるというだけで恥ずかしさに顔が火照ってしまう。
「なんで?」
 その声に、わずかに開かれていたカーテンの隙間から、白衣を着たスレンダーな体躯の保険教諭が顔を出す。
「起きたか?」
「せ……先生、ボク、なんでここに? それに、これ…………こんな格好……」
「覚えてないのか?」
「覚えてないって…………な、なにを?」
 頬を赤らめて毛布を首元まで引き上げる桂の仕草は、もう完全に羞恥を覚え他人の目を意識する女の子の仕草だった。その可愛らしさに微笑みながら、美智子はベッドに腰を掛け、手に持ったコップを差し出す。
 コップの中には、麦茶が3分の2ほど注がれていた。
「お前、1階の水呑場で鼻血出して倒れたんだぞ?」
「鼻血?」
 ちょっとだけ上を向いた、ちっちゃくて可愛らしい鼻に右手をあてて、桂は中指を鼻の穴へと少し潜らせてみた。
「……ほんとだ」
 固まって硬くなった血が、ぽろぽろと細かく零れ落ちる。
 血は赤黒くて、自分の体から出たものだというのになんだかひどく“ばっちい”気がした。
「ブラウスとスカートに血がべっとりついてたから、一応シミ抜きしやすいように脱がせといたんだ。このまま帰りにでもクリーニングに出しとくんだな」
 彼女が指差した先にある教員机の上には、こんもりと膨らんだ不透明なビニール袋が無造作に置かれている。その側には錠剤状の『ネクタル』が入った半透明のピルケースもあった。
「喉、乾いてないか?」
「あ、ううん。いただき……ます」
 桂は麦茶を“こくこく”と一息に飲み干すと、“けぷっ”と音を立てた口に手を当てた。無意識にしてしまったその仕草は、由香の『女の子チェック』の賜(たまもの)だろう。
「で、でも、どうして下着まで……」
「ん〜〜……人間、気を失うとな、普段閉じている部分がイロイロと開いちまうもんなんだよ」
「は?」
「お前、休み時間にちゃんとトイレ行ったか?」

 ――ソラ先生の言いたい事が、すぐにわかった。

 そしてわかってしまう自分が、『星人』の因子による理解力の拡大が、ちょっとだけイヤになった。
「あの……ショ…………おしっこ……?……」
 おそるおそる訪ねてみると、美智子はなんともいえない顔で肩を竦めた。

 ――もちろん、ウソだった。

 「一定時間の記憶を消す」というのは本来してはいけない事ではあるのだけれど、桂の、性に対しての心因的外傷(トラウマ)にもなり兼ねない出来事であったため、それは美智子の独断によって行われた。そして、涼子がいない時の緊急事態ということもあり、普段なら絶対に承認無しでは許されない「記憶操作」をしてしまった以上、彼女が受けた仕打ちを思い起こさせるものを、そのまま身に着けさせておく事は出来なかったのだ。当然、乱暴に脱がされかけ破れてしまったパンツは廃棄処分とした。今頃、焼却炉で灰になっていることだろう。
「うあ〜〜〜〜〜〜…………」
 そうとは知らない桂は、美智子の「なんともいえない顔」を見て、思わず頭を抱えてベッドに突っ伏してしまった。
 この歳になって「おしっこ漏らした」……なんていう恥ずかしい事を、自意識がとても受け入れられなかったから……だった。確かにひと月半前、3日間熱に浮かされ、目覚めた時に寝小便してしまっていた事実を自覚した時も恥ずかしかったけれど、今回のこれはあの時の比ではなかった。今回は学校で、しかも日中、赤の他人にそれを知られてしまったのだ。
 しかも、もしかすると最悪の場合、下着を替えたのは目の前にいる…………
「あの……先生……が?」
「お前、可愛い下着履いてたな。ションベンでぐちゃぐちゃだったけど」
「わ〜〜〜っ!!!」

 ひどい。

 冗談じゃない。

 恥ずかしさに涙まで出てきた。
「そう恥ずかしがるな。今でこそ言えるけど、私はお前のウンチまみれのおしめを替えた事もあるんだぞ?」
 あまつさえ、一部分だけ金色に脱色したベリィショートの“男前な”保険教諭は、そんな事をあっさりとのたもうた。
「〜〜〜〜〜っ〜〜…………」
 桂はもう、顔を上げる事も出来ない。
 これはあまりにもあんまりだった。
「で、まあ、ついでにどうだ? 今から昨日言ってた検査をしたいんだが……」
 肩を震わせながら耳まで真っ赤にした桂を見下ろして、美智子は「今日の晩御飯は何食べる?」と聞くような気軽さで尋ねた。
「けん……さ?」
 ぷくぷくしたほっぺたをリンゴみたいに真っ赤にして、桂は涙のいっぱい溜まった瞳でそろそろと美智子を見上げる。
 胸元を“ぱっつんぱっつん”にふくらませたTシャツとパンツだけの姿で、上目遣いに涙ぐんだ瞳で見上げる桂は、美智子の目から見ても凶悪的に可愛らしかった。しかも彼女はその仕草を、完全に無自覚のまましてしまっているのだ。
 男の前で女が意識無意識に関わらず醸し、透かして見える「媚び」ではなく、「自分が他者からどう見られているか」など自覚しない、子供のような無垢な状態だからこそ感じる「危うさ」が、『星人』の因子を持たない者にさえ、性別を超えて「護ってやりたい」という感情を喚起させるのかもしれない。
『この姿を健司に見せてやれば、アイツなんかイッパツで落ちると思うけどなぁ』
 乱れた桂の黒髪を左手でさらさらと撫で梳いてやりながら、美智子は不安そうな彼女を安心させるように、にっこりと笑ってみせる。
 そんな彼女に、桂は世にも情けない顔で
「……今、何時ですか?」
 と聞いた。

         §         §         §

 美智子によると、今は4時間目の最中だという。
 気絶して保健室に運び込まれた事は、既に担任のはるか先生には連絡済みらしい。こんな時、いつもなら真っ先に近くで桂が目覚めるのを待っていそうな由香は、3時間目の休み時間にやってきて、血で汚れた制服を“おばあちゃんの知恵袋”的に“処置”したのだという。

 検査の「準備」が終わると、桂はベッドの脇に立ったまま、机の上のモニターを操作していた美智子を見た。
「ほんとに…………やるの?」
「今さら何言ってんだ? いいのか? そのままで」
「でも……」
「検査してみないと、過剰に敏感な体をどうにか出来るか、わかんねーだろ?」
「た、確かに……そうだけど……さぁ……」
 スリッパで床に立ち、Tシャツを引っ張って“もじもじ”とパンツを隠しながらベッドを見た桂は、ものすごく情けない顔で助けを求めるように美智子を見た。
 目の前のベッドは頭上のカーテンレールから縦半分だけ出ていて、しかもベッドの横にはサイド−テーブルが2つ、平行して置かれている。形としては「I=」の形にベッドと直角の形で置かれているのだ。
 美智子によれば、これは簡易的な診察台…………らしい。
 ベッドに寝て、お腹のところにカーテンを垂らし、両脚をサイドテーブルについて足をM字に開く…………という、桂はまだ見た事が無い「内診台」を模したものなのだという。カーテンを体に直角に垂らして下半身を桂自身の目から隠すのは、“自分のあそこを診察されている”事から生まれる羞恥を、少しでも和(やわ)らげるためらしい。
 しばらく躊躇った後、桂は覚悟を決めたようにベッドに上がった。
 そうして横になり、カーテンからパンツと靴下だけの下半身を出して、
「ええと……これからどうするの?」
 と美智子に震える声で聞いた。
「もうちょっとこっちに出せ」
「ひゃっ」
「……なんて声出してんだ」
「だ、だって……」
 腰を両手で掴まれ、ぐいっと引っ張られた桂は、体を走った快美感に戸惑ったように視線を泳がせた。
 白い天井が見える。
 今は点いていない蛍光灯が見える。
 真横に走ったカーテンレールが見える。
 カーテンレールから下がるクリーム色のカーテンが見える。
 それは、いつもここで見ていた景色とは90度違った景色だった。
『ヘンな気分……』
 カーテンを日の光がおぼろげに透かしている。その向こうで、ソラ先生がパタパタと動き回っているのが見えた。
「脚はここな」
 ソラ先生に両方の足首を持たれ、サイドテーブルに押し付けられる。
「……っ……」
 今度は声は出さなかった。

 大丈夫。
 我慢出来る。

 桂は両手でTシャツの胸元を握って、こくっ……と喉を鳴らした。
 仰向けになっている事で、大きなおっぱいがひどく重たく感じる。自重でもったりと裾野が広がり、少し潰れているようなそのおっぱいを、両腕で寄せるようにした。流れて形が悪くなるのが、ちょっとだけ恐かったからだ。
「じゃ、見るそ」
 キャスター付きのイスを引っ張って桂の両足の間に座った美智子は、もう中心部が濡れて半透明になり、デリケートな肉襞がすっかり浮き上がった桂の股間のクロッチ部分を見た。それからパンツの両サイドに手を掛け、彼女の両脚をまとめて右肩に担ぐようにすると、“するする”と抜き取ってゆく。
 たっぷりと濡れて溢れたとろとろの『蜜』が、パンツの裏地と透明な銀糸を結んでいた。
「あっ」
「どうした?」
「……な、なんでも……」
 そうは言いながらも、きっと不安でちょっと怖いのだろう。カーテン越しの桂の声は、少し震えていた。
 美智子はそれに気付かない振りをしつつ足首から完全に下着を抜き取り、右手で彼女の両足首を一まとめに持ちながら、サイドテーブルの上のタオルに左手だけで包んでおく。

 あくまで手順は機械的に。

 なまじ手間取ったり、時間をかけたりすれば、桂の羞恥をいたずらに増すだけだからだ。
「……ふ」
 桂の“ぷるっ”とした可愛らしいお尻を見て、笑みにもならない呼気が美智子の唇を割った。右手だけで両脚をまとめて持っていると、赤ん坊の時、おしめを替えた時の記憶が甦ってくる。あの時はもっと軽かったし、あそこにも陰毛など生えていなかった。それに陰裂だってペンで書いたような縦スジ1本だけの、シンプルで可愛らしいものだったのだ。
『えっちな体になったなぁ……』
 桂に聞かれたら間違いなく怒るようなことを、美智子はしみじみと思った。
『さて……』
 気分を切り替え、無言で桂の両脚を“ぱかっ”と開き、股間を陽の光の元へ露にする。
「あっ……」
 小さな悲鳴を無視して、両脚をそれぞれサイドテーブルに乗せると、美智子は拳銃にも似た、奇妙な形の光沢ある器具を右手に持ち、桂の股間へと屈み込んだ。

 その時の桂は……といえば、感情がひどく高ぶって、抑えきれない衝動のままに目からぽろぽろと涙がこぼれてしまうのをどうしても止める事が出来ずにいた。
 確かに、カーテンで視界が遮断されてソラ先生の姿が見えないことで、裸の下半身をまじまじと見られている恥ずかしさは軽減されているとはいえ、逆にその姿が見えない事で不安が増していた。カーテン越しの影の動きでソラ先生が何をしているのか、ある程度は想像がつくものの、だからといって今の自分に何が出来るわけでもない。今さら拒む事など出来ないし、ただ、早く検査が済む事を祈るばかりだ。

 美智子は左手を、押し開いた事で腱の浮き上がった桂の左腿のやわらかい内側にあてて、彼女の楚々とした陰部をしげしげと観察する。脈打つ肌に手を触れただけで“びくっ”と腿が震え、うっすらと開いた陰唇が、何か別の生き物のように粘液を滲ませながら“ぬるり”と動いた。
『……触れただけで感じるみたいだな』
 陰毛の生育は、この年齢の女の子としては平均的だろう。濃過ぎず、薄過ぎず、もしゃもしゃ黒々と茂っている。最近あまりしていないのか、最初からしていないのか、どこか「ちょっと手入れ(脱毛)を怠けている、オフシーズンの女の子」という感じに、大陰唇の横にも“ちょぼちょぼ”と薄い陰毛が生えていた。少しきわどいパンツを履いたら、脇からはみ出てしまいそうだ。
 思わずそう言って桂をからかってやろうかと口を開きかけた美智子だったけれど、
『いかんいかん』
 と気を引き締める。
 やはり美智子は、他の生徒とはまるで違う特別な想いを桂に抱いてしまう自分を改めて自覚した。
 美智子達『星人』にとっては、ある意味『至宝』とも言える存在であると同時に、赤ん坊の頃から…………いや、受精卵の頃から見守ってきた存在だということが大きいのだろう。
『いや、まったく綺麗なもんだ』
 指を触れるたびに“びくっびくっ”と腰や脚が震えるのが面白いけれど、そんな気持ちはおくびにも出さず、美智子は桂の厚ぼったい大陰唇を広げ、“ぷるっ”と瑞々しい小陰唇の襞を伸ばし、“ぷっくり”とした尿道口や膣口周辺の盛り上がりを丹念に調べた。
 たっぷりとぬめり、あとからあとから溢れてくる透明な粘液が、会陰から垂れ落ちて後の蕾を濡らし、ベッドのシーツに広げた黄色いタオルへと滴る。
 大陰唇にも小陰唇にも色素の沈着はほとんど無く、実に綺麗なピンク色をしている。彼女の女性器が形成されて、まだたったのひと月半なのだから当然と言えば当然ではあるのだけれど、その初々しく瑞々しいベビーピンクな可愛らしさには、抑えきれない微笑ましささえあった。
 だのに、“性器としての機能”は十分備わっていて、それはこうして指で機械的に触れているだけで快美感を感じ、男性器をスムーズに迎えるため“とろとろ”に濡らしてしまう事からも明らかだった。
 濡れ方が、十分に成熟して感覚を“開発”されたオンナのそれと同じなのだ。
『処女でありながら快感をしっかりと感じる性器…………か。処女で少女で娼婦で淑女…………昔、そんな唄があったな……』
 「処女」で「少女」までは桂も同意するかもしれないけれど、「娼婦」とか「淑女」というのは到底容認出来なさそうな感じだ。
 それでも、「男に抱かれるという事」と「男根の太さ」にさえ慣れてしまえば、クリトリスだけでなく膣内での快感を得る事も、そう遅くはないように思える。
『さて……』
 美智子は右手に持った、ゴルフのドライバークラブのクラブヘッドを押し潰したような……「デリンジャー」と呼ばれる拳銃に少し形の似た青い器具に、一見しただけではわからないほどの微妙な力を加え、それと同時に左手でそのグリップの中ほどにある窪みに軽く触れた。
 その途端、拳銃で言えば銃身にあたる部分が“ぐぐっ”と20センチほども細く伸び、先端が何十本にも細かく割けて、タンポポの綿毛のように、または海中でそよぐイソギンチャクのように、“ぶわっ”と微細に分かれて広がる。
 その“繊毛”の1本1本の太さは1ミリも無く、そしてそれはすぐに、まさしく指で触れたイソギンチャクのように一瞬で収縮して“ぷくり”と膨らんだ1センチ程度の瘤のような形を取った。それはちょうど、アルコール温度計(寒暖計)のような形をしていたけれど、質感はもっとやわらかく、表面はわずかにぬめるように波打っている。
『ああ……恥ずかしい……』
 桂は、ソラ先生が自分のあそこをまじまじと観察している事を自覚しながら、両手で口元を覆って声を殺しつつ、ただただ身を震わせていた。先生の細くて“ひやっ”とした指が、デリケートな部分を次々に触れるたび、とてつもなく甘い甘い快美感が体中を走り抜けるのだ。それは自分で触れる時より、由香にプールのシャワー室で触れられた時より、もっと事務的で機械的で、特に桂に対して「快感を与えよう」とする動きではないのにも関わらず、どうしようもないほどの刺激となって桂の腰を、背筋を、脳を、とろかし、揺さぶり、そして痺れさせる。
 太股の内側に触れられただけで、全身の産毛が“ぞわっ”と逆立った。
 大陰唇を広げられた時には、腰がひとりでにうねりそうで恐かった。
 小陰唇の襞を伸ばすように押し開かれた時には、止まったと思った涙が再びぽろぽろと零れて止まらなかったし、尿道口や膣口を揉みほぐすように撫でられた時には、いやいやと首を振ることしか出来なかった。
 そしてクリトリスの包皮を剥かれた時には、とうとう耐え切れずに声を上げそうになってしまった。
 もちろん、それは「悦びの声」だ。
 蜂蜜をたっぷりとまぶされたような、甘ったるくて、ねっとりとした、「もっとちゃんと触れて欲しい」と請い願う意味の、切望の声だ。
「桂」
 不意に名前を呼ばれた気がした。
「桂?」
 本当に呼ばれていた。
「……は……う、うん……」
 ぼんやりとして、ほっぺたが熱い。
 “ふるり”と揺れ動くおっぱいの下で心臓がどきどきして、背中や脇が汗でしっとりと濡れていた。
「ちゃんと昨日は言われたとおりにしたか?」
「……え?」
「オナニー、我慢したか?」
「……し、したよ」
 おかしくなってしまいそうだった、昨日の夜の記憶が甦る。
 あの時、母が来なければ、本当に自分は狂っていたかもしれないとさえ、思った。
「少し冷たいかもしれないけど、我慢しろよ?」
「え? なに」
 「何をするの?」と、聞こうと思った。
 でも、聞けなかった。
 ぶるっと身を震わせ、閉じようとする桂の脚を強引に開かせて、美智子が右手に持った器具を徐々に彼女の胎内へ「ぷちゅ……」と埋めていったからだった。
 それは、彼女が左手で桂のぷっくりとした陰唇を押し広げ、細く伸びた“銃身”を膣口にあててすぐの事だ。
「あっ! やっ……やだっ……なんか……なんか……」
 細く伸びた、青く半透明にも見える器具はナメクジやカタツムリの目のように、しなやかに曲がりながら桂の膣内の壁を傷付ける事無く、“するする”と“ぬめぬめ”と、実にスムーズに奥深くへと入り込んでゆく。
 事前にこれ以上ないくらい、たっぷりと濡れそぼっていたからこそ可能だった……というわけでもないようだ。なぜなら、細身の器具それ自体が、ミミズが蠕動運動でもするかのように、わずかに波打っていたからだ。
「あっ……やっ…………んぅっ……」
 涙がぽろぽろと目尻からこぼれ、髪を濡らす。

ちゅぷっ……ぷぷ…………ぷっ…………くぷぷ…………

 ねっとりとした粘液質の水音が、幾度も桂の股間から密やかに立つ。
 桂は、白い下腹をしゃくりあげるように上下させた。体内に挿し込まれた異物に、お腹の中で臓器が反応して動いたように感じて、思わず恐くなったのだ。
「じっとしてろ。検査出来ないだろ?」
「で……でも……」
 “にゅう”と伸びる“銃身”が子宮口に達した事を示し、グリップ部分の一部が明るく光る。
「ひあんっ……」
 桂の両脚が、菱形を描くほどいっぱいに広げられる。くねった体の上で、Tシャツに包まれた極上の乳肉が“ゆさっゆさっ”と揺れ動いていた。
 美智子はグリップ部分に灯った光を確認すると器具をわずかに握り、その中指でグリップの一部を押し込んだ。この動作で、桂の子宮内に入り込んだ先端がイソギンチャクのように柔らかく広がり、内壁を何度も撫でて子宮内膜をほんの少しだけ……細胞数個の単位で採取するはずだ。そして広がった「繊毛」の一部は、免疫機能などをクリアした上で卵管にまで伸び、卵巣へと至る。そこで微細な繊毛は、成熟した卵子があればその状態を調べ、その上で未成熟の卵細胞をいくつか採取するのである。
「あっ……あっ……あっ……」
 桂の両脚の内腿に腱が浮き上がり、“ぶるるっ”と全身が震えた。埋め込まれた“銃身”を包み込む膣口からは、じゅくじゅくと『蜜』が染み出し、溢れ、お尻の下に敷いたタオルへと染み込んでゆく。
「ああ…………や…………やだ……やだ…………」
 溜息のような、泣き声のような、甘い声がカーテン越しに美智子へと届く。
 膣内に異物を挿入された事で、桂の体機能が一気に「性交受胎が可能な状態」にまで「高められた」のだ。
『ここまで劇的に変化するする……か』
 それは、桂の体がもう十分以上に熟し、受胎を待ち望んでいる状態である事を示していた。
 しかも器具からは、排卵直前の卵子が存在する事を示すシグナルが発せられている。
「せ…………せんせぇ…………ソラせんせぇ…………」
 震える脚を無意識に閉じようとする桂と、それを押し留めて再びいっぱに開かせる美智子。
 それを何度も繰り返していると、やがてとろとろに濡れ、蜂蜜のような甘ったるさの滲んだ声が、切なげに美智子を呼んだ。
「どうした?」
「ボク……もう……もう…………」
「もう?」
「もう……やだ……おかしく……なっちゃ……うぅ……」
 “きゅきゅきゅ”と膣が収縮し、後の蕾が呼吸するかのように断続的にすぼまる。小陰唇が纏いつくように器具を包み、“ぷりゅっ”と粘液が一際(ひときわ)多めに垂れ落ちてきた。
「……やだぁ…………やだぁあ……」
 これ以上無いくらいに高まっているのに、イけないのだ。強烈な快美感に翻弄されながら、決して終わりを与えられない苦しさに、桂は涙をこぼしながらいやいやと首を振った。
 痛いくらいに乳首が勃(た)ち、硬く硬く屹立している。いつしか桂は、それを無意識に指で摘み、ひねり、押し潰すようにおっぱいに押し込んでいだ。
 サイドテーブルから足が浮き上がって、今では完全にMの形に“自分から”脚を広げている事にも気付かずに。

 それは、組み敷いたオトコの下で、オトコを迎い入れながら、何度も突き入れられ汗を滴らせ体をくねらせる「オンナの姿」そのものだった。

 その姿からは、この「少女」が、たったひと月半前には性別的にも精神的にも、また社会的にも完全な「少年」だったとは、もう思えなくなっていた。
「ああっ……あ〜〜〜〜……」
 男根の10分の1以下の、タンポンより遥かに細い異物を挿入され、触覚の無い子宮内を“繊毛”に撫でまわされながら、少女はその時、確かに「狂って」いた。
 自分がたったひと月半前まで男であり、まさしく突き入れる側の人間であった事など微塵も思い出す事無く、極細の異物で感じる擬似的なセックスに、身も世も無く泣きじゃくりながら美智子に許しを請うているのだ。

 うねうねと動く器具の“銃身”を伝って、美智子の右手に桂の『蜜』がねっとりと絡みつき滴った。
 確かにこの、強烈な快美感で刺激し続けたままでは、桂の脳に致命的なダメージを与えかねないのではないか? ……とさえ、美智子は思う。
 まさか、ここまでの反応を示すとは思わなかったのだ。
 ゆらゆらと桂の両脚が頼り無く揺れ、“ぶるっぶるっ”と断続的に彼女の尻肉が震える。『蜜』でてらてらと濡れた性器周辺や会陰から尻にかけての肌は、彼女自身の汗と混じり合って強烈な『香気』を放っていた。
『これが河野内をおかしくさせたわけか……』
 観察者としての冷静な視点が、美智子にそれを思わせる。
 桂を“保護”した“彼”から聞いた通り、発情した桂から立ち昇る『香気』は、『蜜』や汗などの体液が混じる事で、男であればどんな人間でも一発で「狂う」ほどの濃度になっていた。
 桂の『香気』には、『性フェロモン』と一言でまとめられる、『性喚起物質』が多量に含まれている。これは以前、彼女が生理になった時のデータでわかっていた事だった。地球人類の女性が、生理の時に通常より遥かに多量の性フェロモンを分泌させているのは把握していたため、『星人』より地球人の資質を基とした桂も同等の状態が起こる事は十分予想されていたのだ。

 フェロモン(pheromone)とは「生物が体内の器官で生産、体外に微量に分泌し、同種の別個体に作用する物質」のことだ。動物には性フェロモンをはじめとして、警報フェロモン、集合フェロモン、道しるべフェロモンなど、異なる作用をする様々なフェロモンが存在する。
 そしてフェロモンは匂いそのものではなく、匂い物質の分子構造に良く似た化学物質であり、桂の場合は嗅覚で感じられる『香気』との相乗効果で、人類に対して強烈な本能的行動を励起させる力がある。
 その「性フェロモン」で励起される本能的行動とは、この場合もちろん性衝動であり、種族保存本能であり…………つまり『香気』を発し汗ばんであそこを濡らした桂は、オスに対して「ボクを抱いて、犯して、精を注ぎ込んで」と大声でアピールしているのと、全く同じ事なのだ。
 もちろん、桂が興奮すればすぐに『フェロモン』が大量に分泌されるかといえば、そんな事は無いだろう。
 桂自身の興奮が高まり「発情」しなければ、『香気』として立ち昇る事も無いわけで、彼女が接近を許し、性的接触を受けなければ、そもそも有り得ない状況だと言えた。視覚・聴覚など、直接刺激である触覚以外の感覚による興奮では、桂にとっての性刺激としては不充分だからだ。
 河野内に対して、あれだけの効果を示したのは誤算といえば誤算だった。
 桂が自慰を我慢することで膨れ上がり、快美感を貪欲に求めて暴れまわっていた彼女の中の性衝動というケモノが、結果として河野内に対する性フェロモン分泌の“タガ”を外してしまったのかもしれず、そしてそれを招いてしまったのは、今日の検査のために「オナニーをするな」と告げた、他ならぬ美智子自身だ……と言えなくもないのだ。
『責任感じるなぁ…………涼子さまに知られたらお仕置きどころじゃないよ……』
 泣きじゃくりながら身をくねらせ、とめどなく『蜜』を垂れこぼす桂は、「淫らである」という以前に「憐れ」にすら見える。
 カーテンから裸の下半身だけ出ている状態であるから、もっと遠慮の無い感想を述べるとするならば、「滑稽」とさえ言えた。
『結局、桂の体が精神的、肉体的な刺激に敏感になっているのは、もともと不安定だったホルモンバランスが、オナニーのし過ぎでさらに崩れ、生体機能が一時的にブーストアップし、快楽中枢が刺激に対して過剰反応しているから……だと思うんだが、問題は、だからといってオナニーを止めさせれば、ほんのちょっとの刺激にも更に激しく反応してしまうようになる……って事なんだよな。
 「ネクタル」で一時的に反応が抑えられるのは、生理機能を調整し正常化させるためで、効果が切れれば元(もと)の木阿弥(もくあみ)だ。けれど本来は『星人』のためだけに分子合成された「ネクタル」を、半分地球人である桂が日常的に飲み続けるわけにもいかない…………となれば、いったいどうしたらいいんだか』
 美智子は部屋いっぱいに充満した桂の『香気』(もっと下世話に言えば「性臭」と言ってもいい)を感じながら、自らの考えに没入していった。
『ただ、卵子が成熟し、排卵が近付く事でこの状態が引き起こされるとなれば、排卵そのものが止まれば、これから桂がこの状態に悩まされる事も無くなるわけだ。
 桂が乱れて「香気」で男を惑わそうと性フェロモンを大量に分泌するのは、いわば桂の体が「受胎要請」を出してるってことだ。
 となれば、排卵を止めるために手っ取り早いのは桂が妊娠しちまうのが一番なんだけど、そればっかりは相手がいるもんだから、そう簡単にはいかないよな。
 排卵抑止剤を使用しても効果があるかは疑わしいし、さらにそれで生理機能が狂ったら、今度はいったいどんな弊害を起こすか想像するのも恐ろしい。桂に使用する薬を、桂で直接テストするわけにはいかないんだよ。
 そもそもが、生理機能が安定せずホルモンバランスが不安定だった事が原因なんだから、完全に女性化して肉体的に安定すれば、排卵期の過剰な「受胎要請」も出ない…………ということは、だ。
 次の生理さえ乗り越えれば、桂の体も落ちつくって事……じゃないか?
 けど、近々排卵するとしても、次の生理までは順当にいけば2週間はある。
 過剰な性フェロモンの分泌は排卵日を境に前後3日は見ておいた方がいいから、少なくとも後4・5日は桂はこの状態のまま……』
 思考がぐるりとまわりまわって、同じ所に落ちついてしまった気がした。
『とりあえず……』
 小さく溜息をつき、美智子は「あっ……あっ……あっ……あっ……あっ……」と密やかな甘い呼気を吐き続けている桂の、とろとろに濡れそぼった股間を見た。
 未成熟の卵子と子宮内膜、それに膣内壁の粘液のサンプルは採取したし、排卵期の生体内データも十分に得る事が出来た。これは、コミュニティで常時行われている桂の生体機能モニターでは得られないほどの、大量で微細なデータ郡だった。
 あとは、
『この状態をなんとかせにゃならんな』
 美智子は器具のグリップを軽く握ると、桂の子宮内でイソギンチャク状に広がっていた器具の先端を収束させた。
「桂」
「……あっ……んあっ…………はっ…………あっ…………」
「桂、苦しいか?」
「せんせ…………せんせぇ…………」
「今、少し楽にしてやるからな」
「……どう…………んっ……」
 “ちゅるっ”と桂の性器から、器具を抜き出す。
 器具に絡みつき“ぬるぬる”と白濁した『蜜』が、彼女の感じ過ぎるほどに感じてしまっている今の状態を示していた。
「イかせてやる。私じゃあイヤかもしれないけど、こうなった責任は私にもあるからな。そこは我慢しとけ」
 桂の愛液でびしょびしょに濡れた右手を、手荒い桶に張った水で洗い落とし、乾いたタオルで拭きながら立ち上がる。
「……んっ……ぅ……せ…………せき……にん……? …………あっ! ……」
 “ジャッ”とカーテンを引くと、真っ赤な顔で涙をぽろぽろとこぼした桂が、慌てて顔を両手で覆って美智子の目から背けた。
 おっぱいを自分でいじっていたのがまるわかりの乱れたTシャツと、ぬるぬるとした粘液を滲ませ滴らせたあそこが丸見えなのだから、顔を見られるよりもそちらの方がよほど恥ずかしいのではないかと思わなくもない。Tシャツは汗を吸って肌が透け、おっぱいの上では大きく硬く勃起した乳首と、ぷっくりとふくれた乳暈(にゅううん)が赤くクッキリと浮き立っていた。
 仰臥している事で裾野がもったりと広がり、半球状に盛り上がったおっぱいは、まるで高級マスクメロンか小玉スイカか……というほどに大きい。
 その大きなメロンおっぱいを伸ばした右手で“たぷっ”と揉むと、桂の可愛らしい小鼻が息を吸ってふくらんだ。
 美智子の手をいっぱいに開いて掴んでも、まだ余るほどに豊かな乳肉は、そのまま握り締めれば甘い果汁が染み出すのではないか? と思えるような、男を狂わさずにはいられない魅惑の『蜜肉』だった。
 そのやわらかく、やさしく、あたたかいおっぱいの心地よい感触に、いつしか美智子は、ほんの少し頬を高潮させてしまっていた。
「私がイかせてやる。当分、体が疼かなくなるくらいにな」
「あっ……はっ…………んうっ……」
 おっぱいを覆うTシャツは美智子の思ったとおりしっとりと濡れ、桂の体臭を辺りに濃く立ち昇らせていた。もし今、男子生徒の誰かがこの保健室に脚を踏み入れたら、瞬く間に発情し、意識を混濁させ、無抵抗な桂に襲い掛かってしまうに違いない。
 おそらく今、桂を保護した“彼”がコミュニティに引き渡しているであろう河野内のように。

 美智子は、保健室のドアにしっかりと施錠してある事を確認すると、ポケットから3センチ立方の、白金色のキューブを取り出して桂が横たわるベッドの上に置いた。
『念のため持って来ておいてよかったよ……』
 こうしておけば、後はこれが数分で桂の『香気』を分解、中和してくれるはずだ。
「……せんせ……」
 “ぐじゅぐじゅ”と鼻を鳴らし、涙のいっぱいに溜まった瞳で一心に美智子を見上げている桂に、彼女はやわらかな笑みを浮かべた。
 そして、今更のように隣の学生相談室を見る。
「ん…………ここじゃ、ちょっと声が廊下に漏れちゃいそうだからな」
 そう言うと美智子は、細身の体からは想像出来ないほど軽々と、桂のぐったりとした体を横抱きに抱き上げた。
 小さいとはいえ、今の桂の体重でも40キロはある。それをこうまで軽々と扱う美智子は、やはり見た目通りの身体能力ではないのだろう。
 いわゆる“お姫様だっこ”のまま学生相談室へと入り、姫君を長テーブルに、まるで壊れ物を扱うかのような繊細さで“そっ……”と寝かせると、美智子は廊下側に面したドアのロックを確認した。そして、保健室側のドアも、念のため改めて施錠しておく。ついでに念には念を入れて、ボタン一つで内線呼び出しコールをオフにする事も忘れなかった。
 これで、完全防音のこの部屋であれば、桂がいくら声を上げても外に漏れ聞こえる事は無くなったし、他人が足を踏み入れる心配も無くなったわけだ。
 その間、桂はゆったりとしたペースで呼吸しながら、涙のいっぱいに溜まった瞳で天井を見上げていた。

 性的行為にとって、『声』は重要なファクターだ。
 オスはメスの声を耳にする事で性的興奮が促進され、メスは自らの声で自らを高めてゆく。
 特に人間の女性は男性に比べて性的信号の視覚認識力がそれほど高くはなく、性交時にはそれが更に顕著となるため、触覚や聴覚などがそれを補うかのように鋭敏となり、それを脳内でイメージとして結像させる術(すべ)に長けているからだ。
 つまり、「感じている」声を自ら発する事で男性に対して性的興奮を喚起させ、それによって生まれる男性の声や彼が立てる音を脳内で濃密なイメージへと組み立て、行為へと自らを没入させてゆくわけである。たとえ感じていなくても感じているように「演技」してみせるのは、なにも男性に対してのためばかりではないのだ。
 桂も、自らを抑えるように声を殺し口を閉ざすより、自分の興奮を素直に受け入れ悦びを示した方が、より達しやすいに違いなかった。
「桂。声を出せ」
 ようやく自分がどこに寝かせられたのか気付いたのか、不安そうにそわそわと視線を泳がせる桂の耳元に口を寄せて、美智子は、その桜貝のような可愛らしい耳に、息を吹きかけるようにして言った。
「んっ…………こ……こ……え? ……」
「そうだ。感じてたら思い切り声を上げていいんだ」
「……や……やだ……そんな…………声……なんて……」
「恥ずかしいか?」
 少し躊躇い、そしてこくりと頷くと、桂の目尻からまた涙がぽろりとこぼれ落ちる。
 張りがありながらやさしくやわらかい豊かなメロンおっぱいが、汗でピタリとTシャツを張りつけたまま“ふるっ”と揺れた。
「この部屋は完全防音だし、何よりここには私とお前しかいない。コミュニティのモニターセンサーもここにいる間は記録されないようにしてやる」
「で……でも……」
 それでもまだ、桂は躊躇っていた。
 昨日、美智子は
『男に必要なのは「エッチする場所」。けれど、女に必要なのは「エッチする理由」』
 と彼女に言った。
 男は性に関して総じて動物的であり、自らの子孫をより多く残すために、セックスしようと思えば時と場合に関わらずしてしまう事が可能だ。
 けれど女は大概にして情動的であり、より優れた遺伝子を的確に残すため、セックスには相手を受け入れる「理由」をどうしても必要とする。
 もちろんこれらには個人差がある、誰も彼もが同様というわけではない。けれど、真実の一面を指しているのは、やはり事実には違いなかった。
 そして、まさしく体だけではなく心さえも「女」になりつつある桂は、今、「エッチする理由」を求めていたのだった。
「安心しろ。ここであった事は涼子さまにも秘密にする。私も一応保険のセンセーだからな。生徒の秘密は守るさ」
「…………っ…………」
「それとも、このままでいるか? このままその状態で授業に出るか?
 我慢する事は無い。これはいわば『治療』なんだ。
 お前もそのままじゃあ辛いだろう?」
 事実を告げ、優しく諭し、“逃げ道”を作ってやりながらも徐々に心理的に追い詰めてゆく。
 美智子にしてみれば、まるっきりホストかジゴロかヒモにでもなったような気分だったけれど、手段を選んでいる場合でもないから彼女はそれをキッパリと無視した。
 再び高まり始めたのか、“はっ……はっ……はっ……”と浅く短い呼吸を繰しながら、たっぷりとしたおっぱいと、ピタリと閉じた両脚の付根の翳りを隠していた桂の両手が、躊躇いながらもテーブルへと落とされる。
「返事はしなくていい。OKなら目を瞑れ。
 大丈夫。乱暴しないし痛くもしない。
 私に任せろ」
 ニヤリと男らしいほど男らしい笑みを浮かべる美智子をじっと見つめていた桂は、やがて、不安と恐れと期待と悦びが入り混じり、涙の膜が厚く覆った瞳をゆっくりと閉じた。
 美智子に、桂の膣内に直接指や、タンポンより太い異物を挿入するつもりはない。
 急に膣内へ異物を挿入すれば、桂の体はますます「受胎要請」を激しくするであろうし、ここまで出来上がっていれば、舌と指だけでイかせてやることは簡単だと思えたからだ。
 そうだ。
 こうして人型になる前は「犬」だった事もあるこの身だ。「嘗める」事に関しては誰にも負ける気がしない。
 …………ちっとも役に立たない自信ではあるけれど。

 「いいんだな?」とは聞かない。
 美智子は桂の両脚をいきなり広げると、身を硬くする少女に構わず、とろとろに濡れそぼり、すでにテーブルにまで『蜜』を滴らせたあそこに右手の指を滑らせた。
「ひんっ……」
 “びくっ”と桂の体が若鮎のように跳ね、“ぶるんっ”とおっぱいが揺れ動いた。美智子はそのおっぱいを左手で優しく掴み、揉み立てる。
 それは河野内など足元にも及ばない…………いや、比べる事さえ不遜に思えるほどの、愛情といたわりに溢れた“真心の愛撫”だった。
「あっ……ぁあっ……あっ……あぃっ……ひあっ……あっ……」
 美智子の愛撫はおっぱいだけに留まらず、熱く火照って男なら誰もがむしゃぶりつきたくなるほど美味しそうな耳たぶや、綺麗なピンク色に染まった首筋、艶っぽく光をはじく肩から腕へのライン、悦びに打ち震える脇腹や腰、それにすっかり大きく開かれたすべすべとした内腿にまで及んだ。
「……あっ……やっ…………だめっ……だめっ……」
 涙をこぼし、髪を振り乱して、桂はうわ言のように繰り返しながらいやいやと首を振った。カリカリとテーブルの表面に爪を立て、まさぐっていた手の平がテーブルの端に達すると、それを“ぎゅうう”と指の関節が白くなるほど握りしめて体をくねらせる。
「ひんっ……」
 デリケートで傷付きやすいクリトリスを包皮の上から優しく優しく何度も丹念に撫で、『蜜口』からたっぷりとこぼれた粘性の高い『蜜』を“ぬるっ”と塗りつけ、捏ねる。爪などで傷付けないように細心の注意を払い行われたその行為は、桂の反応を確かめながら何度も何度も何度も何度も繰り返された。

ちぷっ……ちゅっ……ちゅちっ……ちゅっ……

「……やっ……やあっ! ……やあぁっ! ……」
 粘液質の水音が響くたび、白く、男とは明らかに骨格の違う腰が、動く。
 くねり、跳ね、踊る。
 それでも美智子の指はその動きに遅れる事無く、まるで張り付いたかのようにピタリと動きを同じくしていた。
 桂の体がどんな風に動いても、どんな風に揺れても、美智子の両手は彼女の感じる部分を的確に探り、責め、宥める。
「いっ…………あっ…………」
 “ぴんぴん”に立ち上がった乳首が、汗を吸って肌が透けたTシャツを突き破らんばかりに自己主張し、美智子はその乳首を親指、人差し指、中指の3本の指を使って繊細なタッチと大胆なタッチを巧妙に織り交ぜながら責め立てていった。
 指だけで桂は翻弄され、奈落へと落とされ、高みへと押し上げられる。意識は完全に混濁し、自分が何をしているのか、何処にいるのか、どんな姿でいるのか、どんな顔をしているのか、どうしてこうされているのか、もう何もわからなくなっていた。
 不意に“ひくくっ”と桂のなめらかでやわらかい下腹が痙攣するように波立ち、次いで全身が緊張して突っ張った。
 そしてそれが、唐突に弛緩へと転じる。
 イッてしまったのだ。
 今まで味わった事の無いほど、強烈で、それでいて灼熱な忘我だった。
 魂まで炙られるかと桂は思った。
 それでも、まだ、終わりではないのだ。
 ぐいっと両脚が開かれ、膝裏にソラ先生の両手が宛てられている…………そう認識する前に、立て続けに意識は白濁した。
「……ひいっ……」
 “パパパパッ”と、まるで目前でフラッシュを焚かれたような気さえした。
 “ぐうっ”と喉が鳴る。
 呼吸すら止まっていた。
 美智子の唇と舌と鼻が、桂の股間にあるものを嬲り、弄んでいた。
 それは「クンニリングス」だった。
 唇と舌で行われる“性戯(技)”であり“口淫”であった。
 淫核が、肉厚の大陰唇が、可愛らしい小陰唇が、尿道口や膣口や会陰や肛門までもが、美智子の口淫で絶え間無く責め立てられる。 溢れる蜜液が嘗められ、掬われ、音を立てて啜られた。

ぴちゃっ……ぴちゃっ……ぢゅっ……ぢゅるるっ……

 灼熱の炎で股間を炙られたかのように一気にそこが熱くなり、点った炎はたちまち体の中心を貫いて脳を焼いた。
「あっ! いくっ! いくっ! あっ! やっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
 理性も感情も思考もなにも無い。
 全く自覚の無いまま、言葉が、啼き声が、沸き起こる衝動に乗って桂の唇を割り、迸っていた。
 いや、もし今、桂に自覚があったなら、あまりな恥ずかしさに逃げ出していたかもしれない。
 性器を直接嘗められるというのは事前に知識としてあったし、京香達と見たようなAV(アダルトビデオ)でだって、見たことはある。けれど、まさかをそれを自分が実際にされる事になるなんて、男だった時はもちろん無かったし(男の場合の口淫は「フェラチオ」と言うのだから「クンニリングス」という言葉自体使わないのだけれど)、女になってからもまったくといって良いほど――確かにちらりと考えてしまった事はないこともないのだけれど――無かった。

 女になった今だからわかる。

 女のそこは、ハッキリ言って…………「汚い」のだ。

 襞があるとはいえ、内臓が剥き出しになっているから……なのかもしれないけれど、“そこ”はいつも殺菌作用のあるPH値の高い分泌液で“じくじく”と湿っている。その分泌液の殺菌作用は、中に含まれるグリコーゲンが膣内菌の働きで乳酸に変化したことで起き、健康な状態であれば無臭、または細菌の分解によって出来た乳酸の甘酸っぱい匂いとなる。
 そう言う意味では、膣内での雑菌の繁殖は、疾患を持たない限りは無いと言っていい。

 また、常に膣内を湿らせているその膣内分泌物の“おりもの”は、膣液や膣の上皮細胞から剥がれ落ちたカスなどが混じり合ってつくられている。桂もそうなのだけれど、一般的には生理前にその量は増加し、生理が終ると共に減少を始め、そして排卵期前に再び増加する。
 愛液と呼ばれる、直接的な性刺激によって多量に分泌される液体の大部分が、この膣壁から滲み出る膣液で出来ているけれど、ではその膣液の成分は何か? といえば、それは膣壁の中を網の目のように走る毛細血管から染み出した血液成分(血漿)だ。そしてその中にはタンパク質や糖分などの栄養分もたっぷりと含まれていて、このタンパク質や糖分が膣内で細菌に分解されて「性フェロモン」になると考えられていたりもする。

 つまり“そこ”は、細菌が分解した末に出来る良性の老廃物によって雑菌の繁殖が抑えられている場所……なのだ。
 雑菌の繁殖は、抑えられては、いる。
 だが、普通に考えても、とても「清潔な場所」とは考えにくいではないか。

 それにも増して、思春期の肉体は新陳代謝が活発だ。皮膚表面は絶えず次々と剥がれ落ち、その下では細胞分裂によって新たな皮膚が生まれている。汗もたっぷりとかくし、よく食べよく飲むから出るものも出る。
 宿主が元気ならその体に巣食う細菌類も活発で、分解・発酵を盛んに繰り返す事で、だから、一日経っただけでパンツの下はチーズが発酵したような匂いがこもってしまったりもする。
 そんな、尿道口と肛門という、2つの排泄口に挟まれる形で存在している生殖口が清潔である筈が無く、清潔ではないからこそ自浄作用によって守られているという事実は、桂に「女の股間は汚くて臭い」という冷酷な真実を突きつけ、それ故にその部分は指で触るところまでは許せても、口で愛撫されるなどいう事はとてもとても恥ずかしいやらおぞましいやらで、考えたくも無いことなのだ。
 前に、桑園京香がこう言ったことがある。
「よく、甘酸っぱい青春って言うでしょ? アレって乳酸発酵して酸っぱくなったマン汁(じる)の匂いとか、男子がロッカーに突っ込んだままにしてたりする、汗をたっぷり吸った体操服の匂いとか考えると、ぜったいロマンチックなんかじゃないよね」
 もちろん、頭を一発引っ叩いておいた。

 そんな桂だからこそ、ソラ先生にこうして膝裏を両手で押さえつけられながら、おもいきり剥き出しにされた股間をべろべろとなめたくられている自分の姿を客観的に見るようなことがあれば、きっと顔を真っ青にして挙動不審な動きをした後、引き攣った笑みを浮かべながらダッシュで逃げてしまうだろうことは想像に難くなかった。

 だのに、今は身も世も無く泣きじゃくり、しゃくりあげ、体をくねらせる事しか出来ない。

「いっいくっ! いくぅっ! あっ! あっ!! あぁっ! あっ!!」
 体を突っ張り、捻り、揺する。
 そのたびに体の上でたっぷりと盛り上がったおっぱいが“ゆっさゆっさ”と盛大に揺れた。
「あっ! ああっ! やっ! やだっ! やだぁぁ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
 恥ずかしくてとても出せなかったはずの声が、あとからあとから迸るようにして唇を割り、陽光差し込む薄暗い部屋をいっぱいに満たす。そして桂の『香気』は濃密に香り、彼女が性的にこれ以上無いくらい興奮し快美感に没入している事を示していた。
 汗でしっとりと濡れ、すっかり透けてしまったTシャツと黒のソックスだけの格好というのは、それが“ど真ん中ストライク”な男でなくとも、おそらくとんでもない破壊力を持つ姿に違いない。その上でこの密室に充満した『香気』にあてられれば、たとえ健司がとんでもなく自制心のある禁欲的な男であろうとも、すぐに桂を求めるだろうと思えた。
『それを利用出来る子じゃないから、たぶん教えても苦労しそうだけど』
 つるりとした可愛らしい小陰唇を唇で甘噛みしながら美智子は思う。
 それどころか、もし自分のフェロモンが、男に対して抗い難い強烈な吸引力を秘めていると知ったなら……。
『…………この子には黙っておいた方がいいな』
 桂には、相手どころか自分さえも信じられなくなるような境遇に陥って欲しくはなかった。
 たとえフェロモンによって恋が叶っても、それは「顔がいい」とか「背が高い」とか「声が美しい」とか、そういう生来の資質と同等の、個人に与えられた美徳の一つでしかない……と割り切れればいいのだけれど、おそらく彼女はそうは思わないだろう。
 そして、自分を責める。
 美智子には、それはとてもとても哀しいことだと、そう思えた。
 まだ、桂が自分の資質を最大限に利用しても良心の呵責など感じないような独善的な人間であれば、歴史上、過去に何人も存在した“傾国の美姫”のように一国の頭を誑(たぶら)かし、自分の思うままに操る事も可能かもしれないけれど、桂が“そう”なるためにはまだまだ人間としての人生の経験値が足りないのだ。

 テーブルの上で泣きじゃくりながら体をくねらせる桂の、そのたっぷりと濡れそぼったあそこを指で“くにくに”“ぬるぬる”と弄びながら、美智子は忘我の瞳をさ迷わせる少女の頬に優しいキスをする。
「……あ……あ…………ぁ…………」
 うっとりと目を瞑り、顎を上げながらむずがるように口付けを求める桂は、自分の行為を自覚していない。
『キスは健司にしてもらえ』
 美智子はオヤツがもらえなくて泣き出しそうになっている幼子のような少女の鼻の頭に“ちゅっ”とキスすると、こぼれるような笑みを浮かべながら左手でしっとりと濡れたTシャツを捲り上げる。白くて大きくてやわらかいおっぱいが、“ぶるん”と踊るようにこぼれ落ち、その頂点で硬く尖った「赤」で軌跡を描いた。
 こりこりと硬く屹立した血の赤の果実は、ふるふると揺れて美智子の濡れた唇を誘う。
「ぁひんっ……ひんっ……」
 美智子は蜜蜂が、蜜をたっぷりと含んだ華へと真っ直ぐ降り立つように、右の乳首に突然“ぱくり”と口を被せ、“ちゅううう”と吸い上げながら舌で“くにくに”“れろれろ”と果実を嬲り倒した。
 そうしながら同時に、包皮に包まれたクリトリスを指で“きゅ”と剥き上げ、左右から挟むようにしてしごくのだ。
「やっ……あっ……っ…………」
 “びくんびくん”と桂の全身が弾け、テーブルがギシギシと軋んだ。

 ――もう、何度イッただろう。

 ――もう何度、高みへと押し上げられ、直後に奈落へと突き落とされただろう。

 桂の意識は白濁し、全身を駆け巡る快美感で苦しいほどだった。呼吸が辛く、痙攣するように震える腹筋が、括約筋と連動して愛液を“ぴゅっ”と迸らせる。
 指で膣内を激しく擦り上げてやれば、いわゆる『潮吹き』さえも体験させてやれるかもしれない。
 美智子にそれをするつもりはこれっぽっちも無かったけれど。
 たっぷりと嘗められ、吸われ、しゃぶられた乳首をようやく開放されたと思えば、すぐにいぢわるな指が“きゅんっ”と摘み、“きゅきゅきゅ”と捻って、“くにゅん”とおっぱいの中に埋まってしまうくらい押し込められる。そして、陰唇の襞の間を“にゅるにゅる”と擦られながら、“くにゅっ”と乳首をキツく摘まれ、まるで有閑マダムがメイド長を、呼鈴を鳴らして呼ぶように“ぷるぷる”“ゆさゆさ”と振りたくられては、もう泣いてしまうしか無かった。
「んひっ……」
 桂は強過ぎる刺激に仰け反り、顎を天に向け、引き結んだ唇の端から涎を垂れ落としてしまう。
 けれど、苦悶するかのような眉の形を描き出しながら、唇は堪えきれない快美感に笑みの形を描いていた。
「よっ……と」
 そろそろフィニッシュに移ろうか。
 そう思った美智子は、息も絶え絶えの桂の腰を“ぐいっ”と引き寄せ、“ころん”と彼女を転がした。少女の体を二つに折り、足先がテーブルにつくくらい折り曲げた姿は、アダルトビデオなどでは『まんぐり返し』などという名で呼ばれる体勢だった。
 充血してぱっくりと広がり、そこに隠された何もかもを晒した性器も、ひくひくと呼吸するように収縮を繰り返す可愛らしい肛門も、“たぷたぷ”と揺れながらほんのりと赤く染まったメロンおっぱいも、涙で濡れて陶然とした表情のまま荒い呼吸を繰り返す美少女然とした顔も、全てが一度に眺められる姿だった。
「あぁ……いやっ…………」
 気がついて恥じらい、耳たぶまで真っ赤に染めながら顔を背ける姿は、もう完全に女の子のものだ。彼女の両手が、不安定な体を支えるようにテーブルの端を探し、右手はそれをしっかりと掴む事が出来たけれど、左手はふと触れた美智子の白衣を反射的に“ぎゅっ”と握り締めていた。
「ひいんっ!!」
 “べろっ”と野卑に、美智子の舌が後の蕾から淫核までも一気に嘗め上げた。
 まるで「狂うならば徹底的に狂えばいいのだ」とでも言うかのように。
「ひいっ……いっ……」
 二つ折りにされ、胸を圧迫されて苦しいはずなのに、桂はおっぱいと股間を一度に嬲られながら急速に高みへと駆け上っていっていた。美智子は立ったまま、テーブルに太腿を預けるようになかば前傾した姿勢で『まんぐり返し』な桂の股間に顔を埋めている。その顔が振りたくられ、伸びた舌が横薙ぎに陰唇や陰核を嘗め、転がし、捏ねくりまわしていた。
「ぁあ〜〜〜〜〜〜〜〜ぁ〜〜〜〜〜〜…………」
 引き絞るような啼き声が細く高く上がり、ぽろぽろと涙をこぼしながら首をふりたくる桂の、白くてなめらかな腹が痙攣するようにひくついた。捲り上げられたTシャツで上部が抑えつけられるように大きく盛り上がったメロンおっぱいの上では、赤く鮮やかに充血した乳首が“ぷるぷる”と震えている。
 おでこや首筋、乳肉の谷間や脇には、汗が玉のように浮かび上がり肌を伝い落ちてテーブルに滴っていた。
 美智子は、桂の芳しい『花』に顔を埋めながら、少女の体の半分は涼子の血で出来ていることの不思議を思っていた。もちろん、「血」というのは例えであり、マトリクス・スフィアを始めとする遺伝子情報そのものであり、それは外見的なものの相似でもあった。眉の形や唇の形、それに顔の輪郭の線は、涼子が自ら「デザイン」した彼女の体とよく似ていたし、大きく膨らんだおっぱいの美しい形も、涼子のそれとよく似ていた。対して眼の形や耳の形、爪の形などは、善二郎の母に良く似ている。善二郎に似ているところと言えば、おでこから鼻に至る線や、ちょっとした仕草、髪の色とか毛質などだろうか。
 その、『星人』内でも特別な種族である涼子の遺伝子と、「混じり」の子孫であり地球人の形質をバランス良く持ち合わせた善二郎との、奇跡のような存在である少女を、今、こうして自分が愛し、貪り、与えている不思議。
 自分にとっても息子であり娘である子の、その可愛らしい性器を嘗めしゃぶっている不思議。
 それを強く感じずにはいられない美智子だった。
「ああ〜〜〜〜っ! あっ! あっ! あっ! だっだめっ! あっ! だめっ! だっ……あっ……」
 不意に、桂が泣きじゃくりながら股間にある美智子の頭を力無く押しやろうとしはじめた。
「おしっ…………でちゃう…………からっ……あっ! やだっ! やだやだやだやだやだぁ!!」

ぷしっ!

 迸ったのは、ほんの少しの量だっただろう。
 すぐに美智子の口が覆い被さり、桂の股間から迸ったものを受け止めた。
「……ぁ〜〜…………やだぁ…………きたな…………きたないよぉ…………」
 両手で顔を覆い、肩を震わせながらしゃくりあげる桂をよそに、美智子の喉が“ごくりごくり”と口内に溜まったものを、音を立てて嚥下(えんか)した。
 強過ぎる刺激に弛緩してしまった尿道から、とうとう尿が漏れてしまったのだった。
 それを、美智子は全て飲んだ。
「尿は無菌だからな。汚くない。それに、ここでこぼすわけにはいかんだろうが」
 それが桂の尿を飲んだ理由なのだとしても、実際に実行してしまえる人間はいないだろう。
 けれど、「汚い」とは思わなかったのは本当だった。
 地球人の「味覚」を楽しむ事を覚えた美智子ではあったけれど、今でも味覚情報を末端神経で遮断することは造作もない。それでも、桂と言う愛しい存在の出したものであれば、それが何であれ汚いとは思えす、そのまま舌で受けた味覚情報を受けてしまった。
 塩辛く、強烈なほどのアンモニア臭で喉がえぐかないわけでは、決して無かったけれど。
「……ソラせんせぇ…………へんたい…………」
「ダレがヘンタイだコラ」
「んにゅぁっ」
 “きゅんっ”と乳首を摘んで、“きゅうう”と引っ張った。
 重たいおっぱいが釣鐘状に形を変え、痛みと快感の入り混じった感覚に桂が身を捩る。
「のびちゃ……う……うっ……」
「乳首ピンピンに立たせてションベン漏らしといてナマイキなんだよ」
「……おしっこ……」
「ん?」
「ションベンっていったら……ダメだって……由香が……」
「私はいいんだよ」
「ひんっ……」
 親指と中指で乳首を引っ張ったまま、人差し指で“くりくりくり”と転がすと、桂は顔を真っ赤にしたまま、
「せんせ…………いぢわる……」
 “ぽちょぽちょ”と呟いた。
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