■感想など■

2009年09月24日

エピローグ「それは舞い散る光のように」

 満天にひろがる青空は、ゆったりと流れる雲と共にどこまでも広かった。

 12月。

 季節はすっかり冬だったけれど、天気はすこぶる良く、風は冷たいけれど決して強くは無かった。
 そのため、冬の冷たい空気が制服の中に忍び込んでくる事も無い。
 ただ、朝の空気は痛いくらいにピンとした冷気に張り詰めている。
 昼近くになれば温められた空気で、少しは暖かくなるかもしれないけれど、少年はこんな尖った空気も決して嫌いではなかった。
 少年が通っている地元公立高校の始業時間には、まだたっぷりと余裕がある。ゆるやかな下りの坂道になっている通学路には、同じ方向に向かう制服姿の学生達が大勢いた。
 男子は詰襟の黒の平凡な学ラン、女子は紺を基調にしたブレザーだ。
 昨今の少子化に伴い、生徒を集める目的か何かは知らないが、その女子のブレザーは数年前になんとかという聞いたことの無いデザイナーにデザインさせたものだった。
 まだ、先を急いで走っている生徒は一人もいない。
 一般道から少し奥にある裏道のためか、車も、学校関係者以外にはほとんど通らず、ほとんどの生徒が、結構道一杯にまで広がって歩いていた。
「なんだかもう……今年もあと半月なんだねぇ……」
 少年の隣を歩く小柄な少女が、白い吐息を怪獣のように吐きながらポツリと言った。
「息もこんなに白くなっちゃった」
「もう15日だもんね。年を明けたら、すぐに俺達、3年生だよ」
「最上級生かぁ…………あ〜あ、一緒に3年生になりたかったなぁ……」
「……そうだね」
 少女の無邪気な言葉に、少年は前を見たまま口元を少しだけゆるめた。
 ようやく、一時の状態から脱して、少女は以前のような表情を出来るようになっていた。
 “あの時”からしばらく、彼女は一言も口を開かない日が何日も何週間も続いたのだ。
 自分だって、そうだ。
 あの少年が死んだと聞いた時、自分の人生の全てが無意味に思えてしまった。
 彼が死んで、自分がまだ生きている事が信じられなかった。
 自分もこの少女も、本当にあの少年といることが普通で、それ以外の生活など考えられなくなっていたのだ。
 それが、無くなった。
 喪失(うしな)ってしまった。
 永遠に。
 では、こうして普通に学校に通って日常を送っている今は?
 もう全て、癒えたのだろうか?

 いや、きっとそうではない。

 ――忘れられるわけはないのだから。

「………………でも、ある日ひょっこり帰ってきたりしてね」
「…………はは。そうだよね。けーちゃんなら有り得るかもしんないよね」
「そうだよ。急にいなくなっちゃうなんて、反則だよ」
「反則だよねぇ……」
「なんで……」
 少女は何か言いかけて、急に口を噤(つぐ)んだ。
 アスファルトを睨み付け、両手で持ったカバンとサブバッグを脚で交互に蹴っている。
 少年は、噛み締める少女の小さな唇を見ない振りをして、空を仰いだ。
『けーちゃん……見える? 俺達、元気だよ?』
 少年は幼馴染の顔を思い浮かべて、小さく息を吐いた。
 白い吐息は、張り詰めた朝の空気の中で、まるで今の少年の心のように頼りなげに揺れた。

 彼の幼馴染みの少年――山中圭介――が目の前からいなくなったのは、忘れもしない5月29日の事だった。
 朝、いつものように幼馴染みの3人で登校した後、圭介は突然、原因不明の高熱を出して保健室に直行した。
 意識の混濁と記憶の混乱。
 そして昏睡。
 その後、彼が授業を受けている間に、どういうわけか圭介は東京の病院に搬送が決まり、2時間目を迎える前に学校から救急車でヘリポートのある救急病院へと運ばれていったのだ。
 そして。
「だって……見てないもんね。私達、けーちゃんの…………見てないもんね」
「……うん……そうだね」
 そうだ。
 少年――谷口健司は胸の中で改めて同意する。
 そうだ。
 信じる必要など、無い。
 彼とこの少女――川野辺由香は、あの少年の“最後”を見ていないのだ。

 圭介を乗せたヘリコプターは、東京の病院に運ばれる途中でローターから出火し、爆発炎上して空中分解した上、そのまま搬送途中の山間部に墜落してしまった。
 救助も捜査も、何もかもが手遅れだった。
 パイロットも救急隊員も圭介も。
 総勢6人の中に生存者は一人もいなくて、遺体は損傷が激しかった。
 特に少年の体は、燃え残っていた少年の靴下に、かろうじて残された消しゴムのかけらみたいな指の一部しか、見つからなかった。
 まるで漫画か映画のような、冗談のような本当の話だ。
 仕事先から駆け付けて同乗した少年の母、女優の「高原照子」……本名、山中涼子もその際に死亡し、かろうじて見つかった左腕だけが、麓の村ですぐに荼毘にふされた。
 一時はマスコミが騒いだものだ。
 テロの標的になっただの、ライバルプロダクションの陰謀だの、闇のシンジケートと繋がりがあっただの、果ては国家陰謀説まで持ち出すに至っては、さすがのお祭り好きの日本人といえども食傷気味になり、最近では人の噂に残るのみで、テレビや新聞、週刊誌などではもう別の獲物を見つけてさっそく哀れな被害者をよってたかって貪っている。
 いずれ、人の噂にも上らなくなるだろう。
「ねえ健司くん……」
「ん……? ……」
 急にたちこめた雲間から、細く眩しく射し込む朝日に目を細めながら、さらさらのショートカットを寒風に揺らして、由香は小さく息を吐くように言った。
「私って、駄目だね」
 「どうして?」と彼は聞かなかった。
 なぜならそれは、何度も繰り返されたお決まりの会話だったからだ。
「忘れたりなんか……出来ないもん。けーちゃんのこと、ずっとずっとずっと……好きだったんだもん」
「……うん……そうだね」
 声が少し湿っているように聞こえたけれど、健司は気付かないふりをした。

         §         §         §

 二人が学校へと続く道の途中にある橋に通りかかった時、向こう岸の土手に黒い車が停まっているのが見えた。黒塗りで、要人とか会社社長とか重役とかどこかのヤバげな商売の人達が好んで乗るような、そんなやたらと高そうな車だった。
 さして幅があるわけではない川だったけれど、数年前の、自然回帰運動によって施工された護岸工事と共に土手上の道路は綺麗に舗装整備されていた。とはいえ、こんな田舎の町の田舎の川の土手に停まっているような車ではないのは確かだった。
 今にも雨が降りそうで歩みを速めた二人の視線は、自然とその車へと注がれる。
 橋の中ほどまで来た時、その車の運転席から男性が降り、後部座席のドアを開けた。そこから、長袖の白いワンピースを着た女性が風になびくロングヘアを押さえながら降りてくるのが見える。女性は運転手らしい男性と何事かを話すと、寒風に身を晒して深呼吸した。
 どこかの社長令嬢とか、そういう「お嬢様」の気分が悪くなって、風通しの良い土手に車を停めた……。
 そんな感じがする。
「わ……綺麗な人……」
 由香が口元に右手をあて、息を呑む。
 確かに、目の覚めるような美人だった。
 手入れが大変そうな、腰まである艶やかな黒髪。ワンピースを“これでもか”と押し上げる、たっぷりと豊かな胸と、女らしく豊かに張った腰。ほんのりと赤らんだ頬とぷっくりとした唇が、切れ長の涼やかな目元が、やもするとクールな印象を与えそうなところを優しいものへと変えていた。
 仕草もどこか、可愛らしさを感じさせる。
 彼女は、お腹を大事そうに両手で包むようにしていた。
 そういえば、少しボディラインに丸みがあるようにも見える。
 お腹に赤ちゃんでもいるのだろうか?
『じゃあ、あのおっぱいももっと大きくなるのかな?』
 そして、赤ちゃんがいるということは、この綺麗な人は男の人とあんなことやこんなことを……。
 つい、思春期の高校生男子としては当たり前な想像までしてしまい、健司は一人、顔を赤くした。
 けれど、顔を赤くしながらも女性のたっぷりとした大きな胸から視線を外せないのは、さすが『おっぱい星人』とまで言われる巨乳好きと言えた。
『あ……』
 ふと健司は、見つめる彼女の胸元に、光るものを見つけた。
『ネックレス……?』
 女性との距離は、5メートルほどだろうか?
 いつの間にか二人は、女性に目を奪われたまま橋を渡り切ろうとしていたのだ。
 ネックレスは、頼りないくらい細いチェーンで繋がれた2つの小さなリングだった。

 恋人から贈られたものだろうか?

 それとも、夫から?

 その女性は、少年が胸元を注視していることに気付いて右手でネックレスをちょっと押さえてみせる。
 はっとして女性の顔を見れば、彼女はどこか哀しげな瞳で彼を見つめ、そして少年の隣の少女を見て、にこっと笑った。
 思わず二人は会釈し、そしてそのまま通り過ぎる。
 少しして振り返ってみると、あの女性はまだこちらを見ていた。
 彼女の頬に光るものが見えたのは、果たして目の錯覚だったろうか?
「知り合い?」
「え? ……由香ちゃんじゃないの?」
「ううん」
「じゃあ……」
 再び振り返ると、女性は黒塗りの車に乗り、去って行くところだった。
 晴れていた空には厚い雲がたちこめ、今にも雨が降り出しそうだったから、きっと体が冷える前に目的地に向かうのだろう。

 でも。

 と、健司は思う。
 気のせいだったのだろうか?
 いつかどこかで出会ったような気がしたけれど、自分にはあんなに綺麗な人の知り合いなんていない。
 まったく知らない、見たことも会ったこともない女性だった。
 だいたい、あんなに綺麗であんなに胸が大きい人だったら、一度見たら忘れそうにないのだ。
「なんか、ものすごい美人だったね」
 彼はどこか夢見るように呟いた。
 彼女を抱いた相手の男……恋人か夫に、軽い嫉妬を感じてしまう。
 いったい、どんな男が相手なら、あの美しい女性は体を許すのだろう?
 そう思って、健司は軽く溜息を吐いた。
 きっと自分なんか比べ物にならないくらい、素敵で優しくて頼り甲斐があって、おまけにお金持ちに違いない。
「ちょっと、けーちゃんのお母さんみたいだったね」
「あ……うん。でも……なんか………………」
 ああ、そうだ。
 あの女性は、幼馴染みで兄貴で親友で、そして自分の目標だったあの少年に面影がどこか似ているのだ。
 忘れえぬ、山中圭介という少年に……。
 でも、記憶の中の圭介は、男だ。

 それに、もうこの世にはいない。

「どうしてるかな? おじさん……」
 愛する息子と妻を一度に亡くした圭介の父は、遺体の一部しか入っていないお棺で簡単な葬式を済ませた後、思い出の残るこの地に留まることがよほど苦痛だったのか、式が終わったその日にすぐ引っ越してしまい、それ以来ぱったりと音信が無い。

 何もかもが、夢だったような気分だ。

 圭介とは小学三年生の時に出会って、それからずっと一緒に生きてきた。
 このままずっと一緒に生きていくものだと、当然のように思っていたのだ。
 こんなに突然、何もかもが終わってしまうなんて、つい半年前には思いもしなかったというのに……。
 隣を歩く、小柄な少女をちらりと見る。
 この少女とも、ある日突然別れが来たりするのだろうか?
「でも、どうして急に東京の大学やめたの?」
「……突然だね」
「うん。今、思い出したから」
 思った事はすぐに口にしてしまうこの少女に、突然の別れなどは、よほどの事が無い限り無さそうだった。
「ん……なんか、ね。俺はここで何かしなくちゃいけない気がしたんだ」
「三者面談……揉めたでしょぉ?」
「まあね……でも、俺の人生だから」
「俺の人生……ね」
 由香はまっすぐ前を向いたまま、小さく“くすっ”と笑った。
「どうかした?」
「ううん。でも、健司くん、前までそんな事口にするような人じゃなかったでしょ?」
「そうかな?」
「そうだよ。なにかあった?」
「別に……なにも……」
 口篭った健司の目の前を、空から白いものが舞い降りた。
「あ、雪……」
「ほんとだ……」
 あっという間に雪は降る量を増し、頭にも顔にも肩にも降り積もる。
「……珍しいね……12月に降るなんて……」
 由香はそう言うと、隣を歩く背の高い幼馴染みを見上げ……ようとして息を呑んだ。
 彼がいつしか立ち止まり、無表情に、まるで彫像のように降りしきる雪を見上げていることに気付いたのだ。
「健司くん?」
 少年の瞳は、ただ空を見上げている。
 その瞳はどこか切なくて……哀しくて。
 だから、由香は聞かなかった。
 聞きたかったけれど、聞かなかった。
 聞いてはいけないような気がしたから。

「どうして泣いてるの?」

 その一言が、どうしても言えなかった。




 ――自分でもどうしてなのかわからない。


 少年は学生服の胸元を右手で“ぎゅっ”と掴み、ただ空を見上げていた。
 苦しい。
 息が止まるくらい、胸が苦しい。
 降りしきる雪が、花びらのようにも、光の粒のようにも見えて。

 ああ。
 そして。

 どこからか、聞こえる声。
 胸に甦る、どこかで聞いた事のあるような“こえ”。


   「…………あなたのこと…………ずっと、愛してるから……」


 それは、いったいどこで耳にしたのだろう。
 ただ、涙が止まらなかった。

 けれど、ただ一つだけわかっていることがある。
 きっと季節が巡るたび、自分は涙するのだろう。

 この雪が舞うたびに。
 この町のこの空の下で。


 どこかで出会っていたかもしれない、



 ――――誰かのために。



         −おわり−
この記事へのコメント
はじめまして。
某掲示板への連載の頃から読ませて頂いていましたが、またまとまった形で読めないだろうかと長らく思っていたところ、こちらで再度の掲載が始まり、ここしばらくは毎晩の更新を楽しみにしていました。
けーちゃんの心と体を中心としたTSものとして、また、健司と由香も含めた恋愛ものとしても忘れがたく、なにかにつけて読み返させて頂くことになるのではないかと思います。

再連載お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

ファンとしては、勝手ながら、新作や、この「ボクたちの選択」同様に以前の作品が復活して読めるようになったりすることを期待しています。
Posted by at 2009年09月24日 01:36
過分な御言葉、ありがとうございます。圭介と健司と由香を愛して下さり、とても嬉しく思います。
もっと読みやすい形を模索しています。ブログ形式では限界がありますが……。
以前の作品や新作なども、順次公開していこうとは思っています。様々なPN(HN)で書いていたものを、ここで毎日少しづつでも露出出来たらいいな、と思います。
御期待下されば幸いです。
よろしくお願いします。
Posted by 推力 at 2009年09月25日 02:54
読ませていただきました。
大変素晴らしい作品でした。今思えばはじめてこの作品を読ませていただいたのは少年少女文庫での紹介だった気がします。その時は途中までしかなかったので残念でした。
しかし前日ついにこのサイトにたどり着き、またこの作品に出会えたことに深い感慨を感じました。最初に読んだ時は無茶ぶりの設定にぎりぎり食らいつきながらも次第にめり込んでしまいました。文中の描写で度々切なくなったり、目頭にわずかながらもじんときたこともあります。これほど心を揺さぶられるとは思いませんでした。
ワナビー(作家志望)である身としては舌を巻く思いでいっぱいです。
最終章には物足らなく感じますが、これは作者様の決めた区切り、結末です。作者様が納得しているのならこれがベストな終わりなのでしょう。それでも名残惜しいですね。まあ桂たちのこれからは私自身の胸中で想像させていただきましょう。
長々と申し訳ありません。
この作品を読ませていただき、誠にありがとうございます。
Posted by アンディ at 2011年10月15日 21:43
>アンディさん
 お読み下さってありがとうございます。
 TS(男の子が女の子になる架空作品限定)は昔から好きですが、自分の手で物語を生み出そうと思って書き綴ったのは『ボク選』が最初だった気がします。そのため情熱ばかりが先走り、とにかく文章量で押し切った感がありますね。ざっとしたあらすじとラストシーンだけ決めて、某巨大掲示板にほぼぶっつけ書き下ろし(リアルタイムではなく、ある程度書き溜めたら)で投稿していったために余計な描写とかてんこもりで読みにくいったらないですよね(笑)。

>しかし前日ついにこのサイトにたどり着き、またこの作品に出会えたことに深い感慨を感じました。

 先日「萌駅」さんに登録申し込みした以外は、特にポータル系に登録もしていないので探せなかった方も多数いらしたようですね。

>最初に読んだ時は無茶ぶりの設定にぎりぎり食らいつきながらも次第にめり込んでしまいました。文中の描写で度々切なくなったり、目頭にわずかながらもじんときたこともあります。これほど心を揺さぶられるとは思いませんでした。

 無茶ぶりの設定(笑)。
 TSはその設定自体が無茶なので、むしろ荒唐無稽にした方が面白いと思ってましたし、また今も思ってます。
 ガジェットとしての設定はTS物語を成立させるまでは重要ですが、後はむしろ人物の心情描写とかに腐心しています。
 なので、読んだ人の感情を揺り動かす事が出来たと思うだけで幸せです。
Posted by 推力 at 2011年10月19日 02:19
つづき。

>ワナビー(作家志望)である身としては舌を巻く思いでいっぱいです。

 本質が伴っているかどうかは別として、私も好きで書いてるだけで作家かどうか、作家として見られているかどうかは二の次です。要は「物語を生みたい」「その物語で人の感情を動かしたい」というのが重要で……。まずは書いてみることですよね。

>最終章には物足らなく感じますが、これは作者様の決めた区切り、結末です。作者様が納得しているのならこれがベストな終わりなのでしょう。それでも名残惜しいですね。まあ桂たちのこれからは私自身の胸中で想像させていただきましょう。

 あの当時はこれがベストで、この結末のために頑張って最後まで書いた感があります。目指したのは『Gu-Guガンモ』の最終回の、あの切なさであり寂しさであり、向け所のわからない悲しさであり、そして一抹の希望でした。

 おそらくもう、『ボク選』を超える作品は書けないような気がします。
Posted by 推力 at 2011年10月19日 02:21
某サイトから流れて来ました。

世にTSを扱った官能小説は数多いですが、その殆どがなし崩し的に濡れ場に突入することが多いのに対し、こんなにもヒロインの感情を丁寧に描写した作品は、他にはないのではないかと思います。
おかげで桂、健司、由香の3人が大好きになりましたし、物語にどんどん引き込まれていきました。

だからこそ終盤の展開には思うところがあるのも事実でして・・・
失礼を承知で申し上げますと、桂にとっての最大の障害は、星人による生体上の欠陥ではなく、周囲の無理解や健司に対する迫害、差別であるべきだと思いましたし、それへの対抗策も、星人のテクノロジーやバイオロジーではなく、3人の愛情や桂の成長であってほしかった。何よりこの3人に幸せになってほしかったと切に思いました。

もちろん、これは一読者の勝手な希望であることは言うまでもありません。
良い作品を読ませていただき、本当にありがとうございました。
Posted by smython at 2012年12月31日 13:42
>smython さん

 長らく返事もせずに放置状態でした。
 もう御覧になっていないかもしれませんが。

 過分な御言葉、ありがとうございます。
 「なし崩し的に濡れ場に突入」する物語も嫌いではないのですが、「ボク選」では感情描写に最も注力した覚えがあります。
 男だった主人公が女になって、戸惑いの中から本当の自分を見つけ、男とは、女とは、そもそも人であるということはどういうことか、自分の胸の内に生まれた感情は何のか、それらを見詰めながら生きていく。
 それらを真正面から書けた(と思う)のは、きっとTSに傾倒した初期の作品だったからというのもあるでしょう。
 ともあれ、桂、健司、由香の三人を好きになって頂けて、とても嬉しく思います。思い入れのある子達なので、感慨もひとしおです。

>だからこそ終盤の展開には思うところがあるのも事実でして・・・
>失礼を承知で申し上げますと、桂にとっての最大の障害は、星人による生体上の欠陥ではなく、周囲の無理解や健司に対する迫害、差別であるべきだと思いましたし、それへの対抗策も、星人のテクノロジーやバイオロジーではなく、3人の愛情や桂の成長であってほしかった。何よりこの3人に幸せになってほしかったと切に思いました。

 この辺りは……うーん……はい……うん……そうですねぇ……。
 この時の自分に聞いてみたい気もしますが、どうして「そうしたのか」「そうしなかったのか」は、今となってはちょっと整理出来ないです。
 いずれこの作品を改訂し、整理して再発表したいとは思いますが、その際にはカットする部分も多々あるでしょうし、そうなるとこの時に入れ込めた「熱」がスッポリと抜け落ちてしまう気もしています。
 この時に書けたこの作品は、これで全てとして手を加えない方がいいとも感じるので、その辺りはまた自分の中で決着つけてからになるでしょう。
Posted by 推力 at 2013年04月06日 11:33
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/32282335

この記事へのトラックバック

★足跡代わりにポチッとしてってくださいな★