■感想など■

2009年09月27日

「隙間から」〜ゆめうつつであそぶ〜

■■【3】■■
 美樹は、腰の上、尻の割れ目のやや上辺りに“さわっ”と触れるものを感じて、夢現の中で身を硬くした。
『…やだ…痴漢?』
 その美貌と、いくら地味な服を着ようが隠し切れない豊満な肉体を持つ彼女は、痴漢に会うのはこれが初めてではない。
 そして、美樹は男に触れられることに恐怖を感じるほど、潔癖でも無かった。
『……気のせい…?…』
 電車の揺れに手が触れた。
 カバンが触れた。
 それどころか、ただ体が触れただけ。
 痴漢以外に身体に感じる感覚など、それこそ満員電車に乗れば日常的なものだ。
『……じゃない…か…』
 美樹は、再び右のお尻の頬肉辺りを“さわさわ”と撫でるような感覚に溜息を付いた。
 そして素早く左手を後にまわす。
 前に彼女を痴漢した男は、手首を捻り上げると、すかさず近くのガッシリとして真面目そうな男性に引き渡してやった。
 コソコソと女性の身体を撫で回す男など、いっそ死んでしまえばいいのだ。
『あれ?』
 だが、後に回した彼女の手は、何も掴む事無く空を切った。
 それどころか…
「…す、すみませんっ…」
 彼女に背中を向けていた中年男性のお尻辺りを、他でもない、自分が“さわさわ”と触ってしまったのだった。
『この人…じゃない…わよね…』
 バッグからケータイを取り出すポーズをした美樹に、男性は不審そうに眉を寄せ、再び文庫本に視線を落とした。
 彼女は男性に頭を下げると、着信を調べる振りをしながら再びドアに身を寄せた。
『じゃあ…これ…なに…?…』
 ケータイをバックに入れ、その際に身を捩って腰辺りを見た。

 今も、自分の腰を触れる者がいる。

 そしてその感覚は、少しずつお尻の谷間の方へと下がり始めていた。
『…そんな…誰も…』
 いや。
 違う。
 あやふやだった感覚が、段々と鮮明になってきていた。
 腰を、お尻を撫でているモノは、スカートの上から撫でているのではなかった。
 “それ”は、下着の中を動き回っているのだった。
『うそっ!?』
 一瞬頭に浮かんだのは、何かの理由で「虫」が入り込んでしまったのではないか?というだった。
 だが、その考えはすぐに吹き飛んだ。
 なぜなら“それ”が、“つうっ”とお尻の谷間を滑り降り、後の穴を突付いたからだ。
「きゃっ!?」
 思わず悲鳴を上げ、そして咄嗟に口を押さえて周囲を慌てて見回すが、彼女の周りの人々には怪訝そうな顔をされるだけだった。
 俺は何もしていないと、吊革にかけた両手を見る男、背中越しに美樹を見る中年の女性、両手にバッグを抱えた20代くらいの女性…誰も、美樹の行動を訝しげに…そして少々疎ましげに見ていた。
 美樹は再び誰にとも無く頭を下げ、ドアに額を押し付けて“それ”が突付いているお尻の穴を思い切り締めた。
 明らかに“それ”は彼女のお尻の穴に“侵入”しようとしていたからだ。
 何度も執拗に穴を突付き、皺の一本一本を確かめるように周辺を撫でる。
 その刺激は、彼女の圧し込めたモノを身体の奥深くからそろそろと引き出そうとしているかのようだった。
『…なに…なにこれ…??』
 最初に想像したのは、いつか見た、蛸に絡み付かれている女性の描かれた浮世絵だった。
 肛門を突付き、撫でている“モノ”は、お尻の谷間に挟まるようにして横たわっていたからだ。
 けれど、タコのような吸盤は無い。
 表面はむしろ“つるり”としていた。
 次に浮かんだのは、クラゲの触手だった。ブヨブヨとしてぬるぬるとしている、半透明のアレだ。
 そして、イソギンチャクの触手、ナメクジ、ミミズ…色々な“長くて”“やわらかくて”“うねうねとする”ものが頭に浮かんで、そのたびに彼女を“ゾッ”とさせ慄(おのの)かせた。
『あ…うそっ…』
 そうこうするうちに、“ソレ”は肛門への侵入を諦めたのか、“するり”と身を捩って、もっと奥へ奥へと、閉じられながらもしっとりと潤んだ陰唇の間に頭を潜り込ませた。
 膣口は締める事が出来ても、陰唇は随意で閉じる事は出来ない。
 まるでそれを知っているかのように、“ソレ”は陰唇の“中”を“にゅるにゅる”と前後した。
「…ぁっ……!!」
 思わず声が上がり、美樹は“ぎゅっ”と瞑った目を薄く開ける。
 恐る恐る周囲を伺うと、彼女の様子に気付いた者は誰もいなかった。
 びくっ…と身体が震えた。
 “ソレ”がとうとう、女性の大切な部分への侵入口を探り当てたのだった。
「…っ…!…!っ……!!…」
 目を瞑り、唇を引き結んで、美樹は膝近くまである“長い”スカートの中で太腿を擦り合わせた。
 こんなことで“ソレ”の侵入を拒めるとは思えなかったが、そうせずにはいられなかった。

 “正体不明の何か”が、身体の胎内(なか)に入ってくる。

 それは恐怖だった。
 恐怖のはずだった。

 なのに。

『…うそ…こんな…』
 セーターの中、胸にぶら下がる日本人離れした二つのでかい乳が、重く重く張り詰めている。先端の桜色の尖りに熱い血液が集まり、今まで無いくらい硬く勃起してじんじんと疼いていた。
 認めたくない事ではあったが、認めないわけにはいかなかった。

 ――欲情している。

 下着はもうぐっしょりと濡れ、『蜜』はストッキングにまで染み出している始末だ。
 美樹は、自分は『蜜』――愛液は多い方だと思っている。
 そしてそれは事実だった。
 じくじくとたっぷり愛液を吸った下着が、いやに重く感じられる。
 生理前か生理中であれば、おりものシートやナプキンで吸収し、ストッキングまで染み出すのは防げたかもしれなかった。
 こんな時だというのに、そんな事さえ思った。
「〜〜〜〜〜!〜〜」
 不意に“にゅるんっ”と、“ソレ”が何センチか“奥”へと潜り込んだ。
 ナプキン派の美樹にとって、指でもバイブでもローターでも男のアレでもないものをあそこに入れるのは、本当に初めてのことだった。
『…は…入って…くる…ぅ…』
 彼女は、もうずっと長いこと「男」を身体に迎い入れていない。
 最後にシタのは、いつだっただろう?
 高校時代に付き合っていたケンジは、ヴァージンまで捧げたのに他に女が出来るとあっさりと美樹を棄てた。
 彼に言わせると自分は「重い」のだという。
 いくら美人でも、美味しそうな体をしていても、ただ付き合うだけの女に全てを拘束されたくはないのだ、と。
 その後、大学時代に3人の男性に抱かれたけれど、全て半年も持たなかった。
 なぜなら、彼女は身体を許した男に全てを与え、全てを要求してしまうから。
 男の目が、腕が、愛が、自分だけに向いていないと悲しくて悲しくて死んでしまいそうになるから。
 だから、自分を抱く男には他の女を見て欲しくなかった。
 触れて欲しくなかった。
 親しげに話しても欲しくなかった。
 貞淑な母から与えられた貞操観念は、奔放な性を無意識に拒むよう美樹を育て上げてしまった。
 早熟に発達した身体に満ちる性欲を、彼女は自由に開放することなく歳を重ねてしまったのだ。
 唯一彼女が自分に許したのは、“本当に実行出来るはずもないからこそ、自由に羽を伸ばす事の出来る淫猥な夢想”だけだった。
 性欲は強い方だと思う。
 かといって男性経験が豊富だというわけではなく、男好きのする美貌と身体を持ちながらこの年齢で4人は、むしろ少ない方に入るだろう。
 決して相手がいなかったわけではない。
 声を掛けてくれる男性は星の数ほどいた。
 ただ、チャンスがなかったのだ。
 そして教師になってからは、ますます性を開放する機会は失われていった。
「…っ…」
 ドア横の手摺りを抱き、それに乳房を擦り付けるようにして、美樹は勃起した乳首を宥(なだ)めた。
『…ぁあ…うそっ…うそっ……』
 “ぬるる…”と、愛液に満ちた膣内を“ソレ”が遡ってくる。
 じりじりと単細胞生物が這い進むようにゆっくりと膣内を進み、子宮へと至ろうとしている。
 子宮に進み“ソレ”は何をしようというのか。
 一瞬、子袋の中にナメクジのようなぬらぬらとした軟体生物がみっちりと詰まった情景を想像してしまった。

 ――ゾッとした。

 …が、ゾッとしながらもますます熱く火照り始めた躰は、一向に静まる気配を見せなかった。
 むしろ得体の知れない“モノ”に着衣のまま、他にも人がいる満員電車の中で“犯されている”という事への、わけのわからない興奮が全身を貫いていた。
 そして…
『あっ!…あぁあぁぁあああっぁあ〜〜〜〜〜…』
 膣内で、“ソレ”がいきなり“むくむく”とその体積を増していった。
『…うそっ…うそっ…』
 狭い膣壁を押し広げ、みっちりと詰まり、やがて“ソレ”の体積の増加は、男性の男根と同じか、それよりやや太くなって止まった。ツチノコのように、またはさながらアプリケーターを外したタンポンのように、“ソレ”は膣内でいっぱいまで太くなり、膣口から外に出ている部分は細いままのようだった。
 括約筋でぐるりと囲まれた膣口から一旦中へと入れば、膣内は柔軟性に富み、より太いものを許容する事が出来る。
 それでも、内臓に異物が入り込んだ事によるその圧迫感は、美樹の腹腔を押し上げて彼女を少し苦しくさせた。
『…動いてる…』
 女性の膣壁は、男性が考えるよりも遥かに感覚が鈍く、圧迫感や痛覚は感じてもそれ以外の感覚に対しては鈍感とさえ言える。ましてや温度の変化には特に鈍く、膣内射精されても精液の温かさなど、とても感じられるものではない。快感を感じる神経は膣口周辺に密集し、膣内で射精されたかどうかは膣口を押し広げる男根の射精時の脈動や射精後の収縮でしか知る事が出来ないのが実情だった。
 美樹は涙の潤んだ瞳で周囲に視線を走らせ、自分が必要以上に目立っていない事を何度も確かめると、何でもないように背筋を伸ばして顔を上げた。
 だが、実際はそうしながらも、あそこはとろとろにとろけ、頭の中は胎内で“ぐにぐに”と動いている“ソレ”の事でいっぱいになっていた。
 もう、何も考えられない。
 “ソレ”の事しか、考えられない。
 細かい形はわからないけれど、“ソレ”は男根よりも太く、長く、おそらく子宮の入り口近くまで伸びているのだろう。
 圧迫感で痛みを感じても良さそうなものなのに、それどころかじわじわと何かが染み込んでくるように膣内が熱を持ち、そこからたとえようもない快感が脊髄を這い登ってくる。
「…っ…」
 膝がガクガクと笑い、ちょっとでも気を抜くとあっという間に腰が砕けそうだった。
 “ぞくぞくぞくっ”と腰骨から脇腹へ、骨盤から恥骨へと、泣きたくなるような切ない疼きが走り抜ける。
 それは、今まで抱かれた、どんな男にも与えられた事の無い感覚だった。
「―っ…」
 やがて膣内で、ミミズや芋虫がそうするような蠕動運動が行われはじめると、美樹は“ソレ”が単なる“つるり”とした棒状のモノではなく、洗濯機の排水チューブのような蛇腹状の表面であることを知覚した。
 彼女は無意識に“きゅっ…きゅっ…きゅっ…”と肛門を締め、膣口をいっぱいに広げている“ソレ”の存在を確かめた。
 バイブよりもやわらかく、男根のようにあたたかく、そして動きは指のように繊細だった。
 “こりこり”とした筋肉で覆われた膣壁を丁寧にこそぎ取るようにして非常にゆっくり動く“ソレ”は、膣口から数センチの間隔を上下し、充血した小陰唇を擦り、膣口近くの襞を引き込み、めくり、たっぷりと染み出した『蜜』を外へと掻き出している。
 そしてとうとう、それ以上下着に吸収される事のなくなった『蜜』が、ストッキングを“じゅくじゅく”と濡らし“つうっ…”と太腿へと垂れた。
 その強烈な…それでいて決して激しくはないもどかしいほど優しい刺激に、美樹はドア横の取っ手に掴まり“ぶるるっ”と身を震わせた。
「…だめっ…」
 吐息混じりの熱い艶声が、ガラスを白く曇らせる。
 ダウンジャケットの下のクリーム色のセーターの中で、重たく、熱く、大きく、質量を増した豊かな乳が弾み、硬く尖った乳首はジンジンと疼いて、ブラの裏地に擦れるだけで気が狂いそうになるほどの快感を脳へと送り込んでくる。
 今すぐブラを外し、充血した乳首を自らの指で捏ね、摘み、捻りたいと熱望してしまう。
 美樹の薄く開かれた両目からは、潤んで溜まった涙が今にも零れ落ちそうだった。
 傍から見れば、まるで男に振られた女が、愛しい日々を思い出して泣いているようにさえ見える。
 けれど先ほどの事もあって「変な女」という認識を与えた彼女に、いくら美人だといっても声を掛けようとする人はいなかった。
 そもそも、どこの誰が想像出来ようか。
 満員電車の中で得体の知れないモノに犯され、膣内を蹂躙され、息も絶え絶えにすすり泣く女が現実に存在するなどと…!
「……ぅ……っ…はっ…」
 “ぶるっ…ぶるっ…”と、断続的に腰が、体が震える。
 どんどん“内圧”が高まり、もういつ“達して”しまってもおかしくないほど美樹の肉体は熟し切っていた。
 その時、車内のアナウンスが不意に次の停車駅を知らせる。
「…あっ…」
 今、目の前の扉が開いたら、きっと自分は馬鹿みたいに呆けた…それでいてハッキリと欲情している事を示すとろけた顔を、ホームにいる大勢の人々に見られてしまう。
『…まって……まってまってまって…』
 胎内で蠕動する蛇腹状の“ソレ”に翻弄され、全く力が入らなくなってきた脚に精一杯力を込めて、美樹は取っ手にすがりつくようにして再び背筋を伸ばそうとした。
 電車は彼女の状態にはお構い無しに駅へと進入する。
 一瞬、身を硬くした彼女は、電車反対側の乗車扉が開いた事にほっとした。
『―あっ…ああぁっ…』
 と同時に“さわさわ”と優しく子宮口を撫でられ、痛みとも快美感ともつかない淡く優しい刺激に腰が砕けそうになる。
 脳がとろけ、意識が混濁し、白濁した快美感に全身が犯されてゆく。
 キモチイイ。
 ものすごくキモチイイ。
 ずっとこうしていたい。
 ずっとこうして犯されていたい。
 美樹の自意識は、もはや“ソレ”に対して屈服しきっていた。
「…ん…ひぃ…」
 気が付くと“ソレ”はいくつもの枝に分かれていた。
 いつの間にかそのうちの三つが前に回り、一つが強い快感に包皮に隠れたクリトリスを掘り起こし、撒き付き、二つが下腹から上へと伸び上がって胸元まで侵入を果たしていたからだ。
 包皮は剥かれ、自分でもちょっと大きいかも…と思っている5ミリ程度の敏感なクリトリスを一本の柔枝が獲物に撒きつく蛇さながらに“にゅるにゅる”と締め付けている。
『ひぃんっ…っ…ひっ…ぃ…』
 腰が砕け、へっぴり腰のままドア横の手摺りにしがみ付いて、美樹は下唇を噛んで声も上げず悦びにむせび泣いた。
 そしてセーターの下では、ブラの隙間から入り込んだ“ソレ”が豊満な乳肉の上を“ぬるぬる”と這い寄る。
 先端の尖りへ、熱く硬く大きく勃起した乳首へ。
「…っ……っ…」
 “ふっ…ふっ…ふっ…”と、荒い吐息を密やかに吐いていた美樹は、敏感な乳首に絡みついた“ソレ”のねっとりと執拗な動きに何度も身体を震わせた。それはまるで、子供がキャンディをねぶるように執拗で遊びに満ちた、耐え難く狂おしい責めだった。
『…ぁ…っ…イッ…く…』
 膣内の“うねうね”とした蠕動運動と、クリトリスと両乳首に同時に与えられる刺激。
 耐えられなかった。
 耐えられるはずもなかった。
「…ぁ…はぁ…」
 そうして美樹は、立ったまま、服を全て着たまま、陽の明るい朝に、満員電車の混んだ車内で。

 うっすらと唇を開いた恍惚の表情のまま崩れ落ち、気を失った。

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