■感想など■

2009年10月03日

[異種姦-触手] 「私がここにいる理由」

■■【4】■■
 それじゃあ…と、零幻(りょうげん)は言った。
 そしてぼんやりとした翼(たすく)の左手を取って、自分の硬く張りつめたものを触らせる。
「あ…かたい…」
「そうだ。オマエがあんまりいやらしくて可愛いから、こうなってんだ」
 『可愛い』という言葉はとてもとても嬉しかったけれど、翼にとっては『いやらしい』という言葉が“ちくり”と気持ちに冷たいものを刺す。それでも、手に感じる主(あるじ)の剛直が嬉しくて、愛しくて、翼は“こくん”と口内に溜まった唾液を飲み下した。これから自分がする事を想うだけで、自然と口の中が潤う。垂れ落ちるほどに唾液が満ちる。
「立った方がいいか?」
「…ぁ…ぃぇ……」
 消え入りそうなほどの声で告げると、翼はいそいそと寝台を下りる。板間に厚い麻布を敷いただけの簡素な硬い床だったが、躊躇う事無く両膝を着いて、御主人様へ寝台に腰掛けるようにと促した。そして彼の着物の帯を解き、少し腰を浮かしてもらいながら下履きを引き下ろすと、両足からそれを抜き取って軽く畳んで床に置く。下から現れた濃紺の腰帯を解いて開けば、そこには猛々しくそそり立つ熱い剛直が、行灯の淡い光に照らされて在った。
「ぁあ…」
 思わず翼の口から、溜息にも似た声が漏れる。
 翼の細い指三本分くらいの太い幹。
 開きかけた茸のように張った赤黒い傘。
 幹には青黒い血管が走り、ぴくぴくと脈動している。赤黒い先端は粘液で濡れて、行灯の光をぬらぬらとはじいていた。時折、全体が跳ねるように“ぴくっ”と動くのが、どこか別の生き物のように感じて可愛らしい。

 一番最初に人の陰茎を見たのは、もう遥か昔の事となってしまった。この地に翼を顕現させ「未来永劫、共にあらん」と誓ってくれた命よりも大切な人は、もうこの世界にはいない。今では、世界で一番いぢわるで、世界で一番優しく、そしてこの世で最も愛しい人の中に、その名残を見るだけとなってしまった。
 同じ魂を持ちながら、肉体のありようはここまでも違うものなのか。
 おかしな話だが、翼は愛しい御主人様の猛々しい激情を見るたびに、感じるたびに、何度もそう思ってしまう。
 王都の宝物庫地下壕で石の中に印されていた翼を目覚めさせ、解放したのは零幻である。彼はそれを「偶然」だと思っているようだが、翼にとってそれは出会うべく出会った「さだめ」であった。
 だが翼は「さだめ」とは関係なく、零幻が飄々とした仮面の下に抱える深い哀しみに呼応し、「この人のそばにずっといっしょにいよう」と誓った。それは彼の前世や、翼との忘れ得ぬ『絆』が仕向けたというものではないのだ。
 それを誤解される事を恐れ、翼は真実をまだ彼に伝えられずにいる…。

 肉切り歯で傷付けないように、長い舌を伸ばして“ねろり”と傘の周りをまず嘗める。白く“ねとねと”とした恥垢をこそぎ取るようにして口内に運び、くちゅくちゅと唾液と混ぜて飲み込んだ。ツンとした刺激臭と苦(にが)じょっぱい味に、初めて口淫した時などは吐き気すら催したものだが、「やはり慣れるものだ」と翼は思う。今ではこの味を思い浮かべるだけで口内に唾液が溜まり、喉が鳴る。決して美味だというわけでもないのだが、自分の口で愛しい人の不浄を清めているのだ…と思えば、むしろ喜びさえも湧いてくるから不思議だった。
「ん…ふ…んぅ…」
 恥垢を全て嘗めとってしまうと、翼の舌は木に巻きつく蛇のように零幻の逞しい幹へと絡みつく。
 蛇のように先端が2つにこそ割れていないが、翼の舌は人のものよりもずっと長い。伸ばせば、だらりと「逆鱗」の下辺りまで届き、「そんなに長いものがそんな小さい口のどこに仕舞われていたのか」と思われそうなほどだ。そんな舌で人間と同じ声を発声出来るのは不思議だが、あるいは自分の意思で長くも短くも出来るのかもしれぬ…と零幻は思った。
「…ふぁ…」
 その舌を、翼はずるずると幹に絡め、そしてぬるりと引く。ぬめぬめとした唾液の道筋が描かれ、そのたびに頭上で主の押し殺したような声がする。
「気持ちいいですか?」
「…ああ……翼は上手だな」
 主にそう誉められ藍銀の髪をなでなでと撫でられると、翼はそれだけで涙が出そうになった。

 この地方の交合に、口淫の習慣は無い。
 実際には知られていないだけで本当はあるのかもしれないが、この地方の褥(しとね)の睦(むつみ)を明らかにした文献は無いに等しかったし、口で相手の性器を愛撫するという行為は、娼婦宿などで行われても堅気の女性が好んでするような行為ではなかった。水が豊富にある土地ではあったから入浴の習慣はあったものの、その頻度は決して高いとは言えず、大小便する不潔極まりない不浄の場所を、あえて口で触れようとする者はいないだろう…というのが一般での認識だった。
 そもそも口淫は、野良犬が互いの肛門の匂いを嗅ぐに等しい行為である…とも思われていたため、それをする事は人ではなく獣へと堕ちる事だという認識の方が強いのだ。
 娼婦に、最下層の貧民出身者が多い事もまた、その考えに拍車をかけていた。娼婦というのは、己の体以外に何も持たない、体を売るしか能の無い獣だと思われていたためだ。
 けれど、翼はこの行為が好きだった。
 正しくは、愛しい零幻に対してだけするのが、好きだった。もし零幻以外の人間に同じ行為を強要されても、翼は決して従わないだろう。それどころか、命じた人間を有無も言わせず八つ裂きにするかもしれない。
 卑しい口で卑しい使役魔が、卑しい行為をする。
 跪き、御主人様に上から見下ろされながら、不浄のものを口を使って清める。
 その屈辱的な行為は、屈辱的であればあるほど被虐心を呼び起こし、「私は零幻様のもの」という認識を強くするのだ。
 自分には零幻様だけだ、と思う。
 零幻様は、自分にとって唯一無二の存在だ。
 だからこそ、自分は零幻様の唯一無二のモノになりたかった。そのためなら、どんな恥ずかしい事も、どんな屈辱的な事も、全て悦びに変える事が出来る。
 翼にはその覚悟も自信も、あった。

 翼は顔を傾け、茎を唇で挟むようにして“にゅるにゅる”と唾液のぬめりで滑らせる。そうしながら舌を伸ばして“にちにち”とくすぐるのだから、零幻にしてみればたまったものではない。気を抜くと精を放ってしまいそうで、歯を食いしばって耐えた。
 人間の女に精を漏らせば、練り上げた陰気に女の陽気が巻き、せっかくの苦労も水の泡となる。自慰による精の放出では陰気が霧散してしまう事は無いが、それでも再び“満ちる”までは決して精を漏らす事は許されない。ただ、陰気を分け与え体内で練り上げている翼に注げば、自らの陰気が“満ちる”のも早い。
 だが、胎道を経ずに体内に注がれても陰気は与える事が出来ず、翼の口内で漏らせばそれはただの「無駄」となる。
 いかに零幻といえど、昨夜もしたばかりでは、今日注ぐことが出来るのは、1・2度が限度だろう。
 だからこそ、いかに翼の唇が、舌が気持ち良かろうとも、そこに放つのは避けなければならなかった。
「翼…あんまり頑張るな。出ちまう…」
「…あ…」
 あまりに口淫に夢中になってしまっていた事を、他ならぬ零幻に指摘されて、翼は胸元まで赤く染めて恥じ入った。
 嘗め、しゃぶり、肉切り歯で傷付けないように気をつけながら口内で嬲り、ぶら下がる玉袋まで嘗めたくった。茎を右手で少し彼の腹の方に倒し、裏側を舌から上まで何度も嘗めれば、それだけで翼は下腹の中を“とろとろ”と、ねっとりとしたツユが垂れ落ちてくるのを感じた。愛しい人の体の一部をいとおしむというのは、まさしく至福の時だったのだ。

 「逆鱗」だけが唯一の肉体的な弱点である龍人と違い、人の体は脆く、壊れやすく、全身が弱点と言っても過言ではない。その中でも男の性器は特別な器官であり、傷つければそれだけで悶絶し、場合によっては他のどの部分を攻撃するより的確に行動不能にする事が出来る最大の弱点だった。
 その場所を、こうも無防備に自分に晒してくれる。任せてくれる。
 それは、翼にとって最大限の信頼を寄せられているのと同じ事だった。命を預けてくれている…とまで思う。
 だからこそ不浄の場所でありながら狂おしいまでに愛しく、そして夢中にさせるのだ。

 長い真珠色の爪で傷付けないように、翼は細心の注意を払いながら零幻のモノをしごいた。それ自体から染み出すツユと、翼の唾液で“にゅるにゅる”と滑り、彼女の白くて細い指の中でそれは“びくびく”と元気に動く。
「もう…いいですか…?」
 “はあっ…”と、吐息を吐くように甘く囁き、翼は零幻を見上げた。彼は少し鼻腔を広げて「ああ」とだけ呟くと、寝台の上に横になる。
 翼は“こくり”と喉を鳴らして、この上も無く嬉しそうにいそいそと自ら寝台に上った。そして零幻の腰を跨ぐと、ぱっくりと開いて透明な雫を滴らせる女陰に、零幻の激情の赤黒い先端をあてる。
 粘膜と粘膜が、互いの半身に出会ったかのような親密さでぴたりとつき、「ぁあ…」と声を上げて翼が目を閉じた。

ぬ…

 と、その先端が膣口をくぐる。翼が肩を竦め、目を瞑り、口を笑みの形にしたままぶるぶると震えた。
『たまらない』
 そう言いたそうなほどの愉悦の笑みだった。
「…ぁ…あ…………あ………」

ず…

ず…

 と、軽く尻を振りながら少しずつ奥へ奥へと零幻のモノを呑み込み、翼は目を瞑ったまま可愛らしい顔に淫靡な妖婦の色を浮かべて“ぺろり”と紅い唇を嘗めた。
「気持ちいいか?」
「いい……きもち……いい……」
「そう……かっ」
 不意に零幻が翼の腰に両手を当て、ぐいっと下へ押し下げた。その拍子に、彼の太いモノが“ずぷり”と根元まで突き挿(さ)さる
「…ぅおぉ…あぁ…ぁ…はぁぁああ…」
 唇を「○」の形に開けたまま、翼は太い息を吐いた。涎が唇から垂れ、彼女のもったりと重たげに揺れる乳房に落ちた。
 “びくっ…びくっ…”と全身を震わせる翼は、うっすらと目を開いているが、見えるのは充血して少し赤味がかった白目ばかりで、零幻は彼女が入れただけで軽く達してしまったのだと知った。

 さらりと流れる藍銀の髪を手に取り、零幻はその艶やかななめらかさを堪能する。右からは窓から注ぐ蒼月の冷光を受け、左からは行灯のやわらかな橙の光を受けて、情欲に溺れる翼はどこまでも可愛く、そして美しい。人ではないからこその美しさであり、可愛らしさなのだろう…と思わなくもない。封印の解かれたばかりの頃は、ただのやかましい足手纏いでしかなかった事を思えば、零幻は自分自身の「変化」に気付かざるを得ない。
 鬱陶しくて邪魔な亜人を天界に「送り返す」だけ…と始めた交合ではあったが、では「愛しい」という気持ちが全く生まれいずる事は無かったか?と問われれば、否と答えるより仕様が無い。それでも、翼にはこの地上の汚濁にまみれさせておくには清廉過ぎる心根がある。だからこそ、自分の想いなどは無視していいのだと思うし、一刻も早く天界に「送り届けて」やりたいと願うのだ。
「今日は…私が……」
 ひそやかな声に現(うつつ)へと引き戻されてみれば、翼が零幻の胸板に両手を置いて、けなげにも自分から腰を蠢かせている。困ったような、苦しいような、奇妙な表情は翼が激しい快楽に翻弄されてる証拠だ。少し前傾しているため、南国の果実か、はたまた冬瓜の実か…と思える形に重く垂れた乳肉が、零幻の眼前でゆさゆさと揺れている。
 “ずっ…ぶちゅ…ちゅちっ…”と、粘液質の音が翼の背後から…いや、股間から聞こえ、零幻はもうすでにそこがどろどろになってしまっている事を知る。彼女の銀の陰毛は野兎の綿毛のように柔らかくなり、“もちゃもちゃ”とツユを吸った湿り気のある音を立てていた。

 翼は一所懸命に腰を動かし、自分の乳肉を零幻に擦りつけたりもするが、いかんせん、どうにもぎこちない。彼女は確かに身体的には人間よりも遥かに丈夫で体力もあるが、こうして陰気を練り込んだ状態での交合では感覚がいつもの数倍にも研ぎ澄まされ、感じ過ぎてしまい、いつも零幻にいいようにされるだけだった。そのため、この翼が主導権を握る女性上位では圧倒的に経験が少なく、どこをどうすればいいのか、さっぱりわからなくなってしまうのが常であった。
 いつもいつも自分ばかり気持ちよくさせられてしまい、荒れ狂う波に翻弄されて、気がつくと何もかもが終わってしまっている…という状態が続けば、「奉仕したい」と願う心を体が裏切っている…と翼が思うのも時間の問題であった。二人の交合を、ただ「力を増すためだけ」の、「術式を練るためだけ」の、「快楽が伴うだけ」の味気無い「作業」にはしたくなかった。
 自分が気持ち良いと思うのと同等かそれ以上、零幻には気持ち良くなって欲しかったし、そうでなければ自分も本当の意味で気持ち良くなどなれない気がするのだ。
「りょ……さまっ…あっ…りょ…げん…あっ…」
 “ぬるっぬるっ”と、腰を上下し、陰茎を胎道に出し入れしながら、翼は一心に主の目を見つめ、名を呼ぼうとする。だが視界は涙に滲み、声は突き上げる快感に震え、途切れてしまうのだ。
 …と、不意に彼が身を起こし、背中と尻に手を当てて翼を軽々と抱えた。
「んあああっ…」
 胡座をかいた主の腰に両足を絡ませ、翼は涙をぽろぽろとこぼしながら“ぎゅっ”としがみついた。
「翼…ちーと苦しい…」
 はっとして腕を緩めると、すぐに唇を据われる。ぞくぞくと震えが背筋を通り、その背筋の鬣(たてがみ)のような銀毛がざわりと立ち上がる。
「…ん…んむっ…んっ…ふっ…」
 翼は夢中になって零幻の唇を味わい、舌を吸う。彼の左手が髪から続く鬣を撫で下ろし、右手が腰から続く長い尾を撫でた。肩甲骨の内側辺りからは細かい鱗が浮かび、鬣の根元は硬質化した鱗が覆っている。感覚など無いはずなのに、零幻の撫でる指の動きは手に取るようにわかった。
「んぅあっ…はぁ…」
 “きゅ…”と抱き締められたまま、御主人様の左手が翼の左の耳たぶを撫でる。彼の右手は、太い龍の尾の根本近くを何度も撫で擦った。
「…んぅ…しょこ…らめぇ……」
 とろとろにとろけ、舌がうまくまわらないのか、甘ったれた幼児言葉のような声が零幻の頬を撫でた。
「ん?」
「しっぽ…らめぇ…なのぉ…」
「知ってる」
 零幻はゆさゆさと腰を揺すり、突き挿(さ)さった陰茎で翼の胎道を擦りながら、ぴくぴくと震える尾を“きゅ”と握り込んだ。
「ふぁあああ…」
 がくがくと身体を震わせる翼は、呆けたような顔で口を半分開けると、まるで空気を求める魚のようにぱくぱくと唇を動かす。
「どうした?」
「…りょ…げ………あっ…はぅ…」
 知っていてにやにやと笑う主の、その右耳をおかえしのように翼はぺろぺろと嘗める。
「翼はかわいいなぁ……『今日は私が』…なんだって?」

かぷっ

「あだっ!こら、耳を噛むな、耳を!」
 肉切り歯で噛みつかれて、零幻の耳朶に穴が開くほどの痛みが走る。それでも再び尾を“きゅきゅきゅ”と握り込むと、熱い吐息を吐きながら翼は口を離した。
「いりわるぅ……」
「意地悪?オレが?」
 耳を擦(さす)りながら零幻は、さも意外だとでも言いたそうな言葉を吐く。そんな彼に、翼は幼女のようにこくっと頷き、彼が苦しくない程度に“きゅううう”と抱き締めた。

 抱き合うようにして繋がっているため、翼の凶悪な重たい乳房は、零幻の意外と逞しい胸板に押し付けられて淫猥な形に歪んでいた。帯は解いたとはいえ、翼はまだ薄い白布の寝間着を身に着けている。その、さらさらとした上質な絹のようになめらかな寝間着の中へ、零幻は両手を差し入れ、その上で彼女の背中と尾を愛撫している。
 寝間着が彼女の汗を吸ってしっとりとしているのを感じている彼は、ふと、翼の肩に顔を埋め、布地に鼻を押し付けるようにして思い切り息を吸った。
「翼の汗の匂いがする」
「…ぁあ…いや…」
 零幻の、どこかうっとりとした声音に翼がもじもじと身じろぎする。
「いや?何が?」
「いっぱい……いっぱい汗をかいてしまいましたから…」
「これだけ乱れればな」
「ぃやです……その……あ、汗臭く…ないですか?」
「良い匂いだ」
「……うそ」
「ウソ?おいおい、オレがオマエにウソをついた事があるか?」
 とぼけた顔でにこりと笑う零幻に、翼は何も言えなかった。確かに彼はウソは言わない。だがそのかわり、真実も言わない。都合の悪い事は話さないし、旗色が悪いとすぐに逃げる。何も話してくれないというのは、ウソをつかないということと同義ではないはずだ。
 そんな零幻を、翼は卑怯だと思う。
 だから、「好きだ」「愛している」「大事だ」という彼の言葉が、泣きたくなるくらいに嬉しくても、それを信じる事が出来ない。
 信じたいのに信じられないというのは、とてもとても哀しいことだ。
 だから、翼の中ではこの御主人様は、「とてもとてもひどいひと」だった。
「あっ!…あっ!…あっ!…」
 翼が黙っていると、零幻は両手で彼女のなめらかで“きゅっ”と引き締まった尻肉を掴み、ゆさゆさと揺すった。時々、ぐいっと持ち上げ、そして重力に引かれるままに落とす。
「あっ…ふ…ふかぁい…」
 “ずんずん”と奥の奥、子袋の入り口をぐりぐりと圧迫されるような感覚に、翼のとろけた頭も体も、ぶるぶると震えて揺れた。
 それでも腰が動く。
 零幻の首にしがみ付いたまま、翼の腰はぐにぐにと、まるで擦りつけるかのように妖しく動く。
 そして“じゅぷじゅぷ”と粘液の絡んだ音が響き、胎道が“きゅううう”と引き絞られる。
「…あっ…いやっ…」
 不意に“ぬるるっ”と御主人様のモノが引き抜かれ、翼は窓枠に両手をかけるよう促された。切なくて切なくて、翼は泣きそうな顔で主を見るが、彼は彼女がそうするまで、絶対に入れてくれるつもりは無いようだった。
 仕方なく翼は、のろのろとした緩慢な動きではあったが、早くあそこをみっちりと埋めて欲しくて、急いで膝立ちに寝台に立ち、窓枠に両手をかける。
『あ…風……』
 窓から翼の顔が出て、少し生暖かい風が彼女の顔を撫でる。
 目の前には黒い森が迫り、さわさわと草木の葉の擦れ合う音が聞こえてきていた。零幻のかけた術は内側の音を外に漏らす事は無いが、外側の音はちゃんと伝えてくれる。でなければ、何か異変があっても感知出来ないからだ。
「…んぅうぁあ〜〜〜〜〜〜……」
 ぐいと腰を両手で掴まれ、翼は寝間着を捲り上げられて、強引に高さを調節されると、すぐに主の右手の指が尻肉を分けて太い剛直のモノが“ずぶずぶ”と胎内へと挿し込まれた。
 肩甲骨まで捲り上げられた白い寝間着が、蒼月の冷たい光を浴びて青になる。つるりとした剥き身の茹で卵のような尻肉を両手で揉み込んで、零幻はゆっくりと腰を前後させた。

にるっ……ぬるるっ……ぬるっ…ぬるっ…ぬっ…ぬっ…ぬっ…

「…んうっ…ぅ…ぁ…はっ…ぁ…」
 徐々に早さが増すその動きに、まるで耐えられないとでもいうように翼の頭がいやいやと左右に振られ、藍銀の紙がさらさらと流れる。素肌の背中には尻尾まで続く鱗(うろこ)と鬣(たてがみ)の峰があり、それが蛇のようにうねった。
 “ぱちゅっ…ぺちっ…”と、粘液質な音を立て零幻の男根が出入りする。翼の長い龍の尾が邪魔をして、その様は見下ろす零幻からは見えない。そのため彼は、翼の尾を右手で掴んで“ぐい”と捲り上げ、ひくひくと蠢く尻穴も“ぬるぬる”とした粘液を垂れ流す膣口をも明かりの下へと露にした。
「い…いやっ……」
 肩越しに振り返り涙目で抗議する翼に、零幻は意地悪く笑ってやりながら、前傾した彼女の体の下で乳牛(ちちうし)のように重たく垂れ下がり、ゆさゆさと前後に揺れ動く乳房を、左手をいっぱいに開いて掴んで“ぐにぐに”と揉みしだく。
「ああっ…ああっ!…」
 切羽詰ったように啼き声を上げ、びくびくと体を震わせる翼の後押しをするように、零幻は腰の動きを早めた。

ぺちっ!ぺちっ!ぺちゅっ!ぺちっ!ぷちゅっ!

「あっ…あっ…はっ…あっ…あっ…ひっ…あっ…」
 白く泡立ち、ねとねととした粘液が翼の太股を垂れ落ちる。
 揺れ動く乳房を後から弄び、そのやわらかさ、あたたかさ、重さをたっぷりと楽しんでいた零幻の左手が、その垂れ落ちた粘液を指で掬い取って、こりこりと勃起し包皮から顔を出した翼の陰核へと塗りつける。
「ひんっ!…ぃあっ…」
 途端、胎道の締め付けが“きゅうううう”と一層増し、零幻のモノを奥へ奥へと引き込むように蠕動(ぜんどう)した。
「うぅ…」
 彼の口から、思わず声が漏れる。
「き…きも…きち…ひ…?」
 『気持ち良いですか?』と聞きたいのだろう翼の真摯な瞳に、零幻は素直に「ああ」と囁く。
「すげぇ…イイ。オマエの身体は、やっぱり最高だ。オマエの身体が一番良い」
「あぁ…う……しい……」
 『嬉しい』。
 そのたった一言を告げると、翼は再び窓の外に顔を戻し、愛しい人から与えられる快美感を感じることだけに集中した。だが視線の先、黒い森の中に、いくつもの光るものを見つけると、翼は全身が“かあああっ…”と一層の熱を帯びるのを止められなかった。
 獣の目だった。
 鹿や兎、狸や野鼠や、野性の馬までいる。
 その彼等が、窓から顔を出し、尻から人間の男に責め立てられながらうっとりと快楽に酔う龍人を、じっと静かに見つめていたのだ。
『ああ…見られてる……私と零幻様が繋がってるところを…見られてる……』
 妖亀を退治した事で、この森の草食動物や小動物が戻ってきたのだろう。
 その彼等が、どうしてここにいるのかわからない。音絶(おとたち)の術で声が聞こえたとは思えなかったが、ひょっとしたら翼の硬角から発する微弱な思念派が、彼等を引き寄せてしまったのかもしれない。
『ああ…恥ずかしい……』
 野生動物の瞳は、感情を示さない。ただ、じっと静かに見つめるだけだ。
 だが、だからこそ快楽に溺れ身も世も無く善がる自分の姿を、音も無く見つめら続けるのは翼の羞恥を激しく喚起した。
「そろそろいいか」
 小さく聞こえた零幻の呟きに、翼が翻弄されながらも振り返れば、彼は彼女の身体を軽々と抱き起こして、汗と淫液をたっぷりと吸った寝台にころんと転がした。ずしりと重たい白く大きな乳房が“ぶるん”と揺れ、汗ばんだ肌が蒼月の青と行灯の橙を映してきらきらと煌く。
「そろそろ注いでやる」
 しなくても良い宣言を、零幻はわざわざ、目に涙をいっぱいに溜めた翼の熱く火照る尖った耳に囁く。そして彼は、彼女の両足をいっぱいに開いて、その中心の『肉の亀裂』に、己のいきり立った肉茎を“ぬぬぬぬ…”と奥深くまで一息に挿し入れた。
「あっ…ぁっ…あっ…ああ〜〜〜〜〜〜ぁ〜…」
 翼の流麗な眉は苦悶を刻んでいるにも関わらず、紅を注さずともなお紅い唇は、天上の愉悦を示している。
 狂おしく刻まれた愛しい人の刻印が、魂にこれでもかと何度も何度も穿たれてゆく錯覚。
 いや、それは確信だろうか。

ぶぼっ…ぶっ…りゅっ…

 主に抱き締められ、翼も彼の首にかじりつくようにして抱き締め返す。“ずんずん”と力強く、優しく、激しく剛直を打ち込まれると、押し広げられた股間の洞(ほら)から空気が漏れる。
 広がっている。
 大きく口を開けている。
 呑み込んでいる。
 奥深くまで。
 貪欲に。
 全てを。
 その上で、もっともっと深くまで迎い入れたくて豊かな尻を揺する。尚も親密な密着を求め、隙間すら許せないとでも言うかのように素晴らしく美しい形の長い両足が、零幻の腰に回される。
「んはぁうぅ…」
 ぐりぐりと膣壁のやわらかな肉襞を零幻の暴虐な肉柱(にくばしら)が擦り上げれば、翼は首を竦めて耐えるしかない。
 高みは近く、意識は朦朧と揺れる。

 哀しくて。

 苦しくて。

 愛しくて。

 涙がぼろぼろとこぼれては紅く染まった頬を流れた。
「泣くな」
 無理です。
「オマエが泣くと、オレは困る」
 違うのです。
 哀しいのではないのです。
 哀しいけれど、それはいいのです。
 あなたと私は、主と従であり、聖と魔であり、人と妖なのですから。
 決して交わらないのですから。
 それはわかっているのです。
「では、なぜオマエはいつも泣くのだ」
 嬉しいのです。
 愛しいのです。
 愛しくて胸が苦しいのです。
 愛しくて魂(こころ)が哀しむのです。
「なぜ哀しい?こうして愛しているのに」
 気持ちが良くて。
 気持ちがすごく良くて。
 この気持ちの良いことを私以外の娘にしたあなたが憎いのです。
 きっと何度も私以外の娘にしたあなたが許せないのです。
 でも愛しているのです。
 全てを許したいのです。
「ならば許せ」
 では愛して下さい。
 身体だけでなく心も愛して下さい。
 口付けと同じくらいの気安さで「愛している」と言わないで下さい。
 魂が引き裂かれるほどの愛しさで「愛している」と言って下さい。
 囁いて下さい。
 言葉にならない言葉を胸に、翼は零幻に貫かれながら何度も涙の雫をこぼした。

 やがて。

「行くぞ」
「…ぁ…は…ぁい……」
 主の腰の動きが一層激しく、深くなる。
 そうしながら、主の薄い唇が呟くように囁くように言の葉を紡ぐと、常人には不可視の銀字がするするとこぼれ出る。その銀字の帯が薄く開いた翼の唇の中へと入ってゆき、彼女の頭の硬角がぼんやりと青白く光を放った。
「…んっうっ…」
 そして。
「…くぅぅぅううう…」
 翼の全身に複雑な文様が浮かび上がる。その文様は翼の鼓動に呼応するように明滅を繰り返し、やがて光は下腹部へと集まっていった。
「いいか」
「はいっ」
「…いくぞ」
「は…」
「いくぞ」
「ぅ…」
「いくぞっ!」
 まるで叩きつけるような腰の動きに、翼のもったりと大きな乳肉が面白いように揺れ動く。

ぱちゅっ!ぱちゅっ!ぱっちゅっ!ぺちゅっ!

 零幻は翼の両脚の膝裏に腕を当て、抱え上げるようにして彼女の身体を二つ折りにすると、上から叩きつけるように男根を押し込んでゆく。翼は涙をぽろぽろとこぼしながら寝台の敷布を顔の横で掴み、何かに耐えるようにいやいやと首を振った。
「ぅ…ひっ…ひぃっ…」
 翼の紅い唇の間から、噛み締めた白い歯が覗き、肉切り歯がぎりぎりと合わさって鋭く光る。
「…ふっ…」
 零幻が短く呼気を吐く。
 それが、射精の合図だった。
「あっあっあっあっあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぁ………」
 長く尾を引き、引き絞るような声が漏れ、下腹部に集まった光が一気に全身を覆う。薄ぼんやりと膜のように覆う光は、ゆっくりとその輝きを失い、やがて消えた。
「……ぁ………」
 “びくっびくっ”と、しゃくりあげるように翼の赤味を帯びた白い腹が波打つ。一滴も漏らしてなるものかと、翼の膣が脈動し、奥へ奥へと零幻のモノを誘い込んだ。
『ああ……入ってる……入ってくる……』
 何度も脈動する御主人様のモノから、精が、練り込まれた陰気が流れ込んでくる。下腹部が熱くなり、その代わりに全身が少しの間、氷のように冷たくなったように感じた。
 いつも、そうだ。
 いつもこんな風に体がひどく冷たくなり、翼はこのまま自分が消え去ってしまうような恐さを味わう。
 だのに、この瞬間がたまらなく愛しいのは、
「……良かったか?」
 零幻がいつもの笑顔で、熱い口付けをくれるからだ。
「りょうげんさまぁ……」
 見上げる翼の瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれる。愛しくて愛しくて、この瞬間だけは、気が狂いそうなほど幸せだった。
 主は、二つ折りにして上から押さえ込むように挿入していた男根を、“ぬるり”と抜き取った。
「…んぁっ…」
 翼がその刺激に、消え入りそうな声を上げる。
 そして、
「…ください…呑ませてください…ぜんぶ…ぜんぶ…」
 泣きながらそう請う翼の口に、零幻は身を起こし、まだ彼女の淫液と自分の精で濡れた男根を寄せていった。翼は上半身を左肘で支えながら、力を無くしてだらりとした肉茎にしゃぶりつく。
 そうして丁寧に嘗め、ちゅうちゅうと吸う。
 しゃぶる。
 尿道に残った精までも、全ては私のものだ…とてもいうかのように。
「零幻さまの…あじ…」
 たっぷりとねぶり、一滴残らず精を嘗めとって飲み下すと、翼はうっとりと囁いて再び仰臥した。荒かった呼吸はゆったりとしたものとなり、前の開かれた白い寝間着からは、仰臥してもだらしなく垂れたりすることなく大きく盛り上がった乳房が、汗ばんだ肌のままゆらゆらと揺れていた。
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