■感想など■

2009年10月20日

[異種姦-触手] 「再会」〜にくらしいあなたへ〜

■■【8】■■
 彼女の体は、どこもかしこもがやわらかかった。
 乱暴に扱えばすぐに壊れてしまいそうだ。
 外骨格構造の『セグネット』が、内骨格構造の人間を力いっぱい抱き締めることは出来ない。そんな事をすれば本当に潰れてしまうからだ。
 だから、シグフィスは義姉が自分を抱き締めるに任せて、自分は前肢と中肢を彼女の体に添えるだけにした。
【良い匂いだ……】
 彼女の体から立ち上る芳香は、とても素晴らしかった。
 まるで花のように、蜜のように、熟れた果実のように、シグフィスの集香器官を刺激し、理性を揺さぶる。
「いや……」
【なぜ?】
「……いや……」
 腕の中で、義姉が子供のようにいやいやと首を振る。
 そのたびに、髪からは優しい香りが、首筋からは芳しい香りが立ち上る。
【どうして?】
「どうしても」
 興奮状態に置かれた彼女の発汗と共に、汗線から微量のヒトフェロモンが滲んで空中へと漂っているのだ。
 そして首筋や脇、乳房の下や内腿に溜った汗からは、濃厚な甘い体臭が立ち上り、シグフィスの感覚を狂わせる。赤外線感知による体表面の熱分布では、耳朶、頬、首筋、胸元、乳房の先端に突出した「乳首」と呼ばれる発乳部位、下腹、そして内腿に血液が集まっていた。体温も摂氏0.23度程も上昇している。
 髪に隠れた滑らかな額は汗ばみ、頬も耳朶も真っ赤になっている。
 とても、これが先ほど貯蔵庫の中で、冷めた顔のまま男に好きに体をまさぐらせていた女性とは見えなかった。
 まるで初めて男に体を開く生娘のようだった。
 シグフィスは人間の女性体の生理は、一応知識として知っているつもりだったが、それが自分に近しい者……それも、自分が好意を寄せる者となると別だった。なぜこうなるのか、どうしてこんな反応をするのか、まったくわからない。
 彼はただ、彼女に抱き付かれ、軽く腕で支えているだけなのだ。
 義姉の、とんでもなく豊満でやわらかな乳房が、自分の胸で“くにゅり”と歪み、形を変えてその重さとあたたかさを伝えている。
 ふと疑問に思い、彼は体を離して彼女の乳房をじっと見詰めた。
「おっぱいに興味があるの?」
【うん。『セグネット』には無いものだからね】
「……もうちょっと口篭ったり照れたりしたら可愛らしいのに」
【……なぜ?】
「……いいわ。……見る?」
【……いや……その……義姉さんが嫌でなければ】
「…………そういうところは、昔から可愛いのに」
【……??……】
 きょとんと首を傾げるシグフィスに“くすり”と笑うと、ティファニアは紐タイを外し、ブラウスのボタンを外していった。
 そうしてそのまま上半身をはだけると、ブラの留め金を外し、ストラップを肩からずらす。
 “ゆさり”と、南国の果実を思わせる巨大な乳房が、圧倒的な重量をもって光のもとで揺れる。南国の果実とは言っても、パパイヤやマンゴーなどではない。西瓜か椰子の実くらいの豊満さだ。
【重くないか?】
 じっくりと観察するシグフィスの素朴な疑問に、彼女はおかしそうに笑みこぼれた。
「もちろん、重いわよ?……シグは……大きいおっぱいは好き?」
【好きか嫌いかと言われても……その……】
「興奮なさいます?御主人様?」
 ティファニアはわざと召使いの言葉遣いに戻り、シグフィスのローブに重たい乳房をこすりつける。
【……君は……孔雀の羽が綺麗で立派だからといって、それに性的興奮を覚えるのかい?】
「なるほど……それは残念。私としてはこの胸……結構自慢だったりするのですけど」
【……だが……それが美しい形なのかそうでないのかは、わかるつもりだ】
「あ……」
 “ひた……”と彼の前肢が乳房に添えられ、“さわっ”と撫でた。
 前肢に装着されたマニピュレーターは、4本の「指」でとても繊細な動きをする。ティファニアの滑らかな肌を愛しむようにして指腹で撫で、その重みとやわらかさを確かめるようにして“ぷにぷに”と押す。
【こんなにやわらかいものなんだな……】
「んっ……」
 『いとしいひと』に乳房を触られ、ティファニアは激しい快美感を感じていた。あの男との仮初(かりそめ)の交歓などでは到底味わうことも出来ない、満ち足りた幸福感だった。惜しむらくは、彼が『セグネット』のため、熱い口付けも優しい抱擁も期待出来ないことだろうか。それだけが、今の彼女を、ほんの少しだけ哀しくさせる。
「……どう……?」
【うん。美しい形だと思うよ】
「嬉しい……」
 シグフィスは義姉の乳房を右前肢で“くにくに”と揉んだ。もちろん、細心の注意を払って……だ。
 人間の指と遜色無く動くマニピュレーターの「指」は、その先端に微細なセンサーを高密度で備えている。圧力、温度、PH濃度、ナトリウム濃度は言うに及ばず、電圧、光、弾力、赤外線、測距、果ては磁気、渦電流式近接センサまで備えていて、それぞれが多角的に対象物を分析する事が出来る。
 今、シグフィスはティファニアの乳房を硬軟(弾力)、大小、汗腺分布、内部構造にまで至って情報集積し、それから導き出した分析結果において感想を述べていた。
【それに君の乳房は、とても巨大でやわらかく、それでいて乳腺の発達具合も申し分無い。きっと本物の牛のように良い乳が出るだろう】
「…………」
【…………】
「…………」
【……どうした?】
「……なんだか誉められてる気がしませんわ」
 拗ねたのか、召使いの言葉遣いに戻っていた。
 どうやら、あまり好評とは言えなかったようだ。
【……では……こういうのはどう?『君の乳房は地球人の大多数の男性体にとって、非常に好ましい軟度と形状をしている』】
「…………もっと、砕けた言い方はできませんの?」
【……では……『君の乳房はやわらかくて男を惹きつける良い形をしている』】
「もっと」
【では……『君の』】
「お前の」
【『お前の乳房は』】
「おっぱいは」
【……『お前のおっぱいは……とても綺麗でやわらかくて美しい形をしている』】
「……もっと」
【……では……『男好きしそうなイヤらしいおっぱいしやがって、この雌豚が』】
「…………」
【…………】
「……調子に乗るな」
【……ごめん】
 謝りながらも、シグフィスの「指」はティファニアの体温変動と発汗具合、そして体積変化と乳房の軟度の変化を細大漏らさずモニターしている。それによると、血流が活発になり、汗の分泌が増し、乳房のゆるやかな膨張が始まっていることから、彼女が性的に興奮していることは確実だった。
「……ねえ……そういう……の、どこで覚え……る……の?」
 いつしか両手で背後からゆったりと乳を揉まれながら“ふうっ……”と熱い吐息を吐き、ティファニアは悪戯っぽく微笑んだ。
【そういうの?】
「男好き……とか……んっ……雌豚……とか……ぁ……」
【前に、地球の文献で見たことがある。男性体が性器を使用可能にするための猥雑な、しかし非常に興味深い性情報が溢れていた】
「……そ……んな情報……ん……捨てちゃっていいの……よ……ぁ……」
 それは『愛撫』と呼ぶにはあまりに機械的ではあったが、ティファニアの声の変化や体の震えなどの情報を蓄積することで、シグフィスの指は彼女の弱いポイントを的確に突いた。揉み方、揺らし方、突付き方、摘み方そして撫で方。乳房への性刺激だけでこんなにもヴァリエーションがあったのか。そう思わせるほど、シグフィスはティファニア自身が驚くようなポイントを探り当てる。
 初めても、そしてそれからも彼女の「男」はあの粗野で無神経な男しかいなかった。
 あの男はいつもティファニアの都合などお構いナシに、自分勝手に掴み、揉み、嘗め、しゃぶる事しかしなかった。
 それに対してシグフィスは、ティファニアがどうすれば声を上げるか、身を捩るか、甘えた鼻声でねだるか、それを最も重視し、彼女が気持良くなる事こそのみを最優先しているように思えた。

 ――翻弄される。

 ――おっぱいだけで。

 シグフィスの召使いであるという服従心。
 シグフィスの義姉であるという自尊心。
 そしてシグフィスの「女」になれたという充足心が、ティファニアの快楽密度をどんどん高めてゆく。
「……ぅ……す……好きにして……いいの……よ?……」
【ん?】
「シグが……したいように……すれば……」
 背後から脇を通し、下から掬い上げるようにして乳房の“ずしり”とした重量感をマニピュレーターでたっぷりと感じていたシグは、血が集まり充血して硬く勃起した乳首を「指」で摘みあげながら“チッチッチッ”と下顎を噛み合わせた。
【義姉さんが気持ち良ければ私はそれでいいんだよ】
「そ、それズル……んぁっう〜〜……ぁ……んうっ……うっ……う〜〜……」
 マニピュレーターの「指」は4本しかないのに、どうしてこんな繊細で技巧的な動きが可能なのか。
 乳を揉み、乳首を“ぴるぴる”と弾きながらその付け根を同時に優しく何度も擦る。乳房の中に発生した熱い疼きは、そのまま子宮に直結してしまっているかのようだ。そうしておきながら時々“きゅきゅきゅ”と乳首を摘んで捻ったりするものだから、ティファニアは何度も腰砕けに崩れ落ちそうになってしまう。
【乳房を……おっぱいをいじられるって、どんな気持ち?】
「……ぅん?……」
 うっとりと陶酔し、乳肉を嬲られるに任せていた彼女は、シグフィスの理性的な問い掛けに彼を見上げた。
 女性としても決して低いわけではない彼女の、その頭一つ分上に彼の頑強な顎が見える。クワガタのように両側から挟むような形になっている下顎は、実際に人間の骨程度なら易々と砕き折る事が出来るくらい挟む力が強い。そんな恐ろしいモノが頭上にあるというのにちっとも恐くないのは、シグフィスが自分を傷付ける事など絶対に有り得ないだろうと確信していたからだろう。
 まだ彼が幼体だった頃、戯れに指を挟まれ皮膚が裂けて、ひどく出血した事がある。その時は驚きと痛みと恐怖で身が竦んでしまって、しばらく彼に近付けなかった。
 だが、肉体に傷を受けた自分以上に、彼の心が傷付き、自分自身を責めていたことを知ると、異種族であり使役用人類である自分に対してさえそんな感情を抱いてしまえる彼に、言いようの無い愛しさを感じたのだった。
「……きもち……いい……幸せ……よ……」
 “はふん……”と鼻にかかった声が熱い吐息と共に吐き出される。
 かつて自分が“だっこ”して、どこ行くにも一緒に連れて行った彼が、今こうして自分を抱いている不思議。
 その不思議が、とてもとても心地良かった。肉体から得られる快感を凌駕して余りある快美感を、ティファニアの心が感じていた。
【どうすれば……義姉さんを私だけのモノに出来るんだろう……】
 ふと呟いた彼の言葉に、
『ばかな子……』
 と彼女は心の中でひとりごちた。
『私はもうとっくに……身も心も全部……貴方のモノなのに……』
 つくづく、人の心が……いや、女の心がわからないのだ。
 この「昆虫野郎」の「とーへんぼく」は。
 けれど、それも仕方の無い事だと、彼女は思う。
「“床見の儀”……してくれたら……」
 だからつい、こう言ってしまったのかもしれない。
【……こ……ここで?】
「ここで」
 面白いくらいにうろたえる義弟がおかしくて、愛しくて、彼女はゆっくりとシグフィスに向き直ると、彼の体をローブの上からゆっくりと抱きしめた。
【だ……だけど……】
 “床見の儀”は、「交尾」の許可を審議会から得た時点で、任意の時期に行う事が出来るため、特に申請は必要としない。
 交尾によって『セグネット』の雌体が産卵管によって雄体の受精嚢に送り込み、体内で受精した卵は、送卵菅によって人間の女性の胎内(子宮)に生み付けて着床する。人類からすれば奇異に思えるかもしれないが、これが『セグネット』の子孫の残し方だ。卵(こども)は、産みの母と、父と、そして“仮母”の、3つの体内を経てこの世に生を受けるのである。
 そのため、産母は“仮母”の“床見の儀”に同席し、雄体と共に“仮母”を共に検分するのが通例だった。それによって3つの命が、種族を超えて信頼関係で結ばれ、命を分け与えて生まれる「わが子」に祝福を与えるのである。
 ティファニアと、産母であるサレディアナの面通しは、既に済んでいる。血統書に不備は無く、精神的葛藤を除けば、サレディアナはティファニアの肉体も教養も礼儀作法も、十分満足していたはずだ。もっとも、シグフィスがティファニアに対して「相応しくない感情」を抱いているのではないか?ということに対しては懸念を抱いていたのだろうが。
「何も、正式なものでなくても、いいのよ?シグは、私を自分だけのモノにしたいのでしょう?なら、私の膣と子宮の内部(なか)をたっぷりと時間をかけて調べて、確かめて、そして私を狂わせてくれるだけでいい……」
【狂わせる……?義姉さんを?……】
「『セグネット』が、肉体的快楽よりも精神的充足感こそ求め、それを至上のものとしていることは知っているわ。産卵管や送卵管を相手の体内に挿入する事には、特に快感らしい快感を感じないということも……」
【ファー義姉さん……】
「たとえ独りよがりでもいいの。貴方に私を気持ち良くさせて欲しいのよ。気持ち良くてたまらなくなって、もう貴方無しでは生きていられなくなるくらい……狂いたいの」
 ティファニアは、同族相手では決して口に出来ない卑猥で慎みの無い言葉を、シグフィス相手なら口にしてしまえる自分に軽い興奮を覚えていた。
 恥ずかしい。
 本当に、恥ずかしい。
 けれど、だからこそ感じる興奮は、まったくもって倒錯的であり、官能的だった。
【……人間の女性が、外陰部と膣で強い快感を得る……という事は、知ってるよ。だけど、たまに強い痛みを感じることだって……】
「だからこそ、痛覚麻痺のための『シロップ』があるんじゃなくて?」
【そうだけど……】
 痛覚麻痺を目的に注入される『セグネット』の体内生成物は、通常、送卵管とは別の管を使って“仮母”へと注がれる。
 その管は、祖先が哺乳類を麻痺させるために使用する麻痺毒の注入管が変化したもので、伸縮するための襞を持っていた。ピンク色をした薄い半透明で、表面が傷付きやすいため、普段は厚いゴムのような黒い鞘に納まっている。先端が若干丸みを帯びているために、鞘から少し頭を出した様子など、人類の男性体の陰茎に良く似ていた。ただ、太さは1センチほどしか無い。
 それでも「シロップ」注入の際には2倍以上に膨らむのだ。
「もう……男の子でしょう?こういう時に女に恥をかかせて平気なの?」
【……いや……男の子って……】
 踏ん切りがつかない義弟に、義姉は幼い頃のように「めっ」と叱り、そうして“くすくす”と笑う。
【わかったよ……】
 シグフィスは諦めたようにそう言うと、前肢のマニピュレーターでティファニアの肩を軽く抱いた。そしてローブの前をはだけ、後肢を開き、長く伸びた下腹を前へと折り曲げる。
 重要な内臓器官が集中している下腹は、こうして人前でローブから外に出すことがほとんど無い。『セグネット』が羞恥を感じる事があるとすれば、こうして普段晒されない部位を光の下に晒す時だろう。実際、シグフィスは今までに無いくらいの心の“ざわめき”を感じていた。
「ん……」
 ティファニアは、シグフィスが“そう”しやすいように両脚を少し開き、彼にしがみついたままお尻を後方に突き出した。そうしてスカートを捲くり上げ、パンツを“するっ”と引き下ろす。太腿の途中で止めたのは、溢れた『蜜』が床に落ちるのを少し気にしたからかもしれない。
 彼女の、その豊かでやわらかく、そして“きゅん”と引き締まった臀部は、十分に脂がのってなめらかに輝いている。美しく金色に輝く産毛の地肌が、少し鳥肌気味になっているのは、これから彼によってされる事への期待か、それとも不安からだろうか?
 後肢の膝まで伸びたシグフィスの腹は弧を描いて下からティファニアの股間を目指し、まるで獲物に毒針を突き刺そうとする蜂の腹部のようだった。その硬い先端が割れ、内部から黒い鞘が“にゅっ”と顔を出す。少し湿り気を帯びて光を弾くキチン質の鞘は、太さを考えなければ毒針そのもののように見えた。
 シグフィスは副肢でティファニアの豊かな尻肉を両側から“むにゅっ”と鷲掴みにすると、持ち上げるようにして左右に分けた。
「ひあっ……んぅっ……」
 肛門が開き、直腸内のガスが放屁となって外へと出てしまいそうになり、彼女は慌てて括約筋を締める。こんな場所で、義弟の……愛しい人の前で放屁などしたくなかった。たとえ彼が、「そういうこと」をただの生理現象として普通に処理してくれるとしても。
「あんまり……広げないで……」
 ティファニアは、これからシグフィスが何をしようとしているのか十分熟知している。
 13年もの間、地球統合府の「機関」で、“仮母”となることだけを目指して、教養や礼儀作法のみならず、『セグネット』の本能から慣習に至るまで学んだのだ。そこでは当然、『床見の儀』についても知識を得ている。
 彼は今から、痛覚麻痺のために体内生成物の「シロップ」を、最も吸収が良い直腸内へと注入しようとしているのだ。
『……済ませておいて……良かったわ……』
 ティファニアは、寝る前に覚えた便意をきちんとトイレで処理しておいた自分を、少し褒めてやりたい気分だった。
【……我慢して義姉さん】
「……う……うん……わかってる……」
 尻肉を広げたことで痛みを感じたのだと誤解したシグフィスに、彼女は曖昧に頷いた。
 まさか、「オナラが出そうで嫌だった」とは言えなかった。
『義姉さんの体は、私達とは違う……』
 それを、忘れないようにしなければならない。
 シグフィスは、傷付けないように細心の注意を払いながら副肢で彼女の柔らかい尻肉を分けつつ、前肢を細い肩から腰に下ろしてしっかりと固定した。そうして、腹を“ぐぐっ”とさらに折り曲げ、先端の黒鞘を彼女のデリケートな形状をした生殖器へと近付けた。
 すぐに、麻痺毒の注入管が変化した管が顔を出し、“ぴちゅ……”と、もうすっかり濡れそぼっていた膣口に“キス”をする。そのまま、ぬるぬるとした膣液を塗り広げるようにして、管の先端の亀頭じみた丸みに纏わり付かせた。
「……ん……ぅふ……ぅ……」
【気持いい?】
「…………きかないで……」
 うっとりとして全身の体から力を抜いた義姉(かのじょ)は、本当に気持良さそうだった。シグフィスは何度も女陰に添って肉筒を前後させ、とろとろとこぼれる『蜜』で肉筒の先端を濡らした。
 膣口を刺激したからとって、そのままこの肉筒を膣内へと差し込むわけではない。差し込むのは、あくまで送卵菅である。けれど、それを挿し込むのはもっと後だ。
「んあっ……ぅあ!……あ!……」
 彼女の股間の肉の亀裂の、その前方の帰結にある、肉の拠れた部分を肉筒で捏ねると、ティファニアは身を捩って“くねくね”と尻を揺らめかせた。
【……ごめん、痛かった?】
「……ちが……の……やめ……いで……」
 荒い吐息の中で途切れ途切れに紡がれる言葉は、確かに「違う」「やめないで」とシグフィスに聞こえた。
 この、デリケートで繊細でやわらかい性器の襞に隠された部分には、「陰核(クリトリス)」という高感度部位があると、シグフィスは知っている。皮膚が薄く、乾いた状態では痛みを伴うが、粘液で濡れた状態では、愛撫の方法によって膣内快感よりももっと激しく深い快美感を感じることも。けれど自分の不器用な愛撫では、大切な義姉の大事なパーツを傷付けてしまうかもしれないという恐さが先行して、今ひとつ加減が難しかった。
 でも、義姉は「やめないで」と懇願してくれた。
 ということは、自分の“加減”は間違いないという事になる。
 彼は少し、安心した。
 マニピュレーターのように高感度のセンサーが集合しているならば、そこからの情報でなんとなくわかった乳房への愛撫も、生身の肉体を使った注入管での愛撫ともなると、シグフィスはさっぱりなのだ。
「……んぅあっ!……あっ……はっ……はぁっ……あっ!……」
 くにくにと肉筒で女性器を捏ね回し、副肢で掴んだ尻肉を“やわやわ”と揉み立てる。腰を固定していた前肢は、再び彼女の豊か過ぎるほど豊かな“椰子の実おっぱい”を、的確な動きで翻弄していた。
『……あぁ……ダメだわこれ……』
 両乳房と、尻と、あそこを一度に、ゆっくりと時間をかけてたっぷり愛撫される。
 これは“2本の腕”と“自由に曲げることも出来ない男根”しか持たない人間の男では、到底無理な「方法」だろう。
 だから、「ダメ」だ。
 自分を抑え切れない。
 良すぎて「ダメ」だ。
 意識が熱くとろけて、身も世も無く、淫らに乱れてしまいそうなのだ。
『……これじゃぁ……村の酒場にいる頭の悪い娼婦とまったく一緒じゃないの……』
 出来れば“その時”まで、“仮母”としてシグフィスに「使われる」側でありながら、彼に対してのイニシアティヴは義姉らしく保持していたかった。それは、そういう「女としての無意識の賢(さか)しさ」が思わせたことだった。
 けれどティファニアは、とろけた脳で考えながら「それもまた、いいか」と考えてさえいる自分をも、自覚しているのだった。
「ひんっ……」
 胸部に重たく実ってぶら下がる、脂肪と乳腺のカタマリ。
 たったそれだけのパーツでありながら、先ほど息も切れ切れになるほど散々翻弄させられた乳房への愛撫に加え、同時に“ぱんっ”と張り詰めた尻肉と最も熱い「肉」である女陰を同時に責められるのだ。
 たまらなかった。

 早く。

 早く。

 早く、どこでもいから「挿し込んで」欲しい。

 下半身の「穴」ならどこにでも!

 彼女がそう思った途端、たっぷりと『蜜』を纏わり付かせた肉筒が、“ぐぐっ”とした圧力を伴って後の蕾に潜り込んだ。
 抵抗は、ほんの少しだった。
 自分ではキツく締めているつもりだった括約筋は、彼の愛撫によってすっかりゆるんでしまっていたようだ。それとも、自分自身の『蜜』が、そんなにも滑り良くしてしまっていたのか?
「ぅうぉおぁ……ぁあ……」
 彼にしがみついて立ったまま、やわらかくもしなやかで“ぬるり”としたものが、後ろから体の中に、お尻の中に「入って」くる。
 思わず上げた声のあまりの獣じみた太さと震えに、彼女は“さっ”と頬に朱を上らせた。だが、尻の奥に侵入した肉筒に容赦は無く、私室に下がった折りに便を排泄したばかりなのをいいことに、奥へ奥へと“ずぶずぶ”と身を沈めてゆく。しかも、直線的ではない。直腸の曲がりを探りながら、自らうねうねと曲がるのだ。
「ぅあっ……ぅ……ぁ……ぁぁあ……」
 10センチも肛内へと埋め込まれた頃だろうか。
 下半身に力を込めれば、しっかりと太くてやわらかいものが尻の穴に突き刺さり、奥まで入り込んでいるのがわかる。
『……むずむず……するぅ……』
 アカデミーで習い、既に知識としては知っていた。
 『セグネット』の雄体はこうして“仮母”の体から速やかに痛覚だけを消してくれるから、決して『床見の儀』は恐いものではないのだと。
 けれど、知ることと実際に体験する事は大違いだ。
 下腹部に感じる圧迫感はすごかったし、広がった尻穴から走る“むずむず”が止まらない。
 それに肉筒は、ミミズが這い進む時のように絶えず細かな蠕動運動をしていた。
 これでは、性的玩具の「バイヴ」となんら変わらない。
 ティファニアは使ったことは無かったが、召使い仲間の女の子が持っていたのを、一度だけ見せてもらった事はあった。あの時はバッテリーでうねうねと動くその動きがおかしくて、使ってみるどころではなかった。だが、今にしてみれば、あの時、手に持ってスイッチを入れた時の振動は、この肉筒の生物的な動きに比べれば、彼女にはもっと機械的で単調な、ひどくつまらないものに思えてくる。
「ふあぁぁあああ……」
 自分はきっと今、ひどく馬鹿みたいな顔をしているのだろう……と、彼女は思う。
 呆けたように空ろな目を上げ、鼻の穴は空気を求めて広がり、半開きの口元にはまったくもって締まりがない。
 そんな、痴呆のような顔をしているに違いない。
 でも、ダメなのだ。
 お尻が、こんなにもキモチイイだなんて、今の今まで知らなかったのだから。
 やがて、肉筒の中を何かが直腸の中に潜り込んだ先端に向かって“ぐぐぐっ”と移動したかと思うと、あっと思う間もなく先端から“ジューッ!”“ジューッ!”と勢い良く腸内に、ぬるめの温水を吹き出した。
『あぁっ!でてるっ……中に出てるぅ……!……でてるよぉぅ……!!……』
 直腸の中に放出され、じわりじわりと内壁に染み渡り、染み込み、細胞の一つ一つを犯して、毛細血管へ成分が流れ込んでゆくのがわかる。
 これが、シグフィスの体内で生成された「シロップ」だった。
 「シロップ」と呼ばれるのは、その蜂蜜色の粘液には、ほんのりと甘みがあるからだとも、水と違ってある程度の粘度があるからだとも言われている。「機関」ではさすがに実際に体験するまでには至らなかったため、それが本当かどうか、ティファニアにはわからないが。
「ああっ……ああ〜〜〜……」
 しかし、直腸吸収が最も効率的とはいえ、いささか量が多いのではないだろうか。
『お腹がパンパンになりそう……』
 “ぶぴゅっ”“ぴぴっ”と、肛門から溢れて飛び散る「シロップ」の音を耳にして、ティファニアは羞恥で全身を赤く染めた。
「……ね……ねぇ……床……汚しちゃったけど……」
【だから私は「ここで?」って聞いたんだよ?なのに義姉さんが……】
「私のせいだっていう……んぅあっ!!」
 シグフィスの言葉に、しがみついていた彼の体から身を起こしたティファニアは、不意に“ぢゅぼっ”と抜かれた肉筒に体を“びくくっ”と震わせた。
 “ぶぶっ!”“ぶぴっ!”と、とてもとても恥ずかしい音と共に、少量の「シロップ」が再び飛び散り、太腿を伝って床に垂れた。
「……ぁ……ぁっ……ぁ……」
 信じられなかった。
 尻穴から肉筒を抜かれただけで、たった今の行為だけで、

 ――達し(イッ)てしまったのだ。

 やがて、じわじわと腰から脊髄を通って全身へと、甘い甘い微熱が広がってゆく。ぽかぽかとしてあたたかい感覚が肌を内側から嘗めたと思うと、すぐに“カッ”と熱くなり、その次には“さわさわ”と優しく羽毛で撫でられているかのようなくすぐったさが襲ってくる。
 全身の産毛が総毛立ち、汗腺から汗が吹き出て珠になって肌の上を滑った。
 達したまま、帰れない。
 高みに昇ったまま、体中の感覚が戻って来なかった。
「……ぁ……いや……ぃやぁ……」
 涙がこぼれていた。
 ティファニアにも自覚する間もなく、滂沱と涙が頬を伝う。
 金色の美しい髪を揺らし、いやいやと首を振りながら義弟にしがみついた。
 “びくっ”“びくっ”“びくっ”と立て続けに達し、フラッシュのように激しい快美感が脳を焼く。
「……ぁあっ……だめっ……だめっ……だめっだめっだめっ……だめえぇっ……」
 しがみつくキチン質の冷たい『肌』からは、鼓動を感じない。けれどその奥には、確かに体液を循環させる心臓があるはずだ。
 彼女はその場所に……副肢の間に、夢中でキスをした。
「だめなのっ……もうだめなのっ……ぁあっ……またっ……またぁあぁ……」
 何度も何度も登りつめ、そのたびに“びくっ”“びくっ”と腰が震え背中が震え、全身が震えた。
 なぜなら、シグフィスの前肢は再びマニピュレーターにも余る“椰子の実”のような巨大な乳房を、“やわやわ”と時に優しく、時にキツく緩急を付けながら揉み立てていたし、副肢に至っては左で尻肉を“きゅっきゅ”と野卑に、右副肢は前から回してすっかり包皮に潜り込んでしまった敏感な陰核を“ちゅ……ちゅ……”と驚くべき繊細さで捏ねていたからだ。
【抜いちゃだめだった?】
 冷静な義弟の声が降ってきて、ティファニアは涙で潤んだ瞳を懸命に上げた。
「……ぁ……ちが……んぅひぃっ……」
 だが、全てを口にする前に、再び“ぢゅぼっ”と尻穴に肉筒が、今度はいとも容易く深くまで埋め込まれ、そして“ぐにぐに”と蠕動まで始める。
 これは何かの拷問だろうか?
 立て続けにイキ過ぎて、胸が、お腹が、苦しいほどだ。
 息が出来ないくらい、全身が快美感で満ちて震え、熱く燃え上がる。
 額から汗が伝って目に入る。
 口にも入り込んで来る。
 けれど、拭う事も出来ない。
 はだけたブラウスは汗を吸って体に張り付き、スカートも汗と『蜜』を「シロップ」を吸ってぐっしょりと濡れていた。
「ぁあっあ〜〜〜〜〜っ……ああぁ〜〜〜〜〜〜〜〜……」
 ひしりあげ、泣きむせぶように、搾り出すように、ティファニアは啼いた。
 「シロップ」の効果は速やかであり、膣口からは白濁した『蜜』が“とろとろ”と垂れ落ちる。身を起こそうと腹筋に力を込めれば、押し出された『蜜』が“びゅっ……”と迸った。
 直腸に「シロップ」を注ぎ込まれ、蠕動する肉筒で肛門を嬲られただけでこれだ。
 このまま送卵管で膣内や子宮内を克明に、詳細に、執拗にまさぐられれば、本当に「狂って」しまうかもしれない。

<蟲野郎に味見された女は、二度と人間の男と一緒にゃなれねぇ>

 あの男の言葉が、ティファニアの呆けた脳裏に蘇る。

<一度味見された女は、蟲野郎のそばでしか生きられねぇ体になるっていうぜ?>

 それは、きっと真実だろう。
 なぜなら今のティファニアならば、それを完全に理解出来るからだ。確かに、こんな状態で―尻穴を犯されたまま1時間から2時間もかけて執拗に胎内をまさぐられれば、二度と人間の男に抱かれようなどとは思わないだろう。
 人間の男性体のペニスなど、おもちゃに等しいからだ。
【義姉さん……大丈夫?続ける?】
「……は……はひっ……つづけ……てぇ……」
 今や、ティファニアの口調は完全に甘えたものとなっていた。たっぷりとして重たい乳房を愛しい人の硬質な外殻に擦り付け、硬く勃起した乳首を“くにくに”と嬲った。いつしか、重たくて豊満な乳房から外れた彼の前肢は、崩れ落ちそうになる彼女の体を支え、尻肉と陰核を嬲っていた副肢は彼女の太腿を持ち上げていた。
「……ぁ……あ……」
 それは、ひどく不恰好な姿だった。
 彼に支えられながらしがみつき、ティファニアは空中で両脚を大きく蟹股のように広げさせられていたのだ。
 太腿で留まり、両脚を繋ぎとめていた下着はどこにいったのか?
 それは、いつの間にか左足の足首で、所在無げにぶら下がってゆらゆらと揺れていた。
【じゃあ、いくよ?】
 涙と鼻水と涎と……ありとあらゆる体液で顔をぐちゃぐちゃにしたティファニアは、義姉らしい毅然とした態度もプライドも捨てて、ただ愛しい人から与えられる快楽を甘受するだけの一人のオンナになって“こくこく”と頷いた。
 シグフィスの腹の先端の、肉筒の黒鞘とは別のピンク色をした管がするすると伸び、まるでソレそのものが一匹の生物かのように「入り口」を求め、身を震わせるティファニアの陰部を撫で回す。
 太さは肉筒の半分も無い。
 細く、そして長かった。
 半透明であることが、クラゲやヒドラなどが持つ捕食用の触手を思わせる。
「……ぅ……んっ……んっ……」
 やがて管は、充血した大陰唇の狭間、てらてらと濡れ光る小陰唇を掻き分けるようにして、隠されながらも“くぱぁ”と広がった膣口を発見すると、“ぐっ……ぐっ……ぐっ……”と内部へと潜り込み、そしてその後は何の躊躇いも無く“にゅるるる……”と胎内へと入り込んでいった。
「……ぅあう……うっ……うっ……うっ……うぁっ……うっ……」
 “するする”と、驚くほど長い筒が、あっという間にティファニアの膣口へと消えてゆく。
 膣口から外子宮口まではせいぜい10センチといったところだろう。だのに、もう30センチくらいは胎内へと送り込まれてしまったように見える。
 ひくひくと収縮する尻穴には、まだ肉筒が入り込み、「シロップ」は出さないまま“ぐにぐに”と蠕動運動だけを続けていた。
 その上で、膣内に侵入され、内部からデリケートな部分を嬲られる……。
 もとより耐えられるはずも……なかった。
「あ゛あ〜〜〜……いぐっ……いぐぅの゛っ……いぐぅ……」
 泣きじゃくり、涙と涎を滴らせ、全身をピンクに染めながらまるで痙攣するかのように震わせる。
 “ずっ……ずっ……ずっ……”と、管が潜り込み、引き出され、そしてまた潜り込む。粘液にまみれた管は、一定間隔で節めいたわずかな盛り上がりがあった。例えてみるならば、段差の無い滑らかな竹のようだ。その節が、膣口を刺激し、こりこりとした膣壁を刺激する。
 逞しい男根の亀頭の傘が、いくつもいくつも連なっているのと同じだった。
 そして管は、その太さを自由に変えられるようだった。
 膣内に入った時よりも、もっとずっと細くなっている。
 子宮の中まで、入り込んでいる。
 痛覚麻痺がされていなければ、ひどい痛みを伴ったかもしれない。
 そう思えるほど、長い長い管が“ずるずる”と膣内に消えていっていた。
 それが、膣壁の摩擦でわかる。
 わかってしまった。
 そしてその知識は、ティファニアの中にあるのだ。
 「機関」で得た『セグネット』の知識では、送卵管はただ単に受精卵を子宮内に産み付けるためだけのものではない。
 『床見の儀』を行う際、肉体の健康状態から卵巣の活動状態、そして子宮壁の微細な襞の、その詳細な状態までデータとして蓄積し分析するためのセンサーの役割も担っているのだ。
 そのため子宮や膣などの内部性器が、性的興奮時における子宮収縮の際にはどのように変化するのか、内分泌液の成分はどうか、擬似胎盤の着床適応はどうか、幼体が胎内で活動した際に母体への影響はどうか、そしてその時に起こる幼体へのフィードバックはどうかなど、ありとあらゆるケースを、実際にテストしてみるだけの機能が備わっているのである。
「ぁうぉ……おぅ……ぁ……ひぃっ……」
 管から分泌される粘液が、膣壁に、子宮壁に染み込む。
 脳内麻薬が多量に分泌され、「子宮で感じる」。
 子宮内部をいじくられ、撫でられ、卵巣まで伸びた繊毛のような管の存在を感じる。
 膣内で幾重にも折り曲がるようにくねった管。その管に膣壁を擦り上げられて子宮を揺さぶられ、膣壁の一番感じる場所はゆうにおよばず、それどころか子宮口までもが嬲られて、ボルチオ性感さえもが体中を走り抜ける。
 膣全体が“ぎゅうううう……”と収縮し、その後で“ふあっ”と緩む。それが何度も繰り返される。

 その“ふあっ”とした時に感じる「幸福感」「充実感」といったら!!

「あぁっ……!……あっぁぁっ!……あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜……」
 甘い甘い幸福感と、激しいくらいのフラッシュのような快美感が、繰り返し繰り返し何度も訪れるのだ。

 もう、ダメだと思った。
 今度こそ、もうダメだと。

 意識が熱くとろけてしまった。
 身も世も無く、淫らに乱れてしまった。
 そして彼女が一番ダメだと思うのは「そうなってしまったことがたまらなく嬉しい」と感じている、自分自身の心だった。
 自分が告げたとおり、自分はもう彼のモノだと思っていた。とっくに彼だけのモノだと思っていた。
 でも、違うのだ。
 身も心も完全に彼のモノとなったのは、今この時をおいて他に無かった。
 彼さえいれば、もう他には何もいらない。
 彼が愛してくれるなら、他の人間なんて関係ない。
 どうでもいい。そんなものは、本当に取るに足らないものだ。
 そう思ってしまう、ついに「人でなくなってしまった」自分自身だったのだ。
『愛してるわ、シグ!』
 そう言いたくても言えない自分がもどかしくて、ティファニアは泣いた。
 口を開けば長く長く甘ったるい艶声しか上げられなくて、しゃくりあげるようにしながら口をぱくぱくしても「愛してる」の「愛」さえ紡げなかった。重たい乳房を“ゆさゆさ”と揺らし、びしょびしょに濡らした股間を、お尻を“くねくね”とくねらせ、太陽に透かした蜂蜜のような美しい金髪を振り乱しても、愛しい人に「愛しいのだ」と、「もう貴方しか欲しくない」と伝えられない!
 それは哀しい。
 とてもとても哀しい。
 だから、涙が溢れて止まらなかった。
 気持ち良くて、幸福で満たされ、愛される充実感に眩暈さえ感じながら、それでも尚、ティファニアは哀しくてたまらなかった。

         −つづく−
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