■感想など■

2009年11月19日

[TS]「彼氏彼女の情事の事情」〜俺達の初体験〜

■■【2】■■
 朝起きて、自分が女になっている事に気付いても、智樹は不思議とパニックにはならなかったという。
 むしろ、自分でもわからないが何だかハイな気分になり、とりあえず素っ裸になって色々とチェックしてみた……らしい。
 男性器はキレイサッパリと無くなっていて、その代わりに貝みたいな肉の切れ目が出来ているのを知り、自分で拡げたり指を入れたりしている内に体が熱くなってきて、そしてチェックしている途中で、去年の県大会で準優勝になった時の記念写真に写る篤志を見て、もう、どうしようもなくなったのだという。
「ど、どうしようもなくなったって……お前……」
「ギュッってしたくて、して欲しくって、キスしたくて、して欲しくて、おっぱい揉んだり乳首とか嘗めたり吸ったりして欲しくて、アッくんのちんちん触りたいし、なでなでしたいし、嘗めたいし、精液も飲んでみたいし、それでちんちんあそこに入れたい、入れて欲しい、中で射精してとろとろにして欲しい、それにね、あのね、赤ちゃん欲しい! チョー欲しい! アッくんの赤ちゃんが産みたいって、チョー思った!」
 息も吐かずに紅潮した顔で一気にそう巻くし立てる智樹を見ていた篤志は、ふとその様子を「あ、可愛い」と思った自分の思考回路の腐り具合いに唇を歪めた。
 早くも毒されつつあるのだろうか。
「オヤジさんとか、オフクロさんは、それ、知ってんのか?」
「それ?」
「一人息子が女になったこと」
「知ってる。一人娘もいいよねって言ってた」

 アホだ。

 息子だけでなく、相沢家は一家総アホ家族だ。
 いや、親のアホの血が純度高く智樹に凝縮したのかもしれない。
 父親は弁護士で母親は某有名薬品会社の主任研究員だったはずだ。
 ああいうエリートの知識と知能と一般常識は、大抵バランス取れていないと、篤志は思う。
「だからね、僕とエッチしよ? ううん、して下さい! ちゅーしてぎゅっしてぬるぬるにずぼずぼって入れて?」
 ふんふんと鼻息も荒く豊満な胸を押し付けてくる智樹を、篤志はぐいぐいと懸命に引き離そうとしながら途方に暮れた顔で薄暗い天井を見上げた。

 昨日の幼馴染みが今日の痴女だ。

 そこらの清純派アイドルも裸足で逃げ出すような奇跡のお嬢様風甘々ロリフェイスに、グラビアアイドル並みに均整の取れた、出るとこは思い切り出て引っ込むとは思い切り引っ込んだカラダの、信じられないくらいめちゃめちゃ可愛い女が“スキスキ光線”をあからさまにビシバシ飛ばしてセクシャル・アプローチ(と言うにはあまりにも下品だが)してきやがりますのに、なんだろうなこの萌えなさっぷりは。
 体は正直だから、髪とか体とかから立ち昇るいい匂いだとか、押し付けられる胸のやーらかさだとか、潤んで甘ったるい熱視線だとかに如実に反応して、パンツの中では息子が愚直なほど剛直な自己主張を立派にしようとしているし、それを自覚しても、いる。
『でもなぁ……』
 確かに、智樹の面影はあるものの、そうと言われなければ智樹の従姉妹で信じてしまいそうなくらい、かつての智樹からはイメージが剥離しているのだ。
 抱けと言われたら、正直、抱けなくもない。
 それに篤志自身、初めてというわけでもない。
 1年の時に、もうどうしていいかわからなくてアタフタした挙句、ゴム付ける時の刺激で出しちゃった時の童貞ではないのだ。
 サッカー部のエース・ストライカーは伊達じゃないのだ。
 抱いて欲しがる女子なんて、掃いて捨てるほどいる。
『でも……なぁ?』
 篤志は悩む。
 もう、どうしようもなく、悩む。
 なにせ、女性化した智樹は、篤志の好み直球ど真ん中ストライクなのだ。
 なのに幼馴染みで友達。
 そして元男。
 体は抱きたくても、心が抱けない。
 なんだか後ろめたい。
 抱いてしまうと、大事な何かを確実に失ってしまう気がするのだ。
 だからこそ、
『この、人生のどうしようもなさっぷりって、一体どうなんだろうな?』
 そう自問してしまう、篤志であった。
「1週間」
「へ?」
「1週間くれ。そしたら、俺も覚悟決める」
「……何の覚悟? こーんな美少女が自分からエッチしよ?って誘ってんのに、何覚悟しようっての?」
「う……そりゃ、まあ、その、なんだ」
「こんな機会はもう一生無いかもしれないんだよ? というか無いね。無い」
「おい。それは言い過」
「こんな簡単な事も決断出来ないような男が、これから女の子相手に主導権握ってエッチに持ち込めるなんてあるわけないもん」
「断言しやがったよ」
「女の僕が言うんだから間違いない」
「昨日までは男だったじゃねーか!」
「でも今は女だよ。でも、まあ、そうだよね。急過ぎたかも。じゃあ、1週間だけ待ってあげる。今度の日曜日に返事を聞かせて?」
「わ、わかった」
「いい? 今度の日曜だよ? 返事してくんないと、家の方に直接行くからね?」
「お……おう」
 これはいったい、何の罰だろうか。
「……アッくんは、こういう時、本当に弱いよね。ま、そこもいいとこなんだけど」
 智樹はやれやれと、さも仕方ないと言いたげに溜息を吐くと、篤志が拍子抜けしてしまうほどあっさりと手を解いて身を引いた。

 熱気で蒸した遊具の中から這い出し、背筋を伸ばす。
 同じように伸びをした智樹の胸元から「ブチッ」という異様な音がして視線を向ければ、パッツンパッツンに張り詰めた胸元でボタンが弾け飛んでシャツが全開になり、豊満なおっぱいがタンクトップからこぼれそうになっていた。
「ありゃりゃ」
 “ありゃりゃ”じぇねぇ。
 第2ボタンと第3ボタンが同時に弾け飛ぶって、いったいどんなおっぱいだ。
 目を丸くしたまま注視していた篤志に、智樹はニコニコしながら言った。
「揉む?」
「同じこと言わせんな。アホ」
 天下の往来で女の胸を揉んだら、それこそ公然猥褻罪でとっつかまる。
 ちょっとだけもったいないとか思ったが、篤志はまだ前科者になるつもりはなかった。

         §         §         §

 それからは、怒涛の1日だった。
 女になった智樹は男子の制服のまま登校し、その凶悪なほど大きく突き出したパッツンパッツンの胸を揺らしながら、驚いて声も出ない教師とクラスメイトの前で
「え〜〜…相沢智樹です。なんだかわかんないけど、朝起きたら女になってました」
 そう言って“あはは”と笑ったのだった。
 教師によって職員室に引っ張っていかれた智樹は、保護者に連絡を取った教師によって相沢智樹本人だと確認されると、同時に、病院その他のしかるべき機関への報告等を厳重に禁止した挙句、校長に、弁護士である父親が書いた法的行使力のある誓約書へサインさせたらしい。
 「らしい」というのは、それら全ては後から聞いた事で、その時の篤志はといえば自習となった教室で男女問わずクラスメイトの質問攻めにあっており、とにかくこの状況から如何にして脱出を図るかという事ばかり考えていたからである。
 その後、パンツがぬるぬるに濡れたから換えてきたと大きな声で報告してくれやがった智樹を放置してサッカー部の部室で頭を冷やしてきた篤志は、帰ってきたら既に「僕は篤志のモノ」という不穏当な発言が物議を醸している教室へは入るに入れず、結局、1時間目は屋上のキツい日差しを遮る給水塔の影で、温められたコンクリーツが発する熱気にやられながら平穏を貪ったのだった。


 当然、2時間目が始まる直前に教師と共に教室へ入り、授業が終わると今度は教師が出ると同時に脱兎の如く逃げ出した。
 3時間目は体育の授業で水泳で担任の担当教科で、つまるところサボりたくないしサボれないと思っていたけど、こうなったらサボろうと思った。
 当然だ。
 無理だ。
 限界だ。
 篤志はそう思った。

 でもバレてた。

 さすが幼馴染みだ。サッカー部でも息のあったツートップだっただけのことはある。
 いや、そんなことはいい。
 緊急事態だった。
 屋上の給水塔の影で「やれやれ」と休んでいると、長らく平穏だった高校生活を気前良くブチ壊してくれやがった元凶が、あけっぴろげにニコニコしながらやってきて、「暑いね」と言いながら目の前でシャツを無造作に、無防備に、ひょっとしたら計画的に、スパッと脱いだのだった。
 逃げられなかった。
 体が固まっていた。
 違うところも固まっていた。
 当然だ。
 健康な高校男子だもの。
 シャツから出てきたのは小玉スイカほどもありそうな、圧倒的な質量で迫ってくる乳肉だった。しかも、白いタンクトップは汗が染み込んでほんのり透け、うっすらと乳首が透けている。
 しかもピン立ちしていやがった。
「僕もお邪魔しよ〜っと」
 呆けている篤志の顔を覗き込むようにしながら、ニコニコと満面の笑みを浮かべて智樹が前傾する。
 体を前に倒しているためにノーブラの乳房がタンクトップを引っ張って、圧倒的な質量で迫っていた乳肉が暴力的なまでの質量に見えた。
「うあ……あ、う」
 馬鹿みたいだ。
 篤志は自分でもそう思った。
 でも、言葉が出ないのだ。
 目の前を、細い体にはどうにも不釣合いな『完熟乳房』が、ゆらゆらと揺れながら通り過ぎる。
 気付いた時には、ほっそりとした体躯に凶悪な重量をぶら下げて、智樹は篤志の隣にころんと横になっていた。
「ちょっと涼しいね」
 “ゆさり”と揺れた布地の下の『完熟果実』は、智樹の動きで容易くその形を変え、心もとないほどの胸郭の上で“ゆらゆら”と、揺れ動いた。
 深い谷間に汗が浮かんで艶かしく光っていた。
 まずい。
 罠だ。
 咄嗟にそう思い起き上がろうとしたその腕を、逃がすものかとばかりに掴まれ、胸に抱え込まれた。

 やーらかい。

 篤志の脳はそれだけしか思考を浮かばせなかった。

 ダメだ。   なんだこれ。
   やーらか過ぎる。
      こんなにデカいおっぱいした女子、この学校にはいねぇ。
 触りてぇ。    触っていいのか?
   いいよな?      いいって言ってたもんな?
 いやダメだろ。    コイツは智樹だ。

       でも女だぞ?

 それらの思考は言葉にならない混沌として、胃の腑を通り過ぎて股間に血液と共にドクドクと集中した。
 智樹が身じろぎすると腕を挟み込んだおっぱいが“むにゅむにゅ”と形を変える。
 コリコリしたものが当たったけど、これはアレか? 乳首か? 勃起してんのか?
 篤志は知らず、ゴクリと喉を鳴らした。
「いいよ?」
 砂糖をまぶしたかのような甘ったるい声音に“ギギギ”と首を巡らせれば、智樹が悪戯っぽい笑みを瞳に浮かべて、艶やかな唇をうっすらと開いていた。
 その唇が、言葉を紡ぐ。
 声を出さずに。
 ひそやかに。

『さわって、いいよ?』

 意気地なしと罵りたければ罵ればいい。
 篤志はその瞬間、自分でも驚くくらいの俊敏さで腕を引き抜いて身を起こし、1メートルは飛び退り、くるりと180度身を翻して脱兎の如く駆け出していた。
 やばい。

 やばい。
 やばい。
 やばい。
 やばい。
 やばい。


 やばいッ!!


 屋上と屋内を隔てるドアを開き、階段を駆け下り、廊下を歩く人の間を一陣の風が吹き抜けるように走り抜け、男子トイレの個室に逃げ込んだ。
 そう。
 逃げ込んだのだ。

『ギュッってしたくて、して欲しくって、キスしたくて、して欲しくて、おっぱい揉んだり乳首とか嘗めたり吸ったりして欲しくて、アッくんのちんちん触りたいし、なでなでしたいし、嘗めたいし、精液も飲んでみたいし、それでちんちんあそこに入れたい、入れて欲しい、中で射精してとろとろにして欲しい、それにね、あのね、赤ちゃん欲しい! チョー欲しい! アッくんの赤ちゃんが産みたいって、チョー思った!』

 今朝の智樹の、凶悪に甘ったるい受胎願望のカタマリみたいな言葉が頭を揺さぶる。
 目の前に横たわった、あの極上の肉体。
 自分の事を欲して心の底から求めているとろとろにとろけた肉体。
 抱いて嘗めてしゃぶって突っ込んで欲しくて自分を求めて求めて求めて求めて潤みきってたあの肉体。
『節操無しめ』
 洋式便座に座り込み、股間でギンギンに硬くなった分身を見下ろして、篤志は泣きたくなっていた。
『あ〜〜〜……なげぇ1週間になりそうだなぁ……』
 迷っている自分が馬鹿らしくなるような、まさに甘露を体現したあの肉体に、篤志はたった一日で……いや、数時間で篭絡され始めていたのだった。
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