■感想など■

2009年11月25日

[TS]「彼氏彼女の情事の事情」〜俺達の初体験〜

■■【8】■■
 日曜日の自宅のリビングで、篤志は1人、Tシャツと短パンのままソファに身を預けながらぼんやりとテレビを見ていた。
 目の前のガラステーブルには、すっかり氷の融けてしまったアイスカフェ・オレのグラスが、ひどく汗をかきながら一口も飲まれないまま立ち竦んでいる。
 壁の時計を見れば、短針と長針があと少しで12時を指そうとしている。
 正午だ。
 智樹に返事をしないといけない。
 そう思いながらも、ズルズルとこんな時間まで無為に過ごしてしまった。

         §         §         §

 あの後。

 金曜日の朝の、あの後。
 工事の人達が現場にやってきた声が聞こえなかったら、間違いなく篤志はあの場所で智樹を押し倒していただろう。
 フェラのあまりの気持ち良さに罪悪感とか背徳感とか、そういう常識的なものがことごとく砕かれて、手にしたおっぱいの大きさとか重さとかやーらかさとか、そういうもので頭がいっぱいになって、しかもそれが自分のモノなんだと、恋する潤んだ瞳の相手から甘い声で囁かれたら、健康で常識的な高校男子だろうとも狂ってしまうというものだ。

 ――確かに自分はおっぱいが好きだ。

 篤志は思う。
 おっぱいが好きで巨乳が好きで、見るのも触るのも大好きだ。
 今まで付き合った彼女は3人で、体の関係にまで至ったのは5人だった。残念ながら付き合った彼女の中で体の関係にまで至ったのは1人しかおらず、他の4人はその場限りの体の関係というやつだった。
 そこに心は無い。
 少なからずこちらも好意を抱き付き合った彼女は、一人目からBカップ、AAカップ、Cカップという、巨乳とは対極の女の子だった(Cカップは篤志の中では巨乳カテゴリには分類されないらしい)。ところが体で繋がった女の子は、先のCカップちゃん彼女の他は、Eカップ、Fカップ、Eカップ、Gカップという、堂々たる巨乳ちゃんばかり。
 心を取れば乳が無く、乳を取れば体が無い。
 そんな感じ。
 ところがそこに、心も乳もある女が現れた。
 お互いに、ちょっとした視線や呼吸で相手が何を考えているか、何を求めているか、手に取るようにわかる。
 本当に嫌なことやして欲しくない事は絶対にせず、いつも自分の意を汲み取って先を行ってくれる。
 最高の女房役で、最高のパートナー。

 だが、「男」。

 元は、「男」。

 その元男の色香に絡め取られ、いつ誰が来るとも知れぬ場所で分身を嘗められ、しゃぶられ、その可憐な唇を精で汚してしまった。
 拒否出来たはずなのに、出来なかった。
 冷静となった今では、それがひどく恥ずかしい。


 篤志は工事現場から智樹の手を引いて逃げ出した後、真っ直ぐ学校に向かってホームルームギリギリに教室へと滑り込んだ。
 その間、智樹は一言も話さなかった。
 どこかふらふらとして、顔を火照らせ、うっとりとした眼差しで篤志の横顔ばかり見ていた。
 それはもう完全な、どうしようもないほど恋に溺れたオンナの眼差しだった。
 それが智樹の可愛らしさ、可憐さ、色っぽさに拍車をかけていたことは否めない。
 四日間でアップした“美少女力(びしょうじょ・りょく)”が、朝の出来事でMAXまで上がって限界数値を突破しやがったようだ。
 そして彼ら2人が教室に入った途端、誰もが思った。

 ――やったな。

 男子は驚きやら悔しさやらの入り混じった複雑で滑稽な表情を浮かべ、女子は驚きや嫉妬や好奇心の入り混じった、まるで妹か手のかかる子供にするような表情を浮べていた。つまりは男子は「上手いことやりやがってコンチクチョウ。さっそくヤリまくりのハメまくりかよ」であり、女子は「あ〜あ、先を越されちゃった。まあいいわ。ともかくもようやく引っ付いたってワケね」であった。
 ほっとけ余計なお世話だ。
 目に力を込めて睥睨したら、男子の集団から握り拳に親指立ててアニキな笑顔で力強く頷かれた。
 だれがGJか。ブッ殺すぞてめぇら。
 当然の事ながら篤志のそのメッセージはこれっぽっちも伝わらなかったが。

         §         §         §

 短いホームルームを済ませて体育館に移動し、眠たくなるような終業式を滞りなく終えると、篤志は夏休み中の部活動を控えて部室に顔を出した。
 意外だったのはいつも付いてこようとしていた智樹が、今回に限って先に帰ってしまった事だ。
 拍子抜けした。
 そして、ちょっとだけ残念に思った。
 篤志の脳には、すっかり朝のフェラの気持ち良さが刻み込まれてしまっていたのだ。
 思春期の高校男子の欲望と身勝手さと精神年齢の低さが、「フェラくらいならもう一度してもらえるかも」と小狡(ずる)い思いを抱いていたとしても、誰が責められようか。

 そうして1人で帰宅した篤志は、夜に一通のメールを受け取った。

『日曜日の正午ね』

 それだけだ。

 それだけだったが、それの示す意味は明白だった。
 「日曜日の正午までに返事を聞かせて欲しい」
 そういう事なのだろう。
 篤志はそう思った。
 でも、まだ逡巡していた。
 躊躇っていた。

 ――智樹を抱きたい。

 それがもう、自分でも誤魔化せない本心なのだと気付いてしまったからだった。
 だからこそ逆に理性は迷走していた。

 ――俺は本当に智樹を抱いていいのか?

 篤志は、ずっとそう自問していたのだった。

         §         §         §

 結局、土曜日は智樹から一度もメールは来なかったし、電話も無ければ姿を見せる事もなかった。
 自分から連絡するのはなんだかシャクで、篤志は当然のようにメールも電話もせず、当然のように会いに行こうなどと思わなかった。
 こうなったら意地の張り合いだ。
 負けるかチクショウ。
 そんな気分だった。
 智樹の事だから、日曜の返事が待てなくて土曜日にもやってくるに違いない――と、心の隅で思っていた自分を見つけてしまった反動だった。
 なんて恥ずかしい。
 ただそれが余計な飢餓感を煽ってしまったのか、篤志は土曜日の一日中、気が付けばものすごくいやらしい妄想がムクムクと頭をもたげてきてものすごく困った。

  あの時のフェラの感覚。
  智樹の嬉しそうな表情や仕草や視線。
  舌の動きや口内の湿った感じとか。
  “くちゅくちゅ”“ぴちゃぴちゃ”などの粘液質な水音。
  手に感じたおっぱいの重みとかあたたかさとかやわらかさとか。
  指先に感じた乳暈と乳首の勃起した硬さとか熱さとか。
  嘗めたい。
  吸いたい。
  舌で硬く尖った乳首を“くりくり”と弄くったら、智樹は喜ぶだろうか。
  それよりも、あのおっぱいで挟んで扱いてもらえたら最高じゃないだろうか。

  ――パイズリ。

  そう、パイズリだ。
  智樹のあのぽよぽよのおっぱいはGカップの清美よりも大きかった気がする。
  Hカップだろうか?
  それともIカップ???
  まさかそれ以上……??
  なんてことだ。
  それは未知の領域じゃないか。
  人類に残された最後のフォロンティアは是非とも踏破せねば。
  アレを挟んだら、すっぽりと隠れてしまわないだろうか?
  というか、もしバックで突きまくったらどんだけ揺れるんだ?

 そんないやらしい想像ばっかりだ。
 朝飯食った後で、「気付いたら勃起してた」なんて体験はそうそうあるものじゃない。テレビを見てても頭の中は智樹をどんな風に「犯すか」というシミュレーションで満ちていたのだ。
 それがどんどん加速した。

 11時を過ぎる頃にはもう、智樹を「抱くか抱かないか」の問題はとうに過ぎていた。

 今もう、幼馴染みで男だった智樹を「どんな風に抱くか」と問題が摩り替わっている。

 智樹に正面から覆いかぶさって、そのまま正常位で突きまくる。
 智樹に跨らせ、騎乗位で腰を前後に振りながら揺れまくるおっぱいを揉む。
 智樹に跨らせ、騎乗位で上体倒して密着したたまま腰を突き上げて中出しする。
 智樹をにうつ伏せにし、寝そべりながらバックで挿入して中出しする。
 智樹に壁へ手をつかせ、バックから突きまくりながらがっつりと腰を掴んで中出しする。
 智樹を服を脱がせないまま立たせ、服の中に手入れておっぱい揉みながら突き上げる。
 智樹と対面座位でキスしながらおっぱいを揉みまくり乳首を吸いながら中出しする。

 そんなシミュレートばかりだ。
 もしそれが智樹の作戦であったら、篤志はまんまとその策略にハマった事になる。
 それまで毎日のように過剰なセクシャル・アプローチを繰り返しておこいながら、土曜日には全く連絡を取らないことで、逆に篤志に智樹の事しか考えられなくしたのだから。


 そんな風に、青い春と書いて青春真っ只中の思春期エロ・ボーイ妄想でぼんやりとしていたら、11時頃、母親が買い物に行くと言い出した。
 ので、適当に返事をしておいた。どうせ篤志と自分しかいないから適当に惣菜でも買ってくるつもりなのだろう。
 父親はいつものように休日出勤で朝からいない。
 頭打ちでそれ以上は上に行けない、行く予定の無い営業部課長といえども、会社全体の業績が芳しくなければイヤだとも言ってられないのだろう。中年営業マンのくせに趣味ではパチンコもゴルフもやらない父親だったが、映画だけは小さい頃から和洋関係無く良く連れて行ってもらったものだ。
 実は、今日も封切られたばかりのマイナーSF映画を父親と見に行く予定だったのだが、ポッカリと空いてしまった形となる。
 高校生にもなって親と映画に行くことを篤志は別に恥ずかしいと思ったことは無いが、小さな劇場のマニアックな単館上映作品を一緒に見てくれる友人も、ましてや恋人もいない状態では他に選択肢が無いのだから仕方ない。それに少ない小遣いをやりくりする身としては、親の奢りというのはひどく魅力的なものなのだ。
 TVでは、さして面白くも無いお笑いピン芸人の必死過ぎる顔が暑苦しくも右往左往している。
 天気は上々。
 クーラーは快適。
 目の前のガラステーブルの上には、氷が完全に溶けて薄まり、飲む気を削ぐアイスカフェ・オレのグラス。
 時刻は11時59分。
 そろそろ智樹に電話しなくてはいけない。
 重い腰を上げ、ケータイのボタンを押そうとした、丁度そのタイミングで。

 玄関のチャイムが鳴った。
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