■感想など■

2009年12月01日

[TS]「彼氏彼女の情事の事情」〜俺達の初体験〜

■■【14】■■
 散々、唇と舌と指でいぢめ続け、揺らし、嘗め、吸い、弄りまくった智樹の身体は、全身がピンク色に紅潮し、うっすらと汗を纏って、まるでアルコールに泥酔したかのようだった。顔は“とろ〜ん”ととろけ、瞳は涙で“うるうる”に潤んでいる。揉み込んだおっぱいは赤く染まり、内腿にはいくつものキスマーク、あそこはもう滴る蜜液で洪水のようだ。
 セックスする前に、もうセックスしたような「出来上がり」っぷりだった。
「トモ……お前、ちょっと感じ過ぎじゃねぇ?」
「……んぅ…??」
 意識が朦朧としているのか、智樹は目を瞑って自分の股間に手をやった。
 目を閉じた拍子に涙が“ぽろっ”とこぼれ、篤志は自分がまるで智樹を無理矢理強姦したような、錯覚じみた、妙な罪悪感を覚えた。
「……すごい……」
 吐息のように智樹が言う。
 “くちゅくちゅ”と智樹の股間から音がする。
 クーラーが効いているはずなのに、“もあっ”とした熱と性臭でむせ返りそうだ。
 時計を見れば、12時55分を過ぎている。
 智樹がやってきたのが12時ジャストだとして、この部屋に入った時には既に20分を過ぎていたから、それから考えても、少なく見積もってたっぷり10分以上も『彼女』の身体……特におっぱいとあそこを重点的に弄りまくってた事になる。
 前戯としては十分だろう。
『俺もそろそろ限界だしな』
 玄関先で1回発射しているとはいえ、健康優良高校男子がそれごときで萎えるわけもない。現に今も先端から“ぬるぬる”の先走りを滴らせ、天を衝くように“ビキビキ”に己を誇示している。
 あそこどころか全身が“とろんとろん”の“てろんてろん”にとろけた今の智樹なら、痛みなど感じないかもしれない。
 篤志は閉じかけた智樹の両脚を膝で折り曲げて大きく開かせ、M字になったその起点を“くぱぁ”と開いた。
 左手で脚をまとめて持ち、右手の中指には一応、唾液をたっぷりとまぶして、その中へとゆっくりと沈めていく。
「……ふあっあぁぁ〜〜〜〜……」
 “ぬるっぬるっぬるっ”と、進退を小刻みに繰り返しながら膣口を押し広げ、中指が第二関節まで挿し込まれていった。
「アッくん……アッくんアッくん……アッくぅん……」
 身体の中に男の指の侵入を許しながら、智樹が泣き出しそうな声を上げてしゃくりあげた。
「お前、処女膜ってあるのか?」
「しっ……知らない……知らないよぉ……」
 “ちゅぷちゅぷちゅぷちゅぷ”と、たっぷりと湿った蜜口の中で、篤志の指が繊細な襞壁や括約筋の“こりこり”した感触を確かめるように蠢く。
 そうしながら親指でクリトリスを捏ね回すのだ。
「死んじゃう……死んじゃうよぉ……」
 涙がポロポロとこぼれる。
 いやいやと首を振り、智樹がしゃくりあげるようにして訴えた。
 “ちゅるん”と指を抜けば、少し泡立って白濁した粘液が、指先に“べっとり”とこびり付いている。
『本気で感じてるんだな』
 今更のようにそう思い、篤志は智樹の大きく開いた股間に身体を割り入れると、自分の太腿に智樹の太腿を乗せ、“ぐいっ”と腰を進める。そうして赤黒く濡れ光る、ゴムのような質感の先端を、智樹の股間の亀裂に当てた。
「あっ……」
 智樹が怯えたように首を竦め、胸の前で腕を交差させた。
 だが、すぐに“はっ”としたように目を開き、嬉しそうにとろけるような微笑みを浮べた。
「……やっと、してくれるの? ちんちん入れてくれるの? 奥までちゃんと入れてね? 奥でどぴゅって中出ししてね? 僕のお腹、アッくんの精液でいっぱいにしてね?」
「トモ。怖いか?」
 静かに言った篤志の言葉に、智樹の口元が一瞬だけ“ぴくっ”と引き攣った。
 それはほんのわずかな動きだったが、それを篤志は見逃したりしなかった。
「なんのこと?」
「無理しなくていいぞ?」
「無理なんて」
「何年一緒にいると思ってんだ?」
「ビビッときたの?」
「……ああ、ビビッときた」
 篤志は苦笑して、挿入しないまま上体を倒し、智樹に覆いかぶさった。
 目の前数センチのところに、濡れてキラキラと光るぱっちりとした瞳があった。
「怖いのは……俺も同じだ。ここまでやっといてなんだけど、お前を抱いたら、もう、前みたいな関係には戻れない。お前が女のままでも、もし」
「男に戻って……も?」
「ああ。戻れない」
 篤志の言葉に、智樹は“んふ”と小さく吐息を吐くと、右手を篤志の頬に寄せて中指でその輪郭を“つう”となぞった。
「トモ?」
「わかってるよ。でもいいの。僕はアッくんとえっちしたい。アッっくんと一つになりたい。これは理屈じゃないの。後の事はいいの。どうなったっていい。今、ここにいるこの僕が、この僕の体が叫んでるの。泣いてるの。アッくんが欲しいって。……そりゃ、男とえっちするのなんか初めてだし、そんな大きいのが僕の中に入るとか考えたらちょっとだけビビッたけど、それよりもっともっともっと、アッくんを感じたいって思ったのはほんとう。アッくんに抱かれたいって思ったのはほんとう。だから怖くても怖くないの」
「なんか……すげぇな」
「なにが?」
「俺がもしお前だったら、ソッコー裸足で逃げてる」
「ひどい」
 思わず二人して“ぷふっ”と吹き出し、そのまま口付けた。
 ひとしきり互いの体温を、吐息を、味や香りを堪能した後、長い長い交歓を経て、ようやく一息吐いて、智樹は再び言葉を紡いだ。
「たぶん僕は、アッくんに愛されるために女になったんだよ。そうじゃないとしても、今はそうだと思ってる。一週間前の月曜日の朝、女になってた時にはもう、僕はアッくんとえっちするのが当たり前だって思ってた。だってアッくんの事考えただけで、体がかぁってなって、あそこがぬるぬるになったもん。これって体がアッくんを迎えたいって、中に入れたいって思ったってことでしょ? 前にも言ったと思うけど大事なことだから何度でも言うね? 僕はアッくんのモノだよ? 僕の全部は、アッくんのモノだよ? おっぱいもあそこも、全部ぜんぶ、アッくんだけのモノだよ? おっぱいは、アッくんに揉んだり嘗めたり吸ったりして欲しいから大きくなったし、あそこはアッくんに嘗めたり吸ったりちんちん入れてズボズボしてたっぷりどぴゅどぴゅして欲しいからアッくんの事考えたらすぐ濡れちゃうの」
 今も、とろとろにとろけた智樹のあそこが、篤志の分身を早く迎え入れたくて“きゅんきゅん”していた。
 それを知りながら篤志は先走りを滴らせる分身の先端と、智樹の潤みきったあそこを“ちゅっちゅっちゅっ”とキスさせ続けている。

 非道だった。

 極悪だ。

 どうやら篤志は根っからのサディストみたいだった。
 智樹の手が『ぎゅうううぅ』と篤志の二の腕を握り、ちょっと爪を立てる。
「いっ、いつまでっ、しっ、してるっ、のっ!? のっ?」
「もういいのか?」
 智樹はポロポロと涙をこぼしながら、懸命に“こくこくこくっ”と頷いてみせた。
「俺も、もう限界でさ――入れてすぐにイッちゃったら、ゴメンな?」
 みっともないとは思うものの、言っておいた方がいいとも思った篤志がそう白状すると、智樹は何も言わず
「――――ッ!!!――」
 口を半開きにしたまま、硬直した。
 分身の先端、つるりとした質感の亀頭が、智樹の膣口をくぐったのだ。
 指一本であればさしたる抵抗も無く入ったのだが、それが硬く太く猛った分身であれば話は別らしい。
「キツ……」
 こんな時だというのに、智樹のあの馬鹿な言葉が篤志の頭に浮かぶ。

『自分で言うのもなんだけど、僕のあそこって、たぶん凄く締まりがいいと思うんだ。サッカーしてた影響なのか括約筋のキレもいいし、骨盤小さいし、それに何よりピカピカの処女だし!』

 処女であるとか無いとかいう以前に、そもそも膣道が狭いのだろう。
 亀頭がようやく入った時点で、智樹といえばまるで酸欠に喘ぐ池の鯉のように、声も無く口をパクパクさせていた。
『いだーーーーーーーーーーーッ!!!』
 心の中では盛大な悲鳴を上げている智樹は、それでも必死にその声を抑えている。

 ――正直、ナメてました。

 女になってその日の内に自分でも指を入れてみたし、さっきだって篤志の指は痛くなかった。いや、痛くなかったどころではなく、チョー気持ち良かった。そのまま天国に往っちゃうんじゃないかと思った。自分でするのと愛しい人にしてもらうのとではここまで違うのかと女体の神秘に自分の事ながら驚いた。だから、ちょっとは痛いかなーー?とは思ったものの、むしろすぐに気持ちよくなるものだと思っていたのだ。
 だってほら、えっちな漫画とかアダルトビデオとかって、大体そうじゃない?
 そんな気分だった。
 ところが、現実はどうだ。
 背中の筋肉が緊張して突っ張り、太腿も張り詰めた。“ぐぐっ”と押し込まれた拳骨くらいありそうな(あくまで智樹の体感で、の話だ)篤志のちんちんの先端に、体があそこを中心にして“べりべり”“ぶちぶち”と裂け分かれていっているとしか思えないほどの痛みだった。男が女になるなんてのは『ファンタジー』でしかないのだから、『ファンタジー』なら『ファンタジー』らしく、ちんちんなんか“するっ”と入って、あっという間に何もかも分からなくなるくらい気持ち良くなるべきなのに。
「トモ、力抜いてくれ」
 そんな風に篤志は苦しそうな息の下から言うけれど、智樹にはそんな余裕など全く無かった。息が止まり腹筋が引き攣り、しゃくり上げるようにしてようやく息をした。大きく開いた太腿の起点に真っ赤に焼けた火箸を挿し込まれたような気がした。
 あそこから焼けていく。
 焼けて爛れて、そして裂けていく。
 そんなイメージばかりが智樹の意識を塗り潰していった。
「いだだだだ」
 そして篤志は……と言えば、激しい痛みに今にものたうち回りそうだった。
 智樹の両手が篤志の二の腕に爪を立て、勢い良く“バリリッ”と、まるでジーンズに飼い猫がするかのように、それはそれは盛大に爪を立て、引っ掻いたのだ。そのため両腕の皮膚が裂けて肉が抉れ、みるみるうちに“ぷつぷつ”と血玉が盛り上がる。
 流血だ。
 とんでもない。
 「処女」を相手にして、破瓜(?)するより真っ先に自分が流血するとは。
「トモ、ちょっ……手、離し……」
 悲鳴じみた色の混じる声音で訴えるも、智樹はいやいやと首を振るばかりで手の力を弛めてはくれない。
 篤志は途方に暮れて、とうとう腰を引いた。
「……どうした……の……?」
 なのにこの「お嬢様」は涙のいっぱいに溜まった瞳で不思議そうに見上げてくるのだ。
 泣きたくなるのはこっちだった。
 篤志は嘆息して智樹から身を起こした。
 見下ろせば、亀頭まで侵入を果たしながらなぜ本懐を遂げないのだとばかりに、分身が剛直を絵に描いたような猛々しさで天を衝いている。
 智樹の蜜液と交じり合った先走りが、玉袋まで滴って、そのままシーツに“ぽっ……ぽっ……”とシミを作り出していた。
「無理なら、今日はも「やだー!」めと……」

 ……かぶっていた。

 即答どころの話ではない。
 智樹は篤志が何を言うか最初から分かってでもいたかのようだった。
 いや、分かっていたに違いない。
 そういうタイミングだった。
 見事に「もう、やめ」のところがかき消されていた。
「やだーじゃねぇ」
「どうしてやめるのぉ? ねぇ入れてよぉ。中に入れてぇ? ずっと奥まで中にぃ……」
 どこかで聞いたような台詞と共に、素裸の智樹が“くねくね”とその白い体をくねらせる。
 それと共に、いろんなところが“ぷるんぷるん”“たっぷんたっぷん”“ぷりんぷりん”と、揺れたり跳ねたり震えたりと、それはもう大変な事になっていた。そんな、HともIとも知れない巨大な椰子の実爆弾乳房(メガトンおっぱい)が細身の体の上で揺れ動く図は、まさに壮観と言えたが、篤志は「くっ」と下唇を噛んで、あえて目を逸らす。
 ここで甘い顔をしたら、今後智樹はつけあがる。
 なんだかわからないけれどそう思った篤志は、自分でも自覚の無いままに馬鹿っぽかった。
 智樹の影響かもしれない。
 大発見だ。

 ――馬鹿は感染(うつ)るらしい。

「痛いのはわかるが、ちっとは我慢してくれないと、もうこれ以上は出来ないぞ?」
「……我慢してるよ?」
「見ろよコレ。血だらけだぜ?」
「男の勲章じゃない?」
 一週間前まで男だった女に、男に抱かれる痛みくらい覚悟くらいしておけと言うのも酷だとは思うが、この言い草はあんまりだと篤志は思った。
「何も、今日しなきゃいけないって事は無いんだし」
「今日じゃなくちゃダメ」
「なんでだよ」
「だって夏休みだよ?」
 さも心外そうに言う智樹の台詞は、篤志の理解を超えていた。
 ……というか、ちょっと斜め上だったので“ぽかん”としてしまった。
 何が言いたいのだコイツは。
 そういう気持ちだ。
「だから?」
「夏は男も女も解放的になるでしょ? 特にアッくんは野獣だからせめて体でメロメロにして繋ぎとめておかないと、すぐ他の女の子のところに行っちゃいそうだもん」
「誰が野獣だコラ」
「夏休みの間、ずっと僕とエッチ出来たら嬉しくない?」
 智樹のその言葉に、篤志は「うっ」と言葉に詰まって自分の眼下で揺れ動く極上の完熟おっぱいへと視線を落とした。
 しっとりもちもちだ。
 もともとおっぱいは触っているだけでキモチイイものだが、智樹のおっぱいはすごかった。
 なにしろ“しっとり”で“もちもち”なものだから、“しっとりもちもち”で“ぷるんぷるん”の“たぷんたぷん”なのだ。
 世のオッパイスキーなら大金を積んでもいいと思えるくらいだろう、至高の熟れ熟れおっぱいなのだ。
 篤志は頭の中を「おっぱい」でいっぱいにしながら“ごくり”と喉を鳴らした。

 ――想像してしまったのだ。

 夏休み。
 部活の無い日。
 この部屋で。
 智樹の部屋で。
 学校の人気の無い教室で。

 この豊満なおっぱいやあそこを好きなだけ自由にする――――。

 しっとりもちもちなおっぱいを好きなだけ揉んだり嘗めたり吸ったりしゃぶったりしながら、たっぷりと濡れたあそこに分身を挿し込んで思うさま出しまくる――。

「想像した?」
「……ちょっとな」
 うそだ。
 めちゃめちゃ想像した。
 その証拠にアレな分身が益々アレだ。
 野獣だ。
「そのためには、ちゃんと今日から僕をしっかりアッくんで“染めて”くれないと」
「なんでそんなに急ぐんだ?」
「……うーんとね。僕は小さい頃からアッくんが毎日、日が沈んで真っ暗になるまで公園でリフティングの練習してたのを知ってるし、レギュラーになるために丘公園に上る神名坂を毎日ダッシュで駆け上がってたのも知ってる。体力作りの筋トレも誰が見てるわけでもないのにサボらずきちんとしてるし、あと、後輩にも優しいし面倒見もいいし、不器用だけど女の子にもちゃんと真面目だし」
「お、おい」
 智樹はそこまで言うと、起き上がって篤志の体に両手を絡め、そして引き寄せるようにして再び彼ごと自らベッドへと身を横たえた。
「そういう記憶の存在が、女の本能みたいなものに働き掛けて『今ちゃんと捕まえておかないと後悔するぞ』って囁いてるんだ」
「本能か」
「うん。本能」
「なんか……怖いな」
「あ、ひっどぉい」
「違う。俺は……お前が思ってるより、たぶん、ずっと、くだらない人間なんだよ。だからお前にそんな風に」
 言葉は途中で、智樹の情熱的な熱い口付けで遮られた。
「ぷあっ! ト、トモ……」
「アッくんって、サッカーは上手いけど別にイケメンじゃないよね」
「ブッ――なんだよそれ」
 吹いた。
 篤志は女の子(元男だが)に正面から「三枚目だ」と言われたのは初めてだったのだ。
 仮にもサッカー部のエースなのだ。
 いや、仮じゃなくて本当にそうなんだけど。
「でも、一緒にいるとすっごく幸せな気持ちになるし、ドキドキするし、エッチな気持ちにもなる。『可愛い』って言われたらって、そう思っただけで頭がぼーっとなるし、昨日だってアッくんのためだけに可愛い服や下着を選んで迷って、一日かけてたりする」
 それがあのコスプレ・エロチャイナか……何だか色々と間違ってるぞ、トモ。
 篤志はそう思ったが言葉には出さずにおいた。
「それをアッくんが見て、もし褒められたらとか思うとそれだけで胸が一日中ぽかぽかするし、ホントに嬉しいって思う。そんな相手を、努力もしないで他の女の子に盗られたりするのってスッゴク嫌だもん」
『努力……ね』
 中華にしてはお団子頭にしていない智樹の頭を見て、篤志は小さく息を吐(つ)いた。
 『画龍点睛を欠く』とはこの事だ。
「お前、なんでアレしてないんだ?」
「あれ?」
「シノンだかミノンだか」
「??」
「お団子頭の事だ」
「あー……シニョン?」
「そうそれ」
「しようと思ったんだけどね。一人だと上手く出来なくて」
「それをしてたら、ひょっとしたら『可愛い』って言ってたかもな」
「うわ、本当!? 次からはちゃんとしてくるよ!」
 真面目に目を見開き、ひどく残念そうに言う智樹は、元は男だが、とても……可愛かった。
「じゃあ、もう容赦しない」
「……うん……」
「泣いても引っ掻いても、もう止めない」
「うん…………ねえ」
「ん?」
「ちゅーして……」
 篤志は右手を分身に添えて智樹の陰唇を掻き分け、膣口あたりを“くちゅくちゅ”と捏ねた。
「……あぁ……ちゅーしながら、入れて」
 吐息のような、震える声で甘ったるく囁かれた言葉に、脳が急速に痺れたようになっていく。
 智樹の声は魔法のようだった。
 会話の途中で萎えかけた分身が、あっという間に元の猛々しさを取り戻して屹立したのだ。
「辛かったら抱きつけ。でも引っ掻くのはカンベンな」
 言いながら腰を進め、智樹の狭い膣口を押し開いていく。
「ひんっ……」
 泣き出しそうな智樹の唇に口付けし、強く閉じた歯を舌でノックすると、智樹は恐る恐るといった感じで口を開き、懸命に舌を延ばして篤志のそれに絡ませようとした。一瞬、篤志の脳裏に「このまま舌を口内に入れたら、噛み千切られるかもしれない」などといった恐れが浮かんだが、それもまたいいと思い、智樹のさせるに任せた。
「んふ……ふうん……」
 ディープなキスで舌を求め、注がれる唾液を一所懸命に嚥下しながら、智樹は必死になって篤志にしがみついていた。
 今度こそは最後までして欲しい。
 一日でも早く篤志とのエッチに慣れて、感じて、感じあえる悦びに涙したかった。
 篤志に自分を刻み、自分に篤志を刻み込みたいのだ。
 自分はもう篤志のいない世界など考えられないし、篤志にも出来ればそうなって欲しいと思っている。だが、男だった頃の記憶が、男の性を理解させるがゆえにそれを強制することは出来ないと知らせても、いる。「自分だけを見て欲しい」と言葉で尽くして約束させても、そんなものには頼れない事を智樹自身がわかってしまっているのだった。
 ならば、自分を磨くしかないと、智樹は思う。
 自分を磨き、篤志の色に染まって、篤志の好みの女で居続けること。
 それでしか、篤志の中に自分という存在を刻み込む事は出来ないのではないか?と思うのだ。
 ある日突然、女になった。
 その事実が胸に重く圧し掛からないではない。
 ある日突然女になったのなら、再びある日突然男に戻るのではないか?
 そう思うと怖くて怖くて泣きたくなるのだ。

 でも。

 ついさっき篤志に言った言葉は全て真実だった。
 篤志とえっちしたい。
 篤志と一つになりたい。
 この気持ちは理屈じゃない。その後の事は今はどうでもいい。考えない。どうなったっていい。
 今、ここにいるこの自分が、この自分の体が叫んでるのだ。
 それは確かに刹那的であった。
 だがそれゆえに真実でもある。
 智樹の中の、ただひとつの真実なのだ。
「んっ……んんっ……んっんっんっんっんっんっんっん〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」
 口付け、篤志の唇を、唾液を、吐息を味わい感じながら、智樹は再び灼熱を体の中心に感じた。
 「彼」が入ってくる。
 それを悦びと、恐怖と、戸惑いと、恥じらいをもって。

 その瞬間、智樹は揺るぎのない、真実を識(し)った。
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