■感想など■

2010年02月01日

[GTS]サーラとグランド「君が描く2人の明日」〜Episode.03「小さな御主人様」〜

-----------------------------------------------------------
★巨大美少女物語★

サーラ & グランド

が描く 2人の明日』

◆ TO THE END of The Wonderful World ◆
-----------------------------------------------------------


とある村にとある目的で立ち寄ったサーラとグランド。
そこで二人…もとい、サーラは、村の子供達の奇妙な歓迎を受ける。
ちょっと困った歓迎から彼女を救ってくれたのは…。


■■ Episode.03 ■「小さな御主人様」■■

 太陽は輝き、湿気の少ない風は、濃密な潮の香りを含んで来ている。村に入って幾ばくかも経っていないが、グランドはすっかりこの地が気に入ってしまった。たまにはこんな地でのんびりするのもいい。
 村人が摂って来てくれた果物を頬張り、種だけぷぷぷっ!と吐き出す。ねっとりとした甘みの強い汁が、口いっぱいに広がり、続いてその甘みが爽やかな酸味に変わる。既に4つの果物が彼の胃に収まっているが、後でもう少しもらおうと、彼は思った。何と言う果物か聞いた筈だったが、どうも忘れてしまったらしい。
 ……と、
「グランドさまぁ……」
 名を呼ばれたグランドは、世にも情けない声を上げているサーラをちらりと見ると、溜息をついて苦笑いをした。
 少し離れたところに地面にぺたんと座り込んでいるサーラには、肩といわず、膝といわず、村の子供達が鈴なりになって群がっていたのだ。

         §         §         §

 この世界では、人間族(ダ・ナン)と巨人族(コ・ルン)は平和的かつ文化的に共存しているが、それは支配関係がカッチリと決まっているためだ。
 悠久の時代より、コ・ルンはダ・ナンの所有物であり使役獣であり、奴隷であり財産だった。それは今も変わっていず、強大な力(その体躯が生み出す力と魔法力は、一人で人間の村1つを無に出来る)を持ちながら、コ・ルンは己の運命を修養として受け入れている(「ダ・ナン」の語源は「支配」。「コ・ルン」の語源は「服従」と言われている)。

 だからといって人間族が巨人族を従属として虐げているかというと、あながちそうとばかりは言えない。巨人族は別名「神々の手斧」と呼称されていることからもわかるように、神々が人間に与えた特別な種族なのだ。この伝承は何も人間だけではなく、巨人族自体にも伝わっている。巨人族において人間族は「神々の落とし児」と言われているのだ。
 彼等は人間族にとって、大切にすべき貴重なものであり、巨人族を従えているという事は、すなわちそれだけでステイタスとなるのである。
 巨人部族『タナトール』は、少数民族である。それも比較的温暖な、湿潤気候地帯の森林に生息し、寒帯や熱帯にはその生活圏を広げてはいない。そのため、熱帯地方、特に、海に近いこのガウランの村では、タナトール自体を見たことの無い人間の方が、圧倒的に多いのである。
 そのため、時にはこういう事もまた、有り得るのであった。

         §         §         §

 村に入ってしばらくは、村人達は好奇と畏怖の瞳でサーラを盗み見ていた。当然といえば当然だろう。身の丈10mはあろうかという巨人が突然やってくれば、誰だって驚き、恐れる。
 幸い村長が、以前に首都で貴族の屋敷に従事していた過去を持ち、王家の紋章にも精通していたため、呆気ないほどすんなりと村人の警戒心を解く事が出来たのである。でなければ、グランドが腕輪に刻まれた王国の紋章を見せただけでは、今頃村の若者に攻撃でも受けていたかもしれないのだ。
 畏怖や恐怖が薄まれば、次には好奇心がむくむくと頭を擡げてくるのが人の心というものだろう。かくしてサーラは、大人達が警戒を解くと同時に、子供達に囲まれる事となったのである。
「お城から来たんでしょ? ねえ、お城ではなにしてたの?」
「でっかいおっぱいだなぁ……うちのかあちゃんのなんばいもあるぞ」
「きれー……きょじんさんにも、こんなにきれいなひとがいるのね……」
「もっとちゃんしたふく、きないのかよぉ。お城からきたっていっても、たいしたことないんだな」
「あのおっきいいわ、もてる? あのいわは?まほーだせる?」
「竜とたたかったことある? ウクスターヴの山には、むかしから村の守り神の緑竜がいるんだよ」
 口々に質問を浴びせかけ、座っているサーラによじ登ったり、髪を引っ張ったり、彼女が怒らないのをいい事にやりたい放題である。大人達は、いつサーラが怒り出すか気が気でない様子で、遠巻きに見守っているだけだ。王宮からの客人だから、無理矢理に子供達を引き離すわけにも行かず、手を出しあぐねているというのが真相といったところだ。
 子供達は男の子も女の子も、腰巻きを巻いただけの姿で、ぺったりとサーラにしがみついている。その柔らかい肌が擦りつけられる度に、サーラはくすぐったさにもじもじと身じろぎしてしまうのだが、子供達が怪我をしないようにじっとしていなければならず、それがいかにも辛そうだ。
「グランドさまぁ……」
 たまりかねて愛しい御主人様に助けを求めても、彼は果物を頬張ったまま知らんぷりを決め込んでいる。もともと子供は好きではない性質らしく、子供の方もそれが良くわかるのか、彼にはあまり近づこうとしない。
「あっやっ……」
 ちょっと拗ねるように唇を突き出したサーラは、いきなり襲った刺激に、きゅんっと首を竦めてしまった。慌てて視線を下げると、数人の男の子がサーラの服の合わせ目を押し開いて、木の棒で乳首を突ついている。
「でっけぇなぁ……かあちゃんのなんてこんななのに、こいつのはこーんなだぞ」
 中でも一番やんちゃそうな男の子が、左手で人差し指を立て、右手で拳を作って、かわるがわる周りの男の子に見せている。手に棒を持った男の子は、さらにぐりぐりと乳首を捏ねた。
「あっだっ……だめですっ……だめですぅ……」
 かぁっ……と頬を染めて、サーラはいやいやと首を振って子供達に懇願した。子供達を無理矢理引き剥がそうかと思ったが、人間の子供など掴んだ事など無いのだ。力加減を間違えて怪我でもさせたら……それどころか、骨でも折ってしまったら……。そう考えると、恐ろしくて触れる事も出来ない。
「こいつ顔真っ赤だぞ。おもしれぇ!」
「えー? あ、ほんとだぁ!」
 サーラが手を出せないのをいい事に、調子に乗った子供達は、我先にと胸元に手を差し込み、サーラの乳首を掴んだ。
「やめっ……やあんっ……」
 掴んで、引っ張り、捩って、叩く。ぷるぷると震えながら、サーラの肌は瞬く間に奇麗な桃色に染まっていく。遠巻きに見ていた村の男達の何人かが、ごくりと生唾を飲み込んで、妻らしき女性に叩かれていた。
「ちょっと! あんたたちやめなさい! かわいそうでしょっ!」
 子供達の無邪気で執拗な責めに、息も荒く陶然となりかけたサーラは、凛とした可愛らしい声に、はっとして目を瞬かせた。見れば、サーラの胸元に手を突っ込んでいる男の子達を、きつく睨み付けている女の子がいる。先程サーラに向かって「きれい」と言ってくれた、12・3歳くらいの女の子だ。
 ぼさぼさの短い髪は、固い髪質らしく、まとめて縛った後ろで箒のように「ぼわっ」と広がっているし、良く日に焼けた顔の中心にある鼻は、少しぽてっとして決して美人という顔立ちではない。だが、その青紫の瞳はきらきらと奇麗に輝き、命の強さと激しさを伝えていた。腰に両手を当て、見上げるようにして、サーラの膝の上で背伸びしながら彼女をいぢめていた男の子達を睨んでいる。
「なんだよルイハ。ジャマすんなよなぁ」
「おんなのこのからだに、いたずらするんじゃないわよ!」
「なにが“おんなのこ”だ。こんなのの、どこが“おんなのこ”だよ」
「いいからそこからおりなさいよ! ティムトもカロも、ハッシュといっしょになっておんなのこいじめてんじゃないわよ! それともなに? あんたたち、おとなしくててーこーできないおんなのこいじめるしか、そんなことしかできないヨワムシなわけ? ウクスターヴの竜さまに、あしのうらのかわ、ひんむかれてもしらないからね!」
 男の子達に対して一歩も引かず、それどころか一気に捲し立てて、そこにいる全員を威圧する女の子に、グランドは正直舌を巻いた。よく見れば、目鼻立ちは村長の娘にうりふたつだ。
『村長の孫娘か……』
 だからといって、どうも彼女は、村長の娘だからというだけの理由で威丈高になるような、そんな女の子という訳でもなさそうだ。彼女の物言いと瞳には、立場の弱いものを守ろうという、深い母性のようなものを感じるのだ。
 気圧されて鼻白んだ男の子達は、ぶつぶつと文句を言いながらも、次々とサーラの膝の上から降りた。ほっとして胸元を合わせたサーラは、救いの女神に向かって丁寧に頭を下げた。
「あの……ありが」
 ……が。
「あんたも、おとこのこなんかにいいようにされてるんじゃないわよ! あんなのちょっとたたいてやればいいのにおとなしくしてるからいじめられるのよ!? わかってる!?」
 礼を言おうとしたサーラは、女の子に畳み掛けるようにして言われた言葉を、訳も分からず呑み込んで目をぱちくりさせた。こんな、身長140cmにも満たないような小さな女の子の、どこにこんなエネルギーがあるのか?…そう思ってしまうくらいの圧力が、女の子自身から吹き付けて来たのだ。タナトール族は、潜在的に生物の生命力を感じる特有の能力を有している。その「圧力」は、その能力を持つサーラ故(ゆえ)に感じる事の出来た、女の子自身の、生命が持つ「霊圧」なのである。
「わかってるの? どうなの? わかってるならわかってるっていいなさいよ。おくちがきけないわけじゃないんでしょ? おへんじは? 『はい』はどうしたの!?」
「は、はい…………」
 完全に貫禄負けしていた。
 グランドはその様子を見て、笑いを必死に噛み殺し、口を抑えてのたうちまわっている。
「わかればいいわ」
 首を竦めて女の子の言葉を拝聴しているサーラに、女の子−ルイハ−は、満足げに鼻を鳴らした。
「あなた、おんなのこだからっておとこのこのいうなりになったり、いいようにされてたりしちゃダメなんだからね? おんなのこならおんなのこのプラ…………………プラ……………プラリ………」
「……プライド?」
「そう、それ。……………いまいおうとおもってたのよ。くちはさむんじゃないわよ」
「……すみません……」
「まあ、いいわ。で、……プライドをもたないといけないんだから」
「はあ………」
「はあ……じゃないわよ。はいでしょ?」
「はい……」
『わたし、タナトールなんだけどな……』
 人間族からは、決して人間扱いされない種族のサーラを、この少女はあろうことか自分と同じ「女の子」として扱ってくれようとしている。サーラはその事に、不思議なほど熱い感動を覚えていた。
「え? なに? チコ、のぼりたいの?」
 じん……と感動に浸っていたサーラは、ルイハの驚いたような声に視線を落とした。見れば、ルイハの腰巻きをぎゅっと握り締めて、まだ2つか3つになったばかりに見える小さな女の子が、じっと一生懸命にサーラを見上げている。
「ちょっと!」
「あ、は、はいっ!」
「このこ、チコっていうんだけどね、あたしのいもうとみたいなこなの」
「はあ……いえ、はい」
「でね、このこがあんたのひざにのぼりたいっていってるんだけど、いい?」
「はい。………………え? ええっ?」
「なにおどろいてるのよ。いいの? ダメなの?」
「あ、え? ええ?」
 サーラにしてみれば、ルイハにしても両手に乗せられる程の大きさしかないのだ。この、たかだか60cmか80cmしかないチコに至っては、片手に収まってしまう。それこそ、ちょっと不用意に力を込めただけで、たちまち死んでしまいそうに儚く感じる。
「で、でも……」
「はっきりしなさい!」
「ううう……」
 グランドに助けを求めようと彼を探したが、何時の間にか彼はどこかに行ってしまっている。サーラがいるから一人で旅立ったとは思えない。それに、依頼もまだこなしていないのだ。おそらくその辺りの家屋の中に入ったのだろう。好意的に解釈すれば、グランドはサーラを信用しているから、彼女を一人にしたのだとも言える。
 そして、彼女はそう思う事にした。
『グランドさまが信じて下さってるんだもの。御期待に応えなくちゃ……』
 意を決して、サーラはそろそろとチコの前に左手を降ろした。
「ここに乗って下さい」
 出来るだけ優しく言って、チコが乗るのを辛抱強く待つ。サーラの左手とルイハを交互に見ていたチコは、ルイハが促すように肯くと、その可愛らしい唇を引き結んで、サーラの手に足を乗せた。
 サーラはチコを落とさないように、右手を左手に添えて、膝まで上げる。抱え込むようにして膝に下ろすと、チコはぺたん……と座り込んで、眩しそうにサーラを見上げた。そうして、彼女がにっこりと微笑んでやると、チコは脚の間の谷間に落ちないように気を付けながら、左脚に覆い被さるようにしてうつ伏せに寝転んだ。
「………………」
 チコが何か言ったようだったが、良く聞こえない。膝によじ登ってきたルイハに訪ねると、
「『かあちゃんのにおい…』だって。このこ、このまえのきゅうそくびにかあちゃんをアイツにたべられちゃったんだ」
 そう、ルイハは言い、痛ましそうにチコを見つめた。

 サーラとグランドが、この南方の地方にやってきたのは、この海辺に現れるという「ガウム(牙亀)」を退治するためだった。
 西方の気候の激変によって海流が変わり、本来ならこの地方には生息していないはずの生物が多数回遊してくるようになったのは、今から4年程前の事だ。人の味を覚えたガウムは、丁度今の季節、潮流が決まった周期で変化する時を見計らうようにして、近隣の村を遅い、人を食っている。つい5日程前には、この村が襲われたのだ。
「大丈夫。わたしが必ず、あなたたちを守ります」
 膝の上で寝入ったしまったチコと、本当は誰かにすがりたい心を必死に押し殺してきたルイハ。二人の小さな御主人様達に、サーラは自分でも気付かないうちに、決意の瞳で優しく微笑んでいた。

【END】

(第一版コンプリート:1999/03/26)
(初出:1999/04/28)(以後順次改訂)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/34669033

この記事へのトラックバック

★足跡代わりにポチッとしてってくださいな★