■感想など■

2010年06月17日

◆◆ Act.02 ◆◆「融合」◆◆

◆◆ Act.02 ◆◆「融合」◆◆


■■【1】■■


 ──『神の息吹(ゴッドブレス[God bless])』と言うのだそうだ。
   あの、地球全土を襲った【大災害】は。


 “それ”がいつ始まったのか、誰も知らない。
 気付いた時にはもう始まっていて、気付いた時には全てが終わっていた。
 世界中で原因不明の眠り病(現在では、いわゆる「ナルコレプシー」とは明確に区別されている)が発生し、時を同じくして原因不明の不審死者や行方不明者が徐々に増加していった。
 それは、主に日本を始めとする極東アジアと、EUヨーロッパ連合国、それに中央アジアと南アメリカなどの、「ネットワークが充実していながら神話・言い伝えの類が豊富な地域」を中心とした都市部に発生した異常事態。

 ──そして『彼等』が、姿を現し始めた。

 人の想いが形になった。
 そういう者がいた。だとしたらそれは、いかなる想いなのか。
 世界各地で次々と現出する、古(いにしえ)の荒ぶる神々達。
 現界(物質界)に受肉し、物質化するあまたの魔物・怪物達。
 やがて<MUG(マグ)>:【mythological(神話の、架空の)unidentified(未確認)gigantic living thing(巨大生物)】と呼称される事になる「彼等」は、ただひたすらに本能のままに人の魂、そして時には肉体そのものをも屠(ほふ)り、喰らった。
 ドラゴンやマンティコア、スキュラ、スライムやキャリオン・クロウラー、ケルベロスやミノタウロスなど、RPGなどでも有名なモンスターから、ペルシャ神話のシムルグ、エジプト神話のセルケトなど、誰も知らないような神々までが次々と現出した。
 登場する神話や物語、伝承などの地域に一貫性は無く、共通しているのは、どれもが実在しない(だがその存在を信じられている)想像上のモンスターであり、そのサイズが往々にして伝承よりも巨大であるということだけ。

 人にはそれに抗する手段は無く、原因の掴めぬまま、想像は現実を越え妄想は現実を浸食していった。

 だが、やがてとある科学者の功績により、人の想像力や妄想力などの「意思の力」が、ある素粒子の数値変動によって発見された『特定波長を指向的に捉える力場』によって測定可能であると理論実証され、<MUG>の発生は『その力場が何らかの形で「人の想像」を具現化した結果ではないか』と推測、そして定義付けられると、世界中の学者・有識者で構成されたシンクタンクによって、あらゆる「可能性」が検証された。
 もちろん、彼等が「人の想像力の具現化の定義」の次に求めたのは、<MUG>に対抗するために手段であった。
 その当然の帰結として『現時点において、<MUG>に抗するのは<MUG>以外に不可能である』という結論に至るに、すぐさま『人為的に人間自身の意思によって<MUG>を生み出す試行』が、世界規模で同時並列的に行われたのである。
 そうして数十、数百の実験の末に最初の『人類の剣』が“創体召還(クリエイト)”されたのは、今からたった半年前の事である。
 「プロトティポ(プロト=最初の:ティポス=型・タイプ」と名付けられたそれは、人の姿をした<MUG>であり、男性とも女性ともつかない、“両性具無”の巨人であった。
 だが、「スィミオ・エッキニスィス(出発点)」とも呼ばれたその巨人は、膨大で貴重なデータを残したものの、純粋な意思エネルギーを固定する力場を安定させる事が出来ず、たった8日間で現世(うつしよ)から消滅してしまった。
 とはいえ、その後相次いで“創体召還”は成功し、それによって生み出された4体の<巨人型MUG>は、その時点で総称を「Gigantes」と改められ、全て女性体であった事から「最初の四姉妹(Gia ta prota tessera)」または、単に「アデルフェー(姉妹)」と呼ばれるようになる。

 「Gigantes(ギガンテス)」とはギリシャ神話に登場する巨人族であり、単数形では「ギガース」、「ギガンテス」は複数形である。英語読みでは「ジャイガンテス」となるが、こちらはあまり一般的ではなかったためか、定着はしなかった。神話では、ウラヌスがクロノスに男性器を切り落とされた時、そこから滴り落ちた血でガイアが身篭って生まれた種族とされている。彼等は樫の木などを武器にして、ゼウスらオリンポスの神々に戦いを挑んだが、ヘラクレスを味方につけた神々によって倒されたという。
 日本では巨人と言えば「ジャイアント」が通称だが、公式名称としてはギリシャ語読みの「ギガンテス」がそのまま適用された。
 また、「女巨人」が「ジャイアンティス」と“呼ばれない”のは、最初の巨人「プロトティポ」が生み出されたのがギリシャだったためである。
 技術の共有化が成され、世界各地で「ギガンテス」が生み出されたが、“創体召還”された「ギガンテス」は「プロトティポ」を除き、全て女性体であった。
 そのため、名称(コード・ネーム)はギリシャ語原語による新約聖書から取られ、現在は「プロトティポ」を『サナトス(死)』、「アデルフェー(姉妹)」をそれぞれ『ペトラー(岩・石)』『ピュール(火)』『ヒュドール(水)』『アネモス(風)』と呼称している。

 現在、全世界には13体のギガンテスが存在するが、力場固定のための雛形、いわゆる『創出素体』に女性を起用したことが原因なのか、総じて彼女達は<MUG>と闘う事などとても出来ない、非常に大人しく心優しい巨人ばかりであった。もちろん、闘争心や攻撃衝動がほとんど皆無である彼女等に業を煮やして、『創出素体』に男性を起用した国もあったが、そのことごとくが失敗に終わっており、しかもその原因は皆目見当も付かない状態ときていた。
 「妄想力」によって生まれた「理想の女神」達は、男達にとっての「どこまでも都合の良い女性像」としてのみ、その存在を世界に許されたのかもしれない。
 この13体の「姉妹」は、互いに固有のネットワークを形成しており、戦闘で得た情報や経験は、共有され、分析され、蓄積される。
 サティはこの世界に創出された13番目のギガンテスであり、姉妹としては末ッ子にあたったが、だからといって決して一番弱いということは無く、むしろ姉達から受け継いだ情報や経験を最も多く蓄積し、そして<MUG>に対して最も有用に扱える固体として、世界的にも評価の高いギガンテスであった。
 また、管理運営にあたる日本のテクノロジーは、サティと、そして彼女に蓄積されたギガンテスの情報を元に、日々、様々な革新的技術を創出していた。


 そしてその一つが、「イグニッション・シリンダー(ignition-cylinder)」によるマスターの直接『搭乗』で成される『リンクシステム』なのである。
この記事へのコメント
更新お疲れ様です。
サティ以外にも巨人が居るのですか…
いずれ登場することがあるのでしょうか?
Posted by 通りすがり at 2010年06月17日 15:44
>通りすがりさん
 サティ以外のギガンテスについては追々…。
 どんなのがいるかの紹介程度でしょうか。

 劇中に会話で登場することは無いかと思います。
 当初のプロットを入れ込むだけでいっぱいいっぱいなので(笑)。
Posted by 推力 at 2010年06月18日 12:47
姉妹は登場しないのですか。ちょっと残念です。
しかし話が間延びして纏まらなくなっても困るので仕方がありませんね。
Posted by 通りすがり at 2010年06月18日 20:59
>通りすがりさん
 もうちょっと続いたら、書くかもしれませんが、さすがに約束出来ない感じです。
 というか、これも終わるのか?と(マテ)。
Posted by 推力 at 2010年06月18日 21:02
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