■感想など■

2010年06月22日

◆◆ Act.02 ◆◆「融合」◆◆

■■【2】■■

 彼が「イグニッション・シリンダー(ignition-cylinder)」の内部へと消えて、時間にしてきっかり2分後、サティはうっとりとした陶酔状態から醒め、「ほう…」と熱い吐息を吐いた。
 そうして物憂げに白い筒「イグニッション・シリンダー(ignition-cylinder)」を見やり、下唇をピンク色の舌でちろりと嘗める。
 壁面に設置された、サティが操作するための操作パネルに彼女がそっと手を当てると、「シリンダー」を中心とした数メートル四方の金属床が音を立ててせりあがり、やがて待機ベッドの横に、高さ5メートルはあろうかという、緩やかな長方四角推を形作った。それは丁度、よく漫画とかアニメなどで見る「金の延べ棒」のような形だ。
 その上に、サティの愛しい彼がその身を沈めた「イグニッション・シリンダー」が屹立している。
 一見すると、地面から生えた白アスパラガスのような様相だが、それこそバイブのような、空気を入れた白いコンドームのような滑稽さも、ますます増したような感がある。
 だがもちろんサティは、それをおかしいとは思いもしなかった。
『マスター……旦那さま……御主人様……幸一様……』
 先ほどのやり取りを甘く反芻し、サティは呼び名を心に並べてゆく。
『あなた……』
 その瞬間“ずくん”と、お腹の奥にあるはずの“オンナの臓器”が疼いた気がした。
 そしてそこから“とろとろ”と熱い愛蜜が下へ下へと出口を求めて体内を垂れ落ちていくようなイメージが浮かぶ。
『あぁ……あなた……あなた……愛しい人……私の、私だけの人……あなた……』
 サティは身を起こして「イグニッション・シリンダー」へとにじり寄ると、まるで厳かに神へ祈る修道女のように、両膝を揃えて床につける。
 そうして両手をその両側にそっと添え、頬を赤く染めたままそれに触れるか触れないかのキスをした。
『世界中で一番に愛してるぞ!!』
 先ほどの彼が発した「キー・ワード」が耳に蘇る。
 何度聞いても、何度反芻しても飽きる事が無い。
 思い出すたびに呼吸が乱れて、頬が、胸が熱くなる。
 “ぶるるっ”と、サティは自分でも知らないうちに腰が震え、もじもじと太股をすり合わせていた。

 キスしたい。

 キスしてもらいたい。

 ぎゅってしたい。

 ぎゅってしてもらいたい。

 溢れんばかりの「大好き」が、今にも胸から零れ落ちそうだった。
 “きゅんきゅんきゅん”と下腹の奥が疼き、吐息が熱く濡れる。
 “じゅわんっ”とあそこが潤んでぬかるむ。
『あなたぁ……』
 だが、もう一度口付けようとするサティの前で、「シリンダー」の下部が短く点滅を繰り返した。幸一が身に着ける“Iスーツ”の生命維持装置と、何より彼の精神は、シリンダー内部においておよそ1時間程度しか持たない。そのため、「エントリー」は出来るだけ短い時間で手早く行わなければならなかった。
 この点滅は、既に3分間が経過したことを示しているのだ。
 サティは“きゅ”と両目を瞑ると深呼吸し、胸元で右手を握り締めた。
「……エントリー、開始いたします」
 声がうわずる。
 これからする事への期待感と、それを行える幸福感に、先ほどのナビィ(自分)との諍いを始め、他の事が何もかもサティの意識から弾き出されていた。
 彼女はゆっくりと起き上がると、膝立ちになって腰部分にある薄いパールカラーのパネルを軽く撫でた。すると今まで接合部分など全く見えなかった、スーツの前面下腹部分から、股間を通って尾底骨までスリットが走り、パックリと開く。
 そこには人間の女性が身に着ける矯正下着<ガードル>のような形状の、だがもっとずっと薄いインナーがあり、髪と同様の黒々とした陰毛がうっすらと透けて見えていた。
 サティは躊躇う事も無く、その股間部分に右手指を挿し込み、“ぱくっ”と左右に開いてみせる。
 果たして、インナーのスリットが開いたそこには、人間の女性と全く変わらない女性器が楚々として在った。
 熱くたっぷりと愛蜜に濡れた大陰唇にも小陰唇にも、色素の沈着などがまるで無く、奇跡のように美しくも可愛らしいベビーピンクだ。ただし、その陰部は亀裂の長さだけで1メートル20センチあまりもあり、包皮からちょこんと頭を出している陰核(クリトリス)さえ5センチ近くもある巨大なものなのだが。
「あぁ……」
 白い頤(おとがい)を上げて声が漏れ、それがあまりにもこれから行う事への甘い期待感にとろけていることを自覚したため、サティは思わず恥じ入り目を瞑った。
 「イグニッション・シリンダー(ignition-cylinder)」は、サティと幸一の意識を密に同調するための、特殊な“リンクシステム”である。
 サティはこれよりシリンダーを、中に入った幸一ごと『膣内』に収めることで、彼と文字通り一心同体となるのだ。

『夫婦は一心同体。これって私達のためにあるような言葉じゃないですか』

 サティのあの言葉は、単なる比喩表現ではなく、こうした事実を基にした言葉なのである。
 彼女は中腰になり、5メートルほど床から盛り上がった緩やかな長方四角推の山にまたがって、「シリンダー」へ向けてゆっくりと慎重にその巨大な尻を落としていく。
「ふぁあん……」
 スーツの下で同じく巨大な乳房―しかも乳首が興奮と期待で硬く勃起している―がゆらゆらと揺れ、“ぱっくり”と開き、充血して肥大化した小陰唇からは“つう……”と透明な粘液が幾筋も滴る。
 それはまさに、仰臥した男性の上で女性がこれから男根を自らの膣内に納め、思うさま貪ろうとする姿、そのものだった。

 ──擬似セックス。

 「エントリー」とは、愛するマスターとの、その行為をも指していた。
 幸一側からしてみれば、このシステムを考案した人間は度を越した「変態」だとしか思えない。だが、サティ“達”からすると「縁結びの神」にも匹敵する「ありがたい人」という事になっている。なぜなら、あまりにも巨大過ぎる彼女“達”は、どんなに心からマスターを愛していたとしても、切望したとしても、共に肩を並べて闘う事はおろか、マスターの「男性自身」を生身で受け入れ、その例えようもない幸せを甘受し、味わう事も、絶対に不可能だからだ。
「ぁひん──」
 たっぷりと愛蜜で濡れ、35センチ程度に“くぱぁ”と開いた膣口が、まるで濃密な口付けをするように“ぶちゅっ”と「シリンダー」の先端、幸一の頭部が中に納められた部位に触れると、それだけでサティは白い喉を晒して震えた声を上げた。
 すぐさま“とろ……とろ……”と「シリンダー」の白い外壁を、潤滑油代わりとなる、彼女の白濁した粘性の高い愛蜜が伝い落ちてゆく。
 ある程度あらゆる方向へとフレキシブルに傾けられるようになっているシリンダー基部が、サティの腰の動きに従って傾きを変化させる。もし幸一に意識があれば、前後左右に傾けられ、三半規管を揺さぶられて目を回していたかもしれない。
「ぅんっ……ふあっ……はぁあぁぁぁぁん……」
 シリンダーを、甲を返した右手の中指と薬指を添えるようにして軽く挟み、左手を山について体を支えながら、サティは人間の肉体からの質量換算で数十トンはありそうな、巨大で豊満な尻を、ゆっくりと落としていった。
 強引に挿入すればシリンダーそのものを損傷してしまいそうだが、特殊硬化樹脂と網目状炭素繊維(カーボン・ナノファイバー)の積層体によってハニカム構造を成すシリンダー本体素材は、多少の圧迫にはびくともしなかった。また、サティの膣壁もやわらかく柔軟に広がり、クッションとして十分な緩衝作用を発揮しているため、シリンダーそのものの破損の危険性は限り無くゼロに近い。
「あぁ〜〜〜〜……」
 “ぬるぬるぬる……”と、「シリンダー」がサティの動きに応じていっぱいに広がる膣口へと、呑み込まれるようにしてその姿を消してゆく。
 それはともすると、軟体動物が今まさに捕食しているようにさえ見えた。
「あひっ……ひぃん……」
 表面には、定間隔で大人の拳大ほどもある突起が並んでいて、それがサティのデリケートな膣壁を“ゴリゴリ”と刺激する。
 駆け上がる快美感に、声を抑えようとしても、到底抑えきれるものではなかった。
 「シリンダー」の直径は最大で80センチはあるため、挿入時には膣口の直径が50センチ余りも広がる事になる。そうして膣壁を押し広げながら、表面の突起がサティを狂わせようと凶暴に刺激を繰り返すのだ。
「んはぅ……ふぁ……ぁあん……」
 サティが尻を落としてゆくに伴い、一緒に胎内(なか)へと入り込んだ空気が“ぶぶっ……ぶぼっ……ぶりゅっ……”と、淫猥で粘液質な音と共に膣口と「シリンダー」の隙間から抜けていった。
 それは、たっぷりとジェルを溜めたバケツにパイプを通して空気を入れ、その空気が浮き上がって割れる時の音……とでも言えばいいだろうか?
 その音が、広大な地下空洞に響くのだ。
 もちろん、こうしてサティが彼を「エントリー」する様は、微に入り細に入りモニターされている。
 あらゆるアングル、あらゆるカメラによって、視覚的、データ的に最大漏らさず他者に“見られて”いる中で、性器を露出し、蜜液溢れる膣内に、悦びながら異物を挿入するというのは、屈辱的かつ恥辱的な事に違いなかった。
 時にはサティのエントリー時の状態や惚けた表情、甘い声、発した言葉、紅潮した肌の状態や濡れた性器、愛蜜の量や粘度や流れ方、充血した乳房の膨張率や勃起した乳首の伸縮率などといった、ひどくデリケートな話題さえもがデータとしてやり取りされるのだ。
 だがサティはそれら─心を蝕む「乙女心の敵」から、「人類の矛としての使命感」と、「マスターへの全面的な精神的依存」、そして「厚い信頼」と「挿入による何物にも代えがたい幸福感」によって、己の心を無意識に防御していた。
『ああぁ〜〜〜〜…………あなたぁ……』
 サティの尻が“ぶちゅちゅちゅ……”と完全に長方四角推の山に落ち切り、それによって「シリンダー」が膣内にすっかり消えると、最後に“ぼびゅっ”と盛大に空気の抜けた音が響き、彼女は声も無く体を震わせ、涙した。
 それは間違いなく「彼」に貫かれた事に対しての『歓喜の涙』であり、それと共に、半開きのまま“わなわな”と震える唇の端には“とろり”とした涎が垂れ落ちそうに光っていた。
この記事へのコメント
う〜ん エ ロ い 。
Posted by 通りすがり at 2010年06月22日 06:49
 ありがとうございます!(いい笑顔で)
Posted by 推力 at 2010年06月22日 11:42
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