■感想など■

2010年06月29日

◆◆ Act.02 ◆◆「融合」◆◆

■■【4】■■


『聖少女は愛を喰う』

 それは、彼女“達”がこの世界に“現出”してから幾度と無く関係者の口に上った言葉だった。
 彼女“達”『受肉体』は、マスターの「愛」が無ければ、この世界に存在し続ける事は出来ないのだ。
「ぅうふあっ……んあ〜〜〜……あぁ〜〜〜……」
 引き絞るような、途切れ途切れの艶声が広大な地下空洞に響き渡る。
 サティは膣内のシリンダーを、今すぐにでも摘んで前後し、“じゅぽじゅぽ”と音を立てて抜き差ししたくてたまらなかった。
 あのイボイボで膣壁をこそぎ取るようにして擦り上げ、思うさま快楽を甘受したかった。
 でも出来ない。
 出来るはずも無い。
 あのシリンダーの中には、大切な大切な大切な、この世の誰よりも、自分自身よりも大切で愛しい旦那様が入っているのだ。
 それでも抑えきれない情動によって“くねくね”とうねるように腰が動き、背後に立つ誰かに射精でもせがむかのように“ふるふる”と尻を振る。
 背筋が緊張と弛緩を繰り返して、乳首が硬く勃起したまま、家屋解体用モンケーン(鉄球)よりも遥かに重たいだろう超重量級乳肉が“ゆらゆらゆらゆら……”と揺れ動く。
 “きゅきゅきゅ”と、膣口が甘噛みするかのように断続的にシリンダーを締め付け、隙間から蜜液が“ぴゅっ”“びゅるっ”と尻の下の床に飛び散った。
 理性と、貪りたい動物的衝動とのギリギリの攻防。
 そしてその拮抗が崩れる寸前、“それ”はいつものように訪れる。

――完全同調(シンクロニティ)。

 『エントリー』の完了である。
「ぁふぅ……」
 シンクロニティが成立すると、サティの体の震えが収まり、いつしか股間から滴っていた愛蜜も溢れ出るのをやめていた。
 先ほどまで快楽の波に翻弄されかけていたとは思えないほど、しっかりとした手付きでサティが腰のパネルを操作する。
 すると、スリットとして開いた時と同じように、だが、今度はまるで逆再生でも見ているかのように、サティの尾底骨から股間を通って前面下腹部分まで、スーツが急速に「閉じて」いった。
 後には、今までそこが開いていたとは思えないほど、ぴったりと接合部が閉じ、全くのフラットな表面を見せるだけである。
 たった今まで四つん這いのまま尻を高く掲げ、乳房をゆらゆらと揺らしていたサティは、うっとりとした表情のまま身を起こして床の上に正座した。
 背筋を伸ばし、乱れた髪を楚々と右手で整える。
 そうして、こぼれた涙と涎を指で拭って、甘ったるくとろけそうな、それでいて清楚な笑みを満面に浮かべた。
「……状況終了。エントリー、完了しました」
 未だゆったりと全身を駆け巡る官能と、ふつふつと沸き上がる、涙が出るほどの高揚感。
 彼と溶けあい、混じりあって新たな自分が生まれる衝撃。

 『融合(エントリー)』

 それは、優しすぎる美巨人に、闘うための闘志と攻撃衝動を植え付ける、人が編み出した神世(かみよ)と現世(うつしよ)を繋ぐ、苦肉の策。
 優しい“神”に、『愛』をもって凶暴な人間の“闘争心”を注ぐ、まさしく『神をも恐れぬ暴虐の業』であった。
「出撃シークエンス、開始します」
 サティはしっかりとした動作で立ち上がり、背筋を伸ばした。
 600tまで積載可能な超大型昇降機に向かってサティが一歩を踏み出すと、床振動を相殺する干渉システムにも抑えられなかった微振動が地下空洞全体を奮わせた。
 豊満で美しい形の、椰子の実の形さながらに前方へと自己主張激しく突出した超重量級乳房が、彼女の体の動きに合わせて“だゆわんっ”と揺れ動く。思い切りメリハリの付いた体躯は、ただ巨大であるというそのためだけでなく、均整の取れたグラマラスさが、えもいわれぬ迫力を生み出していた。
 銀色のオプティカル・スーツはすらりとした脚から足先までの全てを覆っていて、ヒールの付いたブーツと一体化していた。颯爽とした姿勢と、自信と希望と充実に満ちた輝く瞳が、まるでオフィスビルを闊歩する一昔前のキャリアレディか、幕僚内をテキパキと指揮して歩く女性司令官を髣髴とさせた。豊満でいて“ぱんっ”と張りのある尻から“きゅ”と締まった足首に至るラインは、世界中の女性が理想とするくらい美しく、だが逆に、本当にあの細い足首で人類比率換算420tあまりもある自重を支えられているのか、どうしても疑問を抱かせてしまうのだが、そこの所は考えてはいけないらしい。
 高いヒール状の踵のため、サティの歩き方はハイヒールを履いた女性のように、自然とその豊かで魅惑的に張った肉厚のヒップを左右に色っぽく揺らしながら歩く、いわゆるセクシーな“モンロー・ウォーク”になっている。
 その歩き方は彼女にとって、あそこが捩れる事でどうしても膣内(中)にある太くて硬質なシリンダーを意識させてしまう。だがそれは常に、何時いかなる時でもエントリー中は「愛しい彼が自分と常に共にある」という証明にもなり、サティに例えようもない幸福と高揚と自信と決意を与えてくれた。
『大丈夫。私は負けない』
 毎日行われる『愛合』と同等か、もしくはそれ以上の快美感と幸福感が、そのままサティの“勇気の熱量”となるのだ。
 膣内がたっぷりと潤い、信じられないほどの充実感が腰を安定させる。
 尾てい骨から脊髄を伝い、ぞくぞくとした快美感が何度も何度も断続的に首筋まで昇ってきて、そのたびにサティは“ほうっ”と濡れた吐息を吐いた。
 ずっしりと重たい乳房が痛いくらいに張り、乳暈(にゅううん)が充血して“ぷくっ”とパンケーキのように膨らんでいるのが自分でもわかる。その先端の乳首も硬くしこって、スーツの内側からテントのように張り出していた。
『あなた……私の幸一様……』
 無意識に下腹を撫で、口元を綻ばせる。
 【愛しい人が自分の体の胎内(なか)にいる】という至福に等しい素晴らしい事実が、無限の勇気をサティに与えていた。

 彼が「ここ」にいる限り、私は負けない、諦めない、くじけない、逃げたりしない。

 私は私を信じる。

 彼が信じた私を信じる。

 彼が愛した私を信じる。

 彼を愛した私を信じる。

 だから、ぜったいに、負けない。

 サティは昇降機に備え付けられた自分専用のヘルメットを被り、コネクタを繋いで接合部を閉じる。
 ヘルメットは幸一と同様にフルフェイスタイプであり、一見するとフェンシングの『面』に見えなくもないが、顔の縦方向の中心線を頂点として左右に“口を閉じた二枚貝”のようなカーブを描いており、全体のフォルムとしては、例えてみれは銀杏とか梅干のソレの、どこかそんな“種っぽい”フォルムだった。
 しかも表面はピカピカの鏡面仕上げになっていて、眩しい照明や、赤や青や黄色の機械類のランプが綺麗に映り込んでいる。
 目も鼻も口も、顔の造形パーツの全てが外部からは視認出来ないようになっている、『トゥウェイミラー(マジックミラー)』だった。
 全身銀色のフルフェイス巨人。
 ここに昔の特撮モノが大好きな幸一がいたら、まず間違いなくこう言っていたに違いない。

『サティって、ウルト○マンみたいだよね』

 サティが一つ呼吸をする。
 息を大きく吸って、吐く。
 それだけで「スイッチ」が切り替わる。
 もちろん、サティは酸素を取り込む必要が無いため、吸気と呼気の中の二酸化炭素量は全く変わらず、厳密には「呼吸」ではないのだが、これは一つの『儀式』に他ならなかった。
 右手を握り込んで左手の平に叩き付ける。
 フルフェイスのヘルメットの中で、彼女は幸一にすら見せた事の無い、粗野で凶悪で凶暴な笑みをその美しい口元に浮かべた。
「よぉしっ! いっちょいってみようか! 待ってろよ<MUG(マグ)>!!」

 目付きや口調まで、すっかり変わっていた。
この記事へのコメント
合体したらアネゴだったでござるの巻
Posted by 通りすがり at 2010年06月29日 18:03
 オッサン臭くならないように気をつけたつもりですが、微妙にオッサン臭いですね。
 というかやっぱりアネゴ?(笑)
Posted by 推力 at 2010年07月06日 22:35
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