■感想など■

2010年07月01日

◆◆ Act.03 ◆◆「戦闘」◆◆

◆◆ Act.03 ◆◆「戦闘」◆◆


■■【1】■■

 照り付ける陽光の下、光輝く全身銀色の巨人がシャコのような巨大生物と闘っていた。
 その姿は、常に無人カメラによって遠方から、上空から、そして時に地を走る無人走行車から撮影されている。
「ヘィアッ!」
 声とも音ともつかない奇妙な音波が辺りに響き渡り、巨人の肉厚で豊かな尻が波打ち揺れる。体駆の基本シルエットがすっきりしているとはいえ、やはり女性体なのだ。骨盤が張って、脂肪の付き方も男とはまるで違っていた。
 乳房が“だゆわんっ”と揺れ、太股が“ぶるっ”と震え、尻が“ぶるるんっ”と揺れる。
 「ショー」としては、これ以上無い最高の見世物だった。
 しかも、揺れ動く肉塊としての巨大な乳房は、まさしく「圧倒的な質量」というものを体現している……と言えるのだ。
 半壊し崩落寸前のビルに当たったならば、それだけで簡単に倒壊させてしまいそうだ。
 と思う間に、ボロボロになった雑居ビルが、たった今、巨大な乳房との衝突によってコンクリートを飛び散らせガラガラと崩れ落ちていった。
 <MUG>との接触により始まってたった数分間の、巨人と巨大生物との闘いによって、廃墟と化した海岸沿いの小都市が、みるみる瓦礫の山へと変貌してゆく。記録では、「環太平洋アジア連合」が発足する以前、日本国においては海岸線より内地の人工密集地ほど、<MUG>の被害が大きかった。今、巨人が闘っているこの海岸線に位置しながら山間でもある街は、数キロほど内陸に入ったところに政令指定都市があった。そのため、立地的に海から上陸する<MUG>の通り道になり、『神の息吹(ゴッドブレス[God bless])』以後、幾度と無く<MUG>の襲来を受けて、今では完全に無人の廃墟となってしまっていた。

 だが、その廃墟の中で時折、ビルの屋上や路上に小さな人影が現れては消える。
 住む場所を無くした元住人でも、行き場の無い浮浪者でもない。
 彼等は、超望遠機能が付随した高度なデジタルカメラを構え、わずか数キロから時には数百メートルの近距離で、巨人と<MUG>との闘いをひたすらファインダーへと収めていた。
 立ち入り禁止区域の半径20キロ圏内には原則として誰もいない事になっているが、いつの時代も、どんな場所でも、素早く映像を記録出来る機材が発明されてからパパラッチ(著名人をつけまわし、彼らのプライベート写真などを撮影して生計を立てるカメラマン一般)が絶えた事はない。
 そしてそれは今この瞬間、あの巨人相手でさえ同じであった。
「ダアッ!」
 豊満な乳房を大迫力で揺らしながら闘う銀色の巨人の姿は、一部の巨大女フェチでなくても、メディアで人気を博している。そのため、出来るだけ良いショットを撮影出来れば、相応の報酬が約束されるのだ。狙われるのは、ダイナミックに揺れ動くヴォリューム感たっぷりな巨大乳房であり、脚を広げた時にクッキリと浮き上がる股間の性器らしき凹凸であった。巨人の体躯からすれば極薄のスーツとインナーは、大陰唇や小陰唇らしいものの形だけでなく、恐らく勃起したクリトリスではないかと思われる凹凸ですら明確に浮き立たせてしまうのだ。
 そして時に、大きく脚を開いた際には、拡げた股間のくっきりと浮き出た大陰唇と小陰唇のふっくらとした狭間に、膣口に当たるであろう部分からわずかに頭を出した円筒形の物体すらも浮き立たせ、パパラッチの間では「銀色の女巨人は、あそこにバイブを入れながら闘っている」と、まことしやかに囁かれるようになっていた。女性体であり、人間の女性であれば膣穴のある股間に、明らかに人工物らしき円柱形の凸部があれば、誰だとてそこに何か「挿し込まれて」いると思うのが自然だろう。下世話な三流ゴシップ雑誌には、裸でバイブオナニーにふける巨人女の想像図が掲載された事があったほどだ。
「ダアアァッ!!」
 サティが巨大な乳房を“ぶるんぶるん”と揺らしながら闘う姿は、今では世界中に張り巡らされた都市間ネットワーク通信によって、いつでも随時閲覧が可能になっていた。流しているのは他ならぬ政府機関である。人口が減り地下に押し込められる形となった人類にとって、サティの勇姿は人々の希望であり、夢であり、そして羨望の的なのだ。子供達は単純に<MUG>と闘う姿に勇気を抱き、思春期を迎えた少年は性の目覚めを抱いた。そして大人達にはこの上も無い娯楽として、日々彼女の活躍を待ち望んでいた。
 そして、他ならぬサティ自身にとっても、この全国報道には益があった。闘っている<巨人型MUG>が女性体だと知れれば、人々からの応援も増加するだろうという指令本部の思惑があるのだ。
 それは人々の意識がサティに向けば、彼等の思念エネルギーの収束は確実にサティの力となるからでもある。
 超薄型のオプティカル・スキンは国民の戦意高揚も含めて、そのためのものだとも言われているのだ。
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