■感想など■

2010年07月06日

◆◆ Act.03 ◆◆「戦闘」◆◆

■■【2】■■

 パパラッチ達は、主にそんな彼等国民の更なる欲望を満たすために、自ら望んで危険な封鎖区画へと足を踏み入れて行った。
 狙いはもちろん、ネットワーク通信では検閲でカットされる事の多い、サティの際どいショットである。
 後方からの尻の挾間や、大きく開いた際の股間のシルエット、豊満で巨大な、人間換算で15トンにもなるだろう乳房に浮き上がる、乳輪や乳首など、体の表面の凹凸を余すところ無く浮き立たせたボディペイントのような極薄ピッタリボディスーツは、彼等の欲望を満たす被写体としては十分過ぎる程であった。もちろん、フルフェイスのヘルメットに隠された素顔はいつも狙われている。素晴らしく“そそる肉体”の巨大女が「美女であって欲しい」と願う人間は数多くいるのだ。
「デアーッ!」
 サティの拳が、何度もシャコ型<MUG>の体表面に力強く叩き付けられる。
 可視領域ではないため人間の目では捉える事は出来ないが、サティが打撃を加える度に<MUG>の体表面数十センチの所でキラキラと飛び散る光があった。
 それは粉砕されたプレパラートや、剥がれた雲母のように薄く、美しく虹色に輝き、煌いている。

 ──<MUG>には現行の通常兵器が、熱も衝撃も光も毒も、核すら効かなかった。

 世界有数の頭脳で構成されたシンクタンクをして『<MUG>に抗するのは<MUG>以外に不可能である』と言わしめたその理由が、<MUG>が『受肉体』として現出し続けるために張り巡らせる、多重積層構造的に存在する、パイ生地のような反応(防御)力場──通称<多層防壁>の存在である。
 この世界に存在し続けるため、人を喰らう通常の<MUG>は、主に人間の肉を欲しているのではなく、人間が死の際に発する「断末魔の怨嗟」「憎悪」「絶望」「恐怖」などを得るために人を襲うのだという事が、一般に知られていた。そのため、その体を覆う反応力場は、そんな人間の「負の思念エネルギー」によって形作られている……と考えられている。そして負に対するは正、「怨嗟」「憎悪」「絶望」「恐怖」に対するは「感謝」「献身」「希望」「信頼」などの「愛」の正(聖)エネルギーであり、ギガンテスの存在は、それそのものが<MUG>の多層防壁を打破する事の出来る、唯一の武器と成り得ていた。
 そしてそれは、ギガンテス自身も自覚している。
 多層防壁に対する唯一の方法は、<MUG>の同位体であるギガンテスが、多層防壁へ直接打撃によって正エネルギーを送り込み、一枚一枚相殺消滅してゆく……という、一見ひどく原始的な攻撃方法しかなかった。自らを構成するエネルギーの一部を荷電粒子に変換して放射する……という方法もあるにはあるが、消耗が激しい上にほとんど効果が望めないため、多層防壁を破壊した後に人類(視聴者)へのアピールまたはアジテーションとして行われる事がほとんどであった。
 そのため、<MUG>とギガンテスの戦闘は、どうしても近代戦闘の洗練さとは程遠い、プロレスじみた殴り合い(肉弾戦)の様相を成している。
 だがサティは、自らを「愛の戦士」だと自負し、誇りさえ持っている。
 人の存在に反応し、人を求め、人を喰らう、人の負のエネルギーの塊(カタマリ)たる人喰い<MUG>を、相対エネルギーである「愛」をもって闘う……愛を注ぐ、愛の戦士だと。
「ダアッ!」
 だから、フルフェイスのヘルメットから発せられる奇妙(珍妙?)な掛け声も、サティとしてはちゃんと「技」の名前を叫んでいるつもりだったりするのだ。
 即ち、
「ダアッ!(ラブ・チョップ!)」
「ヘィアッ!(ラブ・キック!)」
「デアーッ!(ラブ・パンチ!)」
 ……耕一が聞いたら激しく嫌がりそうな、そんな名前だったが。
この記事へのコメント
サーラとグランドでは書かれなかったGTSの戦闘シーンがっ。
しかしこんなところまで来るなんてパパラッチも命がけですなぁ。
Posted by 通りすがり at 2010年07月06日 19:01
>通りすがりさん
 それだけ金になる、ということでしょうね。
 マクロスFの世界が実際にあったら、ゼントラーディのグラビアアイドルとか普通にいそうですが。

 また、神話の例に漏れず、美しい巨人というのはそれだけで畏怖と憧憬の対象足り得ると思いますし。
Posted by 推力 at 2010年07月07日 12:22
クラン!
Posted by 青玉 at 2010年07月08日 00:27
>青玉さん
 クランいいですねクラン。

 サティのコスチュームのビジュアルイメージはクランです。
Posted by 推力 at 2010年07月09日 20:16
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