■感想など■

2010年07月08日

◆◆ Act.03 ◆◆「戦闘」◆◆

■■【3】■■

 時折、<MUG>から閃光が発せられたが、そのほとんどがサティの体を覆う正の多層防壁によって無効化され、それを突破した光線もオプティカル・スキンによって彼女を傷つけるには至らず、闘いは予定の15分を6分27秒残して終結した。
 決定打となったのは、多層防壁を打ち破った後、体節の隙間に肘まで捻じ込んだ右腕より発したエネルギー波だった。
 <MUG>の体がその輪郭をブレさせるようにじわじわと“解(ほど)け”て空間へと消えていく。
 サティが注ぎ込んだ正エネルギーと相殺し、力場を安定させる事が出来なくなって崩壊してゆくのだ。
 それはまさしく、水の中に墨を垂らした時の感じに良く似ていた。
 激しい戦闘で舞い上がった土煙が、徐々に晴れてゆき、<MUG>の存在が全て消滅すると、サティはようやく戦闘態勢をゆっくりと解いた。
 背筋を伸ばし、両腕を体の脇に垂らして、すっくと自然体で立つ。
 空はどこまでも青く、群青に深い。
 その群青を切り取るように積乱雲が高く立ち上り、身長33メートル弱の銀色の巨人、サティのシルエットをクッキリと浮き立たせている。

 それはどこまでも美しく、そしてどこまでも荘厳な一瞬であった。


 世界中で現出した13体のギガンテスは、日本をはじめとしてギリシャ・アメリカ・インド・ロシア・エジプト・イタリア・フランス・ドイツ……と、主要九ヶ国にも及ぶ研究所で管理運営されている。
 ギリシャには『ペトラー(岩・石)』『ピュール(火)』『ヒュドール(水)』『アネモス(風)』と呼ばれる4体が。アメリカには『フォース(光)』『スコトス(暗闇・暗黒)』と呼ばれる2体が。
 そしてインドには『ウーラノス(天)』、ロシアには『ヘーリオス(太陽)』、エジプトには『アステール(星)』、イタリアには『ハイマ(血)』、フランスには『オロス(山)』、ドイツには『ニュクス(夜)』……とそれぞれ1体づつ存在している。
 もちろん、それらの名称はコードネームであり、通常、個々はマスターが名付けた名前を名乗っている。
 サティも、コードネームは『アガペー(愛)』と言い、ギガンテスの中で最も美しく、最も優しく、そして最も清楚であると言われていた。

 各国のギガンテスにはそれぞれ特色があり、実にユニークな固体が存在する。
 例えばアメリカ合衆国だが、いい加減失墜しまくった国の威信を賭けて発足した『プロジェクト・ギガンテス』によって、数十回目の失敗の果てにようやく現出実験に成功した時、かの国の大統領は威厳たっぷりに重々しく頷き、だが資料に目を通した次の瞬間、「マイガッ」と小さく呟いたきり黙り込んでしまったという。
 彼が祈った神が何なのかは誰も預かり知らぬところだが、少なくとも蜂蜜色のふあふあコットンヘアをした、プレイメイトも裸足で逃げ出しそうなダイナマイトバディのコケティッシュ・ロリフェイスではなかったはずだ。彼(か)の国で集められた「妄想戦士」は、いわゆる『HENTAI』の洗礼を受けて育った日本本土の本家も真っ青な生粋のオタク(OTAKU)であり、それゆえに、日本のアニメに毒された彼等が産み出したギガンテスは、マッチョなアーミーマッシヴではなく、日本のHENTAIANIMEに出てきそうな、ジャパンナイズされた童顔ロリ爆乳の金髪美少女になったのではないか?と、ネットではまことしやかに囁かされている。しかも声は甘ったるいキャンディ・ヴォイスである。一部の国民には熱狂的歓声をもって迎えられたそのギガンテスが、アメリカが国の威信をかけてまで現出しながら、恥曝しの烙印を押されたギガンテス『フォース(光)』であった。その反動かどうかは定かではないが、その次に現出した『フォース(光)』の妹『スコトス(暗闇・暗黒)』は、馬鹿が付くくらい真面目で融通の付かない、カーリーヘアのネグロイドタイプであり、光と影、陽と陰、大胆と慎重、まさに合わせ鏡のような姉妹となったのは、まさしく神の采配だという声も聞かれた。

 ──「神」は人に認知され、認識され、崇められることで初めてその存在が固定される。

 もともとギガンテスは、現出の際にはその国の「妄想戦士」が強く求める姿形、性格、性癖などを強く現しているのだと言われていた。。
 サティがギガンテスの中でも、最も美しく、最も優しく、そして最も清楚であると言われている所以は、日本の「妄想戦士」が生み出したためだと推測されている。
 即ち、彼らが理想とする、今では絶滅してしまった「ヤマトナデシコ」を規範とし、初々しい処女性と、無邪気で可愛らしい少女性と、男心をくすぐる娼婦並みに富んだ機知と、淑女のように慎ましやかで男を立てる謙虚さと、そして男の全てを許し受け入れてしまう母性を併せ持っているからだ……と。
 だが、幸一と『完全同調(シンクロニティ)』して『融合(エントリー)』したサティは、普段の彼女からは想像も出来ないほど本能に忠実な状態となる。

 特に今のように、<MUG>との戦闘が終了した直後などは。

この記事へのコメント
妄想戦士…恐ろしい子ッ
もし日本が2体目を作ったらどうなるのやら。
Posted by 通りすがり at 2010年07月08日 06:50
>通りすがりさん
 きっとロリになります。
 それもフワフワ金髪で「〜なのじゃ」口調のババ喋りな。

 それか白髪紅目でむちむち熟女。
 でも「〜なのじゃ」口調のババ喋り。
Posted by 推力 at 2010年07月09日 20:25
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