■感想など■

2010年08月31日

◆◆ Act.05 ◆◆「苦悩」◆◆

■■【5】■■

 それは、彼がパートナーとなってから約一週間後、7度目の『愛合』の後の事であった。

 この時も幸一はサティの美巨(爆)乳にあてられて、仮想空間の中で『ラヴ・ドリップ』の“放出”と共に盛大に吐きまくっていた。
 射精感と嘔吐感を同時に感じるというのは、まさに天国と地獄を同時に感じるようなものだ。もちろん、最初の頃のようにサティの胸に吐瀉物を吐き散らすという無様な真似はしていなかったが、それでも白く眩いベッドのシーツに、白濁した液体(現実に摂取した食物の、消化途中の汚物は克明に再現されなかった)が広がっていった。
 現実ではないという都合の良さは、酸っぱい匂いが緩和されると共に、10秒と経たず吐瀉物が消えていくところにも如実に表れていた。
 そんな彼を、サティは涙ながらに抱きしめつつ、訥々と話したのだった。
「マスターに出会うまで……いいえ、出会ってからも、私はマスター以外の何人もの人に抱かれました。関係を持ちました。私は……汚れています……」
 その当時、彼女は幸一を「マスター」と呼び、今よりももっと慎ましい「オンナ」であった。
 そして、パートナーとなった幸一の一挙手一投足に敏感に反応し、彼に嫌われまいと必死になっていたサティを、幸一は心から愛しいと思い始めていたのだ。
 そのタイミングで聞かされた事実である。
 ショックではないと言えば嘘になる。それでも幸一は押し潰されそうな胸の痛みを隠し、サティに微笑んで見せた。男ならそうしなければならないと思ったし、そうでなければこれからもサティのパートナーで有り続ける事は出来ないと思ったからだ。
 その辺りは腐っても男子……ということだろうか。
「汚れてなんかいないよ。だって、それは現実じゃないんだから」
「……では、私とマスターの睦み事は……この大切な愛しい時間も、無いのと同じだと?」
 幸一の言葉にサティの体が強張り、声に湿ったものが混じる。
「そ、そうは言っていないでしょ?」
「言ってます!」
 サティはある意味において「純粋」だ。純粋であるがゆえに嘘や駆け引きは通用しない。
「……僕がサティに、その、注ぎ込んだキモチに、嘘とか陰とか、あった? 濁ってた?」
 だからこそ、時にはこんな言葉も口にしなくてはいけなかった。そしてそれは幸一にとって、顔から火が出そうなほど恥ずかしい言葉だった。なにしろ、幸一の心の中の、飾らないナマの言葉なのだから。
 こんな時、感動系の美少女ゲームでは、主人公はもっと気の利いた台詞を口にするものだ。幸一もそんな芝居がかった台詞は何度も見掛けたし、自分の中ではそんな台詞も、もう擦り切れたありふれた言葉となっている。
 でもゲームの中で目にするのと、自分が実際に口にするのとでは、その恥ずかしさは段違いだった。
 そもそも幸一に「オンナノコ」との駆け引きなど出来ようはずも無いのだ。
 だから、自分の中にある、普通の、ありのままの飾らない言葉しか言えなかったのである。
「…っ……いいえ……」
 サティはその時、ダイアモンドよりもキラキラと美しくきらめく涙をはらはらとこぼしながら、懸命になって頭(かぶり)を振った。
 彼女に抱き締められ、そして彼女を抱き締めながら、そして二人の胸の間でやわらかく形を変える重たいHカップ美爆乳のぬくもりを感じながら、幸一は彼女の桜貝のような耳たぶにそっと口付けた。
「『ギガンティスは愛で生きる』……。そうだよね?」
「……はい」
 サティがうっとりと、鼻に抜けるような甘い吐息交じりの返事をした。
「今、サティはここに存在してる。肉体を持って、ここに在(あ)る。それが証拠じゃないのかな?」
「で、でも……」
「僕の気持ちが信じられない?」
「……っ……ズルいです。そんな言い方……」
 この時の事を思い出すと幸一は今でも身悶えするほど恥ずかしい。
 なにせ、サティは「全て」をわかっていたに違いないのだ。
 男達の「理想の具現化」であり、芸術的な美の女神『ギガンテス』には、パートナーとなった者の精神(こころ)の動きなど手に取るようにわかるはずなのだから。
 しかもその身の内には、高級娼婦が100人集まっても適わないほどの「男を虜にする」テクニックが蓄積されているのだ。サティ自身が意識しなくても、その眼差しや首の角度、唇の動かし方や声の発し方に至るまで、高度に計算された「媚」が幸一に向けられていたに違いない。
 でありながら、彼女は「愛を乞う、ただの愚かな女」を演じて見せていた。
 ……いや、サティには「演じた」という意識すら無いだろう。
 彼女はただ、幸一が「こうあってほしい」と思う姿を、そのまま具現化しているだけのことなのだ。
 つまり彼はあくまで自主的に「許した」つもりだったが、その実、「許さざるを得ない」状況へと誘われたのだとも言えるのである。
 だがそこに後悔は無かった。
 幸一にとってその時のサティの存在が、掛け替えの無いものとなっていたのは、確かなのだから。
この記事へのコメント
二人のラブラブっぷりに幸一もげろと叫びたい
Posted by 通りすがり at 2010年08月31日 06:43
 これからラブラブがもっと加速します。

 もげろ。
Posted by 推力 at 2010年08月31日 11:34
甘すぎて砂糖吐いたwwwww
Posted by 青玉 at 2010年09月02日 01:04
 ものすご〜く甘ったるいSSは得意なので(をい)。
Posted by 推力 at 2010年09月10日 12:47
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