■感想など■

2010年10月06日

◆◆ Act.05 ◆◆「苦悩」◆◆

■■【6】■■


 ──そして「今」。

 噴水前の空色のベンチに並んで座り、幸一とサティは中睦まじく身を寄せ合っていた。
 「天気」は快晴だ。
 ベンチには木陰がかかり、辺りには葉擦れの音がさやさやと涼しげに満ちている。
 サティの顔には満ち足りた幸福感が溢れ、この世界で自分は一番幸せな女なのだと宣言するかのように、誇らしく、眩く輝いていた。
 パートナーでマスターで御主人様で旦那様で、とにかく世界中の誰よりも大切な相手から、これからたっぷりと愛してもらえるのだ。
 それを「幸せ」と言わずしてなんと言うか、サティはその言葉を知らない。

 何をされてもいい。

 むしろ好きにされたい。

 何でもしてあげたい。

 全てを与えたい。

 古来より人の形をした物には心が宿るとされた。
 逆もまた然り。
 そこに心あらば、人の形を成すのは当たり前である、と。
 だからサティは人の形を成している。

 それは愛されたいからだ。

 愛しているということを伝えたいからだ。

 愛を交し合うためなら、<MUG>との闘いなどどうということはない。
 サティの中では『<MUG>と闘うために愛を受ける』のではなく、『愛を受けるために<MUG>と闘う』のだと、目的と手段が完全に逆転していた。
 こうして体を寄せ合っているだけでも、右に座る幸一からは「愛の波動」とも言うべきあたたかな波が押し寄せてくるのをサティは感じている。
 それによって、ひりつくような飢餓感がゆっくりと緩和されてゆくのだ。
 女は「愛されている」ということを実感する事で、心と体が充実してゆく。
 ……と、サティの知識には在った。
 その通りだと、彼女は思う。
 だが、最近はそれが危ぶまれつつある事を、彼女は感じてもいた。
「幸一さん」
「ん?」
「この格好……嫌い?」
 サティは幸一から少し体を離し、自分の格好を見下ろした。
「え!? な、なんで?」
「だって……さっきから一度も……」
 そこまで言って言い淀んだ彼女は、意味ありげに目を伏せて嘆息してみせた。
この記事へのコメント
いきなりサティ始まって驚いたw
Posted by 青玉 at 2010年10月06日 07:36
 『僕オマエ』を粛々とアップしていましたが、『ギガンテス』も溜まってきましたので織り交ぜて行きたいと思います。
 それによって『僕オマエ』が停滞したように感じるかもしれませんが御了承下さい。
Posted by 推力 at 2010年10月06日 08:37
久々のギガンテス更新キター!!
Posted by 通りすがり at 2010年10月07日 06:56
今日の投下はまだなんですね
Posted by 青玉 at 2010年10月07日 07:10
 毎日アップを目指してますが、ままならない日もあったり……。
 すみません。
Posted by 推力 at 2010年10月08日 11:55
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