■感想など■

2010年10月13日

◆◆ Act.06 ◆◆「愛合」◆◆

■■【1】■■

 最初は“ちゅ”"ちゅぴっ"という、小鳥が囀るような可愛らしい音だった。
 それがやがて"ぺちゃぺちゃ"とした湿った音になり、すぐに"くちゅくちゅ"とした音へと変わってゆく。
 感触を確かめるように唇を触れ合わせていたのが、舌を使っての愛撫となり、それが唾液を舐め、啜り、交換する深いキスへと変化したのだった。
 それと共にサティの唇から「んっ……んっ……んっ……」と、苦しんでいるような、今にも泣き出しそうな、そんな声が漏れ始めていた。可愛らしく上品な鼻腔が広がり、彼の唾液を一心に受け止め、味わい、嚥下している。また、彼女自身も彼に唾液を啜られ、ピンクの舌を舐められ、官能に震えながら彼にしがみつくようにしている。
 これは現実ではなく仮想である。実際に物理的な唇を触れ合わせているわけではないのだ。だが、その世界に身を置き、テラ単位の情報量で物理計算され構成された感覚は、今の二人にとっては確かな現実以外の何ものでもなかった。
 もちろん、鼻腔に届く香り分子も、味蕾を刺激するイオン構成も、サティの無意識下でコントロールされて好ましい性情報へと微妙に調整されてはいたが。
「ぅんっ……はっ……あっ……」
 サティはもう、キスだけで何度もオルガスムスに達しかけ、そして何度も切なく苦しくなって、すっかり泣きそうになっている。
『ああ、どうしよう……きもちいい……キス、きもちいいよぅ……』
 何十回何百回何千回したかわからないほど繰り返し繰り返ししてきた口付けは、馴れる事無く、交わすたびにサティの身体を震わせる。いやむしろ、交わすごとにそこから得られる快美感が増大していっているようだった。感覚が鋭敏になり、彼の味に、匂いに、舌触りやその熱さに、身体がいちいち反応してしまうのである。
 唇が悦んでいた。
 舌が悦んでいた。
 彼の舌が、唇をなぞり舌を弄び、歯茎の凹凸を確かめるようにして滑って、口腔の頬の内側をくすぐる。それだけで涙がこぼれて、あそこがじんわりとろとろと潤んでくるのだ。
 自然と腰が動き、彼に擦り付けたくてたまらない。
 自分を委ねてしまいたくてたまらない。
 自分の全てを受け止めてもらいたくてたまらない。
 そうなのだ。
 だからこそ。
 だからこそ、愛しい人に全てを委ねてしまえる歓びを知ってしまったら、もう独りには戻れなかった。
この記事へのコメント
キスだけで埋め尽くす……濃密ッ……
Posted by 青玉 at 2010年10月13日 22:41
 やはり、「ラヴ」はキスにあると思うのです。
 「ラヴ」。
 下唇をまきこむ感じで(笑)。

 これからしばらく、エロエロでダダ甘でガムシロップに蜂蜜混ぜたような展開が続きます。
 最後までお付き合い下されば幸いです。
Posted by 推力 at 2010年10月14日 11:14
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