■感想など■

2010年11月17日

◆◆ Act.08 ◆◆「女神」◆◆

■■【2】■■

 気がつくと、いつの間にか幸一は陽光降り注ぐベンチの上から、大きな木の木陰にいた。御丁寧に、下には触り心地のいいシーツが敷かれている。
 それは仮想空間のフレキシビリティが遺憾なく発揮された結果なのだろうな、と幸一はチラリと考えた。
 膝立てたサティの両脚の間から身を起こして、その狭間の奥に在る股間に目をやると、愛合の残滓である愛蜜のぬめりが幸一の目を淫らな様で打った。以前は愛合が終わった途端、そこも数瞬後には何も無かったかのようにぬめりが消失し、充血した肉唇も二枚貝のようにピタリと閉じて綺麗になっていたものだったが、幸一がそれに対してわずかな物足りなさを感じたことを察知したのか、いつしか愛合の余韻を示すために、今ではこうしてサティの性器はしばらくぱっくりと開いて愛蜜が滴り、濡れるままになっていた。だがそこに『ラヴ・ドリップ』の影は無い。幸一が膣内にたっぷりと放出した『ラヴ・ドリップ』は、現実の女性に対して膣内射精した時のように、“どろり”と膣口から逆流などはしない。全て、子宮によって吸い上げられ、そして一滴残らず吸収されてしまうからだ。
「えっち」
 幸一があそこを注視している事に気付き、サティが膝を閉じて甘く咎めた。
「えっちな僕は、嫌い?」
 おどけてそう言う幸一を、サティはくすくすとおかしそうに笑う。もったりと重たそうに裾野が広がりながら、それでも高さを誇るように大きく盛り上がった椰子の実おっぱいが、先端の赤い乳首をふるふると震わせたままゆらゆらと揺れた。
 サティはゆっくりと身を起こすと、大きくてやわらかくてあたたかくていい匂いのするそのおっぱいに幸一の頭を引き寄せて、
「愛してます……」
 と、甘く陶然として濡れた声音で告げた。
 「嫌いじゃありません」とか「好きです」とか、そんなのはいきなりすっ飛ばして「愛してます」と告げるあたり、サティもイイカンジにとろけているようだった。
「私のあそこは、幸一さんのモノです。もうすっかり幸一さんのカタチ、覚えちゃいました。幸一さん専用です」
「うん?」
 今更、何を言うのだろう。そう思い顔を上げようとした幸一の頭を、サティは強引におっぱいの間に押さえつけた。
「んぷっ! ちょ、サティ?? んぶぶっ!!」
 汗で“しっとり”として“もにゅもにゅ”した、それでいてうっとりするような良い匂いのするおっぱいが鼻と口を同時に塞いで圧迫して押し寄せた。
「ぶむむっ!」
「幸一さんのカタチになった私のあそこは、幸一さんしか、もう、ダメです。その意味、わかります?」
「んぶっ……もがっ」
 息が詰まる。仮想現実でありながら、この息苦しさは本物だった。
 こんなところまで現実っぽく、おっぱいで窒息するとは。

 ──ひょっとしてここで窒息死すると現実でも死んでしまうのだろうか?

 ふとそう思ったものの、サティが自分を殺す事など天地がひっくり返ったとしても有り得ない事なので、幸一はすぐにその考えを打ち消した。
 おっぱいに挟まれながら見上げるサティは微笑んでいた。慈愛の微笑だ。聖母の微笑と言っていい。
 でもその目はちっとも笑っていなかった。
 また何か自分でもわからないうちに地雷を踏んだのだろうか?
 その幸一の疑問は、次の瞬間にはあっけなく瓦解した。
「幸一さんには黙ってましたけど、今回の全ては、お姉様達も御覧になってました」
「んぶぶっ!?(ええっ!?)」
「お姉様達には幸一さんと私がいかに愛し合ってて、誰であろうと……たとえそれがお姉様達であろうと、その間に入ることなんて絶対に出来ないってことを、この際だからしっかりと思い知らせてあげないといけないって、思ったんです!」
 鼻息も荒くそう言い放つサティの言葉に、幸一は泣きそうになっていた。

 ──それ、まだ続いていたんだ……。

 彼女の言う「お姉様達」というのは、幸一にちょっかい(アプローチ)かけてきていた6人の美女達の事だろう。
「ファーティマお姉様も、エレオノラお姉様も、ブリジットお姉様もアナスタシヤお姉様もクリスティーナお姉様もコルネリアお姉様も! もうぜったいに幸一さんにちょっかい出させないんだからっ!」
 ちなみに、「ファーティマ」はエジプトの『アステール(星)』、「エレオノラ」はイタリアの『ハイマ(血)』、「ブリジット」はフランスの『オロス(山)』、「アナスタシヤ」はロシアの『ヘーリオス(太陽)』、「クリスティーナ」はアメリカの『フォース(光)』、「コルネリア」はドイツの『ニュクス(夜)』であり、それぞれ各国のマスターが名付けた名前であり、顔や体付きは様々ながら、揃いも揃って性にオープンで貪欲で旺盛で、とにかくひと昔前の言葉を借りるなら「肉食系」の、ものすごい美女達であった。
 そんな彼女達に、サティはつい先ほどまで繰り広げられていた、二人の愛の営みを見せつけた、というのである。
 しかも、「二人の愛」を証明し、誇示するために。
『でも、それ……逆効果だと思うなぁ……』
 “たぷたぷ”で“ふかふか”で“もにゅもにゅ”で“もちもち”のサティのおっぱいに包まれながら、幸一は仮想現実でありながら冷たい汗が背中を滑り落ちるのを感じた。
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