■感想など■

2010年12月09日

[LIPS]『Piece.00』「夜明け」〜決戦前夜〜

■■ Scene.02 ■「愛奴」■■


 私がオンナになったのは、いつだったろう……。

 彼女は、艶やかな黒髪を掻き揚げながら、ぼんやりと考えていた。
 こうして、彼に口付けるのを、ずいぶん前からずっと続けて来たような気になるのは、それだけ彼の事を、何度も頭の中で思い描いていたからだろう。
 彼女は、そう……思う。
「ん……」
 彼とキスをすると、わずかに血の味がする。
 それが、気のせいだとはわかっている。
 けれど、彼が優しい微笑みを浮かべてくれると、彼女はそれだけで苦しくなるのだ。
 失いたくない。
 その想いが、胸に……満ちる……。
「ティファ……」
 彼が、その癖の強い金髪を揺らして、熱に浮かされたようにうめく。
 こうしてベッドに二人でいる事が、どんなに嬉しいか。
 どんなに温かいか……彼女はその身をもって、彼に伝えようとしている。
『あなたがいる事が、私の全てなの……』
 横目でちらりと部屋のガラスを見る。
 黒く塗りつぶされた、墨のような闇が口を開ける窓の、その磨かれたガラスに、自分の姿が映っていた。
 その姿は、普段の姿からは想像できない様で……まるで自分でないようだ。
 ベッドに仰向けになった彼に覆い被さり、夢中でキスをねだっている……。
 彼の思いの外逞しい首に腕を回し、体を摺り付けるようにして蠢く様は、街に溢れる娼婦と、一体どこが違うというのだろう……。
『一夜の愛じゃ……ないもの……』
 何年も何年も温められ、磨かれた想いは、誰にも負けはしない。
 そう……たとえ相手が『彼女』であっても……。

 タンクトップを捲り上げられ、彼に胸を弄られるだけで涙が溢れそうになる。
 何度も他の男に触れられようとも、彼は特別なのだ。
 馴れはしないだろうという、想いがある。
 他でもない、『彼』の手が、自分の乳房に触れている幸せは、彼女をたやすく童女に帰すのだ。
 口からもれるのは囁き。
 甘い呟き。
 彼をいっそう強く抱きしめ、顔中にキスの雨を降らせる。
 額に、瞼に、鼻に、頬に、顎に、そして、唇に……。
 愛しい。
『愛してる……』
 愛してる……あいしてる……あいしてる……アイシテル……。
 キスを降らせる度に、彼女は涙を溜めた瞳で、彼を見つめる。
 彼の服を脱がせ、胸に口付けた。
 少ししょっぱい、汗の味と、彼の匂いが胸いっぱいに広がる。
「クラウドの……匂い……」
 火照って腫れぼったい頬が、リンゴのように真っ赤になっているのだろうと、自分でもわかる。
『私、きっと今……とんでもなくいやらしい顔……してるわ……』
 だから彼の視線から逃げるのだ。
『ぶすな私なんか見ないで』
 その想いは強い。
 彼の乳首を口に含み、厚い胸を舐める。くすぐったそうに身じろぎする彼が、何だか可愛くて、脇を特に念入りに舐めた。
 舌は少しづつ下がり、臍で遊ぶ。
「ティ……ティファ……」
 彼女の両手がファスナーにかかると、彼は少し慌てたように彼女の手を押さえた。
「いいの……してあげたいの……」
「け……けど……」
「今ならどんな事でも出来る……そう思うの。……イヤ?」
「…………嫌じゃ……ない……」
 彼女が小首をかしげて彼に問うと、彼は何とも言えないような顔をしてボソボソと言った。
 くすり……と彼女の口から笑みがもれる。
 その笑みに、傷つけられたかのように彼が顔をしかめるが、そんな仕草さえ、彼女には愛しい。
『えっちの時にはどんな男も素直になるって……本当ね』
 ズボンを下着と一緒にずり下げ、彼のモノを引き出す。
「……ツ……」
「ごめん! ……痛かった!?」
「い……いや……」
 出す時に、モノを爪で引っ掻いてしまったようだ。
 彼女は慌てて、白く残った擦り傷を舐めた。
「あ……」
 ぴくん……と、彼女の舌を感じて、彼の体がベッドの上ではぜる。
 彼女は彼のモノを大切そうに両手でそっと包むと、そのまま、ちろちろとその可愛らしい舌で舐めていった。
 そうして、その先端の粘ついた粘液を舐め取り、口の中でぬるぬると味わってみる。
『変な味……』
 けれど、彼の味なのだ。
 嫌ではなかった。

 ぷちゅ……

 先端に直接唇を付けた。
「う……」
 痛みが走るのか、彼が小さくうめいて、歯を食いしばるのが見えた。
 口を離すと、粘液の糸が引く。
『子供の時より、ずっと大きい……』
 彼女は、子供の時にちらりと、彼のモノを見た事がある。
 ……というより、クラウドを苛めて、脱がせた事があるのだ。
 まだ彼女も彼も、小さく、幼かった頃の事。彼女が彼よりも、他の男の子と遊ぶ事に楽しさを見出す前の話……。
 それは、ライフストリームの中で出会った、彼と自分の過去を見るまで、思い出しもしなかった遠い昔の思い出だった……。
 近所に住む、チビで泣き虫の彼は、泣き虫なのに意地っ張りで、そこがティファの心に引っかかったのか、彼女は、事ある毎に、年上の少年を追い掛け回していたのだ。
『なのに……今はこんなに強くなって……私を守ってくれる……』
 天井を睨み、まるで怒っているかのような彼を見て、涙がこぼれそうになった。
『私のために……私に認められたいと願って……』
 その思いは、彼女に「オンナで良かった」と思わせる力を持っていた。

 ちゅぷ……ぷちゅ……

 後から後から溢れる粘液を、滲む度にキスで吸う。
 やがて彼女は、そうする事が当たり前であるかのように、彼のモノを口いっぱいに含んだ。
『熱い……』
 口の中に、彼の匂いと味と体温が広がる。
「ん……んん……」
 舌を絡ませ、その裏側を撫ぜるように擦り付けると、それは彼女の口の中でビクビクと震えた。

 ちゅる……

「けふっ……」
 喉の奥に当たり、咳き込んで口を離してしまう。
「ティ……もういいよ……」
「……良くない?……」
 彼の気遣わしげな言葉に、彼女は泣きそうな顔をして聞く。
「そうじゃない……そうじゃないんだ……けど……」
「…………ごめんなさい……私……まだ馴れてないから……」
 言ってしまってから、自分がものすごい事を言った事に気付いて、慌てて彼を見た。
 彼は苦しそうな、痛そうな顔をして、シーツを睨んでいる。
「ち……ちがうわ……ちがうの! あ……私がこうするのは、クラウドだけよ」
「…………」
「クラウドだからしたいの。私がしたいの。クラウドの全部が欲しいの」
「ティファ……」
「私の口にちょうだい……クラウドの体の一部をちょうだい。命をちょうだい。少しだけでいいの」
 彼女はそれだけ言うと、口を大きく開けて、彼のモノを再び頬張った。
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