■感想など■

2011年01月15日

[PAIN]『Piece.00』『秘密』〜SECRET OF MY HEART〜

■■ Scene.09 ■「虜囚」■■

 部屋の一面を支配する、大振りな窓に寄せた重厚な木製のデスクの上で、白い肉体がうねっていた。
 匂い立つように、汗でてらてらと濡れ光る淫猥で美しい肌は、適度に日に焼け、健康的な色で、見るものの眼を打つ。

 ティファ=ロックハート

 かつて、ほんの少し前まで、そう呼ばれていた肉体の名だ。
 デスクの上で、ティファは白い腹を見せ、両脚をいっぱいに開いたまま、荒い息で体を震わせていた。
 既にその体に、衣服は無い。
 ただ、片方の靴下が名残惜しそうに、その身を纏わりつかせているだけだ。
 その代わりに、全身を汚らわしい……しかし、とてつもなく心地良い、甘美な気だるさが覆っていた。

はーーー……はーーー……はーーー…………

 深く、大きく息は吐き出される。
 その度に、ゆらゆらと豊かな乳房が揺れた。
 あれからどれほどの時が流れたのだろう……?
 テーブルの上で、ソファの上で、そしてデスクの上で、ティファは、口を犯され、上から……後ろから犯され、後ろの『蕾』さえも蹂躪された。
 しかし、それは不本意な行為では無い。
 自分から望み、そして求めたのだ。

ぶりゅ……

 股間から……『花』から、溢れた男の精がとろとろと零れ落ちる。
「う…………」
 知らず、涙が溢れた。
 火照った体とは対照的に、魂は冷えていた。汗が体に熱くまといつくのを自覚する度に、心に傷が走った。
『私は……』
 全て覚えているのだ。
 這いつくばり、自ら体を開いてルードを求めた事も、彼のモノを至福の想いで咥えた事も、喘ぎ、叫び、啼き、愉悦に浸りながら尻を振った事も……。
「ふう……う……」
 両手で口を多い、デスクの上で身を縮こまらせた。
 ソファの手すりに腰掛け、紫煙をくゆらせるルードに背中を向けるようにして、膝を引き寄せた。

ぢゅ……じゅち……

 粘液質な音が股間から漏れ、ティファの心を更に冷たくしていく。
『クラウドの事を考えもしなかった』
 男を迎え、犯されながらよがった間、一度もクラウドを思い出さなかったのだ。
 快楽に狂い、一番愛しい男を忘れていた。
 その想いは、身体を自由にされた事よりも、自分自身を責める。

 「薬」は、今だ彼女の体を縛っていた。
 その忌まわしい、汚れた呪縛で、彼女の体を強く、強く虜(とりこ)に貶(おとし)めているのだ。
「ふあ……う……」
 ぐい……と、右腕を唐突に引かれた。
 そしてルードに、無理矢理にデスクから体を起こされ、肩に担がれたかと思うと、まるでモノでも扱うかのようにソファに投げ出された。
 体がソファのクッションにバウンドし、その拍子に左膝で鼻を強く打った。
「ぶ……あ……」
 彼女には、既に言葉を紡ぐ力さえ……ない。
 ツン……とキナ臭い匂いが鼻孔を満たし、ぬるりとした液体が、喉に下りてきたのを感じる。
「けっ……がはっ……」
 気管に入り込み、ティファは咳き込んで体を丸めた。ぬるる……と、横にした顔の、鼻孔から右耳までを、生暖かいぬめりが伝った。
『血……?』
 ぼんやりと、思う。
 ……が、それが何だというのだろう……。
 ルードがゆっくりと自分に覆い被さってくるのを人事(ひとごと)のように見やりながら、ティファは、口の中いっぱいに広がった血の味に、かすかな嘔吐感を感じて眉を顰めた。

 人形のように、ただ自分を迎え入れるティファに、ルードの「シフト」させた心がかすかな痛みを伴った“哀しみ”で満たされる。
 だが、彼の肉体はそうではない。
 その淫らに濡れ光る『花』の中に、己を埋め込む事を望んでいる。
 ぬちぬちと粘液を絡め、まぶして、すりつける。
 ねっとりと粘度を増した『蜜』が、モノに絡み付く。
 ルードは、鼻血を流しながら、ただガラスのような瞳を天井に向けるティファを、ゆっくりと刺し貫いていった。

         §         §         §

「この事……あの人の前で口にしたら……私、許さない……。ううん……殺すわ。絶対に……」
 皮張りのソファの上で、うつ伏せに身を横たえ、ティファはルードに怨嗟の言葉を投げかけた。
吐息は荒い。
 気だるさを纏わりつかせた顔をソファに付けたまま、ティファは目だけを光らせて、ルードに言い放ったのだ。

 意識が……力が戻りかけていた。

 「薬」が体内より抜け始めているのだろう。
 向かいのソファに腰掛け、サングラスだけをその身に付けたまま、ルードはゆっくりと紫煙を揺らし、胸一杯に苦みを吸い込んだ。
「…………………………」
 裸の胸は驚くほど厚いが、それは、鍛え抜かれた、強靭なしなやかさを内包した「強さ」だ。適度に日に焼け、ナチュラルな美しさを見せる筋肉の束は、決して「鑑賞」のためのものではない。それなのに、敵を捉え屠る肉食獣の強靭さは、見る者に、畏怖と畏敬、そして賛美の念を抱かせる。
 畏怖とは、
「この男に捉えられたら逃げられない」
 そういう「怖さ」であり、
 賛美とは、
「この男に触れたい」
 ……そういう「引力」である。

 ティファから向けられた、刺すような殺意に満ち満ちた視線に、投げかける言葉は……今は無い。
 もとより、ルードにはティファに対して口にする言葉を持たなかったし、また、話そうとも思っていない。
 まだ、意識は「シフト」させたままなのである。
 ただ、ティファのぷっくりとした尻から、とろり……と自分の精が滑り落ちるのを見ていた。

 2回、射精をした。

「な……中には出さないでっ!」
 ティファは、白濁した意識の下から、それだけを口にした。

 だが、聞かなかった。
 思い切り、彼女の体の奥深くに放った。
 ルードは、愛しい女の、その肉体の奥底に精を送り込む快感だけを、意識した。

 部屋には、汗と、タバコと、酒と、そして、男と女の情事の生々しい残り香だけがたっぷりと充満し、胸を悪くさせた。

「絶対……絶対に殺してやる……」
 瞳に炎が灯っていた。
 だが、まだ小さな、風が吹けば消えてしまいそうな炎だ。

 何者にも負けぬ、かつての命の炎には、まだ遠い。

「奴はいない」
 ルードはただ素っ気無く、タバコをもみ消しながら言った。
 彼女はその言葉に、血のこびりついた頬を引きつらせて……笑った。

 笑ったように、見えた。

「あの人は生きてるわ」
「…………」
「クラウドは絶対に生きてるわっ!」
 それは壮絶な表情だった。
 涙の溜まった目をいっぱいに見開き、口は笑みの形を作っている。
 薄く開いた唇からは、ルードの陰毛が絡み付き、精に汚れた歯が覗いていた。
 そして唇の端が引きつり、狂気に囚われているかのようでありながら、瞳は正気に光っているのだ。
 いっその事、狂えていた方が、彼女には良かったのかも知れぬ。
 ……そう、見る者が思う程の……哀しく、凄絶な表情であった。
「私はもう一度彼に逢うの。絶対に……絶対に……!」
 力の入らぬ腕を懸命に使い、ティファは身を起こそうとした。
「…………………………」
 そのティファの動きに呼応するように、ルードがソファから立ち上がる。
 彼の股間の赤黒いモノが、彼女の深淵に放ったばかりだというのに、大きく怒張し、天に向かって起立していた。
 途端に、ティファの瞳に「脅え」が走る。
「あ…………いや………………」
 ティファは顔を引き攣らせ、いやいやと首を振りながら身を震わせて、逃げようとソファから身を乗り出した。
 ルードはそんなティファを強引に引き倒し、乱れて、汗と『蜜』をたっぷりと吸ったソファに無表情のまま、押さえつけた。
「い……いやっ! もういやっ!!……いやあぁっ!!」
 長い黒髪を振り乱し、脅えて暴れる彼女を、力でねじ伏せ、屈服させて、強引に両脚の間に割り込んだ。
「いやっ!!……いやあああ!!」
 自らの精で溢れた彼女の『花』を、指で無理矢理押し開き、無造作に挿入する。
「ひぐ……ううっ……」
 くぐもった声を漏らし反り返った彼女の体の上で、たっぷりとした豊乳が、ぶるっ……と揺れる。

 ルードには、ティファを解放するつもりは、まだ、無いのだ……。

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