■感想など■

2011年01月04日

[LIPS]『Piece.00』「夜明け」〜決戦前夜〜

■■ Scene.09 ■「未来」■■

 二人で向き合って、彼に跨るように座り、繋がったままティファは、
『この人の子供が欲しい』
 と、突然に、そう思った。
 そしてそう思った途端、身体の奥、下腹に澱んでいたモノが、昇華するのを感じたのだ。
 形のあるモノではない。
 けれど、彼の動きに合わせて打ち寄せる「うねり」が、そのざらり≠ニした感触を彼女の意識から取り去っていた。
 それが、はっきりとわかる。
「いいのか?」
 クラウドが聞く。
 どんな意味で言ったのだろう。
 彼女は途切れがちな意識の中で、彼の目を真っ直ぐに見た。
 目にいっぱいの涙を溜めて、泣き出しそうな、苦しそうな、そして、取り乱しそうな顔で、喘ぐように息をする彼女を、彼の目が捕らえる。
 キスを交わした。
 互いの全てを貪るように、夢中で相手の唇と舌を求めた。
 二人の唇を銀の糸が結ぶ。
 はあ……と深く息をついて、彼女は許しを請うように彼を見つめた。
「私は……欲しいの……」
 彼は言ってくれたのだ。
 『愛している』と言ってくれた。
 『呪文』を唱えてくれた。
 だから、欲しい。
 彼の……彼と、私の子供が……。
 彼女は頭の片隅で、今日が受精期に入っている事を自覚している。
 今、彼の精をもらえれば、妊娠出来るかもしれなかった。
 けれど……。
 彼女は、彼から目をそらし、俯いて唇を嘗めた。
 今尚彼女の中を、彼が行き来している。
 それが生み出す激流に、ともすれば呑まれそうになりながら、その様から、彼女は目をそらせなかった。
『クラウドは……私との赤ちゃん……欲しいと思う?』
 そう、聞きたかった。
 愛し合う最中にこんな事を聞くのは、反則だ。
 ティファでも、そう思う。
 それがどんな愚かしい事か、知っている筈なのだ。
 オンナの身体の中に自らを埋め込んだオトコは、その胎内に自らの精を注ぐためなら、どんな事でもするだろう。
 どんな『嘘』でもつくだろう。
 娼婦宿のセリアは、ティファにそう、教えてくれたのだ。
『でも……でも……』
 クラウドだけは違う。
 クラウドだけは、私の事を想って答えてくれる。
 彼女はそう思った。
 それを女の愚かさだと、笑う事が出来るだろうか?
 切ない程透明な、彼女の想いを、笑う事が出来るだろうか?

 彼の体には、「ジェノバ細胞」が埋め込まれている。
 正確には、植え付けられ、融合し、増殖して、彼の肉体をより強固にした要素として、すでに彼の一部と化しているのだ。
 彼の精が、「ジェノバ細胞」の影響を受けていないと、誰が言えよう。
 だが、それでも。
『それでもいい……』
 彼の子供が欲しい。
 この闘いを生き抜き、彼の子を身ごもり、産み、育てる事を思えば、何があっても、どんな事があっても耐えられる。
 生きてゆける。
 この戦いに勝てば、忌まわしい「ジェノバ」の影響を、クラウドも受けなくなるに違いないのだ。
 ならば、クラウドの精を受ける事に、どうしてためらいがあろうか……。

「は……あ……」
 彼女は彼をぎゅっと抱きしめ、その首筋と頬に口付けた。
 目を開けていられなかった。
 どうしようもなく胸が締め付けられて、涙が止まらなかった。
 汗ばんだ豊乳を、彼の右手が思うままにこねている。
 その手が彼女のお尻に当てられると、彼の動きはより一層激しさを増した。
「はっ……あっ……あっ……あっ……あっ……」
 乳房が、髪が跳ね、踊る。
 彼の答えを聞かぬまま、意識は彼女を裏切って、空白の彼方に溶けゆこうとしていた。

         §         §         §

「ひっ……」
 彼女の身体が急に強ばり、ピクピクと痙攣したように震えたのを感じて、彼はその動きを緩やかなものに変えた。
 満身創痍の痛みの下からでも、起死回生のファイナルヘブンを繰り出す彼女の身体は、襲い来る立て続けの快楽の波に翻弄され、その感覚に不慣れな事をすっかり露呈していた。
「死んじゃう……」
 波は、引く事を知らぬかのように、彼女の意識を掻き混ぜ、犯すのだ。
 その感覚の、何もかもが恐ろしい。
 確かなものが何も無い、奈落の底の入り口に足を踏み出したような感覚に、彼女の、わずかばかりに残る理性が恐怖したのだ。
「死んじゃう……しんじゃう……」
 背中の、腰の辺りをむずむずとした感覚が這い上がりながら、全身に走った「震え」は、彼女の『花』をより一層美しく開かせていた。
 蜜が溢れ、それは、彼のモノを伝って、彼の股間を滴り落ち、ベッドに大きく染みをつくっている。
 彼女自らが「多い」と自覚するその蜜は、今は白濁し、よりねっとりとした粘度を見せていた。
 そして、弛緩し、開ききった『花』は、彼をより深く呑み込もうとしていたのだ。
「う…………」
 キツく彼にしがみつき、ふるふると震えていた彼女が、不意にぐったりとして、彼にその身を預ける。
「はあ……」
 熱い吐息を彼の首筋にかけ、彼の肩に顎を乗せて、うっとりとした至福の表情を見せる彼女は、満腹してお昼寝をする童女のようだ。
「ごめん……なさい……」
「え?」
 今だ彼女の中で、その膨張を止めない彼のモノは、彼の意思に反して弾けなかった。
 それを思っていた彼は、彼女がどうして謝るのかがわからなかったのだ。
「また……私だけ……」
 一人でイッてしまった事を言っているのだと、少ししてから気づく。
「ばか……いいよ。そんなの」
「ううん……欲しかったもの……私……欲しかったもの……なのに……」
 彼女の声は、叱られた子供のように小さく、心細げだ。
 彼は、そのさらさらとした彼女の髪を指に絡め、彼女の耳をくすぐった。
「あっ……」
 ぴくん……とした彼女は、彼から身を放し、首を竦めた。
「そんなに簡単にイッったら……つまんないだろ?」
「え?」
「ティがイクのを見るのは、好きだよ」
「……やだ……」
「オトコはさ……」
 彼は言いかけて、両手でそっとピンク色に染まった彼女の熱い頬を包んだ。
「一度イクと、そこで終わっちゃうんだ」
「……終わる……?」
「何度もイケないって事。インターバルがいるんだ。けど、オンナは違うだろ? だからさ。俺はティがイク所を見るのが好きだ。ティが気持ちよくなるのを見ると、俺も気持ちいい」
「クラウド……」
 ちゅ……と彼女に口付ける。
 ちろ……と、何も塗っていなくても紅い、その果実を嘗める。
 そうしておいて、すっと唇を離すと、彼女は名残惜しそうな顔をして唇を突き出し、拗ねる様な仕種をした。
「それに、すぐに終わっちゃったら、もったいないじゃないか……」
 そう言ってにっこりと笑う彼の笑顔が、彼女には嬉しい。
「こんなにティは可愛いんだから……」
 そう言うと、今度はたっぷりと時間をかけて、彼女に唇と舌を与えた。
「あふ……あ…………私…………可愛い……の?」
 とろん……として、うっとりと彼を見つめながら、自然と彼女の腰が動く。
 彼を呑み込んだままの『花』は、やがて新たな律動を始めて、彼を陶酔に導き始めている。
「ああ。可愛い。……すごく」
「うれしい……」
「ティの赤ちゃんなら……きっと、ものすごく可愛いだろうな」
「クラ……」
 名前が途切れた。
「ひいんっ!」
 より一層激しく突き上げる彼に、彼女は耐えられなくなり、言葉を飲み込んでしまったのだ。
「ひっ……ひっ……ひっ……あっ……ひっ……」
 激しく、なのに時に繊細に、彼は彼女の深みを、自由に突いた。
 ひとしきり突き上げると、彼はぐったりとして朦朧とした彼女に、甘い声で聞く。
「俺の好きにして……いいか?」
『ずるい……』
 そう思ってみても、その言葉に今の彼女は抗う事が出来なかった。
 抗うよりも、与えられる快感に身を委ねる事を、彼女は選んだのだ。
 ちゅる……
 彼は、彼女をそっとベッドに倒すと、『花』から自分のモノを抜き出した。
 今まで押し込められていたかのように、とくとくと蜜が溢れ出る。
 彼は、加虐的な喜びに震える目で、その光景を見ていた……。

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