■感想など■

2011年01月11日

[LIPS]『Piece.00』「夜明け」〜決戦前夜〜

■■ Scene.11 ■「幸福」■■

 彼をしっかりと捕まえ、その深みに誘うように断続的に締め付ける動きは、彼女が意識したものでは無かった。
 それでも、その動きは彼女の心を表しているようで、より深い結合を願っているのだと知れる。

 彼に後ろから貫かれてから、どれほどの時が流れたのか、彼女には自覚すら……なかった。

 記憶が途切れ途切れになっている。

 意識を押し流すほどの激流が、繰り返し繰り返し、身体の中に押し寄せるのだ。
「はっ……はっ……はっ……はっ……あっ……あっ……あーーーーーーーーーー……」
 キツくシーツを握り締め、高く掲げたお尻からベッドに押し付けられたまま、彼女は助けを求めるように声を上げて、長く糸を引くように啼いた。
 彼は、激しく、優しく、緩やかに、責めるように、彼女を貫く。
 髪を振り乱し、啼きながら愉悦に浸り切っている彼女の姿は、ケモノのように淫らだ。
 いや……本当の獣は、こんな風に快楽を貪ったりはしない……。
『おち……る……ぅ……』
 暗闇に引き込まれるような、白濁した意識の中に埋没するかのような、そこはかとない恐怖感がある。
 それなのに、この快感はどうだろう。
 ぐずぐずと腰から身体がとろけて流れてゆくようだ。
 彼女は恐ろしさと嬉しさと悲しさと切なさの中に、ゆっくりと、自ら落ちてゆこうとしているのだ。
「し……しんじゃう……しんじゃうぅぅ……」
 自然と声が漏れた。
 助けを求める声だった。
 シーツでは心細くて、豊乳がひしゃげるのにもかまわず、一心に、腰を掴む彼の手を求めた。

 ずちゅ……ちゅ……

 ぴしゃぴしゃと、自分のお尻が彼の腿を打つ音の中に、確かに粘液質な微音が聞こえる。
『洪水……だわ……』
 彼女は、自分の蜜の多さを嫌悪している。
 けれど、彼を迎え入れた今、それは嫌悪から変わりつつあった。
 多いからこそ、より深く、自然に彼を迎えられたのではないかという想いへと。
「うう……」
 彼のうめき声が耳を打つ。
 「その時」が、近いのだろうか?
 今まで激しさの中にも、丁寧に彼女の深みを突いていた腰が、不意により激しいものへと変わった。
「はっあっ……」
 身じろぎして、肩で身体を支えた。
 少し身体をひねるようにして、左手を『花』へと伸ばしたのだ。
「あっ……」
 思ったよりも多くの蜜が、太股の内側を伝い落ちていた。
 ぬるぬるとした感触を指に絡めたまま、彼女は自らの花芯をさすった。
「うっ……うーーー」
 ほんの少し指を伸ばすと、彼の「袋」が、ぴたぴたと触れる。
 そして、彼女の『花』をおもうさまに蹂躪している、硬い激情にも。
「ああ……」

 ぶ……ぷぶ……

 『花』の中へと送り込まれた空気の立てる音が、彼女の心に、かすかな羞恥を呼び起こす。
 彼に聞こえたのではないかと、彼を仰ぎ見ようとするものの、その力は、既に彼女の中には残っていなかった。
「ティ……ティ!」
 彼が名を呼ぶ。
 近い。
「……うんっ……きて……来て……きてっ」
 夢中で声を放った。
 途端。
 彼の腰が動きを止め、彼女のお尻を引き寄せた。
『あ……くる……』
 腰は自然に動いた。
 より深く、より確実に彼の精を受けるべく、彼女は彼の腰に密着させるよう、自分のお尻をぐっ……と突き出したのだ。
「はっ……あっ……んん……」
 ひどく熱いものが、自分の中に迸るのを、彼女は確かに感じた。
 彼がビクビクと震え、彼女の深淵に向かって放っているのがわかる。
「きゃふ……う……」
 苦悶するように顰められた、彼女の形の良い眉は、やがて緩やかな線を描く。
 彼女の表情が、みるみるうちに、安らかなものへと変わってゆくのだ。
 それは、彼女が『愛しい男の「命」を、その身に受けた』という事実に、すっかり陶酔しているために他ならない。
『私のもの……ぜんぶ……私のもの……』
 緩みかけた『花』が、一滴も残すまいとするかのように、一層キツく彼を締め付ける。
 そして、彼のモノが、その硬さをゆっくりと失いはじめても、彼女の陶酔は冷めなかった。
 彼が吐息を漏らし、抜こうするのを、今だ、けだるい身体で、きゅっ……と一生懸命に『花』を締め付け、彼を逃がさないようにするのだ。
「だめ……」
「ティ?」
「……まだ……だめ……行かないで……もう少し……」
 鼻にかかった、甘えた声で請う。
 シーツを頬に付けたまま、お尻を揺すって彼の腰に擦り付けた。
 幸福感に満たされた彼女は、少しでも長く彼とこのままでいたいと、ただ願ったのだ。
 彼は笑っているような、困っているような、不思議な顔をしているに違いない。
 例え顔を見ていなくても、腰に当てられた彼の両手の動きでわかる。
「ティ……」
「だぁめ……」
 聞き分けの無い子供にするように言った。
 その途端、
「ひゃ……あ……」
 両脇に手を差し込まれ、繋がったままぐい……と抱き寄せられた。
 背中が彼の胸に触れて、そのまま抱きしめられる。

 ちゅ……

「は……」
 首筋につけられた彼の唇が、彼女の体の中に、新たな波をつくりだしてゆく。
「クラ……」
 ふわ……と、両乳房に、彼の手が覆い被さった。
「あ……」
 彼が、みっちりと重い果実を、下から支えるようにして揉み上げる。
「あ……胸……好き?」
「ティの胸は好きだ」
「……うれしい……もっと……触って……」
 キスは続けられ、背中をゾクゾクとした感覚が走った。
「ティは……えっちだな……」
 両乳首を、指で少しだけ乱暴にくにくにとされながら、耳元に熱い息を吹きかけられる。
「ふぁ……やん……」
 彼女は、くすぐったそうに首をすくめた。
 『花』には、まだ彼がいる。
 失いかけた硬さが、また元に戻っていた。
「あ……クラウド……また……」
「ティファが、えっちだからな」
「ちがう……わ……ちがうもん……」
 子供っぽく拗ねる真似をして、彼の唇を求めた。
 身をひねり、彼の洗礼を受ける。
「ん……」

 ちゅ……

「あっ……」
 太股を伝い落ちる感覚に、彼女は慌てて唇を離し、顔を伏せた。
「出ちゃう……」
「え?」
「出ちゃう……出ちゃうの」
「ティ?」
「クラウドのが……クラウドのが、出ちゃう……」
 泣きそうな顔で、彼を仰ぎ見た。
 大切なものを無くしてしまった子供のように、彼にすがり、請う。
「ティ……」

 くぽっ……

 空気を含んだ、湿った音がした。
「だめっ……抜かないで……」
 『花』から抜けゆく彼のモノを、慌てて捕まえようと伸ばす手を、彼が掴んで押さえる。
 彼は、いやいやをする彼女をベッドに寝かせて、その横に自分の体を横たえた。
 そしてベッドの脇の布を取り、彼女の股間にあてる。
「やだっ……だめっ……」
 彼の目を見たまま、『花』の『蜜』と彼の精を拭う彼の手を押さえて、いやいやと首を振る。
 その唇を強引に吸い、彼女からその力を奪うと、彼は容易に、彼女の『花』をすっかり奇麗にしてしまう。
「くう……ん……」
 まだ「中」にたっぷり注ぎ込まれた精は残っているが、それでも、彼の精が奪い去られる悲しさに、彼女は鼻を鳴らして抗議した。
 何か言いたげな彼女を見ずに、彼は布を枕元に置くと、自分も横になる。
「……ティが……俺のそばにいてくれて……良かった。そう、思ってる」
「………………」
「だから……そんなの……こ……これからは何度だって……」
 彼は、困ったような顔で、彼女を見ずにぼそぼそとそれだけ言うと、天井を睨んだまま彼女の頭に手をまわして、ぐい……と胸に引き寄せた。
 その、ぶっきらぼうな優しさが、彼女には愛しかった。
 それは、幾千、幾万の愛の言葉よりも、彼女の胸を熱くする。
 胸が詰まり、息が苦しくなる。
 気がつくと、彼女は大粒の涙を流して、彼の胸にすがりついていた。
「ティ……?……ティファ? どうした? ……なんか俺……」
 背伸びをして、おろおろとする彼の唇を強引に塞いだ。
 ぺろぺろと彼の舌と唇を嘗め、頬にキスをした。
「……ティ?」
 何も言えなかった。
 ただ、聞きわけの無い子供のように、泣きながら首を振るだけしか、出来なかった。
 きゅ……と彼を抱きしめる。
 彼のにおいと、体温だけが、彼女の全てだった。
 それを、今日、彼女は嫌と言うほど思い知らされたのだ。
 失いたくなかった。
 こんなに、彼のにおいが温かいのだから……。
 こんなにも、彼の体温が心地良いのだから……。

 ひぐっ……

 しゃくりあげ、彼の胸に、涙で濡れた頬を擦り付ける彼女の髪を、彼の手が優しく撫でる。
「……ティは……泣き虫だ……」
「……クラウドが悪いのよ」
「俺のせいだって言うのか?」
「そうよ。ぜんぶ……ぜんぶクラウドが悪いの。涙が止まらないのも、私が、もう一人じゃ生きていけなくなったのも、こんなに……こんなに……」
 きゅ……と彼を、左手だけで抱きしめる。
「こんなに……幸せなのも……」
 もう、「あの夢」は見ない。
 彼女は、彼の鼓動に包まれながら、そう思った。

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