■感想など■

2011年01月24日

[THEM]『Piece.00』「楽宴」〜FRIENDS〜

■■【4】■■

「貴女、自分の立場がわかって? それなのに、ああもう……あんな無粋で野暮ったいパジャマなんて……! 貴女、今夜のこの集まりをなんだと思っていて!?」
 いつのまにかベッドの上に両足で踏ん張ってナイティのまま仁王立ちしている“くるくる巻き毛”のおねーさんを、ティファは呆然(ぼうぜん)と見上げた。
 上下に分かれたナイティからは、可愛いお臍が覗いている。
『……なにか悪いものでも食べたのだろうか?』
 本気でそう思った。
「…………エアリス……?」
「目の前にこんな……こんな……こんなナイスなバディがあるのに、それを大人しく見逃すなんて事が果たして出来ようか? いいやいられない!! カッコ反語カッコ閉じる!」
「…………ユ……ユフィ……???」
 芝居がかった口調で、ティファの実用一辺倒で飾り気の無いブラを握り締めながらぶるぶると震える少女の目は、とてつもなく本気の炎にメラメラと燃えていた。

 ……襲われるかと思った。

「ティファ、いい? よく聞いて」
「……う、うん……」
 身を屈(かが)めてティファの両肩を“がっし!”と掴み、鼻と鼻がくっつかんばかりに顔を近づけて少し上目使い気味に彼女を見やるエアリスに、ティファは心の底からビビりまくって裸足で逃げたしたくなるのを我慢してロボットみたいにカクカクと頷いた。

「あるところにものすごーくお金持ちの人がいました」

 ……一瞬、頭が真っ白になる。

「……え?……あ、あの……なんの」
「いました」
「なんの話……」
「いました」
「あの……エアリ」
「いました」
「……はい」
 気がついたら返事をしていた。
 ほっといたら明日の朝まで繰り返されるかもしれないと思ったから。
 こういう時の彼女は本気でやる。
 エアリスはそういう女性(ひと)だ。
「そのお金持ちが、ものすごぅく貴重な美しい宝石を持っていましたが、そのお金持ちの人はケチでその貴重な美しい宝石を一人占めして誰にも、家族にも見せようとはしませんでした」
「…………」
「そのお金持ちの人がした事は、ものすぅごぉ〜〜〜〜〜〜く、ひどいことだと思わない?」
「……あ、えっと……」
「思わない?」
「エアリ」
「お・も・わ・な・い?」
「お、思います思いますっ!」
 がっしり掴まれた肩がぶるぶると震えた。
 ……逆らったら、彼女が知ってる限りのティファの恥ずかしい秘密をにっこり天使のように微笑みながら大声でクラウドにバラされそうな気がした。
「そうよね。ものすごぅく貴重な美しいものってのは存在するだけで価値があるの。そして、そういう価値のあるものは、みんなで見てあげなくちゃ価値が半減するの。そう思わない?」
 気がつけば、無意識にこくこくと首を縦に振ってた。
 どっ……と汗が出た。
 こくんと唾を呑みこんだ。
 喉がカラカラだった事に初めて気付いた気がした。
「そういうこと」
 そう言うとエアリスは、一転して「んふ」と、それはそれは魅力的な微笑みを浮かべてティファを見た。それだけで、ティファの心から反抗心がフライパンに落としたバターみたいにとろとろと溶け出してしまうのを感じる。
 彼女はどっと力が抜けて、ずりずりとベッドから滑り落ち、そのままへなへなと床に座り込んでしまった。
 見上げれば、二人がティファを見下ろしてにやにやと(少なくともティファにはそう見えた)笑っている。
「……もう……人のことオモチャにしてぇ……」
 正直、エアリスの例え話は「ずるい」と思った。
 「ものすごぅく貴重な美しいもの」などと例えられたら、抵抗なんて出来なくなってしまう。
 エアリスのそういうところが、ティファはものすごく「ずるい」と思うのだ。
「聞いた?エアリス、『オモチャ』だって『オモチャ』……ううーん……背徳のか・ほ・り……」
「えっちねぇ……ティファってば……」
「…………も、勝手にして……」
 ティファは心底疲れた……といった感じに、カクンと首を倒した。
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