■感想など■

2011年01月30日

[THEM]『Piece.00』「楽宴」〜FRIENDS〜

■■【8】■■

「ウータイに住むユフィや、ミッドガルで育ったエアリスは、ひょっとしたらそう思うかもね。だって、虫を使った料理だってあるもの」
「ム……ムシ!? 昆虫!? マジ!?」
「やだ、そんなに驚かないでよ。虫だってあの村じゃあ大事なタンパク源だったんだから」
 タンパク源。
 そう言いきってしまうティファを、ユフィは何とも言えない表情で見た。
「……う〜アタシ、ティファ見る目が変わっちゃいそう……」
「何言ってるのよ。ウータイだって、あの、海の、うねうねぐにぐにしたもの食べるじゃない」
「え〜〜〜? そんなの食べ……………………タコ?」
「そう」
 エアリスは二人の会話を聞きながら、ユフィの生まれ故郷のウータイに寄った時、御馳走に出された料理の中にあった「海棲軟体動物」の事を言っているのだ、と気付いた。
 料理前の状態をわざわざユフィに見せてもらった時、そのあまりの醜悪さに「食べる前になんか見なければ良かった!」と心の底から後悔したものだ。
「だって美味しいじゃん。……………………あ」
「でしょ?」
「…………いや、まあ……そうだけどさ……」
 あの海棲生物は、足が何本もあって表面がぬるぬるぬめぬめしてて、吸盤でひっついたら簡単には外せなくて、あまつさえそのイキモノは黒い液体をビュッと吹くのだ。
 身は外見からは想像もつかないほど白くて、食べれば確かに美味なのかもしれないが、さすがにそれを「さあ食べろ」と差し出されたら後も見ずに逃げ出したかもしれない。
 でも、食べ物というものは、人の生活の最も基本に位置していて、その中にはそこに住む人々の文化や生活習慣の根幹を成すものだってあるのだ。自分に理解出来ないからといって否定するのでは、その土地の人々の全てを否定する事にもなりかねない。
 エアリスはほっぺたをぽりぽりと掻くユフィを見ながら、焼き菓子をもう一枚齧った。
「でね、そういうクセのあるニブルヘイムの料理を覚えてるのは、きっと今は私だけだと思うんだ」
「なんで? 村を出た人とかもいるんでしょ?」
「男ばっかりね」
「…………………………ダメじゃん」
 男なんてものは、はなから料理なんて覚えないどうしようもないイキモノとしか認識していないユフィは、ふんっと鼻息も荒く吐き捨てた。
「でしょう!?……だから、私だけは覚えていなくちゃって思って、出来ればそれを他の人にも伝えられたらなぁ……って思って……ね」
「アタシやだなぁ……ティファには悪いけど虫なんて食べたくない」
「虫ばっかり食べるワケじゃないわよ! もうっ!……でもね、そういう人もいるから、だから素材を変えてレパートリーも増やしてみたりしてたんだ。セブンスヘヴンで出してたオリジナル料理の8割は、ママが作った料理の味を出来るだけ再現したものなの。これでも評判良かったんだから!」
「ティファの料理の腕は認めるけどさぁ……」
「なに言ってるのユフィ。あたし、ティファがいなかったら街の無い土地での野営なんて、もっと辛かったと思うな」
 エアリスの言葉に、ユフィは「うっ」と息を詰まらせ、情けない顔で彼女を見た。
「……ま、まあ……そりゃ……そうだけど……さぁ……」
「でしょ?」
「……け、けど……けどさ!ティファがそんだけ苦労してた時に、クラウドは一体ナニしてたのさ?」
「へ?」
「『へ?』じゃないよ。『へ?』じゃ。幼馴染みなんだろ? あのトーヘンボクと!」
 行き場の無い感情は、突然、今ここにいない金髪の青年に向けられた。
「トーヘンボク……」
「幼馴染みのピンチだってのに、それを助けもしなかったっての? やっぱダメダメじゃんアイツ!」
「あ……ううん……クラウドは…………何してたんだろ?」
「…………アタシに聞いてどうすんのさ」
「ご、ごめん……でも、小さい頃のクラウドの記憶って、実はあんまり無いのよ」
「うわ! ひでっ! クラウド忘れられてるっ!」
「そっ……そうじゃなくて……」
 クッションを抱えて大袈裟に身を引いたユフィに、ティファは慌てて両手を振った。
「じゃあ覚えてるの?」
「……う……」
「やっぱり忘れてんじゃん! ねえ、ティファってホントにクラウドの事好きなの!?」
「……それは……………………!!……って、ええっ!?……べ、別に私、クラウドの事好きなんかじゃ」
 真っ赤になって否定しようとするティファの心臓は、情けないくらいバクバクと激しいダンスを踊っていた。キレイなピンク色に首筋まで染まって、男で無くとも見惚(みと)れてしまいそうだ。
「「へぇ〜〜〜〜〜」」
 けれどユフィとエアリスは残酷なまでに白けた表情を作って、二人してジト目のまま、彼女達の視線に怯えたティファの心をさらに追い詰めた。
 絶体絶命のピンチだった。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/42362795

この記事へのトラックバック

★足跡代わりにポチッとしてってくださいな★