■感想など■

2011年02月05日

[LIPS]『Piece.02』「二人の儀式」〜スウィート・バスタイム〜

■■ Scene.01 ■「ティファ」■■

 クラウドと一緒にお風呂に入る。

 半ば、『夜の日』の儀式となったこの行為を、私は愛してる。
 あったかいお湯に浸かって彼の腕に包まれながらうっとりとなる瞬間を、この体と心に「至福の時」として刻み込んでしまっているのだ。
 好きな人と、ずっとそうしたかった。
 彼と、そうしたかった。
 だから、大きなバスタブが入るくらい広いバスルームの家を選んだのだし、それに見合うだけのバスタブを運び入れた。
 バスタブは真っ白で、陶磁器特有の滑らかな肌触りで気持ち良く、二人で浸かってもたっぷりと余裕がある。
 バスタブにこだわったのだから、当然バスオイルやバスキューブも、香りのいい上等なものを選ぶ。
 『夜の日』は特別な日なのだから、それは、私にとっては当たり前過ぎるほどの事なんだけど、実を言うと彼にはあんまり理解してもらえてないみたいで、そこのところがちょっとだけ哀しい。
「ティファ」
 バスルームからクラウドの声が聞こえる。
「はぁい」
 私は髪を結い上げながら、彼に返事を返した。
 脱衣場でショーツを脱ぎ、バスタオルで体の前を隠して戸を開く。
 彼は、いつものようにバスタブの中で、こちらに体を向けているけど、約束通りきちんと目を閉じていてくれる。
 いくら、これから……その……する……って言っても、明るい場所でいきなり裸を見られるのは、やっぱりなんだか恥かしい。
 そりゃあ気分が高まれば、彼にならどこだって……なんだって見せてあげちゃうんだけど……。
 この人が私の素裸に見とれる(自惚れてる……かな?)所を見るのって、女としてのプライドを十分に満足させてくれるから好きなんだ。
『けど、お風呂に入る時は別よ』
 バスタオルを棚の上に引っかけると、いそいそとバスタブに歩み寄り、するっ……と彼の前に滑り込んだ。
 我ながら、いかにもこれからの事に「期待してます」って、すぐわかっちゃうような足取りだとは、思う。
 けど、しょうがないじゃない。
 だって……本当に久しぶりなんだもん。
 お湯に体を沈める瞬間、彼の視線をお尻に感じたと思ったのは、気のせいじゃないと思う。
 でも、今日は、少しくらいなら許してあげる。
「ふう……」
 ゆったりと身を横たえ、彼に重みを任せる。
 水面を覆うふわふわの泡が、バスタブの縁のところギリギリまで上がってきた。
 ちょっとお湯を入れすぎたかな……。
 ……と、彼が不意に手を私の体にまわして、軽く抱きしめてくる。
「髪……結ってきたのか?」
「ん……」
 耳元で囁かれる甘い声に、背中がぞくぞくした。
 ……そこが弱いって知ってるくせに、わざとするんだから……。
「だって……洗うの時間がかかるんだもん」
 目を瞑って彼の肌の感触を背中で感じながら、うっとりと囁くように言った。
「あん……もう……いたずらしないの」
 たっぷりとした私の胸を両手で下からふわり……と包んで人差し指で乳首をくすぐった彼の行為を、ことさらに甘く咎めてみせる。
 でも、私のそれがポーズだってわかっているのか、彼は全然止めようとはしない。
 せっかちね。
 そういうのは嫌われるよ?
 思ってから、彼が他の女の人を抱いているところを想像しかけて、私はその不吉なビジョンを振り払った。
 ……そんなこと……あるわけないじゃない。
「あん……」
 私はたまらなくなって、彼の手を押さえた。
「あとで…………ね?」
「いやだ」
「もうっ……わがままね。そういう事すると……」
 私は、お尻を彼のモノにこすり付けた。
 今は、両脚を開いた彼の、その足の間に体を置いているから、こんな事だって出来るんだから。
「うっ」
「ふふん……バツよぉだ……」
 そう、いたずらっぽく笑う私の目は、既にとろん……と潤んでいたに違いない。彼に揉まれ続けている胸の上では、乳首が痛いほどはりつめていたから……。
「……ふ……ふっ……」
 やがて言葉少なに息が荒くなってゆく。
 そして、くてっ……と力が抜けて、彼の肩に頭をもたせかけてしまった。
 髪……濡れちゃうじゃない……。
 私は、胸を揉んでいた彼の右手を掴んで口元に引き寄せ、その指をこりっ……と噛んだ。
「だ……め……体……洗わ……なくちゃ……」
 言いながら身をよじり、彼の唇を求める。
 彼はすぐに応えてくれた。でも更に彼を求めようとする私の体を、彼は優しく引き離してしまう……。
「……やん……」
 どうして……?
「体、洗うんだろ?」
「もう……あなたったら本当にいじわるね」
 彼は、仔犬か小猫を見るような目で私を見ながら、こつん……とおでことおでこをくっつけた。

         §         §         §

 彼が、ケット・シー……ううん、リーブ=クラインのもとで、新たに生まれ変わった神羅の治安維持部門統括を勤める事になったって聞いた時の、かつての仲間達……とりわけバレットは、眉を顰めて何度も彼に聞き直したっけ。
「本気か?」って。
 結果的に神羅のせいで家族を、故郷を無くした彼は、いくら神羅そのものに対する憎しみが薄れたとはいっても、正直……心穏やかじゃ無かったんだと思う。
 他のメンバーはと言えば、ユフィは大笑いして転げまわるし、シドは一言
「それも人生だあな」
 なーんて、シエラさんの入れたお茶をすすり、タバコの煙を揺らしながら、薄く笑ってた。
 ヴィンセントは消息が知れなかったけど、この間ふらっと現れた時に、クラウドに、タークス時代肌身離さず御守にしていたという古いオイルライターをプレゼントしていたから、きっとどこかで聞きつけたに違いないって、私は思ってる。
 彼は笑いも、怒りも、何の表情も見せず……またどこかに行ってしまった。
 レッドXIII……ナナキは、ただ黙ってクラウドの事見てた。
 きっとあの子……エアリスの事、考えてたんだと思う。
 最後に笑ってくれたけど、なんだか……ものすごく寂しそうだったもの。
 私達、エアリスの事忘れたわけじゃないのよ……って、そう言いたかったけど……言えなかった。

 バレットが何度も聞き返すまでも無く、クラウド自身も、あのハイデッガーのしていた仕事に就く事を……ううん、結果的にエアリスを不幸にした神羅に身を置く事を、随分と嫌がったのよ。
 けど、結局……人々にはまだ、混乱した世界とまだ消えない魔物達から守ってくれる者が必要だっていうリーブと、他ならぬブーゲンハーゲンさんの言葉に、不承不承ながらも引き受けてしまったってわけ。
 私も、いつまでも冒険……って訳にはいかないし、彼に傭兵なんてさせたくなかったから、その申し出を受けるように彼に言ったのよ。

 だけど、その仕事が最近特に忙しくて、ここ2週間というもの、私はまともに彼と夜を過ごした事が無い。

 今日は久しぶりの二人っきりの夜なんだもの。
 初めて肌を合わせた「あの日」のように、甘い雰囲気に浸ったって、誰にも文句なんか言わせないわ。

         §         §         §

 ソープをたっぷり手に取り、泡立てて、バスタブの縁に腰掛けた彼の胸につける。
 優しく塗り広げて、丁寧に洗っていった。
 見かけよりもずっと逞しく厚い胸板の下では、彼の心臓が早鐘の様に高鳴っている。

 くすっ……

 笑みが自然に漏れ、私はつい、彼の脇を、さゆっ……と撫でた。
「!……こらっ」
 彼に叱られ、肩を竦(すく)める。
 手は彼の胸を過ぎ、脇腹を通り、やがて、彼の……股間に到達する。
 しんなりと柔らかい彼のおちんちんを両手で包み、あんまりにも愛しくて目を細めながら洗う。
 ふにふにとした触感のお肉は、私の手の動きに反応して堅く、大きく姿を変えた。
 思わず、にこぉ……と笑みが浮かぶ私を、彼はなんだか困ったように見つめる。
「おもしろい?」
 彼の問いに、思わずこっくりと肯いてしまう。
 だって……なんだか可愛い……。
 つやつやの赤い頭に爪を立てないように、優しく洗う。
 根元のもしゃもしゃの毛でソープを泡立てて、垂れ下がった袋をすくうようにして転がした。
「びろーん」
 しわしわの皮は、引っ張ると良く伸びるから、おもしろいんだもの。
 でもそうすると彼は嫌がるんだ。
 別にいいじゃない。ねえ。
 そうやって何度も遊んでいたら、
「……遊ぶな」
 怒られた。
 おもしろいのに……。
 私は、彼のおちんちんにバスタブの湯をかけてソープの泡を洗い落とすと、ごく自然に、それにキスをした。
 こうして、両手で捧げ持つようにして、愛しそうに口付ける姿は、彼にどう映っているのかな……。
 私は、ちょっとだけ嗜虐的な感覚で、身体が震えるのを感じた。
『俺の女』
 そう思ってくれてるのかな……。
 でもね、私もそう思っているの。
 私の好きな服を着せて、私の好きなものを一緒に食べるの。
 私の好きな絵を一緒に見て、私の好きな場所でキスするのよ。
 あなたが知らないうちに、あなたを私色に染めてあげる。
 あなたは私のものよ。
「いっぱい……いっぱい愛してね」
 自然と言葉が出た。
 私のあそこからは、明らかにソープとは違うぬめりが染み出している……。
「……どこに話しかけてるんだ」
 見上げれば、彼が呆れたように私を見下ろしていた。

 気分は最高に高まっている。
 今夜は、いつもよりずっと……ずっと燃えそうな予感がした。
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