■感想など■

2011年06月25日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■〜闇に閉ざした君を〜■■

■■【1】■■


「動いちゃダメだよ」
 俺はそう言って、彼女の目を黒い帯で覆った。

 目隠し。

 布は厚手で、光を遮断し視界を覆い隠す。
 布をあてる瞬間まで、彼女は不安そうに……けれどどこか期待を込めた甘い瞳で俺を上目使いで見上げていた。
 俺のかわいいひと。
 その髪は艶やかで、手入れの行き届いた黒髪は美しいキューティクルの反射により天使の輪を戴いているようにも見える。
 事実、彼女は俺の天使であり……恋人であり……愛人であり……母であり……姉であり……妹だった。
 全ての女性を体現してみせ、また、俺の全てをありのまま受け入れてくれる……。

 愛しい……ひと。

「あっ……」
 俺の右手の人差し指が柔らかい左頬に触れると、彼女は首を竦めてよろめいた。
「ほら、動いちゃダメだろう?」
「でも……でも……」
 その間にも、俺の指は頬を通り、黒髪に隠された左耳を探り当て、そのぷにぷにとした耳たぶを弄んでいるのだ。
「あんまり動くと、やめるよ?」
「だ…………う……」
 彼女は何か言おうとして、そのまま口を閉じ、再び直立する。
 俺の言い付けをいっしょうけんめいに護ろうとしているのだ。
「いい子だね」
 俺は両手で“ふうわり”と柔らかく彼女の頬を包むと、その薔薇色に染まった両頬にキスをした。
 “んちゅ”と右、そして左……と心をこめて。
「あ……」
「ダメだよ」
 俺を抱きしめようとした彼女の両手が、打たれたように“びくっ”と震える。
 それを確かめてから、彼女の顎、鼻の頭、おでこ、そして布で覆われた両目の瞼(まぶた)にゆっくりと口付けていった。
 その間、俺の唇の感触をできる限り記憶に留めようとするかのように息を潜めていた彼女だったが、
「やっ……やあっ……」
 俺が両頬から手を離すと切なそうな声を上げた。
「どうしたの?」
「……ちゅ……ちゅーしてぇ……」
 鼻にかかって甘ったれた声だ。
「どこに?」
 わかっていてそう言うと、彼女は薄く開いた唇を捧げるように顔を俺に向けた。
「唇に欲しいの?」
 返事の代わりに、彼女の喉がこくんと鳴った。
「ティは甘えんぼだね」
「……うぅ……」
 鼻がひくひくと動いている。
 今の彼女は素裸ではなく、ちゃんと衣服を身に着けている。
 もちろん、それは俺が彼女を脱がせて素裸にする楽しみのためだ。
 彼女は、薄いピンクのセーターにダークブラウンの綿パンツ、両足には紺色の靴下を履いている。
 そしてセーターを、これでもかと言わんばかりにたっぷりとした胸が内側から大きく押し上げていた。
 その胸を、さわっ……と撫でる。
「んあっ!?」
 びくっと身を震わせて、彼女の体が揺れた。
「動いちゃダメだよ」
 耳元で囁くと、彼女はこくりと幼児のように素直に頷いた。
「いい子だね」
 そう言いながらズボンのボタンを外す。
「あ……」
「ほら、動かないで」
 優しく言い聞かせながら、ズボンのファスナーをゆっくりと下げていった。
「……あ……はぅ……」
 彼女の熱い吐息が俺の前髪を揺らす。
 そして、腕ごと抱くようにしてズボンの後に両手の親指を入れる。

 ゆっくり。

 ゆっくりだ。
 彼女の羞恥を煽るようにして、尻を撫でるようにズボンを下ろしていく。
 精緻な刺繍とレースで彩られた、黒のショーツが露になった。
「あ……あ……」
 彼女の腰が引けて、俺の肩に顎を乗せるようにしてもたれかかる。
「動いちゃダメだって言っただろう?」
「あ……でも……でも……」
 俺はズボンを太股まで引き下げた処で、彼女から体を離した。
「いや……いやっ……」
 彼女は親を見失った遊園地の子供のように、途方に暮れて両手をさまよわせた。
「動いたからね。もう終わりだ」
「いや……やめないで……やだ……やだ……」
 ぐすぐすと鼻を鳴らし、お腹の前で両手を組んで首を振る。
 その様が俺の嗜虐を刺激する。
 愛しい人をいぢめる事で得られる、暗い感情……。
 けれどどうしようもない。
 いぢめる事で、彼女もまた“解放”されるのだから……。
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