■感想など■

2011年11月07日

【ボクキミ】2

■■【2】■■


 ……なんてことだろう。

 目の前のおっぱいさんは、驚くべきことに“ボクっ子”だった(驚くところはそこか?)。
 いや、20代に「子」はあんまりだから“ボクっ娘”だろうか。
 信じられない。哉汰は17年間生きてきて、そういう存在は漫画かアニメかゲームの世界にしかいないものだと思っていた。
 それを言ったら現在では現実として認知されているウィッチの存在そのものがそうなのだが、この時の彼はそこまで思い至ることなど出来なかったのだった。

 何度でも言ってしまうが、なにしろ“おっぱいさん”である。

 今週号のグラビア青年誌のトップページを飾っていた巨乳系グラビアアイドルが自称98センチのHカップだったけど、それよりも確実に大きく見えた。
 ずっとずっと大きく見えた。
 山盛りだ。
 特盛りだ。
 これでつゆだくだったら歩く猥褻物である。
 なんだかワケが解らないが哉汰も混乱していたのだ。お姉さんの言葉に返事をするどころか、一言も口に出来ずにいた。
 そういえば昔、女性のおっぱいを南国の果実に比喩した歌があったっけ。
 ぼんやりとそんな事も思った。
『キウイ・パパイヤ・マンゴーだね……』
 唄の歌詞が頭の中でリフレインする。
 歌い手は「太陽の日差しを浴びて色とりどりに輝く女性をイメージしたもの」とか言ってたような気もするが、あの歌を聴いた男は例外無くそう思ったに違いない。
 小・中・大おっぱい。
 ところが目の前にあるのはマンゴーどころの騒ぎじゃない。メロンとか小玉スイカとか、いやむしろ南国の砂浜とか人通りの少ない街路とかで頭上高くにたわわに実る椰子の実のようだった。「巨大」という言葉がこれだけマッチするおっぱいも珍しい。その重量(きっとキロ単位だ)で撲殺でもされそうなイキオイだった。
 しかも肌はしっとりつやつやで、金色に透ける産毛がやわらかそうにそよいでいる様子も容易に想像出来たし、露出している肌のどこにも傷やシミどころかホクロや虫刺されさえも見当たらない。まるで生後半月の赤ん坊みたいな健康的ピンク肌だった。
『揉んでみてぇ……頼んだら揉ませてくれるかな?』
 そんな馬鹿な事を考えてしまうほど、哉汰は混乱していた。
「えっと──」
 突然、お姉さんはキョロキョロと周囲を油断無く見回すと、不意に哉汰にくるりと背を向けて身を屈め、路地裏の角からその奥の様子を窺った。その拍子にふわふわした短いピンクのフリルスカートが派手に捲れ上がり、中に隠れていたまあるいヒップがあらわになる。
 それはそれは、たっぷりと豊かで艶のある、白くてすべすべでむちむちの、それでいてきゅんと締まった感のあるみずみずしい白桃のようなまあるいヒップだった。
「ぶふっ!」
 哉汰は思わず噴きそうになり、口元を押さえて凝視してしまった。
 あっという間に頭に血が上る。
 鼻血が出そうだった。
『Tバックかよ……』
 グラビア写真や、ネットのインポート物下着販売サイトなどでは何度も見たことはあったが、こうして間近で、しかも実物を目のあたりにするのは初めてだった。
 ましてや、実際に女性が身に着けているところを見るなど。
『すげぇ……』
 お尻の肉に埋もれて、ほとんどパンティが見えなかった。
 そのうえパンティの生地は肌色に近いベビーピンクだった。
 ちょっと見ただけでは履いているようには見えないところが、なんかもういろいろとキケンだった。

 むちむちしてる。

 ぷるぷるしてる。

 殻を剥いたゆで卵みたいだ。

 それが目の前で揺れている。

 これはもはや犯罪だ。

 この人は今、自分がどんな恰好でどんなポーズをしているのか自覚してないのだろうか!?
 スカートからこぼれ出たまあるいヒップから太腿、脹脛、そしてきゅんと締まった足首へと続くラインは、エロいのに、どこかうっとりするくらいの美しさだ。
 それが丸見えになっている。全開だった。
 だからこそ、その無防備感に、まるで自分の事のようにハラハラしてしまう哉汰だった。
「ん……大丈夫みたいっ」
 何が大丈夫なんだろう?
 自分の体は“いろんなところ”がそれはそれはもう、大変な状態なのに。
 哉汰はそう思いながら、さりげなくお姉さんのエロすぎるむっちりヒップから目を逸らし、痛いほど勃起してテントを張ってしまった股間のモノを、ポケットに中に左手を入れることで必死に押さえて宥めようと努めた。
 笑うこと無かれ。
 純情で多感で繊細な高校一年男子は、エッチなことに興味津津でありながら、いざ真正面からそれと対面してしまうと、少年らしい潔癖さがその現実の持つ抗しがたい迫力に、とても耐えられないのだった。
 お姉さんが上半身を起こして振り返り、哉汰の方に数歩歩いてくる。それだけでおっぱいは“ゆっさゆっさ”“ゆらんゆらん”“たゆんたゆん”と揺れるし、スカートはふわふわ膨らんで今にもTバックの極小面積の三角地帯が見えそうだったし(というかもう見えていたし)、むちむちした白い太腿はさざ波のように震えていた。
 ヒールの高いパンプスのせいで、ただ歩いているだけなのにお尻がふりふりと揺れるモンロー・ウォークになってるのも色々とまずい。

 色気むんむんだ。

 歩くセックスシンボルだ。

 「セクシーを形にしたらこうなった」という感じだった。

 全体のシルエットとしてはほっそりとしてたおやかにさえ見えるのに、おっぱいと腰が“ぼんっ”と張り出し、それに反比例するかのようにウエストが“きゅきゅきゅ”と締まっているため、まるでエロ漫画のキャラがそのまま現実に現れたかのような──強いて言えば、エロ漫画とかに出てくる「熟女」(高校一年生からしたら20代後半なんてのは熟れた熟女の範疇なのだ)とか「人妻」とか、そういうイメージだった。もちろん、大事なのはあくまでエロ漫画の話であって、決して現実の話ではないということだが(「現実の20代後半なんてのは大半が単なるババアだ」……と、哉汰でさえフェミニストが口角泡飛ばしながら怒りそうな事を思っている)。
「……ね、お願いだから、今は何も言わずにボクとキスして?」
 そんな色気過剰の女の人が、“今にもおっぱいが零れ落ちそうなビスチェ”と“むちむちのヒップを申し訳程度に包むTバックが丸見えになりそうなフリルミニスカート”──有体に言ってしまえば「ひと昔前のアイドルみたいな服」(某SFアニメに登場する緑の髪の「戦う超時空アイドルヒロイン」が、サイバーなコンサート・ステージの上で衣装として着てても違和感無いくらいのひらひら具合だ)か「魔女っ子コスチューム」──で上目遣い(背は哉汰の方が低いのでこの表現も実際には微妙なのだが)に懇願してくる。

 哉汰としては、もう本当に勘弁して欲しかった。

 自分よりずっと背が高い(これはヒールの高いパンプスを履いているというだけでなく、もともと背が高いのだろうと哉汰は思った)彼女は、そのままだと胸元にある彼の顔を上から見下ろす形になってしまうため、深く屈み込んでこちらを見ている。そのため、哉汰の頭より大きいかもしれないおっぱいが、重力に引かれるように重々しく身体から垂れ下がり彼の目の前で実にエロチックにたわわにゆらゆらと揺れていた。
「お願い……キス……して下さい」
 泣き出しそうな彼女の顔をまともに見られず(なにせ、顔を見ると自然とその巨大なおっぱいも目に入ってくるのだ)、哉汰は顔を真っ赤にしたまま困ったように足元の地面を見ていた。というか、困り果てていた。どうして自分がこんな商店街の端っこの路地裏の奥で、めちゃくちゃ変でエロい格好の女の人から「キスして」と請われなければならないのか。

 いや、ちょっと待て。

 おかしい。

 そもそもこの人は、どうしてこんな格好をしているんだろう?
『……あ……』
 この時に至り、ようやく哉汰にも目の前の女性が“世界のバランス調停者(守護者)”として有名な“ウィッチ”なのだと思い至っていた(遅過ぎです)。
 去る1999年の7月の「ホリーの反乱(7月のホリー)」以降、『ウィッチ』という存在を知らない者はいない。不確かな情報だがこの街にも、少なくとも2人のウィッチがいると言われていたし、その存在を確かに感じる人も少なくなかった。だが、実際に目撃した者はあまりにも少なく、当然、とうのウィッチも自分から進んで人前に姿を現すことは無かったのだから、目の前の、このとんでもなく美人で、痴女みたいな(というか痴女そのもの?)エロい格好の女性が、そのウィッチの一人なのだと、哉汰は確信が持てたわけではなかった。
 でも、逆説的に考えれば、「空から飛んで降りてきた」このとんでもなく美人で、痴女みたいなエロい格好の女性が、ウィッチ以外の何者かである……とも思えないのだった。
 それに、過去にウィッチを目撃した数少ない者達は、あやふやな記憶ながら一様にして「女性のウィッチは程度の差こそあれ、魔女っ子みたいなおかしな格好をしていた」と言っていた……と聞いた事があるのだ(その例えも大概だが)。

 その件のウィッチが理由はわからないが自分に助けを求めている。

 自分にキスして欲しいと、真意は全然わからないが懇願している。

 それはもう、助けないわけにはいかないではないか。
 年齢=彼女いない暦の、女体に夢見る高校1年生としては!
 ただ、その前に聞いておきたいことがあった。
「あ〜……その、どうしてオ……僕なんですか?」
「哉汰君じゃないとダメなんだ……のよ」
「のよ?」
「あ、えっと、その、哉汰君がキスしてくれないと、ボクはすごく困るの。すごくすごく困るの」
 その効果を知ってか知らずか無自覚に彼女が身体を“いやいや”と揺する。
 大きくて白くて重たげなおっぱいが“ゆさゆさ”“もにゅんもにゅん”と揺れる。
 哉汰は目のやり場にますます困る。
 股間の“暴れん坊”が硬くなってパンツが窮屈だと抗議する。
 仮性な包皮から亀頭が顔を出してパンツの裏地に擦れてますます内圧が高くなる。
 限界は近かった。
「うぅ……」
 逃げ出したい気持ちとこのまま見ていたいような気持ちがせめぎあって、顔をトマトみたいな真っ赤にした哉汰は、今にもどうにかなってしまいそうだった。
「お、お姉さん、ウィッチ……なんですよね?」
「……そうだけど、今は何も聞かないで欲しいな」
「じゃあキ、キスしたら……教えてくれますか?」
「うん。……え? してくれるの!?」
 自分からしてくれと懇願したくせに、哉汰がすると言ったら戸惑っている。
 見た目の年齢と格好と中身が、ひどくチグハグな女性だった。
「ありがとう! 実は、断られたらどうしようって、ずっとドキドキしてたの!」
「そんな大げさな……」
「大げさなんかじゃないよ。だって……」
「……?……」
「ううん……。……じゃあ」
 女の人はそう言うと、左手の手袋をそっと外して彼の右手に重ねた。
 優しそうで気弱そうな大きな目に涙が溜まっている。
 左手は細くてたおやかで、少しひんやりと冷たかった。
 哉汰の身体がびくっと震えるが、すぐに彼は力を抜いた。それはもちろん、彼女に対する許諾の印だった。
「いいの?」
「……何度も聞かなくていいです」
「ご、ごめん」
 涙目の彼女に哉汰の心に少し余裕が生まれた。
『可愛い人だな……』
 年上の女性にこんな感情を抱くのは、親友の母親に初めて出会った時以来だった。
 女性が身を寄せる気配がする。
 息を落ち着かせようとしているのか、深呼吸さえしている。
 哉汰は目を瞑って“その時”を待った。
 女の人の香りがする。
 すごく甘い香りだ。
 心臓が跳ね回り、緊張から唾を飲み込むと、思ったよりずっと大きな音がした。
「はじめて?」
 不意に聞こえた声に頷くと、女性は涙に濡れた声で、

「ごめんね」

 ……と、そう言った。

§         §         §


 ……だが。

「どういうことだ?」
「……あはは」
「笑い事じゃねぇだろ」
 数秒後、憮然とした哉汰の前にいたのは、色素の薄い薄茶色の髪をした、高校一年平均より背の低い哉汰より、さらに低く見える、ややちんまりとした眼鏡少年だった。
この記事へのコメント
『戦う超時空アイドルヒロイン、ランカ・リー』とまで言っておいて『某』とつきますか……
Posted by 青玉 at 2011年11月07日 08:21
 まあ、その辺は、適当で(笑)。
Posted by 推力 at 2011年11月09日 09:59
って新作TS小説着てた!
超楽しみなおっぱい小説ですよ!
おっぱいおっぱい!
Posted by 絆創膏 at 2011年11月10日 01:20
>絆創膏
 またぞろ、おっぱい熱が再燃してきたので、おっぱい描写が鬱陶しいくらい出てくる事でしょう。
 お楽しみ下さい。

 ( ゚∀゚)o彡゚オッパイオッパイ
Posted by 推力 at 2011年11月10日 10:52
>青玉さん
 『戦う超時空アイドルヒロイン、ランカ・リー』
 ちょっと訂正しておきました。
Posted by 推力 at 2011年11月10日 13:13
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