■感想など■

2011年12月19日

【ボクキミ】8

■■【8】■■

「えっと……じゃあ、その……そろそろ……」
「お、おう」
 決して広くは無い部屋の中央で立ったままお互い顔を赤くし、まるでお見合いのようにもじもじと相手の様子を伺っていたユウと哉汰だったが、不意に当初の目的を思い出したかのように言い合うと、おずおずと向かい合った。
 そうして、不意にユウが床の絨毯に膝をついて、神様に祈りを捧げる修道女(シスター)さながら、目を瞑って頤を上げる。なるほどこうすれば、キスするのにおっぱいが邪魔になるということもなさそうだった。
 とはいえ、ユウがベッドに座ってキスすれば、さほどその巨大なおっぱいも邪魔にはならないはずだが、それを哉汰が提案する前にユウが行動を起こしてしまったため、結果的に言いそびれてしまった形だ。
 なぜなら身長180センチ近くある背の高いユウが、背の低い152センチの哉汰の前に膝をつくと、キスするのに丁度良い高さになる。たったまま哉汰がちょっと屈めばいいからだ。ところが立ってしても、そしてユウがベッドに腰掛けても、ベッドの床からの高さがそれなりにあるため、どうしてもユウの目線が自分よりも上に来てしまうのである。
 哉汰が「ベッドに腰掛ければ良い」と、あえてユウに言い直さなかったのは、男としては形だけでも『自分から女にキスしたい』と思うささやかなプライドからだった。目線が上だと、どうしても「キスされている」という印象が先に立つのだ。たとえ相手が本当は男だとしても、今は女なのだから、そこは譲れない一線だった。
『うわ……』
 だが、実際に跪くユウを見下ろすと、そのおっぱいの巨大さがまざまざと迫ってきて哉汰は焦った。
『でけぇ』
 ──まさに迫力だった。
 白くて大きくて重そうで柔らかそうで、存在そのものが哉汰の心を魅了する。そのうえ、視線が上からになっておっぱいとビスチェの隙間からピンク色の乳首がすっかり見えていた(ニプレスとか以下略)。
 そのエロい光景に、哉汰のアレはもうすっかりナニだった。
 しかも、それより手前にあるユウの顔はほんのりと赤らんで、ふわふわとしたピンクの髪がそのすべすべでやわらかい頬にふんわりとかかっているのだ。
 改めてこうして間近で見ると、本当に美人だ。

 美人で、可愛い。

 いや、美人なのに、可愛い。

 整った顔は、理知的な表情を浮かべればどうにでも冷たい印象を与えられそうなものだが、いかんせん、いつものユウの性格が表情に出てしまっていて、その“ゆるさ”が、見る者に親しみやすい感じを与えている。というか、どこか嗜虐心を煽られる方が勝っていた。
 いぢめてみたい。
 泣かせてみたい。
 そう思わせる空気を纏っているのだ。
 きっと“そういうの”が好きな連中には、こういう女性をいろんな意味で“めちゃくちゃ”にしたいと思う者もいるに違いない。
 哉汰がそんな事を考えていると、いつまで経ってもキスしてこないことに焦れたのか、ユウが目を瞑ったまま“こくん”と唾を飲み込んで、
「お、おねがいします」
 と、言った。

 棒読みだった。

 カチコチに緊張している。

 その緊張が伝わったのか、哉汰の全身に汗が噴き出した。
 契約は「あの日」にもう済ませているから、哉汰の体にはユウに合致するいわゆるひとつの「魔力変換器」が形成され、もうすっかり馴染んでいるはずだ。あの日の魔力補給が「本来受け取れるだけの魔力の、十分の一も無かった」というのであれば、今日のはきっと100%の魔力補給となるのだろう。
 危険は無いのだろうか。“魔力酔い”とかいうのにはなったりしないのだろうか。
 その不安で、胸が潰れそうだった。
「よ、よし」
 声が震えて、哉汰は恥ずかしくて逃げたくなった。

 もちろん、対するユウにも不安は無いわけではなかった。

 だがそれは、哉汰のものとは少し状況が違っていたのだった。
 哉汰から受け取った魔力は、それはそれは親和性が高く、質もものすごく高かった。純度が高いと言ってもいい。あのたった1回の触れただけのキスで、枯渇しかけていた魔力が生活形態への変身を可能にするくらい回復したのである。その意味では今回の魔力供給には全く不安は無かった。問題は、親和性が“高過ぎる”ということなのだ。
 商店街の外れの路地裏の、少し薄暗い場所で受けた哉汰からのキス。あのキスは、その瞬間にユウの視界を全てクリアにし、世界を光で満たした。
 恍惚。
 官能。
 耽溺。
 焦燥。
 涙が出そうになるほどの幸福感と、もっともっと求めたくなるほどの満足感と飢餓感。十分満たされたはずなのに、まだまだ足りなくてもどかしい感覚。
 本来であれば魔力を供給されても強制的に生活形態へと移行するわけではない。元の姿(14歳の少年)に戻る自分をイメージし、強く念じなければ魔法は発動しないはずなのだ。
 だが実際は、キスされた途端、元に戻ってしまった。
 つまりは、それほどに身体のコントロールが出来なかったのである。
『100%の魔力を受け取ったら、ボク、どうなっちゃうんだろう? どうにかなっちゃうんだろうか?』
 そういう不安が、ユウの胸を満たしていた。
 母から、ウィッチに対するパートナーの存在の重要性は耳が痛くなるくらい聞かされていたし、これまでの三度(今日を合わせれば四度目だ)のケガレとの闘いを経て、ユウは実際にそれをひしひしと感じていた。だからというわけではないが、哉汰とキスする事に、今となってはもう抵抗は無い。別に、男の自分が男である哉汰に恋心を抱いているわけでは決してないが、ウィッチとしての自分がパートナーにするのであれば哉汰以外にはいないと思っていたし、実際、哉汰が承諾してくれて嬉しくも思ったのだ。
 ただ、哉汰はどうなのだろう?
 本当はものすごく嫌なのではないだろうか?
 友達の頼みだから我慢してくれているのでは?
 ユウはそんな風に考えてしまう。
 なぜなら普通に考えれば、ゲイでもない限り男にキスするというのはかなり抵抗があるはずだからだ。
 それでもパートナーとなってくれたのは、哉汰の優しさがあったからに他ならない。困っている優也を放っておけないのが、哉汰という少年なのだから。
 そうユウは思っていた。

 で、結果だ。

 魔力補給には、何も問題は無かった。
 先日のようにすぐさま元の14歳相当の肉体を持った男の子の姿に変身することも無かった。
 哉汰にも、そして優也自身にも肉体的なダメージは無かった。
 そう。
 何も「問題」は無かったのだ。
 あるとすれば、ダメージではない肉体的変化と、何より精神的な変化だった。
 優也は最初、光が見えた、と思った。哉汰の唇が触れた瞬間の事である。
 瞬間に満たされた。
 心のどこかにあった隙間。空虚な感じ。何か満たされなくて、どこか哀しくて、そうして絶えず心を通り抜けていた風が、突然あったかいものへと変わった気がした。
 満たされ、包まれ、けれど唐突にそれは終わった。
 自分が泣いているのが解った。“くたくたくた”と全身の力が抜けて、気付いたら哉汰に支えられていた。あそこが濡れているのがわかった。洪水だ。男の身体には無い器官から、男の身体を求める女の涙が染み出し、溢れ、そしてとろけている。
 もっともっと感じたいと思った。
 だから哉汰が「大丈夫か?」と声を掛けてくれなければ「もっとして」と懇願していたかもしれなかった。哉汰は親友だ。これ以上甘えられない。甘えてはいけない。一線を越えるのは絶対に避けなければいけないと思った。

 対して哉汰の方と言えば、キスした瞬間、肉体的には何も変化は無く、ただ「なんとなく気疲れしたかな?」という程度の軽い精神的な疲労感をちょっと感じただけだった。
 だが、それもすぐに霧散したため、取り立てて何か変わったとは思えなかった。
 確かに気持ち良いとは思った。いい匂いがしたし、唇はやわらかかかった。
 だけどそれはあの路地裏でキスした時に感じたような、強烈なものではなかったのだ。
 ところが目を開けて驚いた。
 ユウが“ふらぁ”と後に倒れていこうとしていたのだ。慌てて支えてその顔を見れば、気を失っているのか薄く開いた目は何も見ていない。それどころか、全身の力が抜けてぐったりしている。時折ぴくぴくと全身が痙攣するように震えていた。
 そして何より哉汰が“ぎょっ”としたのはその表情だった。
 頬は紅潮してバラ色に染まり、目には涙が溜まって潤んで光っていた。濡れた唇はうっすらと開き、真珠の前歯が覗いている。
 忘我の表情だった。
 エロかった。
 哉汰はまだ知らなかったが、欲情した女が恋した男にキスをねだる顔にそっくりだった。
 どちらかと言えば哉汰にとっては、アダルトビデオで絶頂に達した女の顔に見えていたのだが。

【……その……キスによる魔力補給には、『激烈なる快美感(オルガスムス)』が伴うんだって】

 優也の言葉が蘇る。
『オルガ……まさか……本当にキスで、イった??』
 脱力したユウを支える哉汰は、この細い体のずっしりとした重量感に「どこにこんな……」と思うが、すぐにそれは眼前でビスチェからこぼれて溢れそうなLカップおっぱいが原因なのだと思い至った。圧倒的な質量で迫るその肉塊は、重力を無視したかのように、体の横へと流れる様子はまるで無く、その巨大な全貌を誇示していた。しかも左のおっぱいがビスチェから本当にこぼれて、ふるふると震える乳首が少し見えていた。
「大丈夫か?」
 なんとなく気まずくなり、薄く開いていながらぼんやりと焦点の合っていないユウの目の前で手をひらひらとさせる。
 するとユウはハッとしたように目を見開き、あっという間に首まで真っ赤にして身を起こした。そうしてずれたビスチェを引っ張り上げ、乳首ごとおっぱいを収めるように“ゆさゆさ”と揺する。哉汰はそれすらも見ていられなくなり、自然と目が泳いだのを自覚した。
「えっと……な、なんかすごかったね」
「え? あ……あ〜……そうなのか?」
「カナちゃんは何も感じなかった……の?」
 ユウはミニフリルスカートを両手で押さえて、床の上に正座した。直接床にお尻をつけたら、絨毯にシミがついてしまう気がしたのだ。それくらい、あそこがぬるぬるしていた。立とうとしても立てなかった。腰が抜けているみたいだった。そしてとろとろにとろけた女性器が、じゅくじゅくと愛液で濡れそぼっている。
 それを哉汰に知られるのだけは避けたいと思った。
「カナちゃん言うな。俺は、その、別に……特に何も……」
「そ、そう。……そうなんだ……」
「それより、その、なんだ。今日はすぐに変身したりしないんだな」
「う、うん。ボクもちょっと驚いてる。魔力はすごく充実してるし、安定してる。前みたいに自分で制御出来なくなるようなことは無いみたい」
 ユウは胸元に手を当てて“ほうっ”と吐息を吐いた。
「ここのところがね、あったかくなってる。なんか、カナちゃんを感じる」
「カナちゃん言うな。……俺を感じるとか、妙なことも言うな」
「ご、ごめん」
 哉汰にはああ言われたが、本当の事だった。ユウの胸はぽかぽかして、あったかくて、それでいて全身を抱き締められているような不思議な感覚で満ちていた。おっぱいの先端が“きゅうう”として、それに連動するようにお腹の中の器官が“きゅんきゅん”と啼いている。
 何かを欲しがってるのがわかる。
 そしてユウにはその“何か”が一体何なのか、わかりすぎるくらいにわかっていた。
『ボク……変かな?』
 優也の時には完全に男の体なのに、ユウの時は完全に女の体だった。
 それぞれが本当で、同時にそれぞれが嘘にも感じる。
 ただ、違和感は感じなかった。
 男の体の時はちんちんがあるのが当たり前に感じたし、女の体の時はおっぱいやおまんこ、それに子宮がお腹の中にあるのが当たり前に感じた。
 心は同一でありながら男の体と女の体は完全に切り離されていると思った。
 でも……。
「じゃあ、そろそろ戻れよ」
「う、うん」
 哉汰の言葉に頷き、ユウは正座したまま心を落ち着け、目を瞑って男の自分をイメージした。

 10分後。
「じゃ、じゃあ……その、明日」
「おう」
 プリズム・グラスの効果で、優也は誰にも咎められる事無く哉汰の家を出て、深夜の夜道を帰っていった。
 時刻は既に夜中の2時を回っている。だが優也の家は哉汰の家から2区画ほど先の所にあり、歩いてもそれほど時間のかからない距離だった。眼鏡を取ると女の子みたいな顔付きだが、男子の制服姿だったし、何よりプリズム・グラスがあるから、万一警邏中の警官や不審者に出くわしても、多分問題は無いだろう、と哉汰は思った。
 そう思ってから、仮にも男に、しかも見た目はともかく中身は24歳の成人男性の帰り道を心配するのはどうなんだ……と自問もしてしまう。
 キスした事で、自分の中で何か精神的な変化が起こったのかもしれない。
 その事に、若干の不安を覚えないでもない哉汰だった。
この記事へのコメント
軽いコメディタッチなのにエロいところはとことんエロくて面白かったです。
Posted by 青玉 at 2011年12月19日 00:45
 ありがとうございますっ!!
Posted by 推力 at 2011年12月19日 12:14
ワクワクしながら読んでます。
B108・・!? Σ(´゚д゚`)まるで沖田恭子(32)さんだ!
Posted by ななし at 2011年12月23日 00:43
 大井昌和氏の「おくさん」は1巻から買ってますよ〜。
 ついでに言えば「おいしい学び夜」も第1話からチェックでする。
 この方の「ちょい垂れ爆乳」はたまらんですよね!
Posted by 推力 at 2011年12月24日 09:54
おいしい〜は知りませんでした。
早速買いますw

>「ちょい垂れ爆乳」
ハイ!たまらんです!!
Posted by ななし at 2011年12月27日 02:27
「おいしい〜」は知りませんでした。
早速買ってきてしまいましたw

>「ちょい垂れ爆乳」
ハイ!たまらんです!!
Posted by ななし at 2011年12月27日 02:30
そして読み終わりました。
おっぱい×料理、新しい領域ですね。

>「ちょい垂れ爆乳」
ハイ!たまらんです!!

大切なことなので3回言って見ましたw
Posted by ななし at 2011年12月27日 02:35
 大切なことはやはり何回も繰り返しますよね!(何か間違ってる)

 ただ同じ大井昌和氏の作品で「ちょい垂れ爆乳」が出てくる漫画でも、「ひるドラ」は麻雀にさっぱり興味無いので買いませんでした。

 「一年生になっちゃったら」は1巻から買ってるのですが(笑)。
Posted by 推力 at 2011年12月31日 10:55
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/49579528

この記事へのトラックバック

★足跡代わりにポチッとしてってくださいな★