■感想など■

2012年01月09日

【ボクキミ】11

■■【11】■■

 翌日、早朝の学校に登校し、無人の教室で哉汰は一人、何をするでもなくぼんやりとしていた。
 まだ誰もいない教室の空気はひどくひんやりとしている。それなのに哉汰の頭の芯は妙にカッカと熱かった。
 いつもの登校時間より、一時間も早い。
 廊下からは朝練に向かう運動部員のものらしい足音と声が、他の教室からはドアの開く音や閉まる音が時折聞こえる。
 雑然と並んだ机達。
 視線の先には古ぼけた教壇。
 チョークの粉がこびりついたままの何も書かれていない黒板。
 右下の日直の欄には、昨日の担当だった山下と羽田の名前。
 時間割と校内便りや様々なお知らせが貼られた掲示板。
 昭和チックに古ぼけたスピーカー。
 スピーカーの上にある、丸く飾り気のないアナログ時計は、7時13分頃を指している。
 中庭に面した窓に目をやれば、朝日に透けたスカイブルーのカーテンの向こうに、昇降口へと向かう生徒の姿が散在していた。
 そこにはいつもと変わらない、何の変哲もない日常があった。
「はぁ……」
 昨日はあまり眠れなかった。
 どうにもじっとしていられなくて早々と家を出ては来たものの、別に何かやることがあったわけではないのだ。
 宿題は全ていつもの習慣として昨日の晩飯前に済ませてあったし、教師に何か頼まれているわけでもない。そもそも部活動でもしていれば朝練などでそれなりに時間も潰せたかもしれないが、哉汰は一年の時から生憎の帰宅部であった。
「はあぁぁ……」
 溜息ばかりが口を出てゆく。
 ユウと、どんな顔して会ったらいいかわからない。
 キスだけならともかく、昨日の「あれ」はいくらなんでもやりすぎだった……と思う。

§         §         §


 昨日はあの後、路地裏で哉汰は口に含んだユウの“くにくに”とした乳首をひたすらに嘗め転がし、吸い、しゃぶり、それこそ我を忘れるほど夢中になってなぶった。
 片手では掴みきれない、「豊満」と一言だけではとても言い切れないほど豊かな乳房に対しては、まるで大玉西瓜かビーチボールにでもしゃぶりついているような錯覚さえ感じたものだ。
 いい匂いがした。
 少し塩気の汗の味がした。
 乳首は“こりこり”“くにくに”と固めのグミキャンディのようだった。
 おっぱいはもったりとしてやわらかく、それでいて指を押し返す弾力に満ちていた。
 揺れ動く重たいおっぱいは、しっかり掴んでいないといけなかった。
 無意識に揉んだかもしれない。
 なにせ夢中だったのだ。
 薄暗い路地裏で、痴女みたいな魔法少女コスを着た女性のみっちりと身が詰まった巨大な乳房に“むちゅむちゅ”“ちゅぱちゅぱ”と音を立てて懸命にむしゃぶりつく男子生徒と、その男子生徒に乳房を与えながら耐えきれぬとでも言いたげに体をくねくねと揺すり、震わせ、熱い溜息を繰り返す痴女風女性。
 端から見たら何か倒錯的な露出的プレイをしている歳の差カップルにでも見えたかもしれない。
 実際、何分間そうしていたのかさえもわからなかった。
 5分……いや10分だろうか?
 もっとかもしれない。
 気が付けば陽は既に落ちて路地裏には街灯が点り、辺りはすっかり真っ暗になっていた。

 ──おっぱいの魔力おそるべし。

 あの時の哉汰には、自分がいやらしい顔をしている自覚があった。
 牡(オス)の顔だ。
 そして街灯だけの薄暗い明かりの中、ユウも、ものすごくエロい顔をしていた。傍目にも脚がガクガクと震え、ふらふらとふらつき、全身がとろとろにとろけていた。
 それは牡を求める牝(メス)の顔だった。
 自分の乳を吸う男に「もっともっと」と乳房を押し付け、窒息寸前にまで追い込みながらも更にぐいぐいと身を寄せてくる。
 息苦しさの中で朦朧となり、思わず口に含んだ乳首を“かりっ”と噛んだ。
「きゃひんっ」
 甘ったるい矯声が路地裏に響き、その声に哉汰がハッとなって身を引くと、頬を真っ赤に紅潮させたユウは固く勃起した唾液まみれの自分の乳輪と乳首を見下ろしていた。そしてなんと、ユウはうっとりしながらも名残惜しそうな表情で、手袋を外した指でくりくりと転がしたのだ。
 哉汰にはそれだけでも絶句ものなのに、ユウはその後、こともあろうに指先に付いた哉汰の唾液を、蜂蜜かジャムにするように躊躇いもせず嘗め取ろうとしていたのだった。
「ちょ……おまっ……」
 困惑した哉汰が声をかけると、ハッとしたように慌てて口を閉じたが、彼の唾液がついたユウの指先は、再び無意識に乳首を触っていた。
 咎めるように哉汰を見詰めるユウの瞳は、もっともっとして欲しい、出来ることならもっと先までしちゃっても構わないのに。
 明らかに、そんな風に語っていた。
 準備万端、突撃OK、こちらに迎撃用意アリ。
 そんな感じだ。
 潤んで水の膜が薄く張ったような瞳には涙がいっぱいに溜まり、真っ赤に染まった頬は火照って熱そうだった。可愛らしい鼻腔は興奮に広がり、ぽってりとした唇は薄く開いてもう一度キスして欲しそうにツヤツヤと濡れていた。
 エロ過ぎるにも程がある。
『あれは……やばかった……』
 このままだと一線を越えてしまう。
 昨日は片一方のおっぱいだけで済んだが、両方のおっぱいに交互に吸い付いてしまう日も近い気がする。
 いやそれどころか、いつかその場に押し倒してあの紐みたいなベビーピンクのTバックをずらし、とろとろに濡れたアソコに硬く勃起した男根をねじ込んで、腰を発情した猿みたいに振りたくってしまいそうだ。そして前から後ろから上から下から、散々突きまくってエロい声を上げさせた挙げ句にたっぷりと膣内射精(なかだし)してしまうかもしれない。
 しかも本当にやばいのは、それをまずいと思いながらも、一方ではそれはそれでいいかと思い始めているということだ。
 思わず、男根をねっとりと包み込むだろう、とろとろの膣内粘膜を夢想する。
 ぬるぬると抽送することで肉の隙間から泡だった膣液が溢れ出し、垂れ落ちる様を夢想する。
 してしまう。
 そしておっぱいは“ゆっさゆっさ”“たゆんたゆん”と眼前で揺れまくるのだ。
『やばいよなぁ……』

 確かにウィッチ・ユウの中身は優也だ。

 が、現実に外見は「グラマラス」で「隙だらけ」の「とてつもなくエロいオンナの人」なのだ。
 正常位で突きまくりながら“むにゅむにゅ”とあの柔らかくてあったかくてでっかい“椰子の実おっぱい”を両手で形が変わるくらい強く鷲掴みに揉みまくったり、大きくてエロいむちむちのお尻を挿入したまま両手で掴んで叩き付けるようにして攻め立てたり、体を半分に折って上から押し込むようにして突きまくったり、騎乗位で突き上げながらあの巨大なおっぱいが“ぼゆんぼゆん”“ゆっさゆっさ”と派手に揺れ動くのを見たい……なんてことは、決して思ってはいけないのである。
 ……いけないのである。
『やば……』
 だが、こうして思い出し、夢想しただけでアレが硬く勃起してズボンを内側から押し上げてしまう。哉汰は何食わぬ顔をしながら机の下で左手をズボンのポケットに忍び込ませ、アレを押さえた。
 童貞なのにアダルトビデオの知識だけはあると、こういう時に困る。血気にはやる男の性が「実際に体験してみたくてたまらない」と悲鳴を上げるからだ。
 とはいえ、いくら「ウィッチ」で「エロ過ぎる体をしている女」とはいっても、やはり元は男で、しかも親友なのだ。その一線は絶対に越えてはいけない。そもそもが、男の親友に欲情するというのは同性としていかがなものか。
 だがそう思っても、一度勃起してしまったアレは簡単に制御出来るものではなかった。
 そしてそうこうするうちに、
「あ、カナちゃんおはよう〜!」
 ガラガラと音がして教室後ろの引き戸が開き、いつもの“ほにゃほにゃ”とした優也の声が聞こえた。
 哉汰の体が反射的にビクッと震え、どっと汗が出る。
「あ、お……おう」
 気付けば既に、他の生徒もちらほらと登校して来ていた。考えに没入していて、周囲に全く意識が向いていなかったらしい。
『……どれだけエロ妄想を暴走させてたんだか』
 朝っぱらから教室でひそかにあそこを勃起させ悶々としているなんて、誰かに知られでもしたらそれこそ身の破滅だ。
「こ、これから園芸部か?」
 哉汰は、いつものように色素の薄い優也の薄茶色の髪や、色白の童顔を見ただけで声が上擦るのを感じた。
 パートナーになってキスを繰り返すたびに、ウィッチ状態でないにも関わらず目の前の少年をまともに見られなくなってきたように思う。
 これは由々しき問題だった。
 さらさら髪で色白の肌をした、“男の子っぽい女の子”にさえ見えてしまう顔が可愛い。
 高校一年平均より背の低い、ややちんまりとした華奢な体躯が可愛い。
 黒のフレームが大きくて妙に野暮ったく感じる眼鏡が可愛い。
 ……そんな風に思ってはいけないのだ。
 そう、哉汰は思う。
「うん。カナちゃんも来る?」
「カ、カナちゃんって言うな。……いいよ。俺、部員じゃないし。面倒くせー」
「だろうと思った」
 くすくすと笑い、優也が自分の机に鞄を置き、教室から出ていく。
 これから彼は毎日の日課として園芸部に行き、屋上の花壇や温室の植物達に朝の水やりをするのだろう。
 いつもと変わらない。
 何の変化も無かった。
『まあ……もともと魔力供給が目的だから、あいつにとってはなんでもないことなんだろうなぁ』
 一人だけ悶々と思い悩んでいたのが馬鹿みたいだった。
 そう思い、どこかホッとした表情で鞄を開いた哉汰は、その優也が教室の外と中を隔てる引き戸のすぐ側に立っていたことも、制服の上から右の乳首にそっと触れ、小さくため息を付いた事にも気付かなかった。
この記事へのコメント
最後の一行に全てが込められていますね。
こういう表現は可逆性転換ならではなので余計に興奮します。
Posted by 青玉 at 2012年01月09日 00:58
 可逆系TSを書くのは今回が初めてな気がします(生殖時のみTSならありましたけど)。
 好きなジャンルではあるのですが……やはり男の時の心の揺らぎ、アイデンティティの崩壊など、描くのは難しいですし。
 頑張ります。
Posted by 推力 at 2012年01月18日 11:30
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