■感想など■

2012年01月30日

【ボクキミ】14

■■【14】■■

 “それ”はまるで、いわゆる神社でお参りの際にするような「柏手(かしわで)」というヤツと同じ動作だった。
 そして、全てはそれで「終わった」。
『おおっ?』
 哉汰の目の前で、『函(パンドラ)』を形成する光糸が急に輝きを増し、ユウを透過してケガレだけを取り込んだまま収縮していく。
 基点はユウが拝むように合わせた両手の先、数十センチだった。
『縮んでいく?』
 収縮するにつれてその速度は増し、やがて洗面所の排水口に水が吸い込まれていくように、または落ちなかった線香花火の火球がふっと消えるように、唐突に宙へとその輝きを消失させた。
「……はっ……はぁ〜……」
 その瞬間、哉汰は肺に溜まっていた空気を深く吐き出し、ようやくその時になって、自分が無意識に息を止めていた事に気付いたのだった。
「見ててくれた? カナちゃん」
 すうっと宙から降りてきたユウが、パールピンクのピンヒールをアスファルトに接地させ、嬉しそうに微笑む。
 降りてくる時にスカートがふわりと広がって、その下のTバックやふっくらと柔らかそうな恥丘が丸見えになったが、ユウには全く気にした様子はない。
 というより、むっちりとした太股やお尻を哉汰に見られてしまっても、ユウとしてはどうでもいいらしい。
「ねぇねぇカナちゃん!」
 ユウはこっちが恥ずかしくなるくらいの開けっぴろげな笑顔で、小さな子供のように無防備に近付いてくる。
 だが“ふわん”とユウから漂ってくる香りはオンナを強烈に感じさせるほどに甘く、香しく、嗅覚を刺激して哉汰の頭を揺らした。
 ふわふわの髪やらおっぱいやら太股やらスカートやら、いろんなところが揺れまくる。
『このやろう……』
 当たり前の話だが、哉汰はユウに全く異性として見られていない。
 ユウは優也であり男なのだから、自分を異性として見ていないのは当然だと哉汰は思う。だがそれでも優也は「ユウになったら女の姿でいるのが当たり前になる」と言っていたのだから、意識的にも変化があってしかるべきではないのかと、少しではあるものの、そう思わなくもなかった。
 もちろん、だからといって異性として見て欲しいかと言えば、決してそういうこともないわけで。
 ユウの問いかけにも
『見てたさ。オマエの揺れまくるおっぱいとか尻とか太股とか、そういうとこばっかな』
 などとはとても答えられない。
 哉汰としては非常に複雑な心境だった。
 というか、妙に腹立たしくもある。
「カナちゃん言うな。けど……なんか、思ったより結構簡単なんだな」
「ええっ!? 簡単に見えるだけだってば。『函(パンドラ)』の形成と維持って、ああ見えて魔力の制御とか、ものすっごく大変なんだからね」
「そうなのか?」
「そうだよ」
 えへへと笑いながら目の前に立つユウは、頬が薔薇色に紅潮して、汗ばんだ額と相まってものすごく色っぽい。
 哉汰が話すと白い息が出るのに、ユウが話しても息が白くならないのは、体に付加(エンチャント)された基礎魔法で体温が一定に保持されると同時に、呼気に含まれる水分に対しても何か作用しているからなのかもしれない。
 哉汰がそう思っていると、
「……で、ね? この後……いい?」
 両手の指を胸の前で絡ませて、どこか困ったような、申し訳ないような、それでいて期待に胸膨らませたような、ハの字に下がった眉とキラキラした瞳でユウに言われ、哉汰は急に鼓動が激しくなったのを感じた。
 ユウが「いい?」と言っているのは魔力供給……つまりは感覚神経帯接触であり粘膜接触であり、要はキスの“おねだり”なのだ。
「あ……ああ。その、どこで?」
 超重量級のLカップおっぱいが上下左右に“ぼゆよんよん”と揺れる。
 思わず目が吸い寄せられてしまうが、視線を上げるまでもなくユウがとんでもなく嬉しそうに身を捩ったのだと知れた。
「どこでも!」
「いやそれまずいだろいくらなんでも」
 視線を巡らせば、住宅街のただ中の塀に囲まれた交差路である。
 深夜2時とはいえ、いつ人が通るとも限らないのだ。いくら『函(パンドラ)』によって認識除外されているとはいえ、肉体そのものが他人に触れればたちまち認知され、認識され、存在を確認されてしまう。
 そうなれば最悪、その人間の記憶を消すという非常に面倒で危険な事態になりかねない。
「ええぇ〜〜!?」
「えぇ〜じゃねーよ」
 どこの世界に、初冬の深夜の寒空の下で、半裸のエロ衣装ウィッチとキスしているところを見られたいと思う人間がいるというのか。
 哉汰はまるで、温厚な大型犬に無条件でなつかれているような気分だった。
 あちらは自分の姿とか格好とかカタチとか力とかお構いなしに、ただひたすらに喜んでじゃれてくるが、その存在自体に脅威を感じるこちらとしてはたまったものではない。
「ボクもう、アンカー設置と『函(パンドラ)』の形成と維持、ケガレの消散で、魔力がスッカラカンなんだよぅ」
 ユウがいやいやと身を捩ると眼前で迫力のLカップが“ぶるんぶるん”と左右に揺れる。ビスチェ風の魔女コスはウエスト部分はしっかりしているのに、おっぱいを包むカップは思ったよりも薄くて柔らかいらしい。
 問題はおっぱいの動きでピンク色の乳輪や乳首がちらちらと顔を出してしまうことだった。
「ばっ、おまっ……」
 哉汰の顔に一気に血が上る。
 ついでに股間のモノにも血がぐんぐんと流入する。
 いろんな意味で目眩がした。
 Tバックやら太股やらお尻やら見ても(慣れたせいなのか)ほとんど平気になったのに、乳首が見えただけで未だにこうだ。こんな時、つくづく自分は“おっぱい星人”なんだと思わざるを得ない。 
「あ、今日も……こっち、する?」
「へ?」
 哉汰の視線に気付いて、ユウがいたずらっぽい表情で彼を見る。
 その言わんとするところに思い至って、哉汰は挙動不審に視線をさまよわせた。
「なっ……ちょ、それって、おまっ」
 ユウは「おっぱい吸う?」と聞いているのだ。
「やっぱりダメかな?」
「ダメだろうそれはっ!!」
「怒鳴らないでよもうっ」
「す、すまんっ」
 耳を押さえて顔をしかめ、ユウは唇を突き出して哉汰を見やった。
 そうすると妙に幼く見えて、哉汰はいつも思わず反射的に謝ってしまう。
「言ってみただけ。言ってみただけだから」
「そっ……ま、まあ、うん」
 ユウの方も言ってから恥ずかしくなったのか、顔が真っ赤になっていた。哉汰と二人して赤い顔を付き合わせている図というのは、まるでお見合いの席のようでおかしくも微笑ましい。
 哉汰は言葉に詰まり、思わず改めて目の前で真っ赤になりながらもじもじとしているユウをまじまじと見てしまった。
 こうして見ると、つくづくデタラメな体だと哉汰は思う。
 中二病患者の少年妄想が具現化したかのような“エロアニメ体形”だった。
 普通、108センチのLカップなんていう並外れた巨大おっぱいを付けていれば、それなりにほかの部分にも肉は付くはずだ(いや、逆か?)。
 Lカップになるような素養が体にあるのであれば、同時に二の腕は太くなるし首も太くなるし顎も肉厚になる。付いた脂肪はたぷたぷだ。脇に流れた肉は身を捩るたびに深い皺になって皮膚の下の厚い脂肪層を連想させてしまう。顔にも肉は付きがちになり、いわゆる巨乳女に多い狸顔などにもなる。
 それはそもそもが欧米女性とは脂肪の付き方が根本的に異なるアジア女性においての、「巨乳」とは切り離す事の出来ない民族的な特徴でもあった。
 乳房の主要素である脂肪と乳腺のうち、乳腺ではなく脂肪の発達が巨乳の主要因である以上、本来であれば他の部位が脂肪を蓄える事無く、乳房の脂肪だけが発達することは有り得ない。
 なのに目の前のユウときたら、顔はすっきりとした美人顔だし顎は余分な肉など欠片もなく、首もほっそり二の腕も引き締まり、脇に流れる肉もなくウエストなどは世の女性が見れば溜息でも吐きそうなほどだった。
 で、ありながらおっぱいと腰とお尻には肉がたっぷりと付いてエロいことこの上ない。
 体は完全に欧米型だ。
 プレイメイトの中でも特にグラマラスなタイプに似ている。
 それでいながら肌はアジア系の“もちもち”“すべすべ”なのだから世の中の「本当の女の子」にとって反則そのものと言えた。
『そもそも、普通に立ってて二の腕がおっぱいに隠れるって、一体どんなおっぱいだよ』
 ほんのわずかに自重によって重力に引かれ、“ちょい垂れ”になってはいるものの、Lカップにしては……というよりLカップであるにも関わらず、その威容は重力に逆らっていっそ堂々と前方に存在を主張していた。こうして相対すると威圧感さえ感じてしまうほどに。
 最近、ネットなどで「巨乳」とか「爆乳」とか「BREASTS」とか「BOOB」とか「BAZONGAS」とか「BACHELOR」とか「BUSTY」とか「BIG TITS」とか「BREAST FEED(「乳を吸わせる」「授乳」の他にも「乳をしゃぶらせる」という意味がある)」などの単語で画像検索してしまう事が多くなったのも、決して自分が根っからのおっぱい星人だからではなく、この異常おっぱいの持ち主であるウィッチ・ユウの影響が大きいのだと哉汰は思わなくもない。
『でも、このおっぱいをオレは、この前も散々吸ったり嘗めたり……』
 そんな風に思い出しながら、目の前のおっぱいと脳内書庫から引っ張り出したネットの画像とを矯(た)めつ眇(すが)めつ眺めていたら、股間のアレがムクムクと立ち上がってあっという間に硬化してきた。
『あ、やべ……』
 これ以上あれこれ考えていると、なんだかもう色々とまずい事態になりそうだ。
「と、ところでさっき言ってた“アンカー”って、なんだ?」
 哉汰は殊更に難しい話題を振ることにした。
「んう? えーと、今回の敵は発現予想エリアが広かったからね。ある程度範囲を絞り込んでいく必要があったんだ。アンカーっていうのは、仲間が予測した地点を囲むようにして打ち込んでいく、ボクの魔力を込めた術式端子のこと。母さんが引退してからは、ずっとしてなかった方法だから出来るかどうか不安だったけど、成功して良かった」
「打ち込むって……」
「別に、実際に地面に何かを刺したりするわけじゃなくて、識対素体(しきたいそたい)……より多くの人の意識が向けられる対象物、例えば日常で何度も意識を向けざるを得ないもの、信号機とかポストとか、そういうものに対して霊的マーキングしていくことなんだ」
「犬の匂い付けみたいなもんか?」
「おしっこなんかかけないよぅ!」
「ば、馬鹿! ものの例えだっ!」
 一瞬、目の前の「椰子の実爆乳魔女」が地面にしゃがみ込んで恥ずかしそうに放尿している図が脳裏に浮かび、哉汰は声が上擦ってしまうのを感じていた。
この記事へのコメント
その検索ワード……私も見覚えがあります。リンクだったら紫になってるところでした
Posted by 青玉 at 2012年01月30日 00:16
 やっぱり皆一度は検索してしまうと思うんですよ(笑)。
Posted by 推力 at 2012年01月30日 09:19
でもBAZONGASって初めて見ましたよ。
huge titsとかgigantic boobsとか……
Posted by 青玉 at 2012年01月30日 15:08
>「BREAST FEED(「乳を吸わせる」「授乳」の他にも「乳をしゃぶらせる」という意味がある)」

バレテル!01月09日分を読んだ後に検索したことがバレテル!!
推力氏に見透かされてる(*ノ∀ノ)イヤン
Posted by (*ノ∀ノ)イヤン at 2012年02月03日 01:04
 いやまあ、バレテルって事は無いですが、おっぱい熱はなんとなく伝わっております(笑)。
 母乳フェチではないですが授乳シチュは萌えますね。
Posted by 推力 at 2012年02月03日 19:15
しかしこの哉汰、おっぱいしか見ていないのではないか。
Posted by 青玉 at 2012年02月03日 21:10
 それはまあおっぱい星人ですし(笑)。
 あとはやはりおっぱいが嫌でも目に入るというか、どこに意識を向けていても強制的に引き寄せられるというか(笑)。
Posted by 推力 at 2012年02月04日 13:20
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