■感想など■

2012年06月30日

【ボクキミ】ユウ3

■■【3】■■

 翌日。
 10月29日の土曜日。

 午後になって再び「彼」に、「彼」の借りているアパートへと呼び出され、真摯な説得も空しく、再度「彼」とキスをしなければならなかった。
 明るい部屋の中で、今度こそハッキリと目の前で変身して見せることで、彼から「実は男であるウィッチとキスする嫌悪感」を引き出そうとしたが、彼はそんな事は全く気にしなかった。
 昨日、付けられたチョーカーは、今日は付けられなかった。少し不思議に思ったが、キスを急かされてどうでも良くなった。
 前日は、嫌々ながら自分からしたキスだったが、この日は途中から「彼」に主導権を握られた。

 荒々しい、キスだった。

 何もかも奪い、剥ぎ取り、それでいて自分の存在を心の奥底に楔のように打ち込もうとするかのような、強引で野卑で暴力的なキスだった。
 気付いたら跪かされていた。
 哉汰とキスする時のように、おっぱいが邪魔にならないようにそうされたのだ。
 そして強引に抱き締められ、後頭部を手で押さえられながら息苦しさに身悶えしたのも束の間、唇や口内を舌が這い回り、嘗めたくり、啜り、誘い出された舌をキツく何度も吸われた。
 たらりと涎が口から喉元まで垂れれば、それすらも舌で丁寧に嘗め取られ、その行為と初めての感覚に首筋がぞくぞくした。
 揺さぶられ、翻弄され、植え付けられた。
 快楽の種を、体の奥底に植え付けられた。
 何度も気が遠くなりかけた。
 長い長いその行為が終わると、ふらつく足をどうにか律しながら、逃げるようにして「彼」の元から離れた。
 涙が、こぼれた。
 力が入らない。
 今にも腰から床に崩れてしまいそうだった。
 あそこがじくじくと湿って、濡れて、膣液が溢れ出して太腿を伝い落ちそうになっているのを知って絶望した。

 感じたわけじゃない。

 感じてなんかいない。

 そう何度も心の中で叫んだが、痛いほど硬く勃起した乳首がそれを裏切っていた。
 「彼」が何も言わないのを解放の了承と捉え、これ以上この場にはいられないと思い、そのまま逃げ帰った。
 魔石で他の誰にも認識されないとわかっていたが、念のため『函(パンドラ)』を展開して識域外偏向魔法の認識除外領域を作り、高高度を飛翔した。
 誰もいない、鳥さえも飛ばない空で、思い切り声を上げて泣いた。
 この後、「彼」とキスした後で哉汰のところへ訪れることなど、どうしても出来なかった。
 何も知らない哉汰と、そ知らぬ顔をしてキスすることなど、出来ないと思った。

 帰宅して変身を解いてすぐ「彼」からメールが届いた。
 そのメールには、いつ撮影したのかわからない画像が添付されていた。嫌悪すべきキスでとろとろにとろけた、今まで見たこともないくらいいやらしい、自分の馬鹿っぽい顔が写った画像だった。
 「彼」の言ったことは、事実だった。
 やはり、ウィッチの魔石による魔力障壁(電磁波遮断域)は、あの魔法具によって、完全に無効化されていたのだ。
 これがその証拠だった。
 昨日、帰ってから壁に掛けたままのダッフルコートをクローゼットに入れようとして、ポケットの中身を確認した。
 そこには、あの写真があった。
 全部で16枚あった。
 そのどれもが、自分と哉汰との、あの甘い時間を赤裸々に写していた。
 ケータイに添付され送られてきた画像には決して無い、相手を信頼し、身を任せ、幸せに浸った顔があった。
 自分はおっぱいを吸う哉汰の頭を撫でながら、まるで恋人にそうするように、ひどく優しい瞳で見詰めていた。
 そこには、与えられる強烈な快楽に溺れて、もっと貪ろうとする貪欲なオンナの顔は、一つも無かった。
 だが、添付画像には、それがあるのだ。

 それが自分の本性なのだとは、絶対に信じたくなかった。

 辛くて、苦しくて、悲しくて。
 幸せを形にしたような写真を、一枚ずつハサミで細かく切り裂いた。
 元の形が判別出来ないくらい細かく。
 でも一枚だけ、どうしても切れなかった。

 その写真の中で自分と哉汰は、まるで愛し合う恋人同士のように見つめ合い、今にも口付けをしようとしていた……。

§         §         §


 10月30日、日曜日。

 アパートに再び呼び出され、今度は服を脱いで下着だけになるよう、強要された。
 とはいえ、ビスチェの下にブラは付けていないため、服(上着とスカート)を脱いでしまえば、パンツ(Tバック)だけしか身に付けない、ほとんど裸といった感じになってしまう。
 それでも、拒む手段は、無かった。
 実は密かに昨日から幾度と無く試した「魅了(チャーム)」の魔法も、「忘却(フォーゲット)」の魔法も、まるで効果が無かったからだ。
 魔石の生み出す電磁波遮断域と同じく、切り札と思った魔法さえも完全に無効化され、消去されている事だけはわかった。
 「彼」の持つ、ウィッチの魔力を無効化する呪宝「抗魔法具(カウンター・マジックアイテム)」の力であるのは明白だった。
 変身させられたのは、「彼」のアパートの部屋を訪れてすぐのことだった。
 魔力で形成されている衣服(そもそも魔力を無効化する魔法具によって、魔力形成されたコスチュームが消去されたり、変身そのものが解除されない原理は見当も付かなかった)は、意識的に消去してしまう事も可能だ。でも「彼」はそうはさせなかった。
 自分で、一枚ずつ、ゆっくりと脱いでいくことを命令された。
 これが、相手の要求を自ら飲むこと、絶対服従することを意識させ、認知させ、さらには「強要されているのだから仕方ないのだ」と思わせようとしているのだと薄々は感づいていたが、だからといって抵抗出来るわけもなく、ただ自分を強く持ち、心が折れないよう律すれば良いのだと、ひたすら自分に言い聞かせた。

 だが、なぜ自分は「彼」の前で裸になれたのか。

 思えばこの時、この姿が「本来の自分の姿」ではなく、「変身を解いてしまえば全てがリセットされるのだ」という錯覚に陥っていたのかもしれない。
 どちらも自分の真実の姿である事には、変わりないというのに。
 やがて手袋もソックスもフリルベルトも脱ぎ、パンツ一枚になって「彼」の前に立った。
 そして、全身を隅々までくまなく調べられた。
 両手で抱えるように隠した大きなおっぱいも、手を払われてじっくりと見られ、パンツの横からあそこに指まで入れられた。
「いっ……いたっ……」
「本当に女の体なんだな」
 今まで誰にも、哉汰にも触れられた事も無く、ましてや自分ですら異物など入れた事のないオンナの器官へと、無遠慮に「彼」の指が侵入してくる。両手でその手首を掴んで懸命に動きを抑制しようとしても、「彼」の力は強く、あっという間に「彼」の中指は根本まで膣奥へと挿し込まれてしまった。
 あまりの痛みに、体が強張って彼の手に縋りついた。
 それが、魔法の使えないウィッチほど弱い存在は無いことを思い知らされた、瞬間だった。
「処女膜って、無いのか?」
 そんな、小馬鹿にしたような「彼」の言葉にも、答える余裕すら無かった。
 デリケートな粘膜に覆われたツブツブとした膣壁表面を、「彼」の無骨で節だった指が蹂躙する。まるで、荒々しいヤスリか何かで擦られている気がした。膣の奥に痛覚は無いが、入り口付近には感覚器が密集している。
 そこを「彼」が執拗に擦り上げるのだ。
 唇を引き結び、声も無くただその嵐が過ぎるのを待ったが、ぽろぽろと涙をこぼしながら腰をひくつかせる姿をどう捉えたか、「彼」は調子に乗って膣内で指を曲げたり、捻ったり、指先でコリコリした部分を散々つついたりと、まさにやりたい放題だった。
 たっぷりと濡れはじめた性器を、感じているとでも思ったのだろか。
 溢れる膣液は傍若無人な暴力に対する、女の体が示した、わずかばかりの防衛本能からのものなのに。
 何度も膣孔をきゅうきゅうと締め付けてしまうのは、あまりの痛みに痙攣を起こしかけているからなのに。

 そしてまた、キスされた。

 この日は、まるで不意打ちのように「彼」からのキスだった。
 膣内の指が生み出す痛みに気を取られている隙を突かれたのだ。
 ぐいぐいと押しつけてくる「彼」の体の圧力に耐えられず、じりじりと後退ると、足が何かに当たってそのまま背後に倒れた。
 ベッドだった。

 まずい。

 そう思った。
 元々、力はそんなに強くない。
 それがこの姿では、魔法頼りにしている事もあって男の力に抵抗出来ないと思った。
 案の定、調子に乗った「彼」にのしかかられ、ベッドに押し付けられながら、唇を、口内を蹂躙する「彼」のキスに翻弄された。
 気が付いた時には、哉汰しか触れた事のないおっぱいを揉まれていた。
 哉汰にしか許していない乳首を吸われ、おもちゃにされていた。
 涙が溢れた。
 哉汰の時のような、恍惚と悦びの涙などではなかった。
 哉汰ではない男に、哉汰にしか許していない部分を蹂躙された、女のメンタリティが流させたものだった。

 本当は拒否したかった。

 すぐにも逃げたかった。

 でも、受け入れるしかなかった。

 我慢するしかなかった。

 どうして、哉汰にしか許していないはずの唇を、乳房を、乳首を、「彼」なんかに許さなければいけないのか。
 こんな風に与えなければいけないのか。
 だが、そう思うたびに、大事な哉汰を護るにはこれしかないのだと、頭の中で囁く声がした。血を吐くような苦しげな声で、耐えろと囁くもう一人の自分がいた。
 だから、「彼」がしたいようにさせた。
 この体に、どんな印を付けようとしても、どれだけ執着しようとも、そしてどれだけ傷つけようとも、変身を解いてしまえば全てはリセットされるのだから。

 今、この時だけ。

 この一瞬だけ、我慢すれば。

 そうすれば、哉汰を護れる。

 自分が少し我慢すれば、護りたい哉汰を、護ることが出来るのだ。

 全てのものから。

 彼を取り巻く様々な悪意から。

 初めて出来た、親友と呼べる友達を。

 だからこうするしか、ない。

 そう思い、耐えながら、キスで唇と舌と咥内全てを思うままに蹂躙され、揺れ動く重たいおっぱいを揉まれ、吸われ、嘗められておもちゃにされた。
 そうしているうちに、意識が朦朧とし、自分が何をされているのか、どこにいるのか、なんのためにこんな事をしているのか、全てが曖昧で不確かだった時間も、やがて過ぎた。
 気が付くと部屋には誰もいなかった。
 「彼」の姿は消え、ベッドの上には汗と唾液と膣液でべとべとになり、裸で横たわる自分だけがいた。
 体にかけられたシーツが、「彼」の良心のように感じられて、確信も無く「これで終わったんだ」と思って安堵した。

 ──苦しみも悲しみも羞恥も恥辱も、全て耐え切った。

 そう思った。
 「彼」が姿を消したのも、自分のしたことを悔いて身の置き場が無くなったからなのかもしれない。
 級友であり、哉汰の友人なのだ。
 自分の追い求めていたウィッチがこんな身近にいた事を知り、一時的にどこかおかしくなっていたのかもしれない。
 明日になればきっといつもみたいに。
 明日になれば。
 そう思った。

 変身を解き、このアパートに訪れた時の姿に戻って一息つくと、誰にも見られないように気を付けながら帰宅した。
 ウィッチのまま帰宅するには、今の体は汚れ過ぎていた。
 脱ぎ去ったウィッチのコスチュームは、変身を解いた途端に霧散した。
 体中を覆っていた不快感は消え去り、汗や唾液や膣液のこもったような匂いもすぐに鼻腔から消えた。
 大丈夫。
 ちゃんとリセットされる。
 全部無かった事に出来る。
 そう思って、泣きたい気持ちを押し殺した。

 ──でも、甘かった。

 見計らったように着信音が響いたのは、帰宅後、心身共に疲れ果てて自室のベッドに横になった時だ。
 「彼」からのメールだった。
 やはり、昨日と同じように、画像が添付されていた。
 そこには、おっぱいを揉まれながら舌を啜られている、淫らに乱れた自分の姿があった。
 手が、震え、ケータイを落としそうになった。
 跳ね回る心臓を感じながらメールをスクロールすると、URLが張り付けてあった。
 震える指で、ボタンを惜した。
「ひっ……」
 ジャンプしたページを見て、思わず声が漏れた。
 自分でも血の気が引くのがわかった。
 そこには、いくつもの画像があった。
 真っ赤に熟れ、とろけた顔で涎を垂らす、自分の顔があった。
 「彼」の唾でべとべとに濡れ、充血して大きくなった乳首があった。
 そして、とろとろに濡れて赤味が増した、大陰唇が薄く花開いてぷっくりとした小陰唇を覗かせた、自分の淫猥なあそこが大股開きで、あった。
 おっぱいとあそこの画像は、全部で8枚ほどもあった。
 とろけた顔と一緒に映っているものが3枚もあった。
 自分でもこんなに近くで見たことなど無かった、画像の数々だった。

 なぜ撮ったのか。

 いつ撮ったのか。

 朦朧としていた時に撮ったのか。

 どうしてこんな風にページに陳列されているのか。

 なぜこんな、キスとおっぱいへの責めで感じてしまったことを確認し、記録するようなマネをするのか。

 愕然としていると、再びメールが着信した。
 そこには、「明日の予定」が記されていた。
「うぅ……ぅ……」
 歯の根が合わなかった。
 自分が何か、ひどい勘違いをしてしまったような、大変な間違いを犯してしまったような、そんな恐怖に体が震えた。
 もう逃げられない。
 そんな言葉がチラついて、ベッドに潜り込んで目を閉じた。


この記事へのコメント
この話に限っては僕オマエと変わらないように思えますが……
Posted by 青玉 at 2012年06月30日 00:14
ユウが所属組織の助けなく独力で問題に対処してる理由がよくわかんないです。明らかに組織レベルの問題では。
Posted by tai at 2012年06月30日 01:33
>青玉 さん
 やっぱり出発点が似てるのと、書いてるうちにあれも入れようこれも入れよう、と「僕オマエ」で考えてたものを入れてることもって、「僕オマエ」の焼き直しになってるのは否めません…。
 構成なんかはそのまんまですしね。

>tai さん
 後でその辺りの理由付けは出てくるのですが(現在、ユウ7まで自動更新用にアップ済みです)、もっと早くに提示しておくべき、という事ですよね。
 とりあえず現時点の事象を提示しておいて、そのバックボーンは追々明かす……という感じに進めたい人間なので、そういうスタイルを変えるかどうか、の話になってきますね。
Posted by 推力 at 2012年06月30日 12:42
自分と相手しかいない空間で、『人』に対して行う行為に『傍らに人無きが若く』って違和感あります
Posted by 青玉 at 2012年07月06日 23:27
???
Posted by 推力 at 2012年07月06日 23:52
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