■感想など■

2012年07月07日

【ボクキミ】ユウ4

■■【4】■■

 10月31日、月曜日。

 「彼」が指定したのは、学校だった。
 優也は指示された時間よりもずっと早い、まだ生徒も教師もほとんど登校していない、早朝に着いてしまい、園芸部の部室で椅子に座って考えた。
 指定された時刻まで40分以上あった。
 それまでに、何か打開策を見つけたいと思った。
 今朝起きると、ケータイには哉汰からメールが届いていた。
 発信は昨日の夜だった。
 現実から逃げるようにしてベッドに潜り込み、体を丸めて眠った後に届いたものだった。
 返事は出せなかった。
 どう出せば、何と打って出せばいいのか、わからなかった。
 自分を気遣うその文面を見ていると、涙がこぼれそうだった。
 それよりも問題は「彼」だった。
 その事をまず最優先にしなければいけなかった。

 どうすればいいのか。

 逃げられる方法は無いのか。

 ケガレ相手になら、対処法などいくらでも思い付いた。
 でも、ただの人間相手にどうすればいいのか、しかも級友であるうえに「抗魔法具(カウンター・マジックアイテム)」を持つ人間だ。
 そんな相手にどう対処すればいいのか。
 傷つけたくはない。
 けれど本気で逃れるためには、多少は手荒な方法を取らないと、今に身動きがとれなくなる。
 ウルフに報告する事も考えた。
 でもそうすると、自動的に高階先生へも報告が行くことになる。
 正直、哉汰をパートナーにすることに最後まで強固に反対していた高階先生には、知られたくなかった。
 知ればきっと、哉汰の記憶を操作し、必要であれば自分に関する記憶を消去し、引っ越したり学校を変わったりさせられるのは明白だった。
 哉汰と別れたくない。
 せっかく出来た親友と、離れたくなかった。
 でも、それではどうすれば?
 やがて指定の時間が来るまで、思考は堂々巡りを繰り返し、とうとう何も打開策は思い付かなかった。

 時間が来て指定の場所に向かうため、周囲の人影に気をつけながら園芸部の部室から中庭に出ると、校門では風紀委員達が、登校する大勢の生徒達を迎えていた。
 そこには見知った生活指導の先生もいた。
 登校してくる生徒達の中には、クラスメイトの顔もちらほら見えた。
 彼らに気付かれないように、校舎の柵沿いに植えられた潅木の影を歩いた。
 胸が、苦しかった。
 あそこには日常がある。
 今までウィッチとは離れた場所にあり、自分がただの自分でいられた日常がある。
 親友、哉汰との護りたい日常がある。

 ──哉汰には、知られたくない。

 哉汰は、ボクが護る。
 そう心に誓った。
 彼に出会うまで、自分の心は死んでいた。
 ゆるやかな死に向かって歩んでいた。
 でも、変わったのだ。
 哉汰に助けられた。
 哉汰に憧れた。
 哉汰を心から大事に思うこの気持ちは、自分が今まで持てなかった大切な気持ちだった。
 だから、哉汰にだけはこんなことで心配なんかかけたくなかった。
「ボクは負けない」
 そう言い続けながら、指定されたクラブハウスの一室へと向かった。


 だが。


 部室に引き込まれ、そこに「彼」だけでなく複数の影を見つけて、途端に体が強ばった。
 影は5つだった。
 「彼」を入れて6人いた。
 「彼」以外、覆面プロレスラーが着けるようなマスクを被っていた。
 怯える小ウサギのように体が震えた。

 約束が違う。

 そう思った。
 でも「あれで終わりだなんて一言も言ってないじゃん」と言われ、絶句した。

 君一人のはずじゃ……

 その言葉にも、「そんな約束いつした?」と言われ、崖から突き落とされたような気がした。
 すぐに変身を強要された。
 こんな他の人間の前で変身など出来ない。
 そう言うと、
「あ、こいつらオレの知り合い。ユーヤがウィッチってのも知ってるし、まあ、パートナーが誰かって事までは知らないけど、別に言っても構わないよな?」
 と言われ、そう言われてはもう、押し黙るしかなかった。
 言うこと聞かなければ、哉汰の存在もバラす。
 そう言っているのだと、確信したから。

§         §         §


 その後は、思い出したくもない、狂宴の始まりだった。

 変身した途端、男達は驚喜した。
 「彼」が真っ赤なチョーカーを首に巻き終えた途端、腕を引っ張られ、抱きつかれ、髪を触られ、おっぱいを、お尻を触られた。
 荒波に翻弄される小舟にでもなったような気がした。
 いつの間にか「彼」はいなくなっていて、あとはもう、男達の好きなように弄ばれた。
「結構年いってねぇ?」
「ウィッチって魔法少女なんじゃねーの?」
「少女って感じじゃねーな。魔法人妻?」
「なんだそりゃ」
「髪きれーなピンクだな、全部ホンモノかよ!?」
「いーにおいだ」
「下のおけけもピンクか?」
「すげーチチ! ばくにゅーだよばくにゅー!」
「こっち来いよ! いーにおいだなマジで」
「話には聞いてたが、マジでものすげー体だな」
「エロアニメみてぇ」
「それにしてもデケー! 乳オバケだ」
「牛だぜ牛。これからは牛ウィッチって呼ぶか?」
「カウガール? カウウィッチ?」
「馬鹿おめぇ、カウガールの意味知ってんのか!?」
 そんな嘲笑と罵声と野卑な掛け声に、意識が振り回されたすぐ後だった。
 薄暗い部室の中で、男達にたっぷりと長い時間をかけて、次々とキスされた。
 やっぱり「彼」はいなかった。
 どこに行ったのだろうか?
 自分だけ授業を受けに行ったのだろうか?
 意識を保とうとする自己防衛が働いたのか、そんな疑問がいくつも浮かんだが、他愛の無い思考はすぐに溶けて消えた。
 男達とキスを繰り返すたびに、体から力が抜けた。
 途中から、キスとキスの合間に何か甘い液体を口移しで流し込まれた。
 上気し、顔が熱くなり、頭がぼうっとした。
 アルコールだと思った。
 酒を飲まされたのだと。
 でもそれが本当にアルコールのせいなのか、キスのせいなのかすぐにわからなくなった。
 ウィッチは、あらゆる毒素を無効化する魔法を変身と同時に、体に付加(エンチャント)する。
 だから、たとえ流し込まれたのがアルコールだとしても“酔う”ことなど無いと思っていた。
 少なくとも母にはそう聞いていたし、自分も今まで、あえて変身状態で飲酒しようとは思わなかった。
 体がとろとろにとろけて、立っていられなくなり、床に敷かれたマットレスに寝かされたと気付いたのは、2人の男に、同時に両方のおっぱいをしゃぶられた時だった。
「うはっ! うめぇ〜……乳首コリコリ〜」
 ちゅばちゅばと湿った音が響き、両方の乳首を甘噛みされて引っ張られると、おっぱいが熱を持って疼いた。
 ぐらぐらする頭で懸命に見下ろせば、ビスチェが引き下ろされて、おっぱいはすっかり剥き出しになっていた。
「いやっ……いやだぁっ……んむぅっ」
 逃れようとした途端、別の男に両手を掴まれ、押さえつけられながらキスされた。
 キスされながら乳房を揉まれ、キスされながら乳首を吸われた。
 哉汰じゃない唇。
 哉汰じゃない舌。
 哉汰じゃない手。

 ──全部、哉汰じゃない男達。

 彼らに貪られ、乳房を嬲(なぶ)られ、乳首を弄(いじく)られる嫌悪感に、気が狂いそうだった。
「やめてぇ……やめてよぅ……」
「うはっ、本当の女みてぇ」
「いやっ……いやだぁ……」
 いくら懇願しても、誰も聞いてくれなかった。
 悲しくて、辛くて、何より哉汰に申し訳ない気がして、とめどなく涙がこぼれた。
 なのに、体はどんどん熱く火照り、意識が揺らぎ、両手に握らされた、何か堅くてそれでいてぶにぶにとして熱いものを、言われるままに扱(しご)いた。
 自分が握っていたものが男の陰茎だと知ったのは、生臭くて熱い迸りが“ぼたたっ”と火照った頬を打った時だった。

§         §         §


 ことが終わった後、学校にはいたくなくて、哉汰と顔を合わせるのが辛くて、男の一人にチョーカーを外された途端、変身したまま逃げるようにして部室の窓から飛び出し、空へ飛んだ。
 顔にべっとりと着いた男達の精液を、泣きながら拭った。
 むせ返るような精液の匂いに反応して濡れるあそこが煩わしかった。
 こんなウィッチの格好のままでは自宅には戻れず、商店街の、いつも哉汰とキスしていた所で元の姿に戻ろうと思った。
 でも近くに行くと、今の汚された自分にはあの場所に降り立つ資格など無い気がして、人影の無い高架下の草むらで変身を解いた。
 男達の唾液の匂いも精液の匂いも、汗の匂いも膣液の匂いも全部消えた。
 リセットされた。

 ──なのに、涙が出た。

 うずくまって、泣いた。
 嗚咽が堪えられなかった。
 全てがリセットされたはずなのに、体に刻まれた、あの汚らわしくて猥雑で野卑で最悪な甘美感が、ねっとりと纏わりついている感じが消えなかった。

 でも、今日はこれで終わり。

 もう何もされない。

 十数分間泣いて、落ち着いて、そしてそう思いながら自宅へと向かった。
 屋内に入ると、誰もいないリビングで母の置手紙を見た。
 長老会に呼ばれて出掛けることと、夕食は冷蔵庫に麻婆豆腐があることが記されていた。
 夜まで誰もいない。
 そう思った途端、全身の力が抜けて、そのまま幽鬼のように自分の部屋へ向かい、ベッドに倒れ込んで泥のように眠った。
 夢は見なかった。
 起きた時、既に午後3時を回っていた。
 園芸部の部室にダッフルコートと鞄を忘れた事に気付いたが、今日はもう学校には行きたくなかった。
 どうせ活動している部員は部長の自分一人で、後はほとんど出てこない幽霊部員ばかりなのだ。
 そんな風に、荒れた気持ちのまま空腹に耐えかねてパンを齧り、吐き気に戻しそうになりながら無理矢理牛乳で流し込んでいる途中で、ケータイが鳴った。
 メールではなく、通話着信だった。
 理由も無く、哉汰からだと思った。
 でもすぐにそれはないと気付いた。
 一昨日から、哉汰からの電話は留守番電話サービスに繋がるようにしてあったから。
 かけてきたのは、見知らぬ番号だった。
 そして着信履歴は17件もあった。

 ゾッとした。

 予感がしたのだ。
 果たして、通話の相手は「彼」だった。
 許可無く「逃げた」事を咎める内容だった。
 いつもの番号でないのは、ケータイからかけているのではないからか。
 その理由を思う前に「パートナーの情報を、あの写真と共にネットに流す」と言われた。

 血の気が引いた。

 終わりではなかった。

 まだまだ終えるつもりがないと知った。
 「それだけはやめて」と懇願すると、「彼」は「誠意を見せろ」と言った。


 ──従うしか、なかった。


§         §         §


 今すぐ来いと、「彼」の借りているアパートに呼ばれ、部屋に入った途端、変身を強要された。
 授業は抜け出してきたらしく、許可無く「逃げた」ことを散々なじられ、呼んですぐに来なかったら情報と写真はネットに流される予定だったと言われた。
 「彼」が連絡しなければ、仲間がそうする手筈だったとも言った。
 だから、言われるまま「彼」の見ている前でウィッチに変身した。
 アパートには「彼」しかおらず、あの5人の男達がいないことで、変身する事への躊躇いが薄れていた。
 そして「彼」は、ウィッチの姿で終わりではなく、そこからさらなる変身を命令した。

 彼が手にする女性ファッション誌に載っていた、モデルと同じ服装に。

 何故?と問うたが、答えは無かった。
 有無を言わせない雰囲気だけがあった。
 だから今度も、言われるままに変身するしかなかった。
 黒のサングラスに、黒のハイネックのセーターと、グレーのスラックス、そしてスニーカーっぽいソールの靴。それは、コーディネイトだけなら、遠目には男にも見えなくはないような、さっぱりとした恰好だった。もっとも、おっぱいが大きすぎてぱっつんぱっつんに張りつめ、雑誌モデルのスレンダーな体型とは、まるきり違っていたが。
 髪は、日本人形のような長い黒髪を指定された。
 それを後頭部でアップにする髪型にした。黒いサングラスは、目元を隠すためだった。全体としては、まるで「休日出勤の、活動的でやり手なオフィスレディ」みたいな風体になった。
 実際、鏡に映したその姿は、いつもの自分とは、まるで別人に見えた。
 自然と背筋が伸びた。
 そうすると印象が180度違ってくる。
 これなら、誰かに……たとえば哉汰に見られても、自分だとは気付かないだろうと思った。
 だが、服装はモデルを真似られたが、下着──ブラジャーはそうはいかなかった。魔法で形成するには、ブラの構造は複雑で上手く行かず、経験上、いい加減に形作るとおっぱいが痛くなるため、仕方なくノーブラだった。少し大きめの乳首が黒のセーターをうっすらと押し上げ、注視すればブラを着けていないことはすぐにバレてしまいそうだった。
 もし哉汰が見たら……と思ったら、少し、恥ずかしかった。
 でも「彼」が口にした次の言葉に、そんな思いも吹き飛んだ。
「じゃあ、ユーヤの誠意を見せてもらおうかな」
「え?」
「今から言う場所に行って、ある男と会ってきて」
 首に真っ赤なチョーカーを巻かれながら、「彼」の顔をぼんやりと見上げた。
 一瞬、「彼」が何を言っているのかわからなかったのだ。

 時刻は午後4時23分を示していた。

§         §         §


 「貸し出された」のだ、と気付いたのは、指定場所で「彼」からのメールを受け取った時だ。

【男の言うとおりに、男が望むことをしろ】

 それだけだった。
 それで十分だとでも言うように。
 待ち合わせの指定場所は、いつも哉汰と下校途中に通る、公園の反対側の出口付近だった。表通りに面した大き目の出入り口と違い、裏口のように小さくて、潅木が茂って公園内からは見通しの悪い場所だ。
 そこに、一台の車が停まっていた。
 高そうなスポーツタイプの車だった。
 近付くと、「彼」から既に連絡が行っていたのか、車の運転席側からスーツ姿の一人の男が降りてきた。上品そうなスーツは、いかにも高そうな仕立てで、年若い顔付きには少し似合っていないようにも見えた。車も、ユウに車種はわからなかったが、フロントガラスをはじめ、ガラスというガラスには全て全面スモークがかかっていて内部が見えず、ちょっと怪しい感じがした。
 男はユウに近付くとそのスタイルを褒め、艶やかな黒髪を褒め、肌の美しさを褒め、そして服を褒めた。歯が浮きそうな、美辞麗句ばかりがずらずらと出てくる。
 男の言葉に答えようとしても、声はチョーカーに働きかけた「彼」の「ルーン」で(?)消されていたから、答えようがなかった。
 ここに来るまでに、何度も自分でチョーカーを外そうと思った。
 でも出来なかった。
 チョーカーに触れると、その途端「外そう」という意思が綺麗さっぱり消えるのだ。
 むしろ外したくなくなるようですら、あった。

 ──自分では絶対に外せない。

 それをハッキリと自覚した。
 午前中の、あの男達の一人は苦もなく外していたから、これもユウだけに働き掛ける魔法効果なのだろう。
 だが、どうせこの目の前の男が何を言っても、ユウには関係無かったに違いない。
 答えるつもりなど、初めから無かったのだ。
 なぜなら、哉汰以外の男は、みんな同じだからだ。

 この男も、「彼」と同じなのだろう。

 あの5人の男達とも同じなのだろう。

 目的は、この体を自由にすること……。
 ただそれだけに違いない。
 でも「彼」の言う「誠意」を見せなければ、哉汰を護れない。
 そう思い、絶望に打ちひしがれ、自然に溜息を吐いて視線を巡らせた時、公園の反対側のベンチに、一人の少年がいた。

 ──哉汰だった。

 息が止まった。
 顔が強張り、思わず潅木の陰に身を隠した。
 何か考え事をしているのか、こちらにはまるで気付いていなかった。
 もし気付いても、自分がユウなのだと気付くとは限らないのだと、そう思うまで少し時間がかかった。
 側に立つ男が何か言ったが、無視した。
『カナちゃん……』
 心の中で、名を呼んだ。
 涙がこぼれそうになった。
 彼は商店街の肉屋で買ったのだろう、コロッケを齧っていた。
 きっと揚げ立てに違いない。
 あんなにも湯気が立っている。
 はふはふ言ってる。
 舌を火傷しないだろうか?
 彼はちょっとそそっかしいから。
『カナちゃん……』
 思わず笑みがこぼれる。
 こんなにもひどい状況なのに、彼の姿を目にしただけで胸が温かくなり、全身に力が満ちた。

 頑張ろう。

 頑張れる。

『カナちゃん。ボク頑張る。カナちゃんはボクが護るから』
 それは、決意だった。
 萎えそうだった心を奮い立たせ、強くあろうと願うための誓いの言葉だった。

§         §         §


 けれど、その決意はすぐに、試され、翻弄され、砕かれ、踏み躙られた。
 痺れを切らした男に、半ば強引に車に乗るよう促され、助手席に身を滑り込ませた。そして膝の上に両手を置いて毅然と前を向いていたところを、不意打ちのように運転席から写真を撮られた。
 そして、驚いて気が緩んだ隙をついて強引に引き寄せられ、いきなりキスされたのだ。
 車の発進よりも何よりも、まず手をつけるのが先だ、と言わんばかりの行為だった。
 顔を逸らそうとしても男の力は強く、抵抗出来なかった。
 そして、キスされながら写真を何枚も撮られた。
 嫌がってもやめてくれなかった。
「高い金を払ってるんだ」
 その言葉で、ユウは自分が「彼」に金で売られた事を知った。
 声を上げようとしても、やはり声は出なかった。

 これが目的だったのか。

 そう思った。
 「彼」が「ルーン」で声を消したのは、ユウが声を上げて拒絶したり助けを求めたり、煩わしく懇願したりしないよう、「客」が気持ち良く自分を「使える」ようにするためだったのだ。
 ユウはそう理解し、嫌がる事さえ、やめた。
 やがて、男にガッチリと体を固定され、唇を、舌を、口内を貪られた。
 何秒、何十秒……いや、何分、何十分そうしていたのかわからない。
 男に唾液を啜られ、流し込まれた唾液を飲まされた。
 吐き気を覚えながらも頭の中が真っ白になって、どんどん何も考えられなくなった。
 体の奥から、快感だけを貪ろうとする卑しい獣が這い出そうとしていた。
 目に涙がいっぱいに溜まって、サングラス越しの世界が潤んで歪んで揺れていた。
 写真を何枚も撮られた気がする。
 でも、もう制止出来なかった。
 そんな気も失せていた。
 ただ、すぐそこに、すぐ近くに哉汰がいるこんな場所で、哉汰ではない男にキスされて感じている自分が情けなくて、哉汰を裏切っているのが悲しくて、自分を心配している哉汰を思うと苦しくて、涙が、こぼれた。

 気が付けば車は発進していた。
 窓からの景色は流れ、見覚えのあまり無い一般道を走っていた。
 体中が重く、気だるく、腕を上げるのも億劫だった。
 座り心地の素晴らしく良い、革張りソファのようなシートに身をぐったりと沈めて、ゆっくりと流れる窓の景色を、ただぼんやりと眺めた。
 男は走行中も、手を伸ばしてきた。
 太腿を触り、時々あそこに指を這わせた。
 おそらく、最初からそうするための低速運転なのだろう。
 哉汰にさえ触れさせていない場所を、「彼」に続いて、こんな見知らぬ男に触られなければならない理由は無い。
 そう思い、最初は手でやんわりと払っていたが、あまりにもしつこいため面倒臭くなって無視をした。
 男の手はすぐに大胆になり、スラックスの股間を何度も指で擦った。
 だがズボンの上から撫でるのはつまらないのか、やがて男は股間を触るのをやめた。
 それでも、パンツの中で、あそこがぐちゃぐちゃに濡れているのがわかった。
 気持ち悪かった。
 スラックスのお尻の部分にまで染み出しているかもしれない。
 でも、それを知られるのも嫌で、何でもない風を装った。
 やがて男の手は狙いを上半身に移し、右のおっぱいを当たり前のように触り始めた。
 無視していると、急に強く揉まれた。
「乳首が硬くなっている」
「感じているのか」
「おっぱいが少し張ってきたか?」
 そんな事も言われた。
 ノーブラを指摘され、セーターの上から乳首をしつこく何度も弄られると体が震えた。
 顔を撫でられ、頬を撫でられ、肩を、腕を、おっぱいを撫でられた。
 やがてそれがずっと続くと、ユウは気持ち良いと思っている自分を発見して恐怖に震えた。
 そして、その嫌悪に男の手を振り払おうとした時、タイミングを計ったかのように車が信号で停まって、再び強引に引き寄せられたのだった。

 ──野獣のようなキスだった。

 それからは、信号で停まるたびに引き寄せられてキスされた。
 唾液を流し込まれ、舌を誘い出されて吸われ、唇も顎も頬も嘗められた。
 男の唾液の匂いが肌に染み付き吐き気を感じたが、それとは明確に違う熱い疼きを体の中心に感じた。
 あそこが、膣孔が、子宮が、切なげに“きゅうう”と啼いた。
 そうしてキスされるたびに力が抜け、ますます体が重く、熱く、あそこがどろどろにとろけて花開いていった。
 気が付いた時にはセーターを捲り上げられ、大きくて重たく張ったおっぱいを露出させられていた。
 男は、スモークで外からは絶対に見えないから安心していいよ、と言った。
 信じる信じないも無かった。
 その時には、もう抵抗する気力もすっかり失せていたし、見たいなら見ればいいと、捨て鉢な気持ちにもなっていた。
 それを了解と取ったのか、男はそれから何枚も写真を撮った。運転しながらのため画像がブレるのを恐れたのか、執拗なくらい何枚も、何十枚もカシャカシャとおっぱいを撮影した。
 揺れ動くおっぱいを捕まえるみたいに、鷲掴みに揉み立てられた。
 敏感な乳首を摘まんだまま、おっぱいが円錐状になるまで前方に強く引っ張られもした。
 信号待ちには、体を強引に引き寄せられて、何度もしゃぶられた。
 おっぱいを“ぺちゃぺちゃ”と嘗めまわし、乳首を“ちゅばちゅば”と吸い、甘く“くにくに”と咬み、舌で“くちゃくちゃ”とこね回した。
 男の唾液がおっぱいから滴り、太腿にまで垂れた。
 痛くて苦しくて辛くて恥ずかしくて気持ち悪くて、でもめちゃくちゃに気持ち良くて気が狂いそうだった。
 男から顔を背け、涙がいっぱいに溜まった目で窓から外を見れば、学校帰りの学生がすぐそばを集団で通っていた。

§         §         §


 助手席から抱きかかえられるようにして車を降りた時、外はもう真っ暗になっていた。
 何時間、ドライブしたのだろうか。
 何時間、体を好き勝手に弄られたのだろうか。
 途中から自分が何をしているのか、何をされているのか、どうしてこんなところにいるのか、全部あやふやで訳がわからなくなっていた。
 体が熱くて、いろんな所がじんじんとして、頭がふわふわとして、現実感が乏しかった。
 ふと胸に風を感じ、ユウは自分の体を見下ろした。
 腰を抱かれながらふらふらと歩く自分のセーターは、首元まで捲くり上げられたままで、椰子の実みたいな特大のおっぱいが重たくゆらゆらと揺れていた。
 乳首が濡れている。
 ぬるぬるしている。
 そして大きく勃起していた。
 乱暴に揉まれたためか、おっぱいの所々が赤くなっていた。
 それが、離れた場所にある街灯のわずかな光の中で見えた全部だった。
 腕が重くて、それでもセーターを引き下げようとしたら、それを咎めるように顎を掴まれ、強引に唇を奪われた。
 それだけで、何もかもどうでも良くなった。

 声は出ない。

 出せない。

 周囲には人影は無い。

 あってもわからないくらい、街灯の下以外は全て真っ暗だった。
 その中を、会社帰りに酔っ払って正体を無くしたOLみたいなユウを、男は引き摺るようにしてどこかの事務所らしい場所に連れ込んでいった。
 事務所(?)の、男が点灯した眩しい蛍光灯の下でユウが見た自分のおっぱいは、右だけが男の唾液で濡れ、キスマークのような紅い斑点が付き、手の跡のような充血した色を見せていた。乳首も、右だけが左のものより硬く大きく勃起して震えている。
 それが、さっき暗がりで見た時よりもっとハッキリとユウの視界に入ってきた。
 男はユウを事務所のソファに座らせると、再び覆い被さって繰り返しキスをしてきた。
 ユウも無意識にそれに応えていた。
 体の奥の、快感だけを貪ろうとする卑しい獣が這い出して、笑っていた。

 目の前に出された男の陰茎を口に含んだのは、ごく自然な流れだった。

 不思議と、嫌だという気持ちが無かった。
 朝から一日、複数の男に体中を嬲られ、貪られ、弄(もてあそ)ばれ、この男には手馴れた手管でオンナの快感を掘り起こされて何時間もいじられ続けた。
 もう、どうでも良かった。
 気持ち良いから、いいじゃない。
 そんな気持ちさえ生まれていた。
 きっと後でめちゃくちゃに後悔する。
 死んでしまいたくなるくらい絶望する。
 でも、今この時だけなら。
 ちょっとだけ我慢すれば。
 他ならぬ、哉汰のためなのだから。
 そういう、ズルい言い訳が針であけたような小さな穴を心に穿っていた。

 もう、戻れない。

 絶望的な気分の筈なのに、男の陰茎に舌を伸ばす自分に高揚した。
 かすかなアンモニアの匂い。
 むあっとした男の汗の匂い。
 半透明の粘液がゴムみたいな質感の亀頭から滲み出ていた。
 ぱくっと開いた尿道口から垂れるその粘液が、最高級で極上のハチミツよりも甘く官能的な蜜に見えて喉が鳴った。

 少ししょっぱかった。

 甘くなかった。

 でも舌が痺れた。

 頭がくらくらした。

 頭の中が真っ白だった。

 その後は覚えていない。
 気付いたらむしゃぶりついてた。
 口内でびくびくと脈打つ陰茎が男の命と直結している気がして嬉しかった。
 哉汰のことは頭から吹き飛んでいた。
 自分が何のためにこんな事をしているのかさえわからなかった。
 目の前にある男の陰茎だけが全てだった。
 いやらしく舌を這わせて舐めしゃぶると男が喜ぶ。
 それを見ると自分も嬉しかった。
 男を気持ちよく出来る自分が誇らしかった。
 陰茎の茎に沿って舌を出して丁寧に嘗めた。
 ハーモニカにそうするようにはむはむとしゃぶった。
 ぬるっとした亀頭を咥え、蜜が滲み出る部分を舌で撫で、尖らせてほじくった。

 今まで味わった事のない味覚だった。

 今まで味わった事のない恍惚だった。

 今まで味わった事のない至福だった。

 興奮した。

 陶酔した。

 耽溺した。

 男の陰茎がこんなにも美味だとは思わなかった。
 なぜ今までこうしなかったのだろう。
 そんな事さえ思った。
 男の手が伸びて、車の中では“触ってもらえなかった”左のおっぱいを揉んだ時、嬉しくて腰が震えた。乳首を摘んで引っ張って捏ね回す指に愛しささえ感じ、おっぱいが張って、重たくなって、乳首が硬く、熱くなった。
 剥き出しの右のおっぱいを揉まれた。
 右の乳首を引っ張られ、左の乳首を捻り上げられた
 お腹の中で子宮が“きゅんきゅん”と啼いていた。
 乳首と子宮は繋がっているのだと悲しいくらい実感した。
 女のメンタリティが、女の本能が悲鳴を上げてた。

 この美味しい肉を食べたい。

 お腹に入れたい。

 膣に納めて、味わいたい。

 隙間無いくらいみっちりと締め付けて、出し入れする時の摩擦を楽しみたい。

 それは急激に沸き起こった結合への欲求だった。
 今まで欲しながらも成し得なかった、欲望の発露だった。
 そうだ。
 繋がりたかったのだ。
 一つになりたかったのだ。

 ──でも、誰と?

 誰かの顔が脳裏に浮かびかけた時、男が小さく呻いてユウの頭を両手でがっしりと掴んだ。
 喉奥まで陰茎が押し込まれ、息苦しさと嘔吐感で苦しくなり、懸命に逃れようと呻いた途端、口内の陰茎が跳ねた。
 なまあたたかくてどろりとした、鼻水みたいにしょっぱいような液体が、喉の奥を叩いて食道を下りていった。
 口いっぱいに液体の味が広がり、鼻腔にその香りが満ちた。

 覚えているのは、そこまでだった。

 次に気がついた時、ユウはあの車の助手席に乗って夜の道路を走っていた。
 スラックスを脱がされた形跡は無かったから、セックスしたわけではなさそうだった。
 でも、信じられないくらい、体の中が充実していた。
 体力も、魔力も、十分過ぎるほどだった。
 なのに、体が火照って、気だるくて、指一本動かせなかった。
 目には涙がいっぱいに溜まり、サングラス越しの街の光が滲んで揺らいで幻想的に見えた。
 運転席の男は、ずっと喋っていた。
「素敵だった」
「素晴らしかった」
「あんなにフェラチオの上手い女性は初めてだ」
「君も気絶するくらい良かったのか?」
「口だけで3回もイカされるとは思わなかった」
「全部飲んでくれるとは思わなかった」
「今日は本番抜きで残念だ」
「約束だから今日はこれで終わり」
「泣いてるのか?」
「別れるのが寂しいのか?」
「次は最後まで頼むよ」
 そんな事をずっと喋っていた。
 その間、男の手はずっとユウの髪や頬やおっぱいや太股を触っていた。
 そうか。
 あの後、2回も口で射精させたのか。
 お腹の中には、3回分の精液が入ってるのか。
 でも最後までは、しなかったのだ。
 「彼」との約束で、今日はこれで終わりなのだ。
 そうか。
 次が──


 ──次が、あるのだ。


§         §         §


 待ち合わせた公園の入り口で車は止まり、再び引き寄せられてキスされ、抵抗しないでされるままに受け入れていると、セーターを捲り上げられて右のおっぱいを嘗められ、乳首を吸われた。
 名残惜しい。
 いつまでもこうしていたい。
 美味しい。
 このおっぱいが大好きだ。
 そんな声が聞こえてきそうな男の舌使いに陶然としかけ、慌てて重たい体をシートから引き剥がすようにしてシートベルトを外し、車から降りた。
 足元がおぼつかなく、ふらついて車のルーフに手を置いた。

 あそこがぬるぬるだった。

 パンツがぐちゃぐちゃだった。

 きっとスラックスのお尻や太腿まで、しっとりと愛液が染み出し湿っている。

 男が何か言っているようだったが、無視して懸命に歩いた。
 後を振り返らず、公園の中を突っ切った。
 灌木の陰に隠れて、車の発進と、誰にも見られていない事を確かめてから、ウィッチ・ユウの姿に戻った。
 ウィッチの姿に戻ると下半身の不快感は綺麗に消えた。
 でも、気だるい感じや、あそこのぬるぬるは取れなかった。
 こればかりは優也に戻るしかない。
 溜息が出た。
 近くにベンチがあった。
 数時間前まで哉汰の座っていたベンチだった。
 手で触れた。
 彼の温もりが残ってるような気がした。
 何か熱いものがこみ上げ、唇が震え、地を蹴った。
 ウィッチの姿でも赤いチョーカーを付けていると人に見られるかもしれない。
 ちらりとそう思ったが、夜だという事もあり、出来るだけ高度を取ればその危険も無いだろうと考えた。
 街の光の届かない高高度の暗闇の空を、ユウは泣きながら飛んだ。
 「彼」が待っているだろうアパートに行き、鍵のかかっていないドアを透過して入ると、部屋の中では「彼」がニヤニヤと笑っていた。
 無言のまま「彼」に真っ赤なチョーカーを外してもらったが、「彼」も、何も言わなかった。
 「どうだった?」とも「気持ちよかったか?」とも「何をされた?」とも聞かれなかった。

 ──でも、表情がそう言っていた。

 何もかも見通しだと、そのいやらしい笑みを浮かべた顔が雄弁に語っていた。
 男にユウがされたこと、したこと、そして気が狂いそうなほど気持ち良かったことを、全て知っていると、ニヤニヤした笑みが語っていた。
 ユウはいたたまれない思いで逃げるようにして部屋を出て、数キロ離れたビルの隙間の誰もいない暗闇で変身を解いた。
 女性性器とそれに付随する感覚が消え、全身、特に下半身に感じていた気だるさは綺麗さっぱりと消えた。
 変身している時には自動的に基礎魔法としてエンチャント(魔力付加)されていた体温調節も解除されて、冬の冷たい風が一気に体を刺した。
 それと同時に自分が何をしたのか、何をされたのかが鮮やかに蘇り、急激な吐き気でビルの壁に向かって嘔吐した。
 でも、出てくるのは胃液ばかりで、悦んで飲んだ男の唾液も精液も、何も出てこなかった。
 リセットされたのだと思ったが、無かったことには出来なかった。
 むしろ証拠として残らない分だけ、自分の魂に消えない刻印として明確に刻まれたと感じた。
 震えながら暗い夜空を見上げた。
 ポケットからケータイを取り出すと、時刻は夜の10時を回っていた。
 メールフォルダには哉汰から届いたメールが何通もあり、留守番サービスには優也を心配する哉汰の声が入っていた。
 涙がこぼれた。
 自分のしたこと、された事を思うと心が引き裂かれそうだった。
 親友を護るために彼を裏切った事を思うと気が狂いそうだった。
 薄い氷のナイフでゆっくり丁寧に切り裂かれているようだった。
 嗚咽がこみ上げ、目の前が揺らいだ。
 口を押さえ、声を出さずに泣いた。

 ごめんね。

 ごめんね。

 ごめんね。

 どうして謝るのか自分でもわかないままに、胸に浮かぶ哉汰の優しげな顔に謝り続けた。
 今日は哉汰のところに行きたかった。
 行かないといけないと思っていた。
 契約を結んでしばらくは、可能な限り頻繁に回路を接続し、哉汰の魔力回路を早急に慣らしていかないといけないからだ。でないと、回路接続が長期間絶たれることで魔力回路の負荷に精神が耐えられなくなり、不安や焦燥に付きまとわれて自制を失ったり、猜疑心に支配されたり、恐慌状態(パニック)に陥ったりして病んでいってしまう。
 大切な親友を、鬱病や薬物中毒患者のような奈落に落とすのだけは、嫌だと思った。
 彼を巻き込んだのは自分だ。
 だから自分がどんな目に会っても、哉汰にその負担を負わせるのだけは避けたかった。
 でも、どんな顔で会えばいいのかわからなかった。
 笑顔を浮かべる自信なんか無かった。

 ──今日はもう、会えないと、思った。

 学校に戻り、園芸部の部室に置き忘れた鞄とコートを手にした時、違和感を感じてコートのポケットに手を入れた。
 そこには白い封筒が入れられていて、中には現金で1万5千円が入っていた。
「なに……これ……?」
 呆然と立ち尽くしていると、見計らったかのように「彼」からのメールが来た。
 顔が強ばり、力が抜けて腰から床に崩れ落ちた。

【10:30 ●●町2丁目3番地 加賀】

 ──明日の「予定」についてのメールだった。


この記事へのコメント
おっぱい円錐状→おっぱいが円錐状
美句麗句→美辞麗句

平常運転ですね
Posted by 青玉 at 2012年07月07日 07:33
なんて容赦ないツッコミ!これが愛か・・・!
Posted by アンディ at 2012年07月07日 13:34
大盤振る舞いですなっ
Posted by tai at 2012年07月07日 16:03
>青玉 さん
 「おっぱい円錐状」は修正しました。
 美句麗句は、「美」も「麗」も共に「美しい」を意味して「美しい語句、美しい語句」と重複言語になってるのですが、美辞麗句の誤用がそのまま定着したものだと思ったので普段から使ってます。
 たぶん、正しい熟語よりこっちの方が通りがいいのかなーと(「ら抜き」「確信犯」「役不足」とかが普通になってしまったみたいに)。
 変でしょうか?
 修正しておきます。

 平常運転……
 。・゚・(ノД`)・゚・。ウエエェェン

>アンディ さん
 ……た、たぶんっ。

>tai さん
 誤字脱字誤用は、大盤振る舞いしたくないです……。
Posted by 推力 at 2012年07月07日 21:09
私は美句麗句って聞いたことがありませんでしたが。

>推力さん、アンディさん
『平常運転ですね』は内容についてのことです。『いつも通り容赦のない性的いぢめですね』と受け取っていただければよかとです。
Posted by 青玉 at 2012年07月08日 01:42
 了解です。
Posted by 推力 at 2012年07月08日 22:48
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