■感想など■

2012年07月22日

[THEM]『Piece.03』「猫」〜う・ふ・ふ〜

 “それ”は嵐のようにやってきた。

 廊下から、『ズタダカダカダカダカダカダカッ』とマシンガンのような音と振動が聞こえてきてから、すぐの事だった。
 4人部屋のベッドの上で本を読みながら“うとうと”とまどろんでいたティファは、咄嗟に反応する事が出来ずに、バタン! と壊れそうな音を立ててドアが開いた時にも、ベッドを下りる事すら出来なかった。
 そこに、飛んで来た。
 清々しい笑顔だった。
 どこか、壊れていた。

 ……容赦無いボディアタックだった。

「ティファーーーーーーーーー!!!」
「んなーーーーーっ!????」
 ぼすん!と柔らかい体が降ってきた。
 ふにゃふにゃのへにゃへにゃな、締まりなくゆるんだ口元で満面の笑みを浮かべながら。
 いつも後で縛ってリボンで飾られている“くるくる巻き毛”の栗色の髪は、ゆるくウェーブを描きながらふわりと広がっていた。
「んげっ!」
 胸に向かって思いきりよくダイブされ、さりとてそれを避けるわけにもいかず、ティファは“落ちてきた”物体を両腕で受けとめた。
「ど……どどどうしたのエアリス!?」
「んにゃあーーー」
「エ……エアリス??」
 ごろごろごろ……と、喉でも鳴らしそうな感じでティファの胸に頬を摺り寄せている。

 ……猫になってた。

「うわ……お酒臭い……エアリスったら酔っ払ってるの!?」
「うくくくっ……」
 むちゃくちゃ怪しい笑いがエアリスの可愛らしい唇から漏れる。
 すっかり出来あがってしまっているようだ。
 ふと気付くと、戸口で金髪の艇長と褐色のヒゲゴリラがなんとも言えない表情で突っ立っている。
「シド! バレット! あなたたち、エアリスにお酒飲ませたでしょう!?」
「面目ねぇ。まさかこんなに弱いたぁ……」
「平気な顔でカパカパグラスを空けやがるからよ。オレぁてっきりイケルもんだとばっかり……」
「……あのねぇ……エアリスは酔っても顔があんまり赤くならないけど、ものすごく弱いんだよ? 薄い水割りでベロベロになっちゃうんだから……」
「んふふーーーやーらかいー」
「あーはいはい。そこ触っちゃダメよエアリス」
「んにゃーーーーーー……」
 ティファは自分の乳をほっぺたでぽにぽにと揺らしているエアリスを、溜息を付きながら“ごろん”と横に転がした。シングルなので、下に落ちないように右手で支えながら。
「で、どれくらい飲んだの?」
「いや、バレットとそこの酒場で飲んでよ、土産に地ワインを一本持って来たんだがよぉ……」
「……まさかそれ一本全部!?」
 ティファは、シドの左手に握られた緑色の空瓶を見て目を見開いた。
「いや、半分」
「半分?」
「のこりはコイツが飲んだ」
「ユフィ!?」
 部屋に入ってきたバレットが肩を貸していた少女を見て、ティファは思わず声を上げた。
「あなたたち、ユフィにまで飲ませたの!?」
 独自の宗教観で縛られているウータイではともかく、未成年の飲酒を禁じる法は、バレットの住んでいたコレルやミッドガルには無かった。
 ティファの故郷のニブルヘイム地方にも無い。
 それは、法として定めなくとも、個々の責任と保護者の管理に任されているものだからだ。
 しかし一般として、成人の儀を済ませていない少女に酒を飲ませるのは、大人のする事ではないと言われている。
「……コイツがあんまり『子供扱いするな!』とか言うもんでよぉ……」
 ユフィに割り当てられたベッドに彼女を下ろしながら、バレットはちっとも済まなさそうじゃない声でブツブツとボヤいた。「なんでオレが怒られないとなんねーんだ?」とでも言いたそうだ。
 そう言いながらも、片腕で器用にユフィの足から靴を脱がし、手早くジーンズの前ボタンを外して楽にさせてやっている。
 手つきにいやらしさが無いのは、マリンという義娘(むすめ)の面倒で馴れているからだろうか。バレットから見れば、ユフィなどまだほんの子供……という事なのだろう。
「まあ、後はよろしく」
「クラウドはどうしたの?」
 ドアを閉めようとしたシドに咄嗟(とっさ)にそう聞くと、不精髭の金髪オヤジが口の端を歪めて左肩を“くいっ”と上げてみせた。
「どこ?」
「隣だ。さっきまで吐いてたけどな」
「……」
「おめぇはコイツらの方を頼まぁ」
 顔を曇らせて今にもクラウドの介抱に行きそうなティファに、慌てて釘を刺す。彼女はクラウドに関する事となると、時々自分すら見失ってしまいそうになるからだ。
「じゃあな。俺達はまだ飲んでるからよ。なんかあったら呼んでくれや。……あ〜〜〜〜……何号室だったか?」
「302……いや、303……だった……か?」
「俺に聞くな」
「ティファ、覚えてるか?」
「なんで私に聞くのよ」
「……まあ、その辺だ」
 曖昧に笑いながらドアを閉めるバレットに、ティファはぷうとふくれた。
『やっかいな事は全部私に任せようって思ってるんじゃないかしら、あのヒゲゴリラ』
 ……言葉にしたら、まあ、そんな感じだった。
 すかーーーーーと気持ち良さそうに寝ているエアリスを見下ろし、ティファは溜息を付く。
『可愛い寝顔しちゃって……』
 本当に2歳年上のお姉さんなのかな……と思う。
 なんて無邪気で、なんて可愛らしい寝顔なんだろう。
 睫(まつげ)が長くて、ほっぺたはぷにぷにで、紅をさしていないのに唇はキレイに紅い。
 こんなに綺麗で可愛い顔で『お願い』されたら、男だったら絶対に断れないよね……。
 デート一回で危険な護衛を引き受けた、ツンツンチョコボ頭の元ソルジャーのことを、少し思った。
「ね、エアリス……エアリスってば……」
「う〜〜〜〜〜……」
「エアリス起きて。寝るなら服、脱がないと」
「う〜〜〜〜〜……」
 むずがる赤ん坊のようなエアリスに、ティファは辛抱強く呼びかけた。
 いつもは『どこかのんびりしててもしっかりしたおねーさん』なのに、お酒が入ると『手のかかるこまったおねーさん』といった感じになってしまうエアリスが、やっぱり可愛くもあった。
「ぬがせて」
「へ?」
「ぬがせて」
「だ、だって……」
「ぬがせて」
「……自分でしてよもう……」
「ぬーがーせーてー!!」
「わかった! わかったから叫ばないの! もう夜なんだから!」
 訂正。
 『ものすごく手のかかるこまった幼児』だ。
 とりあえず靴と靴下を脱がせ、装身具を外す。
 彼女はミッドガルでは基本的に靴に生足、もしくはストッキングだったが、それでは草原や山歩きには向かず、今では靴を履く時は必ず靴下も履くようにしているのだ。
『でも靴下って蒸れるんだよね……』
 くるくるくるっと靴下を一つに丸め、今度はジャケットを脱がせてワンピースの前ボタンを外していく。
 ティファが目を見張るほど豊満な胸をしているため、エアリスの隣に立った時など彼女には胸があんまり無いように思われているが、実はそれは間違いだ。
 ジャケットを脱ぐとわかるが、エアリスの胸は見た目よりも豊かで、コスタ・デル・ソルのビーチで水着を買う際に計った時は、80のCカップだった事をティファは覚えていた。
 数値だけ見ればサイズそのものはそんなに大きくは感じないが、トップとアンダーに差があり乳房に丸みがあるため豊かに感じるのだった。
『肌も白いし……すべすべ……』
 むにゃむにゃと何か意味不明の事を呟いているエアリスをスリップ一枚にしながら、ティファは彼女の首から胸元、すらりと伸びた腕を見て溜息を付いた。
 そこら中を擦り傷や切り傷などでいつも傷つけているユフィも、あれでなかなかしっとりすべすべとしたキメの細かい肌をしている。ウータイの人々の種族的な特徴なのか、あの国にあった亀道楽の給仕の子も、ものすごく綺麗な肌をしていた。
 自分の体を「嫌だ」とは思わないようにしているが、さすがに身近にこんな綺麗な肌の女性が二人もいると、時々気が滅入る。
 自分の肌は直射日光で荒れて、しかも古い傷がそこかしこに残っている。
 中には、左手の甲に走った裂傷痕(れっしょうあと)のように、醜(みにく)く引き攣(つ)れを見せているものまであるのだ。
 今はまだ身体にシワやたるみは無いが、歳を取った時、この差は大きくなる……。
「どーしたの? ん?」
 気が付くと、いつの間にかエアリスがとろんとした瞳で顔を覗き込んでいた。
「……ん、なんでもない」
「う・そ。ティファ、深刻そうな顔してた。話して。おねーさんに」
「なんでもないったら」
「言いなさい」
 ベッドの上で、エアリスがティファの体に覆い被さるようにしてにじり寄って来る。
 いきおい、お尻をシーツに沈ませたまま、ティファは上半身を引いて後に両手をついた。
「ティファ」
「うん?」
「わたし達、なに?」
「なに……って?」
「わたし達、仲間でしょ?」
「う……うん」
 足が伸ばせなくて、正座を崩したような座り方のまま、ティファは上半身を仰け反らせて大真面目なエアリスの目に圧倒されっぱなしだった。
「だーいじなだーいじな、仲間。なのに、ヒミツ、いいの?」
 にじり……と四つん這いのエアリスが迫る。
「あ……う……でも……」
 後を気にしながら、じり……とティファが逃げる。
「いいの?」
「だって……」
 エアリスの様子がおかしい。
 なんだかウズウズしてる。
 悪戯っぽい目でティファを見て、なんだかどうしようもなく可笑しいのを我慢してるみたいに突き出した唇がむにむにと動いてた。
 何かに似てる。
 何か。

「あ」

 と思った時には遅かった。
「ティファすきーーーーーー♪」

んちゅーーーーーーーーーーーーーーっ!

「んむむむむむむむーーーーーーーーーーーーーーーー!!?!」
 不意にエアリスがティファに飛びかかって、その柔らかい体ごと彼女に覆い被さり、ティファのぽってりとした可愛らしい唇を奪ったのだった。

 猫だ。

 あの、うずうずとして我慢出来ない!って感じを体中から発散してる姿は、人間が“ふりふり”するオモチャに飛びかかろうとする、猫そのものだった。
 ……気付くのが遅かったけれど。
「ぷあっ!」
 慌てて顔を背けてエアリスの唇から逃げたティファは、顔を真っ赤にして、覆い被さってくる可愛らしい悪魔を見た。

 あぶなかった。

 あともうちょっとで舌まで入ってくるところだった。
 確信は無いけど、きっとあと数十秒……いや、数秒で。
「なにするのよエアリス! もうっ! いい加減に」
「えいっ」
「にゅあっ!?」
 ぽにょん!と両方の乳房を鷲掴みにされて、ティファはヘンな声を上げて後に肘をついてしまう。
 とんでもない攻撃だ。
 もにゅっもにゅっもにゅっ……とエアリスの白くて細くて繊細な指が、優しく優しくタンクトップの上から揉みしだいてくる。
「うにゃうわぁはにょ」
 くすぐったいような痛いようなヘンな感覚に、ティファはエアリスの両手から逃れようとベッドの上でじたばたと暴れる。けれどエアリスの両手はティファの胸が揺れ動く先、ぴったりとくっついて離れない。
「もうっじっとしなくちゃ、ダメ」
「な、エ……エアリ」
「うるさい」
 エアリスは、ちょっと恐いくらいに目のすわった顔でそう言うと、
「puppet……」
 ボソリ……と囁いた。
 次の瞬間、ティファの体から一切の自由が利かなくなる。
 しかも、自由を束縛されたのは首から下だけ……という徹底さだった。
「なっ!?」
 くたくたくた……と肘で支えていた体がベッドに崩れ落ちる。
 見えるのは天井だけだ。
 わずかに首は動かせるものの、それさえも起こすのは無理だった。
「ひっ……卑怯よエアリスっ!」
 彼女がマテリアを発動させたのは明らかだった。
 問題は、どのマテリアを使ったか、だ。
 エアリスは「puppet(パペット)」と言った。
 となれば、マテリア「あやつる」に違いない。
 さっき意味不明の呟きと思ったのは、装備するだけで呪文を必要としないマテリア「あやつる」の効果を限定し、任意に発動させる為のマジック・ワードを練っていたに違いない。
 後は自分が決めたキー・センスを唱えればいいだけにしておいて、ずっとタイミングを計っていたのだろう。
 こんなマテリア効果の使い方が出来るのは、きっと世界でもエアリス以外にはいないに違いない。
 ただの酔っ払いではない。
 彼女は「すごい魔法使いの酔っ払い」だったのだ。
 けれど、マテリアはどこに?
 スリップ一枚の彼女に、魔法を唱える事など……。
 そう思いながら視線を一所懸命エアリスに向けようとしたティファだったが、

ぺろん。

 タンクチップを両手で勢いよくめくり上げられた。
 白い乳房が“ぽろんっ”と弾みながらまろび出る。
「んにゃーーーーーーーーーっ!☆?▼!◆?!」
「うわっ! でっかいおっぱい!」
 思いきり真正面から言われた。
「エっ、エアリス! もうっ! 怒るわよ!?」
 胸がすーすーする。
 じいっとエアリスの視線を感じた。
 息を呑んで穴が開くほど眺めている。
 そう思った。
『やあ〜〜〜〜ん……』
 ティファは泣きたくなってきた。
 何が哀しくてベッドの上で、よりによってエアリスに襲われなくてはならないのだ!?
「お乳出るかな〜?」
「なに言ってるの?! 出るわけないで……あひゃ!?」

 むちゅ……

 左の乳首に、生温かいものが押し当てられる。
 ……と思ったら、すぐに“それ”がむにむにと動き、ちゅうちゅうと乳首を吸い上げた。
「んにゃーーーーーーーーーっ!!」
 自由が利かないのに感覚だけはしっかりとあるのが恨めしかった。
 エアリスは一体どんな魔法テクニックを使って、こんな器用なマテリア効果のかけ方をしたのだろう?
「んーーー……」
「ちょっ……やっ……エア……やあっ……」
 エアリスは、んちゅんちゅんちゅ……とまるで赤ん坊のようにティファの乳首に吸い付いて、ちゅうちゅうと吸った。
「いたっ! や……キツくしないで」
 ティファとも思えない弱々しい声で彼女が言うと、エアリスは“ぷあっ”と唇を離して彼女を見た。
 頬を赤らめて、なんだかそわそわと落ち付き無く視線をさ迷わせている。
「わかった。こう?」
 んちゅ……んちゅ……と、今度はゆっくりと舌で乳首を上唇に擦り付けるようにして吸ってみる。
「あっ……んあっ……やっ……も……やあっ……」
「出ないなぁ」
「…………あ、あたりまえじゃない!」
 顔を真っ赤にして少し息の乱れたティファが、恥ずかしさを誤魔化すようにエアリスにキツく言った。
「これだけでっかいと、思ったの。ひょっとして、出るかなぁ〜?って」
「な……なに言ってるの? ねぇ……エアリス、ちょっとどうかしてるんじゃない?」
「………………」
「な……なに?……」
 沈黙が恐い。
 天井しか見えなくて、エアリスの表情を窺う事も出来ないため不安もいや増す。
「ティファったら、わたしの頭、おかしいって言った」
「そ、そうじゃなくて、お酒飲んでいつものエアリスじゃないって言いたいの」
「お酒飲んで、頭おかしいって言ったーーーっ!」
「ちーがーうー!」
「おしおき」
「にゃーーーーーーーーーーーーーー!!」
 ずるり……と下着が膝まで一気に引き下ろされた。

 これはあんまりだ。

 悪戯が過ぎる。

 冗談じゃない。

 ティファには“そんな気”はこれっぽっちも無いのだ。
「エ……エ……エアリス……」
「お毛々まっくろー」
「やめてってばぁっ!!」
 ティファはもう半泣きだ。
 酔っ払ってるとはいえ、どうしてエアリスは私をこんな風に辱めるのだろう。
 やっぱり私が嫌いなんだろうか?
 いない方がいいって、そう思ってるからいじめるんだろうか?
 そんなマイナス思考が頭をぐるぐると回って、涙がこぼれそうだった。
「どうしたの? ティファ、哀しいの?」
「誰のせいだと思ってるのよぉ!」
「わたし? どうして?」
「エアリス、どうしてこんな事するの? 私が嫌いなら嫌いって言えばいいじゃない! どこかに行って欲しいなら言えばいいじゃない! どうしてこんな回りくどいこと」

ちゅっ

 ほっぺたにキスされた。
 びっくりしていると、エアリスがティファの瞳を覗き込んで、優しい瞳で言った。
「わたし、ティファ好きだよ?
 大好き。
 それ、ウソじゃない。ホント」
 そう言いながら、右手の指の腹で左乳の丸みを“つつつ……”となぞる。
「あ……や……」
「ティファ、可愛いもん。すごく。だから好き」
 ちゅっちゅっと何度もほっぺたにキスされる。
 嫌なはずなのに、何度も何度もそうされていると、ティファは頭がくらくらとして何も考えられなくなりそうだった。
 家族以外で、ここまで人に剥き出しの言葉で「好き」と言われた事は無い。
 「可愛い」だなんて言われたのは、ニブルヘイムにいた頃以来だ。
 でも。
「や……やなの……」
「なにが?」
「だって、エアリスは……女で……」
「うん」
「私も女……で……」
「うん。それで?」
「だから……」
「だから?」
「だめ、なの」
 この間にも、エアリスの指は、ティファの体の上を滑っていく。
 あたかも硬く凍ったアイシクルエリアの湖でスケートで遊ぶ子供達のように。
 すっきりとした下腹にエアリスの中指が達した時、ティファは息を呑んで体を震わせた。

 感じてはいけない快美感が体を支配しつつある。

「そうかな? 本当にダメかな?」
「エ……エアリスはそんな趣味だったの?」
「趣味? 違うよ?」
「だ、だって……女が好きだなんて……」
「別に女の子が好きなわけじゃ、ないよ?」
「うそ」
「ウソ言わないもん。ティファだからだよ?」
 そう言って、再びちゅっちゅっちゅっとティファのほっぺたやおでこにキスをした。
「わたしティファ好き。ユフィも好きだけど、でも違う。ティファなの」
「え……なんで?……あ……」
「ユフィも可愛いな、いい子だなって思って好きだけど、ティファはちょっと違うの。いぢめたいってカンジ」
「いぢめ……」
「可愛いからいぢめるの。いぢめると可愛いから、するの。こんな感じ、ティファだけ」
「そんなの……」
 ふ……と優しく口付けが降りてきた。
 上唇と下唇を交互に唇の甘い柔らかさで包むようにして啄(つい)ばまれる。
 それだけで“くらっ”と眩暈(めまい)にも似た感覚が頭を揺さぶった。
「だめ……だめ……」
 うわ言のようにそう言いながら、ティファは陶然となって意志とは無関係に瞳を閉じた。
 何も見えないがゆえに、感覚が鋭敏になる。

 布ずれ。

 エアリスの柔らかい体臭。

 心地良い匂い。

 それとは別の、お酒の匂い。

 ワインの匂い。

 さらさらとした髪が剥き出しの肩に落ちてくる。

 キス。

 そしてキス。

 上唇を嘗められる。
 ちろり……と嘗められた。
 ぞくぞくぞく……と身体が震えて、泣き出しそうだった。
「ああ……」
 本当に泣き出しそうになったティファが、溜息とも諦めともつかない声を漏らすと、エアリスは「ふふふ……」と笑ってティファに覆い被さり、彼女の唇を全部“食べて”しまった。
 んむっ……と唇を合わせ、最後の抵抗を試みようとする彼女の真珠のように磨かれた歯の間に、強引に舌を割り入れる。
「……んん……んむ……んー……」
 眉を顰(ひそ)め、瞼(まぶた)をぴくぴくと震わせながらティファは泣いた。

 同性との口付けが気持ち悪いと思ったからではない。

 嫌だったからではないのだ。

 むしろ、滑らかな彼女の舌の心地よさ、震えるほどの気持ち良さに、泣いたのだった。

 魂を全部持っていかれるかと思って怖くなったほどだ。
「ふふ……」
 一旦唇を離して、エアリスはティファを見た。
 目尻から一筋涙が走った顔は真っ赤にのぼせ、ぐったりとしたまま天井を潤んだ瞳で見上げている。
「……エア……」
 最後まで喋らせなかった。
「んん……」
 またキス。

 何度も。

 エアリスは心からティファとのキスを楽しんでいるようだった。
 だがティファといえば、エアリスの口付けに翻弄され、陶然となり、自分がどこにいるのか、何をしているのか、どうしてこんな事をされているのか、全てが曖昧になりつつあったのだった。
 だから、エアリスの口付けが喉を過ぎ、鎖骨を過ぎ、たっぷりとした乳まで降りても、抗議の声さえ上げられなかった。
「ふあっ……ふあああぁぁ……」
「ティファ……可愛い……」
 右の乳を、エアリスは細くて華奢で少しひんやりとした指で壊れ物を扱うかのように優しく優しく揉み上げる。
 そしてティファの左の乳を、まるで犬がそうするようにぺろぺろと嘗めた。
 嘗めるたびに、柔らかい乳がぷるぷると揺れる。
「まるでプディングみたい」
「ふあ……あ……あああ……」
 面白がってエアリスが更にぺろぺろと嘗めれば、胸の奥にどんどんと溜まってくるむずむずとした“疼き”に、ティファは白旗を上げて降参しそうだった。

 もう、自由にして。

 もっとして。

 エアリスのいいようにして。

 それだけは、言ってはいけない言葉なのだ。
 けれど、そう思いながらもそれがまた、どうしようもなく哀しく思えたのも事実だった。
「……ひんっ……」
 ティファは泣きながらいやいやと首を振り、低く嗚咽を漏らした。
「泣かないで、ティファ。泣いちゃ、ダメ」
 泣かせている本人が言う言葉ではない。
 けれどその言葉はあまりにも真摯で、ティファはしゃくりあげながらも嗚咽をこらえようと唇を噛んだ。
「ティファの匂い、好き。ふわふわしてる。いーにおい、なの」
 するり……と彼女の細い指がの太股を滑った。
 ……と思った次には、まるでそれが当たり前のようにティファの両脚の付け根へと滑り込む。
「あっ……やっ……」
 濡れていないエアリスの指が、ティファの『花弁』を撫でる。『茂み』の残滓(ざんし)が散りばめられた肉厚の『花弁』は、ぽってりとしていながら弾力に富んで瑞々(みずみず)しい若々しさに溢れていた。
 ティファの頭を撫でながら、ほっぺたにちゅっちゅっとキスを降らす。
 やわらかいほっぺに自分のほっぺを擦り付けて、エアリスは甘えるように鼻を鳴らした。
 その時だ。

ちゅ……

「ふあっ……!!……」
 エアリスの中指が、繊細な薄肉を割って深い亀裂の奥へと進んだ。
 だが、それは一瞬だった。
 ほんの入り口をひと撫でして、すぐに出ていく。
「あっ……いやっ……」
 否定の叫びではない。
 エアリスは「くすくすくす……」と笑うと、亀裂の帰結点……ぷっくりと固くなった『花芯』の包皮を、中指でくりくりと転がした。
「ああっ……ひんっ……あ……ぁ……」
「ティファのここ、可愛い。もっとくりくりして欲しい?」
 一瞬の逡巡があった。
 しかし……ティファは涙のいっぱいに溜まった瞳でエアリスの瞳を見上げると、ちっちゃな女の子のようにこくりと頷いてみせたのだった。


 『酔い』というものは、ある瞬間に電池のスイッチが切れるように醒めるものではない。
 徐々に、失っていた理性のタガが、その力を取り戻していくのだ。
 エアリスの理性が覚醒し始めた時、彼女は自分がしでかした事に対してこんな思考を浮かべた。

『どうしよう……』

 深刻な困惑ではないが、混乱を含んでいるのは確かだ。
 酔っ払っていた時の事を、細部まではっきりと覚えているわけではない。
 ユフィが、宿屋のベランダでぼんやりしていたところへ誘いに来たのは覚えている。
 クラウド達が酒盛りしてるのだと言って、強引に腕を引かれた。
 ティファは気分が良くないとかで、部屋で休んでいるらしく、ユフィとしては男臭いところに一人で行くのにはさすがに気が引けていたらしい。
 それから、ちょっとだけワインを飲んで……チーズが美味しくて……なんとかという魚の卵の塩漬けを乗せたカナッペだとか、地鶏の香草焼きなんかも美味しくて……。

 それから意識が、ちょっと、飛んでいた。

 ティファに会いたくて部屋に行って、ティファのいー匂いに包まれてたら、おっきくてやーらかいおっぱいにどうしても触ってみたくなって……ティファが可愛くて可愛くてどうしようもなくなって、いっぱいほっぺたにちゅーして……。

 で、もう止めらんなくなっていた。

 ぽろぽろと涙をこぼすティファがあんまりにも可愛くて、おっぱいやあそこに触れるたびに上げる声があんまりにも弱々しくて可愛くて……。
 もっともっと……と、エアリスの中の“いぢめっこ”が煽るのだ。
 だから、つい……。
『ここで止めちゃう方が、もっとひどいと思う。うん。きっと』
 “くうん……”と、主人に甘える子犬のように鼻を鳴らすティファの頭をなでなでと撫でながら、エアリスはそう自分を納得させる事にした。
 それに、

ぽにゅ……ぽにゅ……ぽにゅ……

『ティファのおっぱい、キモチ良いもの』
 左手でティファの右乳を揉み上げながら、その柔らかさと滑らかさとあたたかさを楽しむ。
 いつまでも触っていたい気がする。
 誤解を恐れずに告白するのであれば、エアリスは女の子が大好きだ。
 もちろん、エアリスの性癖はノーマルで、ザックスに恋した気持ちもクラウドを“いいな”と思った気持ちにもウソは無い。
 けれど、女の子の柔らかい体や、仕草、潤んだ瞳や艶々とした髪なんかを見ると、ウズウズしてしまう。触ってみたくなる。
 その想いはティファに会って、彼女を知るにつれて強くなった。
 もっと知りたい。
 もっとティファを知りたい。
 そういう気持ちが、強くなった。

 『恋』かしら?

 ……なんて、養母(はは)が聞いたらお気に入りのハーブティを吹き出してしまいそうな事を、真面目に考えた時もある。
 気が付くと、ティファの姿を見ていた。
 ふりふりと揺れる長い髪を探してた。
『だから……かな?』
 酔っ払って、抑え込んでいた理性のタガが外れたら、なんだかティファの顔が見たくてティファに甘えたくて、ティファを“ぎゅーーーーー”ってしたくて。
『でも、ちょっとやりすぎ……かなぁ……』
 理性のぶっとんでいたその時の自分に文句を言うわけにはいかないけれど。
 エアリスは、ねっとりとした『蜜』を滲ませ始めたティファの『蜜口』に浅く指を潜らせながら、可愛く啼く彼女のほっぺたに自分のそれを“すりすり”と摺り寄せた。
 ティファは自分を“汚い”と思ってる節がある。
 “きれいじゃない”って思ってるし、あんまり自分の事を好きじゃないのかもしれない。
 だから、自分の価値を知らないのだ。
 自分がどんなに可愛い女の子なのか、知らないのだ。
 そんな彼女が、エアリスはもどかしくて仕方が無かった。
 スラムで暮らしていたからといって、それが“汚れている”理由にはならない。
 過去に幾人かの男と付き合っていたからといって、それが“汚れている”理由にはならない。
 彼女は決して汚くなんて、ないのだ。
 それを、教えてあげたかった。

 わたし達は、わたしは、あなたが好きなの。

 それを、エアリスはずっと声に出して言い続けてきた。
 けれどもっとちゃんと、しっかり彼女の心に届くくらい言ってあげたかったのだ。
「ん……んん……」
 ティファの唇の柔らかさを確かめながら、彼女の『蜜口』に指をあてる。
 くにくにと、繊細な襞(ひだ)の一本一本を確かめるかのように指を滑らせ、遊ばせた。
「ふあっ……」
 唇を離し、エアリスの舌がティファの下唇をちろり……と嘗める。
「ティファ……可愛い……」
「……やぁ……」
 ぽろぽろと涙をこぼしながら、ティファは何かをいっしょうけんめいに訴えようとしていた。
 エアリスにはそれがわかっていながら、あえてわからないフリをしている。
「どうしたの? やめて欲しいの?」
「あ……や……」
 エアリスの言葉に、ティファの瞳が途端に哀しそうな、切なそうな色を帯びた。
「ティファ、好き」
 そう呟くと、続けてエアリスは意味の掴めない不思議な音の言葉を呟き、ティファのほっぺたにキスをした。
 すると、それをきっかけにしてティファの身体に徐々に自由が戻ってきたのだった。
「あ……」
 腕が、動く。
 ティファは、こんなひどい仕打ちをしたエアリスを“嫌いだ”と思った。
 だから、“どんっ”と両手で突き放して、そして「大嫌い!」と言うつもりだった。
 けれど次に彼女が取った行動は、彼女自身の理性さえも裏切るような、意外なものだったのである。
「……や……」
 ティファは、ぐすぐすと鼻を鳴らし、エアリスにすがりついて自分から彼女のほっぺたにキスをしたのだ。
「して……」
「なあに?」
「して……ちゃんとして……」
「ちゃんと?」
「ちゃんと……じゃないと……」
「じゃないと?」
「じゃないと……私……私……」
「ティファ、甘えんぼさん?」
「……うん……だから……」
「くすっ……じゃあ、脚、開いて」
 エアリスの言葉に息を呑んだティファだったが、やがておずおずと両脚を立てて、ゆっくりと少し開いて見せた。
 そこを、エアリスの指が自由に遊ぶ。
 ちゅぷちゅぷと水音を立てて跳ね、くりくりと『花芯』を捏ねた。
 その動きは同性であるがゆえに繊細で、“どこをどうすればいいかわかっている”がゆえにティファをより一層の陶酔と困惑の世界へと導いていった。
「……あ……あっ……や……うそ……うそ……やっ……やあっ……」
 ティファは、自分でする時とも男にされる時とも違った鮮烈な感覚に、嵐に弄ばれる小船のように翻弄されていった。
 遊ばれ、焦らされ、そして一気に高みへを引き上げられ、そしてそこが到達点かと思えばさらに上へ上へと引き上げられて行く。
 甘くも痺れるような快美感は全身を走り、股間と乳と唇と脳を直結する電器回路が脊髄の中に生成されたのではないか?とさえ錯覚した。

 こんなにも、感じるものなのか、と思った。

 こんなにも、感じさせられてしまうものなのか、とも思った。

 さらにティファを驚かせ、困惑させたのは、エアリスの唇が、指が、声が、深い愛情に溢れていたことだった。
 過去にベッドを共にした男からも、こんなに愛に溢れた愛撫をされた事は無い。
 エアリスがいかに自分の事を好きでいてくれたのか、大切な人間なのだと想ってくれていたのか、ようやくわかった気がしたのだ。
 エアリスの指が動くたび、ティファは深い溜息のような吐息を吐いて、すすり泣くように身を震わせる。
 彼女の胸元に顔を埋め、その滑らかな肌に口付けて、ティファは自分が与えられている快美感の何分の一かでも彼女に返せればいいと思う。
 積極的に彼女の性器に指を伸ばす事には、まだ躊躇(ためら)いがあった。
 ここまで彼女に身を任せておきながら、まだ心のどこかで「女同士はいけないこと」だと思っているのだろう。
 ふと、前からティファの『花』を嬲(なぶ)っていたエアリスの手が、後に回された。
 後から、尻の狭間に割り入れるようにして中指が侵入してくる。
 陶然となり、とろん……と快楽に身を委ねていたティファも、さすがにそれに気付くと身を捩(よじ)って逃げようとした。
「どうして?」
 エアリスが聞く。
 天使のような悪魔の微笑みで。
「だって……」
 ティファが答える。
 今にも泣き出しそうな迷子の顔で。
「お尻……いや……」
「どうして?」
「だって……きたな……い……」
「汚くなんてないよ」
「お尻……だもん……」
「ティファのお尻だよ」
「だから……」
「だから、汚くなんて、ない」

 悪魔だった。

 悪魔はいつも、極上のとろけるような微笑みで人間をたぶらかすのだ。
「でも……」
「ティファ、悪い子ね。あんまり駄々こねると、してあげないよ?もう」
「……ッ……」
 ティファは血も涙も無い悪魔の脅迫に、ふるふると首を振って涙のいっぱい溜まった瞳をぎゅっと閉じた。
「うん、いい子。可愛いね、ティファ」
 ちゅっちゅっとほっぺたにエアリスのキスが降る。
 それだけで抵抗心が根こそぎ払い除けられ、ティファは全身から力を抜いて彼女に全てを任せてしまった。
 「ふふふ……」とエアリスが笑いながら身を起こす。
 そして次には、
「あっ……いやっ……」
 両手で真っ赤に腫れぼったい頬を包んで、ティファは涙に潤んだ瞳で自分の体を見下ろした。
 見えたのは、タンクトップを捲り上げられた乳。
 そして、スカートさえも捲り上げられ、黒々と露出した『茂み』が、両脚の間にこんもりとあった。
 そしてまたそこには……
「ティファのここ、可愛いよ。キレイなピンク」
 エアリスの悪戯っぽく微笑んだ顔が、あった。
「エ……エアリ……エア……」
 胸がどきどきして何も喋れなくなりそうな呼吸の元、ティファは自分の股間のモノ全てをじっと見つめる彼女の名を呼ぼうとした。

 おかしい。

 理性がそう叫ぶ。

 何してるのあなたは!?
 相手は同じ女性なのに、裸の脚を開いて見せて、いったいあなたは何をしているの!?
 自分で自分に、そう問い掛ける。
「……ああ……いや……」
 でもダメなのだ。
 どうしても脚を閉じる事が出来ない。

 これから何をされるのか。

 どこまで見られてしまうのか。

 それが想像できてしまうがゆえに、この両脚を閉じてそのめくるめく陶酔の時を自ら放棄してしまう事が出来ないのだ。
 この体の中で最も恥ずかしい部分を注視されながら、ティファは自分がとんでもなく恥知らずな想いに心を支配されている事を自覚できずにいたのである。
 それどころか。
『ああ……見られてる……恥ずかしい……イヤ……ああ……でも……』
 生死苦楽を共にした旅の仲間に、自分のはしたない姿をすべて見せてしまっているという背徳の想いで胸をいっぱいにしていたのだった。
 それは、甘くてほんのり苦い蜜の味がした。
「でも、とろとろ、だねぇ……。そんなに良かった?すごく?」
「いや……そんな……」
「えっちね、ティファ。だからもうこんな」
 エアリスは、両手の親指で『花弁』をむにっ……と押し開いてみせて敏感な『花芯』も薄肉も光の元に露出し、あまつさえ、とろとろとした『蜜』をたっぷりと滲ませた『蜜口』すらも剥き出して微笑んだ。
 たちまち、少し白濁した『蜜』がとろりと垂れ落ち、彼女の指を濡らす。強く香るティファのオンナの匂いが立ち昇り、深く吸い込めばむせ返ってしまいそうだ。
「すっごいとろとろ、で、えっちな匂い、してる」
「いや……やあ……」
「あれ? えっちって言われるの、イヤ? イヤじゃないよね? だってホントだもの」
「いぢわる……しないで……」
「ん〜〜〜〜〜〜〜……どうしよっかな。だってティファ、可愛いもん」
 そう言いながらエアリスは顔をティファの『花』に近づけ、『蜜』に濡れて光る『花芯』を“ぺろり”と一嘗めした。
「ひゃ……あうぅっ!」
 それだけでティファの身体がびくびくと跳ね、豊かな乳がたぷんたぷんと揺れ動く。
 エアリスは目を細めて彼女の痴態を確かめると、右手の中指を“するり”と『蜜口』に潜り込ませた。
「……あ……あ……」
 消え入りそうな声で異物の侵入を受け止め、ティファはそれが生み出す感覚を全て味わおうとしている。
 それがわかるからこそ、エアリスは中指をわざとゆっくりと挿し入れていった。

 つぷ……つぷぷ……

「あ……あ……あ……」
 ティファの白い腹が、痙攣するようにひくひくと上下する。そのたびに、こりこりとした内壁が挿し入れた中指をリズミカルに締め付けた。
 ……と同時に、その滑らかな白い腹も、血管が薄く浮き出た太腿の内側も、さっと赤味が増して、えもいわれぬほど美しい色合いを見せたのだった。
「……く……ぅあんっ……」
 シーツを握り締め、背中を突っ張ってティファは腰を固定したまま上半身をくねらせた。
 たゆんっ……と豊かな乳が重たそうに揺れる。
「ティファのココ……ザクロの粒みたい」
 ぷっくりと膨らんで包皮から顔を出している赤い『花芯』は、『蜜』に濡れててらてらと光を弾いている。
 エアリスはそれを“はむっ”と唇で甘噛んで、“りろりろ”と舌先で転がしてみせた。
「ひぅ……ひっ……あっ……あっ……」
 たちまちティファはビクビクと身体を震わせ、指の関節が白くなる程シーツを握り締める。
 胎内に侵入した中指は、わずかに第二関節から曲げられて、複雑な襞の織り成す内壁を“くりくり”と擦り続けているのだ。
 それに加えて、その唇と舌の愛撫だった。
「あっ……あっ……」
 眼の奥で白い火花が幾筋も散ったような気がして、ティファは涙の溜まったまま両目をうっすらと開いた。
 つう……と左目から涙が零れて頬を伝い、シーツに染み込む。

 もう何もかも。

 心も身体も全部。

 彼女に“奪われてしまった”と、ティファは想った。
 けれどそれは、不思議な事にティファ自身、決して不快な感覚などでは無かったのだった。
 それどころか今は“もっと自由にして欲しい”と思った。
 もっと“エアリスの思うままにして欲しい”とさえ思ったのだ。
 でなければ、こうなってしまった今となっては、
 逆にエアリスを許す事は出来ないだろうとまで、感じていたのだ。
「ティファ、可愛い……。好きよ、ホントに」
 エアリスの唇が、全身のいたる所を這い回り、全ての肌に彼女のキスが刻印され魂まで刻まれる。

 舌が唇が。

 髪が、言葉が。

 撫で、さすり、くすぐって、嬲(なぶ)った。
 その容赦の無い責めにティファは息も絶え絶えになり、心からエアリスに許しを請うたが、彼女は優しく微笑むだけで決して許してくれる気配も見せなかった。
 ティファはそんなエアリスの笑顔に、彼女のサディスティックな一面を見たようで、もはや拷問に近い快感の奔流に、ただ身を任せるしかない自分を悟ったのであった。
「もっと声、聞かせて。ね? ティファ」
 エアリスはその柔らかくていい匂いのする体をぴったりくっつけて、バラ色の唇と甘露の言葉でティファの心を愛撫しながら、彼女の一番敏感な部分をひたすらいぢめ続けた。
 そして、もうこれ以上はだめだ!とティファが思った瞬間、“ぬるり……”とエアリスの白くて細い繊細な指が、再びあっけなく胎内に侵入してきたのだった。
 しかも今度は2本だ。
「ひんっ……」
 ティファは突然の圧迫感に首をのけぞらせて、白い首を見せ頤(おとがい)を天に向け喘いだ。
 エアリスはちゅう……と、ティファの跳ねまわる右の乳首に吸いつき、首を振ってぷるぷると豊かな乳を揺らした。
 胎内では2本の指がうねるように動き、柔らかくもこりこりと若々しい弾力に溢れた内壁を擦(こす)り、時には2本を別々に動かしたり開いたりしてみせながら、時折『花芯』を捏ねたり押しつぶすように圧迫する事も忘れなかった。
「ああっ……いやっ……やあぁ……」
 男にされるより、自分でするより、遥かに「わかっている」エアリスの性技に、ティファはすっかり翻弄され虜となって、ついには彼女の名を呼びながら彼女からの甘いキスをねだった。
「あ……ああ……あ……ああ〜〜〜〜……」
 ぬっぬっぬっぬっ……とリズミカルに出し入れされるエアリスの指は、ねっとりと白濁したティファの『蜜』でぬらぬらと濡れ光っている。
 恥ずかしいほどにいっぱいに開かれた両脚の間で右手を遊ばせながら、エアリスは左手でたっぷりと重いティファの右乳をゆっくりと捏ねた。
 エアリスの白くて細い指が柔らかな『肉』に埋まり、固く屹立した紅い乳首がぷるぷると揺れ動く。
 時々彼女はその果実を“ちゅばっ”と音を立てて吸い上げ、ちろちろと可愛らしい舌でなだめるように嘗めるのだ。

 はっ……はっ……はっ……

 豊かな乳を揺らし小刻みに浅く繰り返されるティファの呼吸は、その胸の奥の激しい動悸と呼応しているようだ。
 額に汗を滲ませ、眉を顰めて、彼女は時折“びくっ”と悪夢に苛まれる少女のように身体を震わせていた。
「ティファ、もう、とろとろ。すごいね、こんなだよ?」
 目の前で広げられた2本の指の間に、ねっとりとした『蜜』が銀糸を引いて繋がるのを、ティファはくらくらと目眩(めまい)にも似た感覚のもとで見つめた。
「ほら、ねとねと」
「……いや……」
 それが何を意味しているかに思い至った彼女がカッと顔を赤くして背けると、エアリスはいぢわるな笑みを浮かべて“その意味”をわざわざ口に出して彼女に告げた。
「感じたんだよね? ティファ。すっごく良かった? ねとねとするくらい」
「いや……やだ……」
「うそ。ティファ、嬉しいでしょ? キモチイイから、こうなったんだもんね」
「……いぢめないで……」
 ちゅう……とほっぺたにキスされ、ティファはぐすぐすと鼻を鳴らしながらエアリスに哀願した。
 それでもエアリスは許さない。
 大きく盛り上がり、ふるふると揺れる柔らかなティファの乳を左手で“きゅむっ”と掴むと、少し強めに揉み上げて赤味を増した乳首を吸った。
「ああ……あ……」
「イキたい? イキたいデショ? どう?」
 エアリスの声は悪戯を楽しむ子供のような、可愛い妹をいぢめる姉のような、そんな無意識の悪意にも似た音を孕んでいた。
 だがもちろん、エアリスに悪意など無いのだ。
 エアリスはただ、ティファを気持ち良くさせてあげたいだけだ。
 その間にも、エアリスの右手は再度ティファの股間を嬲り、『花芯』や『蜜口』や『蕾』をソフトなタッチで触れてゆく。
「してっ……して……もうぅ……も……もう……」
「もう? なあに?」
「もう……好きにして……エアリスの好きに……して……して……」
 涙をぽろぽろとこぼし、しゃくりあげ、成熟した豊満な身体の“少女”は天使の微笑みを浮かべた年上の悪魔にすがりつきながら、その桜色の頬に懇願のキスをした。
 “ふふっ”と、彼女のキスをくすぐったそうに受けたエアリスは、とろけそうな笑みを浮かべてティファの唇を嘗める。
「いいの? ホント? 好きにしちゃうよ?」
「して……いいから……もう……もう……」
「んふ」
 エアリスはその瞳に甘い光と加虐の色をひらめかせ、再び2本の指を“ぬるっ”とティファの胎内に潜り込ませた。
「ひゃあぅうっ……うー……うー……」
 びくびくびく……と腰が自分の意思とは関係無く動き、ティファは込み上げてくる熱い震えに全身を強張らせて目を硬く閉じた。
 エアリスの左手がやや強引にティファの両脚を押し広げ、いっぱいにまで開かせる。
 そうしながら彼女自身に両膝の裏に手を当てさせ、自分から自分の両脚を惜しげも無く開かせる事を促すのだ。
「あ……や……」
 自分のしている事、自分が同性のエアリスの前でとっている恥知らずな姿に、ティファは激しい羞恥だけではなく、震えるほどの快美感をも感じていた。
「感じるんデショ? 見られて。全部。ホントにえっちね、ティファ」
 脚の間から下腹にキスされつつそう囁かれ、ティファの背筋をぞくぞくとした疼きが這い上がって来る。
 それは“もっと貶(おとし)められたい”という被虐の渇望でもあった。
 体に埋めこまれた彼女の繊細な2本の指が、手首の回転でぐりぐりと捻(ひね)るように内壁を圧迫する。
 指の腹が天を向き、下腹の側のざらざらこりこりとした内壁を擦り上げると、ティファは身も世も無く顔を振りたくリ、その艶やかな黒髪を散らした。
 それでも高らかに悦びの声を上げないのは、斜め向かいのベッドで酔いつぶれて眠っているはずの年下の忍者娘の存在が意識のどこかに引っかかっているためなのかもしれなかった。
 ここまで感じていながら声を潜めようとする、そんなティファの様子にさすがのエアリスもちょっとだけ首を傾げて右手の親指で『花芯』を少し強めに捏ねてみせた。
「〜〜!!〜っ〜!〜……」
 ティファは両脚から慌てて離した両手で口元を抑え、涙のいっぱいに溜まった瞳でエアリスにふるふると首を振った。
 それは、何かを必死に訴えようとしているかのようだ。
 エアリスはその時になってようやく自分とティファ以外の者の存在に思い至り、彼女が眠るベッドに視線を向けた。

 ……毛布が不自然に盛り上がっていた。

『あれれ?』
 不思議に思ったものの、その理由に思い至ると、エアリスは複雑な笑みを浮かべて“ぺろっ”と舌を出した。
『びっくり、しちゃった……かな?』
 酔いが醒めて最初に見たのが自分とティファのこんな姿では、きっと彼女の事だからものすごく驚いた事だろう。
 けれどまさか声をかけるわけにもいかず、毛布を被ったまま悶々としているうちに、自分で自分を慰め始めてしまった……といったところかもしれない。
 エアリスには、腰の辺りで“もぞもぞ”とゆっくり動いている毛布が、それが事実なのだと伝えているように思えた。
「……や……いや……やめ……ないで……」
 ふと気付けば、大きく盛り上がった双丘の向うから、ティファが遊園地で迷子になった子供のような視線でむずがるように呟いている。
 声を上げるのは我慢できても、快美感に陶酔する事は我慢出来ないらしい。
「んふん……」
 今はティファだけに集中しよう。
 エアリスはにっこりと甘く微笑んで、彼女の胎内に深く挿し入れた指をゆっくりと抜き差しし始めた。
「……あ……きもちい……い……」
 肩を竦め、胸元に両腕を引き寄せて、ティファはエアリスに与えられる悦びをうっとりとしながら受けとめていた。
 両腕に挟まれて、豊かな乳がより一層大きく盛り上がり、紅い乳首が固くしこって屹立しているのまではっきりと見て取れる。
 指が触れていないのにこれだ。
 エアリスのいぢわるな指が摘み、捻り上げ、押し潰すようにしたなら、今のティファであればそれだけで高みに達してしまうかもしれない。
 けれどエアリスはあえてそれをせずに、右手の指でティファの秘部を嬲りながら下腹、臍、脇、豊かな乳の下の丸み……と順番に軽いキスを降らせてゆく。
 そうしておきながら滑らかな黒髪をちっちゃな子供にするように優しくなでなでと撫で、火のように熱く手照った頬にそっと添えた。
「……あっ……きも……あっ……きもち……あっ……あっ……」
 なんとか、今、自分が味わっている快美感の深さを伝えようとティファはいっしょうけんめいに言葉を紡ぐのだが、巧みなエアリスの指使いに翻弄され、頬に添えられた彼女の左手に口付けるだけで精一杯であった。
 涙はとめどなくこぼれ、頬を濡らす。
 たおやかな姿と優しい微笑みの女性に体の全てを自由にされているという事実は、ティファの心に巣食う被虐で彩られた快美感を刺激し、さらなる雫が『蜜口』より垂れ落ちる直接の引き金となっていた。
 そして。

 ……かりっ……

 エアリスがティファの右乳首に軽く歯を立てた途端、
「んあっ! ……んんぅっ……ん〜〜〜〜〜〜〜……」
 途中より口を押さえ首を捻ってクッションに顔を押し付けたものの、ティファの悦びの艶声はくぐもった音となって部屋に満ちた。
 だが、エアリスがぎょっとして一瞬硬直してしまったのは、彼女のその行為を目にしたからでは無かった。
 ティファの艶声と同時に、“ぷしっ!”という水音と共に、透明な温かい雫が彼女の『花弁』の間からしぶいたからだった。
「すごい。ティファったら、おもらし、しちゃった!」
 そう言いながらもエアリスはティファの『蜜口』で2本の指を遊ばせる事を止めようとしない。
 澄んだしぶきは断続的に続き、ティファはびくびくと体を震わせながらベッドの上でぐったりとその身を横たえていた。
「あれ? でも、おしっこの匂いじゃ、ないね? なんだろう?」
 “ぬるっ”と指を抜き出してみて、ティファの内腿や自分の太股を濡らしているその液体を指ですくってはみるが、さらさらとして粘性は無く、特に匂いも無かった。
 エアリスは躊躇(ためら)いも無く、それを嘗めてみた。
 かすかな塩味がするだけで、涙よりもずっと水に近い。
「おしっこじゃ、ないみたい」
 エアリスは、改めて考えればとんでもない事をさらりと言う。
 まるでティファのものならそれが何であれ、汚いなどとは考えてもいないかのようだ。
 ティファはぼんやりと目を半分だけ開きながら、そんなエアリスの無邪気な声を聞いていた。


「はい。飲むデショ?」
 エアリスが、デキャンタから水を注いだグラスを差し出すと、ティファは無言で受け取ってこくこくこく……と半分まで一気に飲んだ。
 めくり上げられていたタンクトップは汗を吸ってじっとりとしていたし、汗とは違う液体で濡れたタイトスカートはなんだか窮屈で、今ではもうティファは素裸で体にシーツを巻きつけただけの姿だ。
 それでもエアリスは最初と同じ姿で、スリップと下着を身に着けたままベッドに腰を下ろした。
「水分、いっぱい補給しなくちゃ、ね」
 無邪気に笑うエアリスをちらりと見て、ティファは手元のグラスをじっと見つめた。
「どうしたの?」
 んん?と首を傾げ、エアリスが彼女の顔を覗き込む。くるくる巻き毛がさらりと白い肩を滑り落ちて、エアリスのふんわりとした香りがティファの鼻腔に届いた。
 特に何も付けていないのに、どうしてこんなにいい匂いがするのだろう……。
 ティファはそんな事を頭の片隅で考えながら、小さく溜息を吐いた。
「ティファ?」
「……っ……」
 ついっ……と綺麗な指で頬を撫でられ、ティファはぞくぞくとした震えが腰から駆け登り、思わず首を竦めて息を潜めた。
 激しくイッてしまった後で、まだ体が敏感なままなのだ。
 ほんの少しの刺激でも、ティファを再び官能の波にさらう事は容易いだろう。
「ふふっ……ビンカンなんだ、ティファ」
 もちろんエアリスはそれをわかっていて、わざと繊細なタッチでティファの肌に指を滑らせるのだが。
「……や……やめ…………んあっ……」
 水が半分残ったグラスを取り上げられ、耳のすぐ下、下顎の出っ張った所にキスをされた。
「ね、どうしたの?」
 そしてエアリスは聞くのだ。
 狡猾な悪魔の心を、慈愛に満ちた天使の微笑みで隠して。
「……どうして……こんなことしたの?……」
「こんなこと?」
「……こんな……女同士だなんて……」
「ヘン?」
「だって……いくらなんでも変よ……こんな……」
「ヘンかな?」
「……変……だわ……」
 目を逸らしてぽちょぽちょと言うティファの横に腰をずらして、エアリスは彼女と同じようにベッドボードにもたれて脚を伸ばした。
 シングルベッドのため、ティファがお尻をずらしても自然と体が密着してしまう。
「わたし、ティファが好き」
 人の心の奥底まで見通すかのような澄んだエメラルドグリーンの瞳が、真っ直ぐティファの瞳を見ていた。
「そ……そんな……」
「ティファはわたし、嫌い?」
「……え……あ……」
「嫌い?」
 そんな聞き方はズルイ……と、ティファは思う。
 嫌いだったら、そもそも一緒に旅など出来やしない性格だと、エアリスは良くわかっているだろうに。
「嫌い……じゃない……」
「じゃあ、好き?」
「……す……」
 わかってる。これはエアリスのいつもの手だ。
 無邪気な顔していつも自分が聞きたい答えを相手から引き出してしまう、魔女の話術……。
 ティファが言いあぐねていると、エアリスは“こてん”とティファの左肩に頭をもたせかけて、ちょっと沈んだ声で言った。
「女だから、とか、男だから、とか、そんな理由無いと、人、好きになっちゃいけない、のかな?」
 それだけでティファは緊張して、“ごくり”と喉を鳴らしてしまう。
 エアリスの髪からふうわりと香る甘い匂いに、同じ女でありながらくらくらしてしまうのだ。
「……そんなこと……」
「私、ティファが女だから、好きになったんじゃ、ないよ?
 ティファはティファだもん。だから、だよ?
 わたし、ティファの髪、好き。ツヤツヤで、キレイ。
 闘ってるとこも、好き。カッコイイ!って、思う。
 料理が上手なのも、好き。この前の香草蒸し、美味しかった。材料見なければ、レストランでも出せるよ、きっと。
 おっきなおっぱいも、好き。やーらかくて、いいにおい。
 優しいとこも、好き。いつもみんなに、さりげなく気、使ってるよね」
「……でも……でも私は……」
「うん。わかってる。ティファ好きなの、クラウドだもんね」
「ち……ちが……」
「ううん。違わない。ティファ、自分で気がついて無いだけ。いっつもクラウド見てる」
「だって……」
「クラウドの顔ばっかり、見てるし、彼がヘンなこと言うと、すぐ反応する」
「私……」
「わたしも、クラウド好きだよ?」
 「明日の朝御飯どうしようか?」と聞くのと同じくらいの気安さで、エアリスは言った。
「……え?……」
「ふふふ。びっくり、した?」
「べ……べつに……」
 覗き込むようなエアリスの悪戯っぽい視線にティファはひとたまりもなくうろたえて、赤くなった頬を彼女から逸らして逃げた。

 ことモンスターや神羅兵などとの闘いにおいては、ティファは常にクラウドと共に先陣を切り、エアリスをフォローする事も決して珍しくない。
 戦闘の主導権を握るのはティファ達接近戦に長けた者達であり、エアリスは後方で彼等をフォローするのが常であった。
 しかし、エアリスが絶えずメンバーのバックアップにまわるのは、いつも冷静に全員の状態を把握する事に配慮しているからこそであって、決して攻撃において足手まといになるから……というわけではない。
 ただ、数限りなく闘いを続けるうちに、自然とそういうスタイルとなっていった……というだけの事である。
 けれど、一旦戦闘を終えてしまえば、または危険なフィールドを離れ、居住地区などに入ってしまえば、パーティの主導権を握るのはいつもエアリスであった。
 彼女は優しい微笑みと繊細な心遣い、そして時に大胆な行動力でパーティの雰囲気を常に良いモノへと導いていた。
 戦闘の時と違い、ティファともこうして心情的な立場が逆転してしまうのは、今ではそう珍しい事では無くなっていたのだった。
 居丈高になるわけでもなく、強引に抑え込むわけでもなく、ましてや駆け引きなどする事もなく、ただ彼女は意識することなくその微笑みで、ティファを自由に“操縦”してしまうのだった。
 そしてそれを“不快だ”と感じさせない空気を、エアリスは常に身に纏っていた。

「最初は、私の好きだった人に似てる、だから、気になった。でも、やっぱりクラウドはクラウド。あの人はあの人。それぞれいいところがあって、それぞれ好きになれた」
「じゃ……じゃあなんで……」
「ティファも好きだから」
「クラウドが好きなのに私も好きだなんて、そんなの……!……」
 ちゅう……とほっぺたにキスされ、ティファは一瞬息を呑む。
「クラウドも、ティファも、好き。どうしてだか、わかんない。でも、好き。ヘンかな? ヘンでしょ? でも、しようがない。ホントだもの」
「ヘンよ……それ……」
「うん」
 ティファはにっこりと笑うエアリスに、何とも言えないような顔をして溜息を吐いてみせた。
「……じゃあ……わ、私とクラウドと……その……どっちが」
「ティファ」
 間髪入れなかった。
「……そ……あ……ありがと……」
 すっかり毒気を抜かれたティファは、じいっと見つめる彼女に圧倒されて、唾を飲みこんだ。
 女性相手に『どっちが好き?』と聞こうとしたティファもティファだが、それに迷いもせずに即答したエアリスもエアリスだ。
「でもね、ティファに、わたしを好きになって、なんて言わないよ。わたしは、ティファが好き。クラウドのこと好きで、どきどきそわそわしてる、ティファが好き。クラウドばっかり見てて、クラウドのこと考えると、ぽわぽわしちゃう、ティファが好き」
「…………私……そんなじゃないもん……」
 自分はそんなに『十代の、恋に恋する乙女のような姿』をしていたのだろうか?
 彼があまりにも無表情で、あまりにも周囲に無頓着で、いつもクールを気取ってて……だから、自然とこちらも心の高ぶりが抑えられなかったのかもしれない……。
 考えると顔から火が出そうだ。
 ……と思ったら
「うん。ぜんぶウ・ソ」
「……あのね」
「けど、わたしには全部わかってる。ティファ、もっと顔に出した方が、いいよ? 言葉に出した方が、いいよ? じゃないと、わかってなんか、くれないよ?」
「…………べつに……私…………にゅあっ!」
 シーツをぺろんと擦り下げられ、左手で左の乳を“きゅむっ”と掴まれた。
「たぷたぷおっぱい、彼に、触って欲しくないの?」
「ちょ……やっ……あんっ……」
「ティファ、クラウドにちゃんと『好き』って言わないなら、わたしがティファ、お嫁さんにする」
「そんな……それってなんか……ちがう……」
「いいの。クラウド以外の男に、このたぷたぷおっぱい、触らせたくないもん」
 たぷんたぷんたぷんとティファの乳を揺らし、エアリスは紅い乳首を親指でこりこりと転がした。
「あ……だっ……いや……」
 エアリスの手を押さえてやめさせようとするものの、込めた力はフライパンに落としたバターと同じくらいあっけなく溶けて流れてしまう。
 エアリスはティファの敏感な耳に“ふうっ”と息を吹きかけ、剥き出しの左肩に“ちゅう”と愛情のこもった口付けをした。


■蛇足■

 ティファのベッドのシーツを取り替え、彼女が寝付いて安らかな寝息を立て始めると、斜め向かいのベッドの毛布が“もぞり”と動いた。
 二人が話している間はぴくりとも動かなかったが、毛布は内側から山となって盛り上がり、そして短い黒髪がおそるおそる……といった感じで出てくる。
『やれやれ……』
 部屋の明かりは既に消され、窓からは月明かりが薄く差し込んできている。
 ティファの毛布は、規則正しく上下していた。あれだけ乱れたのだ、きっと今夜は良く眠れるに違いない。
 ユフィの向かい……足元のベッドにはエアリスが寝ているはずだが、頭を起こさないと見る事は出来ず、けれど……そんな事は無いとは思うが……もしまだ起きていたらなんとなく気まずいのでやめておいた。
『とんだモン見ちゃったなぁ……』
 溜息が出る。
 エアリスがあんな趣味だとは思わなかった。
 ちょっと天然入ってるけど、優しくて頼りになる、パーティの“おねえさん”だと思っていたのに。
 常識度で言えばティファも随分と常識的な意識を持った女性だが、いかんせん、それ以外が普通じゃない。普通の女性は、ベヒーモスの横っツラに回し蹴りをぶち込んだりはしないものだ。
『ヤロー共は、人並みな日常生活も満足に出来ないバカばっかだしなぁ……』
 もぞもぞと両脚を擦り合わせる。
 太股まで引き下ろしたズボンを脚だけで引き下ろすようにして脱いで、毛布の下の方に押しやった。
『ヤダなぁ……』
 肉の薄い太股の内側……はっきり言えば股間のアノ部分が、まだじっとりと湿っていた。
 ぬるぬるとさえ、している。
 毛布の中にこもった熱が、ユフィの頭をいっそうぼんやりとさせてしまうようだ。
『なんかティファ……可愛かった……』
 自然と、熱い溜息が出た。

 あんな声……出すんだ……。

 ティファ=ロックハート。
 ザンガン流格闘術の使い手で反神羅組織のメインメンバーだった女性。
 そして、拳に光るナックルガードと支援マテリアが、彼女の唯一の武器。
 女性でありながら果敢に敵に立ち向かい、武器を使わず体一つで打ち倒し叩き伏せる、勇猛な格闘家なのだ……。
 舞うように腕を振るい、軽いステップで攻撃を避ける。
 翻る黒髪が艶やかに光って、きらめく汗と口元の不適な笑みにはユフィですら時折どきりとしてしまう。
『それが……あんな……声……』
 エアリスに甘え、請い、むずがる。
 子供のような……ちっちゃい女の子のような……でもしっかりと「オンナ」な……声……。
『なんで……あんな……』
 ユフィはまだ男性経験が無い。
 父ゴドーに反発し、家の蔵にあった術書を元にして自己流忍術の修行に毎日明け暮れていたし、そもそも里には好きになって身を任せてもいい……と思えるような男など、ただの一人もいなかったからだ。
 神羅との戦いに敗れ、日々少しずつ牙を抜かれ飼い慣らされ、戦いを忘れ鍛錬を忘れ、弾圧や神羅からの一方的な指示を受け入れて弱体化した国の男など、自分が好きになるなど到底思えなかった。
『でも……アタシも、もし好きな男が出来て……その男に抱か……抱かれ……ることとか……あったら……アタシもあんな声が出るのかな……』
 そう思いながら、ユフィはごろりと寝返りを

「し〜〜〜〜……」

 咄嗟に声が出かけて、口を少しひんやりとした華奢な手が覆った。
 びっくりした。
 心臓が止まるかと思った。
 冷や汗がだらだらと流れ、背中が冷たくなった。
「ティファが起きちゃうデショ?」
 “自称”忍者ではあるものの、そのユフィにここまで接近したにも関わらず気配を悟られなかった“彼女”は、やはり只者ではなかった。
 真っ暗な中で、彼女のエメラルドグリーンの瞳が何かの冗談のようにぼんやりと光って見えた。

 ……恐かった。

「お願い。今日のこと、ヒミツね? 誰にも言っちゃダメ。いい? みんなに言ったら、わたしもユフィがひとりえっちしたコト、みんなにバラしちゃうから」
 自分でもわからないうちに、こくっと頷いていた。
「んふ。いいコね」
 キスされるのかな?と思った。

 違った。

 エアリスは口を押さえていた右手でユフィの頭をなでなでと撫でると
「さっきね、ここのボーイさんに聞いたの。バスは夜中の3時まで入れるんだって」
 そう言って、「くすっ」と笑った。

 全部バレてた。

 エアリスはもう一度ユフィの頭を撫でて、それから迷わず自分のベッドに戻っていった。
 足音がしない。
 ……十分、忍者の素質がある、とユフィは思った。


         −おわり−



■追記
「……まさか、昨日のこと何にも覚えてないとか言うんじゃないでしょうぉねぇ!?」
「顔恐いよ、ティファ……」
「恐くしてるんですぅ!」
「うーーーーん……覚えてる……かな?」
「なにその『かな?』って!!」



■■[THEM]『Piece.03』「猫」〜う・ふ・ふ〜■■

「2012/07/22 00:00」投下開始
「2012/07/22 00:00」完了
この記事へのコメント
( ´∀`)はいはい、いつものおっぱいの上でエアリスがおっぱい吸いながら寝落ちする姿に萌え萌えするやつね。



5分後

(;゚д゚)ゴクリ…え?そこも触っちゃうの?(;゚∀゚)=3エアリス??



30分後

(;´Д`)=3 フゥ エアリス無双は正義
Posted by エアリスもっとやれ at 2012年07月23日 23:58
 エアリスは最強です。
 私の中で。
 彼女に勝てる人はパーティに一人もいません(笑)。
Posted by 推力 at 2012年07月24日 00:27
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