■感想など■

2012年09月20日

[LIPS]『Piece.04』「二人の睦」〜愛しあうということ〜

■■〜闇に潜んで〜■■

■■【1】■■


 闇の中に、影があった。

 一つは白い。
 もう一つも同様に白かったが、こちらはどちらかといえば、くすんだ白さだった。
 翳りがあるのだ。
 それに比べて、その影に重なるようにしてあるもう一つの影は、透き通るように白い。
 闇の中にあるからこそ、そう見えるのかもしれない。

 影は人だった。

 それが縦に重なっている。
 女が、男に抱かれているのだ。
 それも、互いに見つめあい、口付けを交わすような抱擁ではない。
 女が、前にいた。
 男は後ろだ。
 座っている。
 そして女は、座った男の膝の上に、尻を預けて後ろ向きに乗っている。
 ちょうど、子供が祖父母や両親に抱かれている姿に似ていた。
 幼児言葉で表現するならば、いわゆる“だっこ”といわれる姿だった。
 女は素裸だ。
 何も身に付けてはいない。
 隠すものの無いその裸身が、闇に浮かび上がっているのだ。
「…………っ……」
 不意に女が、小刻みに体を震わせた。
 何かに耐えている。
 そう見えた。
 女の脇の下から、男の両腕が前にまわされてた。
 男の右手は、女の乳に。
 左手は、じっくりと感触を愉しむように、女の太腿から尻にかけて這っている。
 撫でているというより、まさしく這っていると形容すべき動きだった。
 右手は、女の右の乳をゆっくりと弄んでいる。
 手に余る乳だ。

 大きい。

 たっぷりとして、中身が充実している。
 肌に張りがあり、白く、うっすらと汗が浮いている。
 重さもあった。
 ずしりとくる重さだ。
 ぼてり、と手に乗っている。
 その乳を、男の右手は自在に弄んだ。
 少し大きめの紅い乳輪が、男の手の動きにしたがって歪み、よじれる。
 大きめとは言っても、乳輪そのものの大きさはさほどでもない。
 それどころか、たっぷりとした乳全体の大きさからすれば、実にバランスがいいとさえ言えた。
 乳房の白さと乳輪の紅の境目は淡い。
 刷毛(ハケ)で薄く刷いたかのような、ぼんやりとした輪郭だった。
 その乳輪の中に、乳首がある。
 クリームを塗ったようにてらてらと光をはじく乳輪から、毅然と自己を主張しているように見える。
 それほど、ハッキリと高く勃起していた。
 乳首の向きが、男の手の動きに従って上下左右へと変わる。
 男の手の動きは執拗だった。
 乳を思うさまに蹂躙しているにも関わらず、紅く腫れた乳首には少しも触れようとしなかったからだ。
 男は、女の体の中で、この乳にこそ愉しみを見出しているかのようだ。
 女の白い裸身は、男の裸の胸に預けられていた。
 すっかり男を信頼しきり、全てを与え、許し、そしてそれを悦びに変えた姿だった。
 両腕はだらりと力無く垂れ、全身の全ての筋肉が弛緩しているのではないかとさえ思えた。
 うっとりとした両目は薄く開かれてはいたが、厚く水の膜が張ったような瞳は、おそらく何も見てはいないに違いない。
 下睫にたっぷりと溜まった涙は、今にも零れて頬を伝い落ちそうにも見える。
 黒髪は結い上げられて頭の後ろにあり、そのヴォリュームから、下ろせばかなりの量になるだろうと知れた。
 うっすらと汗の浮いたうなじが露わになり、後れ毛が散って女の恍惚とした表情と相俟(あいま)って、例えようも無い色香を醸し出していた。
「…………っ……」
 女の裸身が、再び小刻みに揺れた。
 電気に触れた時のような、衝動的な震えだ。
 それでも声を上げなかった。
 悦びの声を、だ。
 女は、声を上げる事を禁止されているのだ。
 禁止したのは、女を愛撫している男だった。
 禁止とは言っても、強制されているわけでも、禁を破ったからと言って罰せられるものでもない。
 ただ、声を上げたならその場で時を終わらせると言われただけだ。
 全てを止(や)めてしまうと言われただけなのだ。
 しかしだからこそ、女は必死に声を抑えた。
 ともすれば腰を震わせ喉を裂き、例えようも無い愉悦のままに悦びの声を上げてしまいそうになる。
 それを、意志の力だけで止める。
 それはひどく苦しいことだった。
 体の奥からほとばしる甘い震えを、それが熟す前に打ち消してしまえと言われたに等しいからだ。
 女は男に対して、愛しいという気持ちと同じくらいの憎しみすら感じはじめていた。
 男には、一刻も早く体の中に入ってきて欲しいのだ。
 一刻も早く、男を体の奥深くまで迎い入れたいのだ。
 それが適わない。

 成就されない。

 男はもう何十分も、こうして女の体を嬲り続けているのだ。
 この時、乳を嬲る右手が、これ以上はないだろうと思われるほど硬く屹立した乳首を、初めて中指でこりこりと転がした。

くうっ……

 それだけで、気が狂いそうになるくらいの快感と、それと同じくらいのもどかしさが全身を駆け抜けた。
 太腿の内側を張っていた左手が、十分過ぎるほどに充血してすっかり奥深くの『蜜口』を露わにしてしまった大陰唇を、人差し指と中指でくにくにと捏ねる。

ひうっ……うっ……

 それだけで、彼に課せられた縛(いましめ)めなど忘れ果て、すぐにでも自分から請い願って、彼の逞しいモノにむしゃぶりつきたくなる。

 気が狂う。

 女は本気でそう思った。
 けれど、彼女の最後の理性は、貪欲な肉食獣のような理性は“それだからこそ生まれる快感”を享受するために、自分を律していたのだった。
この記事へのコメント
相手はクラウドですよね?なんかふ
Posted by 青玉 at 2012年09月20日 12:27
不安になります
Posted by 青玉 at 2012年09月20日 12:27
 だいぶ……染まってきましたね?(笑)
 というか、私が裏切り過ぎですか。
 [LIPS]は基本的にクラティです。
 安心して下さい(笑)。
Posted by 推力 at 2012年09月20日 16:51
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