■感想など■

2013年07月29日

【ボクキミ】ユウ17

■■【17】■■



 ──“その日”から、ユウの『「彼」のオンナ』としての生活が始まった。


 朝8時頃に目覚めると、まずケータイをチェックして「ウィッチ・ユウ」のままか「便所女」の格好か、どちらかの格好で朝食を摂り、指定された時間まで部屋の中で何をするでもなくぼんやりと過ごす。指定の時間近くになったらその場所に出掛けて行き、男の相手をする。時間は相手の男が把握しているため、特にユウは気にする必要は無い。事が終わるとケータイをチェックし、次の予定を確認する。
 大抵、全ての予定が終わるのは、夜の10時から深夜1時くらいだろうか。
 男の相手をし終わった時に、ケータイへ「予定」メールの着信が無ければ一日が終わる。
 体を綺麗にしてから「彼」の用意してくれた部屋に帰り、そこで待っていた「彼」に抱かれ、「彼」が帰るのを見送って、変身を解かずにオンナの姿のままシャワーを浴びてベッドで寝る。
 その繰り返しだった。
 それはまるで、「デリバリーヘルスのアルバイトをしている不倫中(でも倦怠期)の未亡人(または夫が単身赴任中の子供のいない主婦)」みたいな生活だった。
 実際にそんな女性がいたら頭がおかしくなっているか、それとも完全に心と体を切り離せるようになっているかのどちらかだろうと、ユウは思う。

 ──果たして自分は狂ってしまったのだろうか?

 それとも、完全に心と体を切り離せるようになっているのだろうか?
 そもそも心と体を完全に切り離せるような人間は、人間と言えるのだろうか? 浮かんでは消える疑問に応えてくれる人は……誰もいない。

 12月21日、水曜日。
 ユウは、雑木林の深い、そこそこ敷地面積が広めな公園で、複数の男達とセックスを繰り返していた。
 公共良俗を乱し、公然猥褻罪や猥褻物陳列罪や迷惑防止条例に抵触する変態行為だった。
 広場で遊ぶ子供達が遠くに見える薄暗い雑木林で、木に押しつけられるようにして立ったまま尻を抱かれた。
 公衆便所の汚れた個室で、貯水漕に両手を付いて後ろから腰を掴まれ、おっぱいを揺らしながら激しく突かれた。
 いつ人が通るかもしれないベンチで、座った男の股間に自分から跨って熱烈なベロチューをしながら膣内のペニスの硬さを堪能した。
 また同じベンチで、別の男には両膝を抱え上げられ対面で覆い被さるようにして貫かれた。
 池の畔の柵に両手をついて、後ろから男に恋人同士のように抱き締められながら、尻穴に挿入され、直腸にたっぷりと出された。
 奥まった場所にある遊歩道の東屋では、座った男の膝にだっこされるような形で貫かれた。捲り上げられた服からこぼれた巨大椰子の実おっぱいが縦横に跳ね回り少し痛かったが、大きく開かされた股間に咥え込んだ男の太いモノが気持ち良すぎて、そんなことはどうでも良くなっていた。
 公園で6人に次々と抱かれた後は、車で住宅街の中のそれなりに裕福そうな一軒家の一つに連れていかれ、そこで夜の8時過ぎまで4人を相手にした。
 その後は、繁華街にある雑居ビルの非常階段、安っぽい居酒屋の裏口、ネットカフェ、バーのトイレ、ライブハウスの空いてる楽屋、閉店したデパートの搬入口などでインスタント・セックスを繰り返した。
 「彼」が用意した部屋に帰ったのは、11時過ぎだったが、「彼」はちゃんと待っていて、“愛を囁きながら”ユウの一日の疲れを癒すかのように“優しく”抱いて“くれた”。
 「彼」が帰った後、シャワーを浴びて、「彼」が買っておいてくれていたコンビニ弁当をもそもそと食べ、眠くなるまで何をするでもなくぼんやりとベッドに座り、やがて睡魔が誘うままにゆっくりと眠りについた。
 夢は見なかった。
 見たような気もするが、覚えていない。

 12月22日、木曜日。
 朝の8時過ぎに目覚めたが、メールをチェックすると指定された時刻は11時だったので、再びベッドに横になった。出来るだけ魔力を使わず、横になり、体力の回復と魔力の自然蓄積をイメージしながら体を休める。それが、最も最良な「空いた時間の使い方」だった。たとえ哉汰からの魔力供給が無くても、男達から得たわずかな魔力と、こうした自然回復によって再変身や物質再構成を行えるだけの魔力は確保出来るからだ。逆に言えば、男達から得たわずかな魔力では、自然回復を合わせても再変身や物質再構成しか行えない……とも言えるのだが。
 11時に「魔女っ子コス」のウィッチ姿で指定の場所に赴くと、ユウは真っ赤なチョーカー付けられ、その場で尻を抱かれた。フレアスカートを捲り上げられ、Tバックを横にずらしてのインスタント・セックスだった。
 場所は町外れにある立体駐車場の中だった。相手は2人で、1人は膣内で射精し、もう1人のは飲んだ。頬張ったペニスは、太さは普通だったがやけに長く、根元まで飲み込むのに苦労した。
 車に乗せられて、次に連れて行かれたのは、繁華街にある廃ビルの6階の一室だった。廃ビルの筈なのに、やけに生活の匂いのあるそこには、既に3人の男達が待っていて、ユウは埃っぽい部屋の中に無造作に置かれたソファの上で次々に相手をした。
 道具も使われた。
 何だかわからない薬も飲まされたが、それが何かよくわからなかった。
 何分か、何十分か、ひょっとしたら何時間か、ユウは気を失っていた。
 気が付くと、素裸のままソファの上で大きく脚を開かされ、精液が“どろり”とこぼれ出るあそこを、フラッシュを焚いてバシャバシャと撮影されていた。

 ──もう、全く気にもならなかった。

 にっこり笑って両手でピースサインをしろと言われたから、そうした。
 それでもまだ心のどこかに、自分の知らないところに理性のカケラが残っていたのか、妙に顔が引き攣って、上手く笑えたかどうかはわからない。でも別に文句も言われなかったので気にしなかった。どうでも良かった。
 ひとしきり撮影が終わると、ウィッチ姿から「便所女」に再変身するように言われたから、そうした。
 「これから外に出るのか」と思ったら、やっぱりそうだった。
 アナルと膣に太いバイヴを挿し込まれ、乳首にテープでピンクローターを貼り付けられたまま、ダボッとしたゆったりめのセーターとロングスカートを着せられて廃ビルから出た時、時刻は午後の3時を回っていた。
 再変身でリフレッシュ出来なかったから、肌に付いた唾液やら精液やら自分の愛液やらの匂いがこもって異臭を放っていたが、男達が何も言わないので気にしなかった。
 そのまま繁華街を、男の一人に連れられながら「散歩」した。
 ローターとバイヴはずっと動いていた。
 腰砕けに崩れそうになると頭を叩かれたり、おっぱいのお肉を抓られた。好きで痛い目にあうつもりはなかったから、必死に男の腕に縋って歩いた。
 ウィンドウショッピングをしながら、男におっぱいを揉まれた。
 宝石店や雑貨屋の店頭で、展示品を覗き込みながら、男はセーターの中に手を入れておっぱいを揉み、耳たぶを嘗めてしゃぶって噛んできた。

 ──泣きそうだった。

 いや、啼いていた。気持ち良さと恥ずかしさと、店内から驚きの目で見られることへの興奮でどうにかなっていたのだと思う。男に連れ込まれるままに何の店かわからない店舗に連れ込まれ、スカートを捲り上げられると、自分から尻を振って男を誘った。膣液が男の侵入を待ちきれないかのように太腿まで垂れているのがわかった。
 膣内にたっぷりと中出しされ、オルガスムスで痙攣するように体を震わせていると、すぐに今度はアナルにペニスを挿し込まれた。振り返り、潤んで良く見えない目で見上げるとさっきと違う男だった。
 直腸に中出しされ、再びバイヴで蓋をされて男に連れられて行った先は、哉汰とも行ったことのあるスタバだった。ふらふらとしながら階段を上り、2階席に案内された。
 道路に面した窓際の席に案内されると、スツールに座ったユウは脚を大きく広げさせられ、スカートをギリギリまで捲り上げられた。通りから見上げると、バイヴの挿し込まれた股間が見えてしまうかもしれない不安に、ユウはめちゃくちゃ濡れた。そしてその濡れた股間を、男はコーヒーを飲みながら伸ばした左手でゆっくりと弄ってきた。

 ──男がコーヒーを飲み終えるまで、その場で3回もイかされた。

 注文したカフェ・オレは、ほとんど飲めなかった。
 男はそこで誰かと待ち合わせているらしく、日が落ちてホスト風のチャラい男に引き渡されるまで、ユウはずっとあそこを弄られ続けていた。
 引き渡されるまでイかされた回数は、7回から先は覚えていない。
 ホスト風の男に連れられ、スタバから程近い、バーがたくさんテナントとして入っているビルの便所で、ヘソ丸出しの薄く透けたミニキャミソールと、パンツ並に短くカットされたジーンズに着替えさせられた。
 下着は用意されていなかったから、身に着けなかった。前の男に長時間弄られ続けたあそこは充血してたっぷりと濡れ、その上、ジーンズの荒い布地に擦れて刺激されて歩くだけで腰が重く、甘く疼いた。
 ジーンズは前のファスナーを全開にしておくように言われた。陰毛が無いためグロテスクな感じにはなっていないが、少しでも大きく動いたら、濡れ光り充血して膨らんだクリトリスが見えてしまいそうだった。でも、すっかりどうでも良くなっていたから、男の言うことを素直にきいた。高そうな女物の長い皮のコートを着せられ、男と街を歩いた。それはまるきり、出勤前の風俗嬢とホストそのままだった。
 男に連れられて、ネットカフェに入った。
 店内はそれなりに混み合っていて、雑多な男達がひしめいていた。

 甘く懐かしい“哉汰の思念”を感じたような気がしたが、自分が哉汰のことを折に触れて思い出すから、幻聴のように、いもしない彼を感じてしまうのだろうと思った。

 それを振り切るようにして、男と短時間だが濃い、インスタントセックスをした。
 男が先に入った個室に身を滑り込ませ、扉を閉めると、何の躊躇いもの無くすぐにジーンズを脱ぎ、陰毛の無い下半身を晒した。すっかり慣れた仕草だったが、もう気にもしなかった。ジーンズの股間はしっとりと濡れ、“ねとねと”した白っぽい粘液がこびりついていた。
 ユウはソファに腰掛けた男の膝に尻を乗せ、同様に慣れた仕草で多い被さっていくと、自分から男の唇に吸い付き、舌を絡め、恋人同士のような、唾液を交わし混ぜ合うディープキスを何度も何度も繰り返した。
 こもったような息遣いとくちゅくちゅとした粘液質な水音が響き、気分が高まっていくと、男の手はすぐにキャミソールを託し上げ、こぼれ出て重たげに揺れ動く白いLカップの巨大椰子の実乳房を鷲掴みにして、何かに追い立てられるかのように乱暴に揉み上げてきた。
 「ああ、やっぱりこの男もおっぱいが好きなんだな」と思いながら体をずらし、おっぱいを弄りやすいようにしてやると、案の定、男は少し大きめの乳首を探り当て、すぐにそれを指で捏ねたり、摘んだり、野卑に引っ張って捻り上げたりして楽しんだ。
 なんだか可笑しかった。
 男が可愛いと思えた。
 目を瞑ってキスしながら、男の指の動きを味わっていると、5分もしないうちに男は耳元で「上になれ」と囁いた。ユウは口元の涎を舌で嘗め取り、髪を掻き揚げながらソファの上で男の体を跨いだ。男がズボンを下ろして硬くなったペニスを屹立させると、ユウは股の間でペニスの根本を右手指に挟み、ぬるぬるに濡れた膣の入り口に固定して、それを味わうようにゆっくりと腰を下ろした。

 気持ち良かった。

 やっぱりナマで味わうペニスは最高だった。

 ほんの少しの躊躇いも戸惑いも感じなかった。
 そうすることが当たり前だと思った。
 これこそ今の自分が甘受すべき罪なる愉悦だと思った。
 膣孔に亀頭をくぐらせ、ぶるっと身を震わせると、ユウは嬉しそうに腰をくねくねと揺すりながら“ぬぬっ……ぬっ……”と、ゆっくり落としてゆき、ペニスを根本まで膣に収めた。
 ペニスの熱さや硬さを味わうように、根本まで咥え込んだまま腰を揺すり、尻を震わせ、男の唇を積極的に味わった。男は両手を尻に当てて、もにゅもにゅと揉んだり、尻肉を分けたりして、それがまた膣が得る悦楽を増幅した。
 ユウは熱い吐息を吐きながら、目を閉じてゆっくりと、じれったいほどの動きで尻を上下させた。膣から白っぽい粘液をまつわりつかせた男恨が抜き出され、再びゆっくりと飲み込まれてゆく。それは男恨を焦らしながら扱き、中身を楽しみながら絞り出そうとでもするかのような、緩慢な動きだった。
 短時間のインスタントセックスの中にありながら、ユウはなるべく長く、ペニスの感触を楽しみたかったのだ。
 だが、膣液の分泌が十分となってくると、自分でしているその動きに自分で焦れったくなり、やがてその動きも速度を増し、白い尻の中へ吸い込まれる怒張がぬめぬめとした光を増した。そして、ソファが軋み、“ぶちゅっぶちゅっぶちゅっ”と、粘液質な水音が狭い個室に響き、その音にユウは興奮を覚えて身を震わせた。

 この時、どういうわけか、いつもと違い、哉汰に包まれているような、泣きたくなるような感覚と情動がユウを支配していた。

 目を瞑って哉汰と「している」と想像しただけで、いつものインスタントセックスでは感じようのない幸福感で涙がこぼれた。

 ユウはおっぱいを男に揉まれながら哉汰の名を心の中で呼び続け、情熱的なキスを繰り返し、たっぷりと濡れた膣で男のペニスをしごいて射精を促した。尻を上下に揺すり、回転させるように捻り、括約筋を微妙に締めて“くにくに”“もにゅもにゅ”とペニスを刺激するユウは、すっかりそれを楽しんでいた。
 もっともっと楽しみたかったのだが、男は小さく呻くと両手でユウの尻を掴んで引き寄せ、膣奥でペニスを弾けさせた。そして最後の一滴までユウの中へと放つと、耳元で「後始末頼むわ」と囁いた。
 ユウは夢から覚めたような気だるい中、無表情に頷くと、尻を上げて膣からペニスを抜き、そのままソファから降りて、急速に硬度を無くして半立ちになったそれを躊躇いも無く咥えた。

 男の精液と自分の膣液の入り交じった、ひどくいやらしい味と匂いだった。

 今までいったい何人の、何本のペニスをこうして掃除してきたのか、もうユウには覚えが無い。セックスの後の「お掃除フェラ」は、「当たり前にすることなのだ」と仕込まれたからだ。
 ペニスをすっかり綺麗にし、尿道に残った精液さえも吸い出すと、ユウはすぐ男の手で面倒臭そうに押し退けられた。

 ──もうテメエなんかには用は無い。

 そう言われたような気がするが、いつもの事だから別に傷付きなどしない。男達がただ淡々と小便をするように、いつでもどこでも気軽に精を放つための便所のような女だからこそ「便所女」と呼ばれるのだ。性欲を処理したら不要になるのは道理だった。
 立ち上がり、ズボンを引き上げながら個室を出ていく男を、ユウは無感動に見送った。

 今日はこれで終わりかな……。

 そう思いながら個室の中のデジタル時計に目をやると、時刻は夜の7時を少し回ったところだった。男達の相手が、こんなに“早い時間”に終わる事などほとんど無い。
 ユウは小さく溜息を吐き、再び男の出ていった扉をぼんやりと見た。これで終わるにしても、まだまだ付き合うにしても、全てはあの男が戻ってきてからだ。
 ユウは重たいおっぱいを揺らしながら気怠げにのろのろとソファによじ登ると、机の上のティッシュを数枚取り、股間から“どろっ”と垂れ落ちてくる精液を何度か拭った。そしてそれを面倒臭そうにゴミ箱へ落とすと、整えきれない荒い息のまま髪を掻き揚げ、疲れきった身体をぐったりとソファに沈めた。
 深く息をし、ふと、朝から相手をした男達の数をなんとなく数えてみた。6人か7人か8人か。正確な数が思い出せなかったが、特に気にしなかったので思い出すのはすぐにやめた。
 さっきの男のものだけではない、不特定多数の男の体臭が染み込んだソファに、その身を任せる。

 今の自分も、このソファと同じだと思った。

 不特定多数の男の唾液と汗と体臭と精液が、たっぷりと染み込んでいるところが。

 ミニキャミソールが捲り上げられたまま、剥き出しの、笑ってしまうくらい巨大なLカップおっぱいが、目の前で呼吸に合わせて“ゆらゆら”と重たげに揺れるのを眺めた。充血して濃く赤く勃起していた乳首が少しずつ鎮まってきているのを感じる。そのおっぱいはすっかり、執拗に刻まれたキスマークや変色した歯形などで薄汚く彩られていた。それは、まるで腐汁の染み出した汚物のような、嫌らしい肉の塊だった。
 このおっぱいにも、たくさんの男達の唾液や汗や精液が染み込んでいる。
 そしてリセットしなければ、男達に刻まれるセックスの残滓は、こうして体に残って、どんどん蓄積していくのだ。
 こんな汚いおっぱいでも、男達は喜んで吸い、嘗め、しゃぶるのだから、つくづく男とは馬鹿な生き物だとユウは思う。
 男“だった”自分がそう思うのだから、本当の女はもっと軽蔑し、嘲笑してしまうに違いない。
 だがもし、彼が──哉汰が見たら、どう思うだろうか。
 ふと、ユウはおっぱいに指を這わせながら、哉汰との事を思い出していた。

 失ってしまった日々。

 あの、幸せな日々。

 幸せだった日々。

 “忘れなきゃ”と思うのに、忘れられない。
 いや、忘れられるはずもない。
 本当に忘れられるのだろうか?
 そう思うだけで胸の奥が締め付けられる。
 覚悟していたのに、心はまだ揺らぐ。
 もう、このおっぱいを彼に愛してもらう事も、乳首に口付けてもらえる事も、無い。互いが溶け合うような、それでいて互いの存在を確かめ合うような、鮮烈で強烈で情熱的な本気キスも、出来ない。
 そんな資格は、とうに無くしてしまったからだ。
 あのコンビニの前でぶつけられた、生の心の声。ウィッチ・ユウではなく「便所女」にぶつけられた言葉とイメージだったが、あれは哉汰の感じた、哉汰が胸に抱いた「あの時の自分」に対する気持ちそのものだった。哉汰は、その青年らしい清廉と純真を愛する潔癖さで、「男との情事に溺れ誰とでもセックスをする薄汚い女」を糾弾(きゅうだん)し、否定し、拒絶した。つまり、どんな理由があろうとも「男との情事に溺れ誰とでもセックスをした」自分を許してはくれない。
 それを想うだけで胸が潰れそうだった。
 彼との時間が、自分にとってどれほど幸せに満ちて、代え難い時間だったのか。離れてみて、それをまざまざと思い知らされる。
 でも自分は、自らその時間を手放したのだ。
 もう、彼の元へ赴く事は二度と出来ないのだ。
 そうしないことが、哉汰を、哉汰の生活を、安全を、普通の日常を護るためにした「彼」との約束だから。
 だが、彼への想いを胸に秘めていないと、今すぐにも本当に狂ってしまう。
 肉の快楽に、爛れた性の悦楽に、欲望のまま身を任せて狂ってしまう。
 いや。
 いっそ、狂ってしまった方がいいのかもしれない。
 それはあの日から延々と続く、果てのない自己否定だった。
 男達に求められ、体を貪られている間はその行為に没入してしまえるが、ひとたびこんな風に一人で置かれる時間を与えられてしまうと、ユウはいつも同じ考えに囚われ、自虐と内罰にまみれてしまう。そんなことを繰り返しても何の意味もないのに、そうしてしまう。
 きっとこれが自分の罰なのだろう。
 そう、ユウは思う。
 親友を、大切な人を護るために悪魔に身を差し出し、その快楽に溺れて護るべき親友を裏切り続けた自分の罰なのだ。
 こうして自分を責め、自分を貶め、失った日々に想いを馳せながら悔恨に涙し続けることが。
 ユウはサングラスの下で、ひっそりと瞼を閉じた。
 男が用を済ませて戻ってくる。
 その足音が聞こえたからだ。

 ──そしてまた、夜は続いた。
この記事へのコメント
相変わらず心に突き刺さる話ですなあ
Posted by 青玉 at 2013年07月29日 00:32
こちらのほうも、待っていました。お体にお気をつけて、無理をなさらないようにしてお続けください。
Posted by at 2013年07月29日 20:19
待っていました!久しぶりに読みましたがこれもうユウはだめかもわからんねw
制裁はマダー?(チンチン

まあこれからも更新心待ちしてます。
Posted by アンディ at 2013年07月29日 20:42
>青玉さん
 救いの無い話です。

>
 あちらの方もぼちぼちです。
 もったいないからといってクーラーつけずにいたら倒れそうになりました。
 敵は猛暑。

>アンディさん
 実は、ラストシーンだけ書き上げてあったりします。
 そこに持ってくまでが大変です。
Posted by 推力 at 2013年08月10日 09:57
初めまして。
このシリーズ全て見させてもらいました。
凄く興奮しました!続き楽しみです。
Posted by チーズティー at 2013年10月08日 12:56
そろそろ「僕オマエ」も完結してほしいなあと思うファンです
Posted by at 2013年10月22日 20:38
>チーズティーさん
ありがとうございます。
頑張りたいけど頑張れない毎日に生きてます。
人生難しいですね。

>名無しさん
まずはあっちを完結させる事を目指してます。
けり着けないと…。
Posted by 推力 at 2013年10月22日 21:11
初めまして、読ませて頂きました。
NTR大好きな私からいたしまして素晴らしい出来で感動しました。
続きを心待ちにしております。
Posted by at 2014年01月12日 02:40
 今、全精力を仕事に取られてる感じです。少ない気力を別作品の完結に向けて注いでいるので、こちらはぼちぼちになります。
 気長にお待ち頂ければ……(と言い始めて、幾月日……)。
Posted by 推力 at 2014年01月13日 17:24
初めまして。
私は推力さんの小説が楽しみで週1くらい
閲覧するファンです。
お仕事大変だと思いますが推力さんのペースで更新気長にお待ちしております。
Posted by 正太郎 at 2014年03月03日 04:39
一年たっちゃいました・・・
待ち続けてますよう
Posted by at 2014年07月30日 13:52
お待ち頂いて申し訳ないです。
あっちの作品に少ない気力を割り振ってる感じですので……。
完結を諦めたわけではないですよ?(震え声)
Posted by 推力 at 2014年08月01日 09:54
そしてまだ待っているのです
Posted by at 2015年08月11日 22:56
ずっとお待ちしております...
Posted by at 2016年01月16日 17:55
 ああ……あれからもう3年が経とうとしているんですね……大丈夫か私。
 あっちの作品が終わったら、これかギガンテス13をリメイクしようと考えてます。どうなることやら。
Posted by 推力 at 2016年04月29日 21:52
待ってますよ!あっちも!こっちも!
Posted by at 2016年04月30日 19:53
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