■感想など■

2013年07月29日

【ボクキミ】ユウ17

■■【17】■■



 ──“その日”から、ユウの『「彼」のオンナ』としての生活が始まった。


 朝8時頃に目覚めると、まずケータイをチェックして「ウィッチ・ユウ」のままか「便所女」の格好か、どちらかの格好で朝食を摂り、指定された時間まで部屋の中で何をするでもなくぼんやりと過ごす。指定の時間近くになったらその場所に出掛けて行き、男の相手をする。時間は相手の男が把握しているため、特にユウは気にする必要は無い。事が終わるとケータイをチェックし、次の予定を確認する。
 大抵、全ての予定が終わるのは、夜の10時から深夜1時くらいだろうか。
 男の相手をし終わった時に、ケータイへ「予定」メールの着信が無ければ一日が終わる。
 体を綺麗にしてから「彼」の用意してくれた部屋に帰り、そこで待っていた「彼」に抱かれ、「彼」が帰るのを見送って、変身を解かずにオンナの姿のままシャワーを浴びてベッドで寝る。
 その繰り返しだった。
 それはまるで、「デリバリーヘルスのアルバイトをしている不倫中(でも倦怠期)の未亡人(または夫が単身赴任中の子供のいない主婦)」みたいな生活だった。
 実際にそんな女性がいたら頭がおかしくなっているか、それとも完全に心と体を切り離せるようになっているかのどちらかだろうと、ユウは思う。

 ──果たして自分は狂ってしまったのだろうか?

 それとも、完全に心と体を切り離せるようになっているのだろうか?
 そもそも心と体を完全に切り離せるような人間は、人間と言えるのだろうか?続きを読む

2012年10月06日

【ボクキミ】ユウ16

■■【16】■■

 12月20日、火曜日。

 ──この日から、ユウは優也に戻ることをやめてしまった。

 「彼」のモノである限り、哉汰には絶対に手を出さないし、真実を伝える事もしない。
 ウルフに対しては、今まで通り接し自分から詳細を報告しない限り、彼らに察知されるような事はしない。
 そう、「彼」は約束してくれた。
 自分が側にいて哉汰に危険が及ぶよりも、離れる事で逆に護れるのではないかと結論付けたのだった。
 馬鹿で愚かな考えだった。
 正常な状態であったなら、ユウもきっとそう思っていただろう。
 だが、悲しいかな、ユウはもう普通ではなかった。正常ではなかった。
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2012年09月27日

【ボクキミ】ユウ15

■■【15】■■

 誰もいない、鍵のかかった園芸部に壁を透過して入り込み、一度優也に戻って全てをリセットする。
 そして鞄からケータイを出してチェックすると、ケータイを机の上に置き、鞄を抱えたまま再びウィッチ・ユウへと変身した。制服も眼鏡も手にした鞄も、肉体以外の全てのものが光り、透過し、分解して、変化した肉体に、魔女コスへと入れ替わって装着される。
 妙齢な女性の姿になったユウは、おっぱいを揺らしながら机に屈み、ケータイを手にすると、メーラーを起動し、ざっとチェックする。
 壁の時計の時刻は、午後1時ちょっと過ぎ。
 指定された時刻は午後1時半。
 場所は隣町の住所で、マンションかアパートの一室らしい。
「……何人かな……」
 そう呟いたユウは、自分がうっすらと微笑んでいる事には、全く気付いていなかった。


 まだ日も高い真っ昼間から、ユウは4人の男達と繋がった。
 男達は全員素っ裸で、ユウだけが魔女コスだった。全員、学校でユウを一度は抱いたことのある男子生徒だった。
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2012年09月22日

【ボクキミ】ユウ14

■■【14】■■

 それは日々のルーチンワークをこなすだけで精一杯となり、正常な判断力も、現状から抜け出すための算段をする余裕すらも無くしていくのと良く似ていた。労働基準法無視のブラック企業に勤める社蓄社員みたいなものだろうか。そこがどんなに非人間的で最悪な環境であろうと、置かれた状況と周囲から与えられる圧力、そして時折与えられる報酬と甘い言葉で、「その場所から抜け出すのは無理」「その場所から抜け出そうと考える事は悪」だという意識を植え付けられてそれに縛られ、ついには“現状を受け入れることが今の自分に出来る最良の選択”なのだと錯覚していくのだろう。
 だが、そんな状況もいつか破綻するのだ。

 そしてとうとう、決定的とも言える出来事が、当然のように起こった。

 12月19日、月曜日。
 終業式前日。二学期最後の日だった。
 明日から冬休みが始まる。
 明日から“学校の無い”日々が始まる。
 きっと「彼」から呼び出されるだろう。今までの土日と同じく、一日中、男達に“貸し出される”のだろう。
 毎日毎日、抱かれ、犯され、おもちゃにされ、あの嫌悪すべき強烈な快美感に狂うのだろう。
 そう意識するだけで気分が沈み、足取りも重くなった。
 だから、哉汰を誘った。
 久しぶりだった。
 久しぶりに、一緒に登校しようと誘った。
 今の自分には“哉汰分”が決定的に不足している。
 夜の魔力供給の時とは違う、太陽の光の下の“友情分”が決定的に不足している。
 そう思ったから。
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2012年09月15日

【ボクキミ】ユウ13

■■【13】■■

 抱かれる相手によっては、それが屋外である事も多々あった。
 その際にはいつも黒髪女性になる事を命じられ、命じられなくても黒髪女性であれば外に連れ出された。
 セックスそのものは男達も人目を避けて行うようにしていたが、それ以外の、キスや乳愛撫や道具を使っての弄びは、逆に人前を好んで行われていた節もある。
 とはいえ、日本は法治国家である。衆目の前で破廉恥な行為を行えば、相手が誰であろうと法の下に捕縛、拘束される。具体的には「公然猥褻罪」や「強制猥褻罪」、「軽犯罪法」などがそれだ。
 だが、ユウの再変身した黒髪女性は神出鬼没だった。
 いつも突然現れ、人々がその存在に気付き、騒ぎになる前に姿を消した。
 それも当然だった。
 赤いチョーカーによって無効化される魔法は限定されていて、「魅了(チャーム)」や「忘却(フォーゲット)」、「眠り(スリープ)」などで人の目を眩ませる事は容易すかったからだ。
 それでなくとも、単に魔法で別の姿に再変身して人に紛れれば、誰にも気付かれずに現場を離れる事が出来るのだから、たとえ誰かが通報しても、警官が到着する前にはその場を完全に離れていた。
 ただ、ウルフや他の魔女達に見つかる危険だけは常にあった。魔法をただ安易に使用すれば、その魔力を探知されてしまうからだ。だからユウは常に細心の注意を払って事に及んだ。
 おかしかった。
 自分に使用されるコンドームを常に持ち歩くことも、男達が自分を好きに抱けるように魔力的な処置を常に施す事も、本当は自分は望んでなんかいないはずなのに。
 考え始めると、気が狂いそうになる。
 だから優也は思考を停止し、考えるのをやめた。
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2012年09月08日

【ボクキミ】ユウ12

■■【12】■■

 毎日毎日、いろんな男達に抱かれていると、何が良くて何がいけないのか、なぜこんな事をしているのかしなくてはいけないのか、しなくてはいけないようになってしまったのか、その理由も境目も、どんどん曖昧になってゆく。
 放課後や学校の無い日は朝から呼び出された。何人もの男達に、何度も何度も膣内に射精されて精液を“吸収”し、微々たる魔力を蓄えると、その魔力を回復・飛翔・再変身・衣服再構成などの“基本的”な魔術行使に使って哉汰の元へと訪れる。そこで莫大な魔力を蓄え、優也に戻り“全て”をリセットすると、最後には「彼」に全てを“上書き”されるようにして抱かれて“体を適正化”された。
 ただし、帰宅して優也へと戻る前には必ず、ケガレ対策のためのアンカー設置や『函(パンドラ)』の展開用に、いつでも起動出来る状態にまで術式を織り込んで無意識域にストックセットしておく事も忘れなかった。それはユウとしての、ウィッチとしての最後に残った矜持だったのかもしれない。
 その上で、平日の翌朝には必ず学校に行く。

 毎日が、その繰り返しだ。

 哉汰とは、学校ではもうほとんど話が出来なくなっていた。毎日、深夜まで体を酷使し、気力・体力を使い果たしていたから、学校にいる時だけが唯一心身を休められた。そのため、教室では授業中でも机に突っ伏して寝ている事が多くなり、よくぼんやりとしてしまい、事情を知らない高階以外の教師や、心配そうな哉汰に注意される事も一度や二度ではなかった。
 やがて「彼」から学校にいる時にも呼び出され、ケータイに「命令」が届くようになると、優也にはとうとう心休める場所が、夜に訪れる哉汰の家以外、無くなってしまった。
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2012年09月01日

【ボクキミ】ユウ11

■■【11】■■

 11月13日、日曜日。

 目が覚めた時、ユウは素裸だった。
 脱がされたはずのコスチュームは、ユウの意識が喪失した時点で形状を維持出来ず霧散したのか、どこにも見当たらなかった。
 世界が揺れている。
 まだ、夢を見ているようだった。
 意識がぼんやりとして、ここがどこなのかも咄嗟には把握出来なかった。
 まだ学校のクラブハウスの一室の、そこに敷かれたままの、薄汚れたマットレスの上にいるのだと気付いたのは、襲い来る快楽の奔流に再び飲み込まれそうになったからだ。
 誰かが、大きく開いた自分の右太股を抱き抱え、男根で膣を“使って”いた。体の動きに合わせておっぱいが“ゆっさゆっさ”と揺れ動き、視界が揺れる。
 昨日いた男達とは、体格も肌の色も違う男だった。よく日焼けし、左腕に何重もの鎖のタトゥが刻まれている。マスクをしておらず、剃り上げているのか、禿頭(とくとう)が汗と脂でてらてらと光っている。
 でも、それだけだ。
 視界にフォーカスがかかっているようで、周囲の様子がさっぱりわからない。
 ぬるま湯に首までつかってたゆたっているような、どこか皮膚感覚さえも鈍く、そしてぬるく甘ったるい感じだけが体に纏わりついていた。
 ふと男が呻き、腰の動きを止めて体を震わせた。

 ──あぁ……出てる……ナカで……出てる……

 肉茎の先端から迸った精液が膣奥を叩く。
 全身が痙攣するようにビクビクと震えた。
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2012年08月25日

【ボクキミ】ユウ10

■■【10】■■

 11月12日、土曜日。

 モデル姿で呼び出された学校のクラブハウスには、「彼」を含めて7人の男達がいた。
 「彼」以外は、あの日、10月31日に同じこの部屋にいた5人と同じく、覆面プロレスラーが着けるようなマスクを着用している。6人の覆面男だ。その中に、あの時の5人が含まれているとしても、今日は1人増えている。これが「彼」によって集められた者達だとしたら、彼らはどれほどの“真実”を「彼」に吹き込まれているのだろうか。
 真っ赤なチョーカーを付けられ、声が出ないようにされた後、ユウは裸に剥かれてマットレスに転がされた。形ばかりの抵抗もしてみたが、すぐに意味が無いと思い、させたいようにさせた。
 汗と埃と、何かわからないような匂いが混じりあった不快な布地は、肌にべとつくような感じがしてゾッとした。
 何度も使われているのだろうか。
 ひょっとしたら女子生徒を連れ込んで、ラブホテル代わりに使っていたのかもしれない。

 ──今日はこの7人を相手にするのだろうか。

 ぼんやりと見上げたユウの前で、男達が服を脱いだ。
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2012年08月11日

【ボクキミ】ユウ9

■■【9】■■

 どんなに嫌なことでも、どんなに屈辱的なことでも、それが日常化してしまえば、後はそれを如何に受け入れ、義務的に、機械的にこなしていくかだけに腐心するようになる。考えてしまえば行き詰まり、悩んでしまえば息も止まるほど苦しくなるからだ。
 だから考えないようにする。
 決して悩まないようにする。
 自分の心が、完全に壊れてしまわないように。

 「彼」の命令で、見知らぬ男達にユウとして抱かれるようになり、優也が朝、寝ているのか起きているのかわからない浅い眠りから目覚めて、まずするようになったのはケータイに届くメールのチェックだった。新着フォルダに「彼」からのメールがあれば、“それを実行するための計画”を素早く脳裏に浮かべ、可能となるように根回しをする。無ければ準備を整えて、以前と同じく学校に登校する。
 都市部の繁華街の街角に立つ娼婦のように、避妊具やアフターピルなどの常備薬、化粧道具や脱脂綿や消臭スプレーなどが入っていると言われるハンドバッグの類(たぐい)を持つ必要は無かった。
 変身を解けば、全てがリセットされるのだ。
 全てが“何も無かったこと”に出来るのだ。
 リセット出来ないのは記憶だけだった。
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2012年08月04日

【ボクキミ】ユウ8

■■【8】■■


 毎日、股を開いた。

 毎日だった。
 たまに開かない時もあったが、キスはした。
 必ずした。
 嫌だと思っても、いつも強引にされた。
 フェラチオもした。
 おっぱいも嘗められた。
 吸われた。
 しゃぶられた。
 揉まれた。
 噛まれた。
 歯型もいっぱい付けられた。
 キスマークはもっとだった。
 あそこも弄られた。
 指を突っ込まれた。
 出し入れされた。
 嘗められた。
 吸われた。
 ほじくられた。
 太腿の内側を抓られた。
 そこにはキスマークもいっぱいにつけられた。

 毎日、だった。

 1日に何人もの男を相手にした日もあった。
 まるで、盛ってどんな相手とでも交わるメス犬のようだった。
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2012年07月28日

【ボクキミ】ユウ7

■■【7】■■

 11月03日、木曜日。

 『7』人分の精液と、ヘドロのような穢れた魔力を体内に溜め込んだ次の日。
 泥のような眠りから目覚め、優也はまず最初にケータイを開いてメールをチェックした。
 メールは、無かった。
 それだけで安心して、涙が出そうになった。
 今日は学校に行ける。

 ──カナちゃんに会える。

 そう思うだけで、心が沸き立った。
 食欲は無かったが、母に心配させたくなくて朝食を無理矢理胃に詰め込みんだ。
 食事中、母から“今日はウルフ中央議会に出席するため、帰りは明日になる”と聞いた。
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2012年07月21日

【ボクキミ】ユウ6

■■【6】■■

 11月2日、水曜日。

 朝から「彼」のメールが、優也のケータイで着信音を鳴らした。
 食事中だった。
 母が出掛ける前に作ってくれていた朝食を食べているところだった。
 数時間まえの哉汰のとのキスで、少しだけ食欲が戻ったのだ。
 大好きなスパニッシュオムレツとオレンジジュースとトーストだった。

 でも吐いた。

 着信音は、哉汰からではない。
 哉汰からのメールは、通常とは違うものが設定してあるからわかる。
 そして「彼」からのメール着信にも、通常とも哉汰用のものとも違う音が設定してある。
 だからわかった。
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2012年07月14日

更新について。

 55のコメント欄でも書いたのですが、哉汰Sideのストックが無くなったので、以後しばらくは、ユウSideのみの更新となります。また、ユウの堕落、「彼」の行動、その辺の描写が主になるので、苦手な方はまた辛い展開が続くでしょう。
 【ボクキミ】の更新は週一、土曜日の午前0時です。
 哉汰Sideとは異なり、ユウSideは文章がたっぷりと長いので、ボリューム自体は週2回更新だった哉汰Sideを合わせても上回ってると思います。
 鬱って下さい。
 その先には、たっぷりと濃密な“らぶらぶちゅっちゅ”が待ってます(予定)。

 週一更新は寂しいので、過去の作品をちょこちょことアップしていきます。
 未完になってる「あなたと歩く、この春の小道で」とか「僕はオマエを許さない」とか「ピュグマリオンの娘」とか「恋するココロの方程式」とか「ぼくの人魚姫」……とかは、ちゃんと終わらせたいと思ってます。思ってるんですよ? いやほんと。

【ボクキミ】ユウ5

■■【5】■■

 11月1日、火曜日。

 体調不良を言い訳に学校を休み、優也は時間ギリギリまで自分の部屋のベッドの上で膝を抱えていた。
 目の前には、昨日、コートの中に入れられてた、1万円札と5千円札の入った白い封筒がある。
 誰の仕業かは、聞かなくてもわかっていた。
 「彼」だ。
 これは、ユウを昨日の男に「貸し出した」対価の一部に違いない。
 対価の内の、報酬に当たる取り分だというわけだ。
 つまりユウは、文字通り「売られた」。

 ──「売春」させられたのだ。

 「売春するウィッチ」など聞いたこともない。
 人類の守護者、ケガレと闘い人知れず人々の平和と安寧を日々護る者。
 そのウィッチが、よりにもよって「体を売って金を受け取る」など、笑い話にもならない。
 西洋ではケガレに取り込まれた「時の権力者」から身を護るため、娼婦宿に潜んだウィッチが何人もいたらしいが、日本ではウルフの日本支部設立以来、そんな事例は一件も無いはずだ。
 そもそも、こんなことをするために母親から役目を受け継いだのではないのだ。
 昨日、夜遅くに帰宅した優也を、母の使い魔(自己の魔力を『函(パンドラ)』で事象固定して擬似人格を与えた人工精霊)が出迎えてくれた。
 日常的な会話だけなら可能な、(優也から見れば母そっくりな思考・言動をするが、母に言わせれば)ごく簡単な構造の使い魔だった。その使い魔が、6時半過ぎに哉汰から電話があったことを教えてくれた。
 そして
【護れるかどうかわかりませんけど、僕に出来ることは、全力で頑張ろうと思ってます】
 という彼の言葉を、伝えてくれた。
 6時半と言えば、自分があの男に車の中でキスされ、体をおもちゃにされていた頃だ。
 哉汰が自分を心配して電話してくれたのに、自分は男のキスと愛撫に身を任せ、爛れた快楽に身も心も犯されていたのだ。

 そして、金を「受け取った」。

 体を売って金をもらったのだ。

 封筒はクシャクシャになって皺が寄っていた。
 一度、カッとなって丸めてゴミ箱に投げ入れたのを、今朝になって拾い上げて広げたのだ。
 捨てても仕方ない。
 もう「受け取った」事になっているのだから。
 むしろ「彼」の顔に叩き付けて突き返してやった方がいい。
 そう思ったのだ。
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2012年07月12日

【ボクキミ】55

■■【55】■■

 部室を出ようとした哉汰に高階は言った。
 女の魔女(ウィッチ)は胎内にパートナー以外の精液を入れると不浄が溜まり、やがて堕落(フォールダウン)を起こす。これは男性型ウィッチには無い性質であり、堕落したウィッチは例外無く淫魔(サッキュバス)へと失墜(ソウル・ロスト)するのだと。
 そうなると後は、坂道を転がり落ちるように本人の意思とは関係無く他の男の精液を求めるようになり、やがて淫魔から高淫魔へと堕格後、不浄で練られた陰の気をケガレに喰われ、そのウィッチは、やがて魔神(ダイモン)として覚醒する。
「おそらく今のユウは、高淫魔となってまだ日が浅い。危険な状態であるのは変わらないが、今ならきっと救えるだろう」
 それは、どういう意味か。
 
 ──お前にはお前の救い方があるし、魔神化する前に救う方法はそれしかない。

 ──他の誰でもない。お前だけにしか出来ない救い方だ。

 ──だからこそ、俺達はわざわざ未熟で阿呆なお前をユウの元に向かわせるんだ。

 実際、哉汰もなんとなく感づいてはいた。
 男達に抱かれていたユウの髪が、段々暗く濁っていったことがあった。
 あれは、ユウに性遺伝子……精子をフェラチオで提供する前の事だ。
 だが精子を与えるようになってからは、髪の色が元のピンク色に戻らなかっただろうか?

 穢された体と魂は、哉汰の性遺伝子……おそらく「純魔力」とでも言うべきもので、浄化出来るのだ。

 でも高階の口から直接聞かされるまで、それを自分ではどうしても認められなかった。
 ただの自分のエロ妄想だったら、取り返しがつかないからだ。
 たとえ高階の表情が「それが正解」だと言っているように見えたとしても。続きを読む

2012年07月09日

【ボクキミ】54

■■【54】■■

 自分が唾を飲み込む音が部室内で妙に響いて、哉汰は思わず息を止めた。
 話が大き過ぎて現実味が薄い。
 だが、高階の表情と口調、何より哉汰の心のどこかが告げていた。
 これは事実であり、嘘や誇張など無い、紛れもない本当の事なのだ、と。
「……そんな……」
 パートナーである自分がユウを救えなければ、ユウは魔神と化して再び数百万人の──いや、それ以上の人々が命を落とす。
 当然、その中には自分だけでなく、両親や親戚、学校の友人や先生や近所の顔見知りや、商店街の人々も入るのだろう。
 たぶん、いやおそらくきっと、誰もが自分に何が起きたのか理解する暇も無く魂魄を抜かれ、肉体は速やかに死へと至る。続きを読む

2012年07月07日

【ボクキミ】ユウ4

■■【4】■■

 10月31日、月曜日。

 「彼」が指定したのは、学校だった。
 優也は指示された時間よりもずっと早い、まだ生徒も教師もほとんど登校していない、早朝に着いてしまい、園芸部の部室で椅子に座って考えた。
 指定された時刻まで40分以上あった。
 それまでに、何か打開策を見つけたいと思った。
 今朝起きると、ケータイには哉汰からメールが届いていた。
 発信は昨日の夜だった。
 現実から逃げるようにしてベッドに潜り込み、体を丸めて眠った後に届いたものだった。
 返事は出せなかった。
 どう出せば、何と打って出せばいいのか、わからなかった。
 自分を気遣うその文面を見ていると、涙がこぼれそうだった。
 それよりも問題は「彼」だった。
 その事をまず最優先にしなければいけなかった。

 どうすればいいのか。

 逃げられる方法は無いのか。

 ケガレ相手になら、対処法などいくらでも思い付いた。
 でも、ただの人間相手にどうすればいいのか、しかも級友であるうえに「抗魔法具(カウンター・マジックアイテム)」を持つ人間だ。
 そんな相手にどう対処すればいいのか。
 傷つけたくはない。
 けれど本気で逃れるためには、多少は手荒な方法を取らないと、今に身動きがとれなくなる。
 ウルフに報告する事も考えた。
 でもそうすると、自動的に高階先生へも報告が行くことになる。
 正直、哉汰をパートナーにすることに最後まで強固に反対していた高階先生には、知られたくなかった。
 知ればきっと、哉汰の記憶を操作し、必要であれば自分に関する記憶を消去し、引っ越したり学校を変わったりさせられるのは明白だった。
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2012年07月05日

【ボクキミ】53

■■【53】■■

 男性ウィッチ、ホリゾントのパートナーは、彼の幼馴染みである、12歳の女の子だった。
 二人は周囲が微笑ましく見守るような、初々しく仲睦まじい恋人同士だったと言われている。今となっては事実かどうかもわからないが、子供らしい純粋さで、真面目に将来を誓い合っていたらしい。
 ロリコン?
 うるせぇ阿呆。黙って聞いてろ。

 世界は善意で満ちているわけじゃない。
 だが悪意だけで出来ているわけでもない。
 彼女はその事にまだ気付く前の、自分を取り巻く優しい世界を無条件で信じていた、普通の女の子だった。
 その女の子が、ある日、ホリゾントの知らない所で、学校帰りに行方不明になった。
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2012年07月02日

【ボクキミ】52

■■【52】■■

 「さっき、リスクを抱えてまで救い出さなければならない状態にはない……って言ってたよな。本当にユウは大丈夫なのか? まさか……」
 哉汰の言葉に、高階は胸ポケットから平たくカッティングされた蒼い宝石を取り出してテーブルの上に置いた。
「それは?」
「リンケイジ・ジュエル。この宝石は、ウィッチ・ユウの魂にリンクしている」
「魂?」
「正しくは『魂魄体(エルダー)』に、だ。輝きが失われてない以上、命だけは健在だ。だが弱い。いつもはもっと輝いてるんだが……」
 哉汰は宝石を手に取り、じっと見つめた。
「光が見えるか?」
「ああ」
「なら大丈夫だ。その光はウィッチと契約した者か、それに追従するもの、ウィッチが心許した者にしか見る事は出来ない」
 宝石は内側から光を発し、哉汰の掌を青い光で照らしている。
「もしこの光が消えたら、ユウはどうなるんだ?」
「同調者(リンカー)が死ぬと光も消える。透明度を失って濁り、時には割れる事もある。もちろん、光っている時にこの宝石が割れても、同調者には何の影響も無いがな」

 死ぬと消える光。

 弱くなった光。

 それはつまり、ユウが弱って今にも命が消えそうになっているということなのか。

「ユウが、ずっとそんな危険な状態にあったなんて……」
 正直、男達に犯され、体を穢されたとしても、命までは失わないと思っていたところがあった。
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2012年06月30日

【ボクキミ】ユウ3

■■【3】■■

 翌日。
 10月29日の土曜日。

 午後になって再び「彼」に、「彼」の借りているアパートへと呼び出され、真摯な説得も空しく、再度「彼」とキスをしなければならなかった。
 明るい部屋の中で、今度こそハッキリと目の前で変身して見せることで、彼から「実は男であるウィッチとキスする嫌悪感」を引き出そうとしたが、彼はそんな事は全く気にしなかった。
 昨日、付けられたチョーカーは、今日は付けられなかった。少し不思議に思ったが、キスを急かされてどうでも良くなった。
 前日は、嫌々ながら自分からしたキスだったが、この日は途中から「彼」に主導権を握られた。

 荒々しい、キスだった。

 何もかも奪い、剥ぎ取り、それでいて自分の存在を心の奥底に楔のように打ち込もうとするかのような、強引で野卑で暴力的なキスだった。
 気付いたら跪かされていた。
 哉汰とキスする時のように、おっぱいが邪魔にならないようにそうされたのだ。
 そして強引に抱き締められ、後頭部を手で押さえられながら息苦しさに身悶えしたのも束の間、唇や口内を舌が這い回り、嘗めたくり、啜り、誘い出された舌をキツく何度も吸われた。
 たらりと涎が口から喉元まで垂れれば、それすらも舌で丁寧に嘗め取られ、その行為と初めての感覚に首筋がぞくぞくした。
 揺さぶられ、翻弄され、植え付けられた。
 快楽の種を、体の奥底に植え付けられた。
 何度も気が遠くなりかけた。
 長い長いその行為が終わると、ふらつく足をどうにか律しながら、逃げるようにして「彼」の元から離れた。
 涙が、こぼれた。
 力が入らない。
 今にも腰から床に崩れてしまいそうだった。
 あそこがじくじくと湿って、濡れて、膣液が溢れ出して太腿を伝い落ちそうになっているのを知って絶望した。

 感じたわけじゃない。

 感じてなんかいない。

 そう何度も心の中で叫んだが、痛いほど硬く勃起した乳首がそれを裏切っていた。
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