■感想など■

2012年06月28日

【ボクキミ】51

■■【51】■■

 床に転がり動くことも出来ない哉汰に、高階は手を貸そうともせず、ベンチで悠々と足を組み直した。
 学校では仮面を被り隠し続けてきた顔を、もう隠す気など全く無いようだ。
「味方……?」
 哉汰は砂埃だらけの床から身を起こすと、やっとの思いで立ち上がった。咳き込み、口内に入った砂を唾と共に吐き出す。口内をどこか少し切ったのか、わずかに血が混じっていた。
 高階は哉汰の問いには答えず、つまらなさそうに黒縁眼鏡を外すと、無造作に胸ポケットへ入れた。
 どうやら、ただの伊達だったらしい眼鏡を外した高階は、さっきまでの理知的な雰囲気は消え、どこか骨太で野性的な雰囲気さえ感じさせていた。
「ユウの行方はこちらでも捜索を続けている。残念ながら、手掛かりがまるで無い状況だったが……不完全だが足取りも掴んでいた。……まあ、手を拱(こまね)いていたわけじゃないが、そう思われても不思議じゃないか。状況が状況だったもんでな。悔しいが、それに関しちゃ他のウィッチとの連携も取れずじまいで今日まできちまった」
「他の……ウィッチ?」
 急につらつらと高階の口を突いて出てくる単語に、哉汰は呆然と立ち竦んでいた。
「まだわからないのか。本気で頭悪いなお前は」
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2012年06月25日

【ボクキミ】50

■■【50】■■

 哉汰の激した行動にも、高階は眉一つ動かさず、その開いているのかどうかも怪しい細い目で、彼を注意深く見ていた。
「少し痩せましたか?」
「はあ? ふざけてんのかあんたはぁっ!!」
「精神的均衡を欠いていますね。パートナーとしての適合性、親和性は想像以上のようですが……いや、しかし……」
「……っ!!」
 意味不明な言葉をぶつぶつと呟く高階に、哉汰は心の中がどす黒い何かで塗り潰されてゆくのを感じた。
 目の前が真っ赤になる。
 血流が激しさを増してこめかみが痛んだ。
 眼前の“敵”に向かって一息に駆け寄り、踏み込み、木刀を振り上げる。
 頭を狙った。
 当たれば、木製とはいえただでは済まない。
 良くて脳震盪、当たりが悪ければ頭蓋骨にヒビの一つでも入るだろう。
 それを知った上で力一杯振り下ろした。

 が、外れた。

 横凪ぎに振るう。
 また外れた。
 高階は哉汰の振り回す木刀を、まるで舞うように最小の動きで避けてゆく。
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2012年06月23日

【ボクキミ】ユウ2

■■【2】■■

 10月28日の金曜日。

 下校途中に哉汰と別れて帰宅してから、優也はケータイの着信に対して、別段、特に疑問に思う事無く応えた。
「久しぶり。今度は何してたの?」
【ん〜……まあ色々なー】
「?」
 「彼」は哉汰との共通の友人だが、どちらかというと優也より哉汰との仲の方が良かったから、こうして自分に電話をかけてくるというのは珍しかった。それでも、久しぶりに耳にした顔馴染みの級友の声に、警戒心はすぐに霧散した。
 学校でも有名な「彼」は、実はある意味、自分にとってケガレなどよりももっと危険な存在ではあった。
 だが、ウィッチ関連に関しては必要以上に警戒し、今まで過度な接触はしないようにしていたから、逆に妙な安心感があった。
 ただの高校生で、クラスメイトで、人柄も決して悪いわけではない。
 そして何より、哉汰の友人だというのが優也に「安全」だと思わせていた。
 もちろん、ウルフの調べた交友関係にも、特に不審な点が見当たらなかったということもあった。
【それはそうと、ユーヤ、ちょおっと、話があんだけど】
 その「彼」が、「哉汰のことについて」自分にだけ話があるという。
 哉汰の名を耳にして、少し胸がざわついた。
 話とは何か。
 問いかけたが答は無く、いくら聞いてもはぐらかされた。
 彼はひとしきり学校や最近の出来事を話題にし、優也は彼が何の用なのか皆目見当もつかなくてただ相槌を打っていた。

 哉汰のことについて話があるのではないのか。

 話が無いなら、宿題があるからそろそろ……

 そう思い始めた時、「彼」は「哉汰のことで相談したいことがある」とだけ答えた。
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2012年06月21日

【ボクキミ】49

■■【49】■■

 翌日、哉汰は学校から呼び出された。
 普通の食事を胃が受け付けなくなってから、ゼリー状の健康補助食品を流し込むだけになった朝食の最中だった。
 そこに、親を通してではなく、哉汰のケータイに直接連絡が入ったのだ。

 ──昨日の件か。

 そう思った。
 もうバレたのか。
 最初はそれしか思い浮かばなかった。
 だが、呼び出したのは生活指導の教師でも学年主任でも担任でも教頭でも無かった。
 哉汰を呼び出したのは、あの数学教師の高階(たかしな)だったのだ。
 だから、これは昨日の夜の、校内への不法侵入&器物破損(園芸部のドアの鍵を壊した)が原因なのではないと、すぐに思った。
 何よりも、明日が三学期の始業式でありながら、その前日に呼び出す理由ではないと感じたからだ。
 自分でも意外だったのは、それを少しも不思議と思わない自分がいたことだ。
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2012年06月18日

【ボクキミ】48

■■【48】■■

 大量の画像と膨大な情報。
 そこに、ユウに繋がる糸は必ず有る。
 そう信じ続けて、哉汰は画像の数々を凝視し続けていた。
 繰り広げられるユウの痴態。

 淫乱な行為。

 揺れる乳房。

 濡れる陰部。

 震える尻肉。

 爛れた情欲。

 溢れる淫液。

 注がれる精。

 性情報が脳を焼き陰茎に血流を促して熱を帯びた勃起を喚起するが、心は真逆に冷えていった。
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2012年06月16日

【ボクキミ】ユウ1

◆◆◆ SIDE -ユウ- ◆◆◆

■■【1】■■


 護りたかった。

 全てのものから。

 護りたかった。

 取り巻く様々な悪意から。

 はじめての、友達を。


 それがボクの、たったひとつの望み。



 ────だった。



§         §         §


 朋坂優也は自分をホモセクシャル(同性愛者)だと思ったことは、今まで生きてきた人生の中で、ただの一度も無い。
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2012年06月14日

【ボクキミ】47

■■【47】■■


 変身を解いて男に戻らないウィッチ・ユウ……優也。

 そこにどんな理由があるのか。
 好きに身体を嬲らせ、男達が柔らかな乳房を、とろとろに濡れた膣を思うまま楽しむに任せている。
 そして自らもそこから生み出される爛れた快楽に身を任せ、楽しみ、悦び、埋没していた。少なくとも哉汰には、そう、見えた。
 乳房を揺らし、腰をくねらせ、尻を振る。
 吸われ、噛まれ、抓られて刻まれた内出血が、変色して黒っぽく濁ってゆく白い肌。
 男恨を嬉しそうにしゃぶり、膣内に出された精液に身を震わせる。
 画像に写り込むユウの姿は、女でいることを、心から楽しんでいるようにしか見えなかった。

 もう、男である自分を捨てたのか。

 過去の自分を捨てたのか。

 信じたくはない。
 だがそうさせたのは、自分かもしれないと、哉汰は思う。
 ユウをこの地獄に追いやり、突き落とし、汚濁にまみれさせたのは、他ならぬ自分なのかもしれないのだと。
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2012年06月11日

【ボクキミ】46

■■【46】■■

 この後、12月25日のクリスマスから28日の水曜日まで、ユウは様々な場所で、様々な男達と、様々な格好で抱かれていた。
 まるでヤクザに連れ回されるクスリ漬けの情婦か、暴走族に拉致された性処理用の哀れな犠牲者のようだった。
 便利に扱われ、遊ばれ、どこでも、そして誰にでも、好きな時に好きなように抱かれて膣内に汚液を流し込まれている“便利な女”そのものだ。
 変身を解けば消えるはずの傷や痣(キスマーク)が日を追う毎に変色し、そしてその数も増しているのを見ると、優也はクリスマス前後か、それよりずっと前から、女──ウィッチ・ユウで居続けているようだった。
 哉汰からの魔力供給も受けずに、こんなに長期間、女性の姿で居続け、その上、セックス漬けになり「女であること」を刻まれ続けて、ユウは心身共に疲弊しきっているように見えた。
 時々ある動画でも、目は虚ろで意味のわからない言葉を呟き、普通に立っているだけのはずが、ゆらゆらと揺れている。
 ユウとしてのアイデンティティが崩壊しつつあるのか、精神に変調を来しているのは明白だったが、男達は全く気にしていないようだった。

 12月29日の木曜日のページでも、ユウはオモチャのように扱われ、その身体に男達の行為を刻まれ、それでもへらへらとした笑みを浮かべながら男達の“精液便所”となっていた。
 この日、フリーのアドレスボックスに差出人不明のメールが届き、哉汰はこのサイトを知ったのだ。それが幸か不幸か、唯一の手掛かりなのは皮肉以外の何物でもなかったが。

 30日の金曜日は、何か大きなイベントらしきものに連れ出されたユウが写っていた。
 そしてそれは、「便所女」の姿でありながら、サングラスをしていない、初めての画像だった。
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2012年06月07日

【ボクキミ】45

■■【45】■■

 哉汰はカナケンとの会話を適当に切り上げると、再び個室に戻ってパソコンを復帰させた。
 ブラウザの、12月22日の木曜日のページを開く。
 哉汰はこの日、このネットカフェでユウと出会っている。
 出会って、いたのだ。
 しかし、あの時はそれに気付かなかった。
 否、気付けなかった。

 だが確かに、ここにユウはいた。

 22日の映像には「便所女」が狭いネットカフェの個室で、ホスト風のチャラい男と密やかに濃密なセックスをしている様が写っている。
 それは、机の上のモニター横にカメラを置いて、そこから撮影しているような映像の中での出来事だった。
 少し薄暗く、隠し撮りのような雰囲気だ。
 狭い個室に入り、チャラ男はすぐにソファに座った。この時から既にカメラは回っており、撮影は男本人以外の第三者によって用意周到に組まれたものだという可能性を示唆させた。
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2012年06月04日

【ボクキミ】44

■■【44】■■

 翌日の大晦日の街は、朝から騒然としていた。
 繁華街にある廃業して久しいカラオケボックスと、雑居ビル地下のクラブから、少なくとも併せて20人前後の変死体が発見されたのだ。
 遺体は全て男性で、ほとんどの遺体は衣服を着用しておらず体表面の腐敗がかなり進んでいた。また、争った形跡も無かったことから、警察は事件と事故の両方から捜査を始めたようだった。
 哉汰が8時に起きて階下に下りた時、リビングで母が見ていたテレビのニュースでは、既にそのカラオケボックスとクラブの周囲半径十数メートルが警察によって封鎖されており、関係者以外誰も立ち入ることが出来ないと報道されていた。
 また、番組コメンテーターによると、公表はされていないが、当局は毒物や細菌によるテロも警戒しているのではないか、とも言われていた。
 いつも使用しているネットカフェは、そのカラオケボックスのあるビルの隣にある。
 哉汰は呆然とした顔で、母の「今日は外出禁止」という言葉を聞いていた。

 ほとんど食事というものを摂らず、朝から晩まで「勉強」と称してどこかに消える息子に業を煮やしたのか、母にケータイを止められていた。
 ケータイの契約者である保護者の意向であれば、使用者の意思とは関係なくその使用が止められるのか。
 哉汰はそれを初めて知った。
 これでは、もし優也から連絡があっても出る事が出来ない。
 思わず激昂して母に暴力的な言葉を浴びせた哉汰は、久しぶりに見た父に殴られた。数年ぶりだった。前に殴られたのは小学校の5年生の時だったかもしれない。
 食事も摂らず、体力が衰え、不健康極まりない生活を繰り返していたツケなのか、父に対抗する事が出来なかった。
 仕事納めを迎え、正月休みで自宅に父がいた事にも気付かなかった自分に少なからず驚いたが、それよりもポケットの財布を没収された事の方がショックだった。
 財布には金だけでなく、ネットカフェの会員証やキャッシュカードなども入っていたからだ。
 それでも家を出ようとする哉汰を、母が泣いて止めた。
 気の強い母が泣くなど、今までほとんど見た事がない哉汰にとって、母の涙は最悪な鎖だった。
 卑怯だと思った。
 でも、どうしようもなかった。
 これが、「誰かを護れる男」には程遠い、ただの子供でしかない自分の限界なのか。
 そう思うと、虚無感だけが胸に満ちた。

 やがて夜のニュースで、総勢21人の男達の遺体から、司法解剖により死因が判明した、と報道された。
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2012年05月31日

【ボクキミ】43

■■【43】■■

 哉汰は優也の自宅を後にして、夜の道を一人歩いた。
 キンと冷えた空気に体が凍える。
 だが、哉汰の心はもっと冷たく冷えきっていた。
 ネットカフェで見た、あの残酷で悲惨なユウの姿が、哉汰の心を苛(さいな)んでいる。
 だが、

 ──その後も、ページは続いていたのだ。

 わかっている。
 あの日、19日は深夜に家を抜け出して、優也の自宅へと向かった。
 だがそこに人の気配は無く、完全に優也を探す手だてが失われてしまったのだと思い絶望した日なのだ。
 そして、その絶望に黒く塗り潰された心のまま、哉汰が深夜のコンビニであの「便所女」に会い、罵倒し、肉まんをぶつけた日なのだ。
 果たして画像には、コンビニへと入っていく「便所女」の後ろ姿を写した画像があり、その次には洋式トイレの貯水漕に両手をつき、こちらにその豊かな白い尻を突き出して性交をねだる「便所女」の姿があった。
 高感度なカメラなのか、フラッシュも焚いてないのに、画像はクリアだ。
 滑らかでシミ一つ、黒子一つ無い背中。
 豊かで柔らかそうな、脂のたっぷりのった白い尻。
 その尻の間からは、極太のバイヴが何かの冗談のように突き出ている。このコンビニに来るまで、ずっとそれを挿入していたのだろうか。
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2012年05月28日

【ボクキミ】42

■■【42】■■

 哉汰はネットカフェを出て、夜の繁華街を一人歩いた。
 年の瀬も迫り、明日は大晦日だった。そのためもあって、繁華街は人の波で溢れ返っていた。
 夫婦、親子連れ、カップル……どの顔も明るく、幸せそうだ。
 今年あったことを思い返し、新年への期待に胸膨らませている顔だった。
 その笑顔を護っていたはずのユウが、今はいない。
 サイレンの音が耳を打ったが、すぐに喧噪に紛れて消えた。
 ここのところ、ネットカフェに向かう道すがら、パトカーを見る機会も多くなった。男の変死体が見つかったというネットの情報もあったが、哉汰には興味無かった。
 頭にあるのはユウのことだけ。

 それだけだ。

 ふとケータイを開くと、家からの着信が12件もあった。
 母だろう。
 この忙しい年末に、毎日朝早くから夜まで出掛けている息子を、口煩い母は不審がっている節があった。いつも長期休みの際には、ギリギリまで課題に取り掛からない息子が「図書館で冬休みの課題をする」というのは、やはり無理があっただろうか。
 それとも毎日暗い顔で帰宅し、なにも食べずに寝てしまう息子をさすがに心配してのことか。
 だが哉汰は、ユウを見つけ出すまで、優也の足取りを掴むまで、今の行動をやめるわけにはいかなかった。
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2012年05月24日

【ボクキミ】41

■■【41】■■

 11月14日からのページに貼られた「淫乱魔女」と「便所女」の痴態は、今まで以上の卑猥さで哉汰の胸に迫った。

 親友だった。

 心許した友だった。

 そして可愛いと思えたひとだった。

 いつしか愛しささえ感じていた。

 その「女(ひと)」が、自分以外の男に毎日のように抱かれ、悦びにむせび泣き、嬉々として体を開いて快楽を貪っていた事実。
 自分に隠れて、自分を騙しながら、何人もの男の精液を膣に、子宮に受け止めて、強烈なオルガスムスに溺れながらうっとりとしていた事実。
 それらが哉汰の心を着実に蝕んでいく。

 なぜ他の男に抱かれなければならなかったのか。

 魔法があるのに、それを使わなかったのはなぜか。

 魔法は使わなかったのか、それとも使えなかったのか。

 魔法で対抗出来るものが相手ではなかったのか。

 魔法では対抗出来ないものから、何かを護ろうとしていたのか。

 ユウは、いったい何を護ろうとしていたのか。

 それらが不明瞭なまま、哉汰は11月14日から12月18日までの、一ヶ月近くに及ぶページの数々を、現在のユウの手掛かりを求めてつぶさに見て回った。
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2012年05月21日

【ボクキミ】40

■■【40】■■


 「タガが外れた」──とでも言うのだろうか。

 ユウは男の精液を膣内に受けると、超絶的なオルガスムスを得るらしかった。だから、男達が避妊具を付けていなくて全く構わなかったし、むしろ喜んで受け入れていた節があった。
 もちろん、膣内に射精されたからといって妊娠するかどうかはわからなかったし、そもそも子宮が存在したとして排卵があるのかさえ不明なのだから、避妊具の有無は最初から関係無かったのかもしれないが。
 ともかく、ユウは土曜日に膣で中出しされ、「彼女」の中で確実に何かが変わったのだろうことは、明らかだった。

 それは翌日の11月13日、日曜日のページだった。
 哉汰の記憶では、この日は、カナケンに誘われてウィッチの目撃情報の確認のため、街の東部を流れる比較的大きな河の上流にある、森林公園まで脚を延ばしていた日のはずだ。
 ユウは明るい昼の街を、居住空間の広い、ライトバンのようなワンボックスカーで移動していた。ガラスにはスモークがかかり、外からは見えないようになっているようだった。
 その後部座席で、魔女っ娘コスのユウは両側の男達に同時に責められ、うっとりとしてすっかり身を任せていた。
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2012年05月17日

【ボクキミ】39

■■【39】■■

 「ボクとエッチして下さい」と、ユウが土下座して懇願したのは、その次の日の夜だった。
 日付は、11月11日の金曜日。
 そのページにも、ユウは見知らぬ男とディープキスをし、あの「ものすごい乳房」を好きに愛撫させ、パイズリフェラで奉仕し、体位を何度も変えながら激しくセックスしていた画像が何枚もアップされていた。
 夕日が射し込む、誰かの、どこかの部屋の中で、魔女っ娘コスのまま。おそらくホームルームを終え、哉汰と別れて、すぐに違いない。
 Lカップの美爆乳を、そして顔を精液でどろどろにし、フェラで口内射精された精液を溜めたまま嬉しそうに見せていた。
 だがユウは、他の男とそうしておきながら、夜に家を訪れ、哉汰にセックスをねだったのだ。
 あの時、ユウはフェラチオもパイズリも、どちらも初めてだと言った。
【ボク、カナちゃんより7年多く生きてるからね。自慢じゃないけどオナニー歴も長いから、どこをどうすればいいかなんて、きっと本当の女の子よりずっと知ってると思うよ】
 よくそんな嘘がすらすらと出てきたものだ。

 慣れているのも当然だった。

 実際には毎日のように何度も何度も男達相手に行った行為だったのだから、手慣れて当然だった。

 そんなユウの言葉を、哉汰はバカみたいに素直に信じていたのだ。
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2012年05月14日

【ボクキミ】38

■■【38】■■

 だが次の日の12月30日。
 この日も、哉汰はネットカフェに朝から向かい、あのサイトにアクセスしていた。
 結局、昨夜はほとんど眠れず、夢と現(うつつ)の間を彷徨うような感覚に悩まされた。
 行方のわからないユウが、今、どこで、何をしているのか。
 それを考えると気が狂いそうなほど胸が痛かったのだ。

 ユウは11月3日に、どこの誰とも知れない軽薄そうな男と、セックスしていた。
 体を弄ばれ、好き勝手に嬲られて、何度も何度も膣内を蹂躙されていた。
 それは事実だ。
 思えば、ユウの様子が目に見えておかしくなったのは、この日からだった。
 そばで見ていると、心身にひどく疲れが溜まっているのは明らかであり、いつものユウらしくなく、表情も暗くて、注意力も散漫になっていた。やたらとぼんやりして、つまらないミスも多かった。忘れ物も多く、一緒に学校から帰る途中で気付いて、一人で学校に引き返した事も一度や二度ではなかったはずだ。
 一緒に下校する回数も確実に減った。誘っても何だかんだと理由を告げて断られる事も多くなったのだ。
 だが3日以降、毎日のように画像がアップされているのを見れば、納得も出来た。

 ──ユウは哉汰の誘いを断ってまで、毎日違う男と会い、セックスを繰り返していたのだ。

 哉汰はほぼ毎日、優也に魔力供給を頼まれ、夜にはその優也がユウの姿で部屋を訪れる事も多くなったが、それは男とのセックスを終えた後がほとんどだった。
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2012年05月10日

【ボクキミ】37

■■【37】■■


 ユウは狂っている。

 いや、狂わされたのか。

 ウィッチ・ユウから「便所女」への変化は劇的だった。
 男と繋がり責め立てられたユウは、途中から明らかに悦び、ヨガり、性交を心から楽しんでるように見えた。
 哉汰の脳裏に蘇るのは、過去に出会った「便所女」の痴態の数々だった。性に狂い、体を開き、陶然と男を受け入れていた。

 これは……いや、これが「魔力酔い」だろうか?

 だが体内にウィッチとの「魔力回路」が形成されていない普通の異性であっても、そういう事は有り得るのだろうか?
 それとも、度重なる哉汰との魔力補給によって哉汰だけでなく、ユウの「女性としての性感」もが開発されてしまった事が原因なのだろうか?
 だが、望まない快楽を無理矢理植え付けられ、狂わされたユウ……優也の気持ちを考えると、哉汰はどうしようもなく悲しく、そして苦しくなった。
 もし自分が優也の立場だったら。
 ウィッチから男に戻った瞬間に、死にたくなるほどの絶望と後悔を味わうのではないか。
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2012年05月07日

【ボクキミ】36

■■【36】■■

 11月3日、ユウは以前のように何も変わらない様子で登校してきていた。
 屈託の無い笑顔。
 哉汰を信頼しきった仕草。
 今となっては、全てが偽りだったとしか思えない。
 あの時、優也は何と言っていた?

『変身中に負った傷とか痣(あざ)とか元の姿に戻れば治るから』

『心配いらないよ。ちょっとの事くらいなら』

 そう言っていなかったか?
 変身中にどんなことをしても、元に戻れば何もしなかったと同じ?
 男と性行為するなんてちょっとの事だから心配いらない?
 つまり、自分にはずっと秘密にして、話すつもりは全く無かったということだろうか?
 哉汰は言いようの無い悔しさに声を上げて泣き出しそうになっていた。

 この日の帰り、哉汰は優也に「一緒に帰るか」と誘ったが、彼は、まだ園芸部の仕事があるからと言って断ったのだ。
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2012年05月03日

【ボクキミ】35

■■【35】■■

 変身したら、必ず魔力補給が必要になるのではない。
 変身し、魔力が枯渇した時だけ、自力では元の姿に戻れないから魔力の補給を必要とするのだ。
 度重なる補給行為のせいで、哉汰はその事実をすっかり忘れていた。
 変身して、ただの人間相手に性行為をするだけなら、魔力はほとんど消費しないのだ。
 同様に、姿を変えるだけでも魔力の消費はほとんど無いに違いない。
 「便所女」姿のユウは、次の画像で公園らしい場所の入り口に立っていた。
 手前に車のルーフが写り込んでいる。
 その公園は、哉汰が学校帰りにコロッケを頬張っていた、あの場所に間違いなかった。
 次の写真は助手席に座っている「便所女」姿のユウだった。スモークがかかった窓を背に、膝の上に両手を置いて毅然と前を向いている。
 だが次の写真は、男とキスしているユウが写っていた。男が自分で撮影しているのか、画像はブレている。サングラスをかけたユウの顔は歪み、嫌がっているようにしか見えない。
 けれど次の写真はユウの顔を正面から捉えていて、顔中が赤らんだ「彼女」はどう見てもうっとりとしているようにしか見えなかった。
 口の周りは唾液でべとべとに濡れ、ぽってりとした唇が半開きになって真珠のような白い前歯が覗いていた。
 サングラスで見えないが、哉汰には手に取るようにわかる。
 今のユウは、きっと目は潤んで薄い水の膜が張ったようになり、赤らんだ目尻に涙がいっぱいに溜まって今にもこぼれそうになっているに違いない。
 あの時、車はなかなか発進しなかった。
 その理由がわかった。
 発進するまでの長い時間、ずっとユウは男にキスされていたのだ。
 あの唇を、舌を、男に吸われ、舐められ、啜られていたのだ。
 それを自分は、間抜けな顔で見ていたのだ。
 哉汰は唇を噛み、涙を袖で拭った。

 これ以上見たくない。

 そういう想いと、

 最後まで見なければ。

 そういう想いが胸の中で渦巻き、鬩(せめ)ぎ合う。

 数分間、哉汰は躊躇った。
 だが、唯一残された糸を、自分から断ち切ることは出来なかった。
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2012年04月30日

【ボクキミ】34

■■【34】■■

 どの写真も顔は写っていなかった。
 口までは写り込んでいても、鼻から上は必ずカットされているか強烈なボカシかモザイク処理が施されていた。それでも髪型と髪の色は、「彼女」を知る者にはそうとわかってしまうだろう。

 だから哉汰も、わかった。

 これは、「ユウ」だ。

 冬休みに入ってから、ずっと探していた「ユウ」であり「優也」だった。
 腕も肩も胸の半分ほども露出している、ピンクと白で構成された、コルセットかビスチェみたいな形のコスチューム。
 ほっそりとした両腕の先には、精緻なレースの施された上品な白い手袋。
 すらりと長い両足は踝までが透き通るような白さで、その足先は手袋と同じようなレースがあしらわれた純白のソックス。
 右足首にはピンク色をした足首飾りのフリルベルト。
 パールピンクのピンヒールはこれでもかと高く、手を踏みつけたら穴が開きそう。

 それはまさしく、あの「露出過多な魔法っ娘コスチューム」そのものだったからだ。

 だが、違和感もあった。
 強烈な違和感だ。
 それが何なのかハッキリしないまま、哉汰はリンクを辿った。
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