■感想など■

2009年05月19日

第3章「オレが女になったワケ」

■■【5】■■
 髪を切った後、圭介は母と2人で2階に上がり、部屋の掃除をした。
 そして掃除をしながら考えた。
 自分がこうなってしまったことを、大切な幼馴染である由香と健司には話しておかなければならない……と。
 そして母から『女性仮性半陰陽』の事を教えられ、彼らにはそう言うように言われて、由香と健司に連絡を入れた。
 夕方に2人が家までやってくると、母に2階まで通してもらい、そして、真実は隠したまま偽りの事実を話した。
 その結果、健司は前と変わらぬ笑顔を向けてくれて、そして由香は……
「やっぱり…………受け入れられないのかな……」続きを読む

2009年05月18日

第3章「オレが女になったワケ」

■■【4】■■
 ただ一つ気になったのは、父の姿が見えなかった事だ。
 圭介は、風呂に入った後、母の作ってくれた卵粥を食べて一息つくと、今度は母に髪を切ってもらいながら彼女に聞いた。

 一人息子の一大事に、あのバカ親父は何をしているのか。

「そういうこと、言っちゃダメ。善ちゃんがいないのは、けーちゃんのために今いっしょけんめいに走り回ってるからなのよ?」
「オレのため?」
「そう。だから、あんまり善ちゃんのこと、悪く言わないでね?」
 胸まであった圭介の髪を丁寧に梳(くしけず)りながら、母は息子に懇願した。メンズ用のシャンプーとリンスを使い、乱暴に洗髪したにも関わらず、髪は見違えるようにさらさらと、艶やかな輝きを放っている。これも母の…………星人の因子が発現しているからだろうか?
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2009年05月17日

第3章「オレが女になったワケ」

■■【3】■■
 この星で時々騒がれたりするけど、UFOって、あるわよね?
 未確認飛行物体。
 あれって星人の宇宙船とか言われてるけど、お母さん、違うと思う。
 少なくとも、お母さんの知ってる船とは違うわ。

 宇宙の距離ってね、地球の人が思ってるよりもっとずっとずっとずっとずっと遠いの。ひろぉいの。
 望遠鏡とか覗いてるだけじゃ、ぜったいにわからない距離。
 何万光年……とか一口に言っても、ピンと来ないでしょ?
 ただ待ってるだけじゃ、ぜったいに他の知的生物とは出会えない距離。
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2009年05月15日

第3章「オレが女になったワケ」

■■【2】■■
 むかしむかし、あるところに一人の、それはそれは可愛らしい女の子がいました。
 女の子はたくさんの優しい人達と、ながいながい、気が遠くなるくらいに長い旅をしていたのですが、ある時、哀しい事に事故が起こり、気がついた時には見知らぬ土地で、たったひとりぼっちになっていました。
 そこは、言葉も心も通じない、とてもとても寂しくて恐ろしい場所でしたが、女の子はあの優しい人達もきっと無事だと信じ、何年も何年も待ち続けました。
 1年経っても、誰も女の子を捜しに来ません。
 10年経っても、誰も女の子を見つけてくれません。
 女の子は、寂しくて寂しくて、あのまま死んでしまった方が良かったと思い、硬く心を閉ざしてしまいました。
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2009年05月14日

第3章「オレが女になったワケ」

■■【1】■■
「はあ?何言ってんの母さん」
 6日前のあの日、あの朝、圭介は、ベッドの側の床に正座して、今まで彼が一度も見たことの無いような真剣な目でこちらを見上げる若い母を、呆れたように見やった。
「いいから。ね?おちんちん、ある?」
 黒目がちでいつも濡れたような瞳を向ける母の言葉には、有無を言わせぬ迫力がある。けれどそれは、去年の出演映画『ふた恋』での「冷徹で氷の微笑が似合うヒロイン」とは、どうしても結び付かなかった。
 もっと切実だ。
 まるで、「今度いつ帰ってくるのか」と、遠方に単身赴任している夫や父に聞いている新妻とか娘みたいな声音で聞かれた気がする。
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