■感想など■

2009年06月08日

第6章「自覚と淫夢とふくらんだ胸」

■■【6】■■

 胸がものすごく痛かった。
 涙が出た。

 圭介は3時間目の体育を休んで、生理休暇の制服組と一緒に体育館の隅で見学していた。
 この学校は、県下でも早々とブルマを廃止した部類に入る。基本的に体操服はジャージのみ学校指定で、他は自由だ。だからこそ圭介もブルマを履いて恥ずかしい思いをしなくて済んでいた。
 ただし、「自由」とは言っても思春期の男女を不必要に刺激しないように、体の線がハッキリと出るタンクトップやチューブトップ、そしてスパッツなどは禁止……とまでいかなくても厳重注意対象となっている。
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2009年06月07日

第6章「自覚と淫夢とふくらんだ胸」

■■【5】■■
 ちっちゃくって可愛くて、ナマイキな口調で「オレ」とか言って、しかもブラウスのボタンをはじけ飛ばしてしまいそうなくらいパッツンパッツンに胸元を盛り上がらせた美少女というのは、男だけでなく女にとってもひどく興味をそそられる存在らしい。
 圭介は先週に輪をかけて珍獣扱いとなり、さらにオモチャにされていた。
 一時間目の数学の男性教師ですら、顔を見る前にまず胸を見た。それにいちいち腹を立てているのは馬鹿馬鹿しいとは思いながらも、イライラはつのった。

 胸が大きくなっていいことなんて一つも無い。

 授業を受けている間、机に“のしっ”と胸を乗せて楽をすれば、ノートを取る時に邪魔で仕方ない。また、消しゴムのカスや鉛筆の汚れが付いても、胸の下の所だと自分ではぜんぜんわからない。それに、まず第一に、歩いていて足元が見えないし、重いからすぐ腕を組むようになって肩が倍凝った気がした。
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2009年06月06日

第6章「自覚と淫夢とふくらんだ胸」

■■【4】■■
 教室に入ると、いつものように挨拶をしながら自分の席についた。いつまでも鞄を抱えているわけにはいかないので、意を決して机の上に置き、何食わぬ顔で中から教科書やノートなどを取り出す。
 そのうち、教室の空気が段々と少しずつ変化してきた事に圭介は気付いた。
 誰も、圭介と目を合わせようとしないのだ。
 男子などはあからさまに視線を外し、そそくさと自分の席についてしまう。視線を感じて振り返っても、さっと目を逸らされるので対処の仕様が無い。女子に至っては、まずギョッとした目で見て、それからまじまじと見つめ、そして近くの女子に近づいてヒソヒソと囁きあったりしている。
 ある程度覚悟していた事だけれど、これでは針の筵だ。
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2009年06月05日

第6章「自覚と淫夢とふくらんだ胸」

■■【3】■■

 6月12日。

 月曜日は雨だった。
 もう何が起きても驚かないと思った圭介だったけれど、胸がさらに大きくなっていたのは本気で驚いた。
 仰向けに眠っていたからか、苦しくて苦しくて目が覚めたのだ。

 今日の夢は今までは一番ひどかった。あれはない。あんなのは、絶対に上映禁止にすべきだ。圭介の中に残ったなけなしの『男の自意識』を、根こそぎ刈り取って燃やして桜の枯れ木に撒いてしまうようなひどい夢だった。
 『女の自意識』なんていう花が満開に咲いたら、いったいどう責任を取ってくれるというのか。
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2009年06月04日

第6章「自覚と淫夢とふくらんだ胸」

■■【2】■■

 翌日も夢を見た。

 こうまで続くと慣れたものだ。
 「なんだまたか」と思った。
 またえっちな夢だったことは責められないけれど、目を覚ますという選択肢が無いのは心底怨んでいいと思った。
 誰を怨むかは決まっている。
 自分にこんなクソッタレな運命を架した神様というヤツだ。
 または、愛情がたっぷり詰まったでっかいおっぱいを揺らしながら、生焼けのホットケーキや塩の入ったミルクセーキを自慢げに披露してくれる常識ズレした異星人でもいい。可愛そうだからその場合は30パーセント減で許してやらないでもない。
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2009年06月03日

第6章「自覚と淫夢とふくらんだ胸」

■■【1】■■

 これは夢だ。

 圭介は夢の中にいながら、それをはっきりと自覚した。
 なぜなら自分は、キスをしているからだ。
 相手が誰なのか、それはわからない。
 けれど、それが男だというのは、わかった。
 だからこれは夢なのだ。
 夢でしかありえない。
 そしてこの夢は、いつも見る、あのえっちな夢と感じが似ている。
 すごくすごく似ている。
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