■感想など■

2009年06月14日

第7章「オレの先生は宇宙人」

■■【6】■■
 ホームルームが終わり、担任のはるかちゃんに部活を休ませてくれるように言うと、圭介と由香はさっそく昇降口へと急いだ。駅前の商店街やスーパーで買うのは、圭介がさすがにどうにも恥かしいと思ったため、2つ駅を越えたところにある大型店舗へ行く事にしたからだ。
 由香が所属しているテニス部は県下一の弱小部で、インターハイなど夢のまた夢、唯一出場出来る先輩も去年卒業してしまって、今では『やる気』をどこかの青空フリーマケットでさっぱりきっぱり売り捌(さば)いてしまったかのように覇気が無い。由香のような運動神経『切れてる』子でも所属出来ている時点で、並みの運動部とは一味違う。いきなり「休みます」でOKが出てしまうのが、その証拠だった。
 ――圭介には、「由香は練習してもムダだ」と早々と『戦力外通知』を出されてしまっているようにも感じなくはないのだけれど。
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2009年06月13日

第7章「オレの先生は宇宙人」

■■【5】■■
 場合によっては女のまま受胎するかもしれないけれど、男に戻る可能性だって、あるのだという。

 美智子は言う。

 重要なのは『星人』の遺伝形質が、この星の現住生物である人間と自然状態で子孫に遺せるか……ってこと。
 『星人』のテクノロジーを使えば簡単だけど、それじゃあ意味は無いんだ。
 男とイッパツやって、男の精液を膣内で感知した時、お前の肉体が強烈なストレスを感じるようであれば、たぶん女から男に戻れるかもしれない。女として子孫を残すより、男として子孫を残す選択肢の方が、よりストレス無く良質な状態で“子”を成す事が出来るなら、それに越した事は無いからな。
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2009年06月12日

第7章「オレの先生は宇宙人」

■■【4】■■
 昼休み。
 圭介は再び保健室にいた。もちろん一人で、だ。
 由香には「胸を診てもらうだけだから」と言ってあったけれど、正確にはそれだけではない。『星人』に関する話は、由香や健司にはとても聞かせられない話だからだ。
 それでも、きっとたぶん、5時間目の始業チャイム近くになれば、由香が呼びに来るに違いない。
 それだけは、確信めいてさえいた。


「男に戻る方法!?」
 保健室で、購買部で買ってきたヤキソバパンを咥えていた美智子は、圭介の口にした言葉に訝しげに目を細めた。
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2009年06月11日

第7章「オレの先生は宇宙人」

■■【3】■■
 圭介は4時間目の間中、授業を受けながらもずっと考え続けていた。
 乳房はまだ少し痛む。けれどそれより何より、ソラ先生の言った事の内容の方が、遥かに圭介の心を捕えているのだ。
 正直、因子が発現し理解力が以前より格段に増した今でも、彼女の話は全てが理解出来たとはとても言えない。もっとも、あの話が全て本当だという確証も無いし、圭介にはそれを確かめる術(すべ)も無いのだ。いや、信じるとか信じないとか、そんなのは問題ではないのかもしれない。
 心の奥で、魂に一番近い部分で、彼女の語った事を信じたい……信じなければ…………信じよう……という、強い力を感じるのだから。
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2009年06月10日

第7章「オレの先生は宇宙人」

■■【2】■■

 ソラ先生も『星人』。

 その事実に、圭介の頭が今度こそ真っ白になった。
 そんな圭介に、美智子は珍しく柔和な視線を向ける。普段、皮肉や苦笑じみた笑みしかほとんど見たことの無い圭介には、その笑みが、なぜか母、涼子と重なって見えた。
「なあ、山中…………いや、圭介。お前、一度だって考えた事無いのか?あれだけ映画やテレビに出てる母親なのに、テレビや雑誌、新聞のレポーターや記者とかが、なぜ今まで一度もお前のとこに来なかったのか」
 美智子は語る。
 それは、圭介が考えようともしなかった事だった。考える事を、頭が拒否していた事だった。
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2009年06月09日

第7章「オレの先生は宇宙人」

■■【1】■■
 いつものようにベッドのカーテンを引いて順番に着替えると、圭介は由香に、先に教室へ帰っているように言った。
 けれど彼女は「待っている」と言って聞かないため、仕方なくこのまま保健室で待っていてもらう事にして、そして圭介と美智子は隣の学生相談室へと移動した。そこは、ソラ先生のカウンセリング用の部屋でもある性質上、防音と機密性は保健室よりもずっと高かった。
 美智子に続いて相談室に入り、圭介が椅子に腰掛けようとした時、彼女は窓のカーテンを半分だけ閉めながら
「どうだ?『星人』(ほしびと)として目覚めた気分は?」
 と、言った。
 まるで、「今日の朝飯は何だった?」と聞かれた気がして、圭介は一瞬呆けてしまう。
「え?」
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